かしこ
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2020/09/06
オリジナル・ウエディングの制作会社を経営するカップル
『にれこスケッチ』をきっかけに鴨居まさね先生を知って過去作を読み始めました。『SWEETデリバリー』は「もうすぐ2000年だ!21世紀だ!」なんてセリフも登場する20数年前の作品ですが、読んでて古いな〜と思うような違和感とか物足りなさが全くなかったです。ドラマ化したらいいんじゃないか!?と思ったら、もうしてました!そりゃそうか。でも原作とは大幅に違う筋書きだったようですね…。原作ではオリジナル・ウエディングの制作会社を経営している実与子とマコトはもう5年も付き合ってるという設定なんです。これがいいのに変えちゃったのか。仕事もプライベートもずっと一緒だけど、実与子はマコトのことが好きで好きでたまらない、だから不安になっちゃう…でも、そんな実与子をただの重い女と感じさせないのが鴨居先生の力量ですね。喜怒哀楽の心の動きにユーモアを含めてくれるから重い愛情も毒っぽくないのかな。ウェディングを依頼した新郎新婦も社員のデコラちゃんも第2の主役のような感じなので脇役らしい脇役がいない、登場人物全員が主人公のような漫画でもありました。
かしこ
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2020/08/10
笑ったり泣いたりするだけが青春じゃないんだ
10数年前の多感な時期に読んでものすごく印象的だった作品。途中までは学園生活の楽しさ満載なので、当時キャラと同じく学生だった自分は夢中で読んでたんですけど、結末がとてもシリアスでショックを受けました。それまでが楽しすぎるんです!私にとってよしながふみ先生のイメージは「フィクションだけど容赦なく現実を突き付けてくる」ですが、この作品がきっかけだと思います。だからこそ信頼できるし面白いんですけどね! 主人公の花園春太郎は白血病の治療の為に一年一ヶ月遅れで高校生になりますが、自己紹介で病気のこともカミングアウトするし、すぐにクラスメイトとも馴染みます。注目すべきなのは漫研メンバーです。その一人である武田さんの作品「ルイジアナにひな菊咲いて」がきっかけで展開していくエピソードが最高に面白いです。最初はひっそりと趣味で描いていましたがクラス中で人気になり、文化祭で演劇をするまでに発展します。漫画の中の漫画をここまでネタにしてくれるなんて感動ですよね。気になった方は読んでみて下さい。そういえば初めて油淋鶏の存在を知ったのはこれがきっかけでした。
かしこ
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2020/07/29
マグロの餌として生きる女の奮闘記ギャグ「大漁!まちこ船」
脱サラして漁師を始めた小川はすれ違ったマグロ漁船に小柄な女の子が乗っているのを見つける。彼女の名前は「まちこ」。実はただのマグロの餌である…。船長から釣り竿の針を口に付けられ海に飛び込みマグロに食われる、それが彼女の仕事、そう!使命なのです。最初はひ弱な都会人の小川に興味がなかったまちこですが、だんだん恋愛モードに入っていきます。なぜなら卵を産んだから。見た目は人間の女の子ですが何故か産卵するんです。自分が産んだ卵に小川から「かけてもらおう」と思い立ってから色んなすれ違いが起きるんですけど、すごいですよ。超爆笑モノです。何を言ってるのか分からないと思いますが、本当にそういう漫画なんです。私にとって「大漁!まちこ船」が理想的な漫画の一つかもしれません。それくらい大好きです。 もう一編の「戦え! 北極警備隊」は三宅乱丈先生の思い入れがものすごくある作品のようです。近未来SFギャグ漫画なんですけど、何が起こるか分からない具合で言えば「大漁!まちこ船」よりすごいです。どちらも傑作であることは間違いありません。大船に乗った気持ちで読んで大丈夫です。
かしこ
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2020/07/05
カムバック新連載「地域の相楽さん」
短期集中連載されていた「地域の相楽さん」がシーズン2として新たにスタート!これまでの計4回のお話がとても面白かったので、連載復活は嬉しい限りです。だいぶお隣さんと仲良くなりましたが、まだ設楽さんの素性?は知らないようですね…。 ちなみにこれまでのあらすじ。町内会に新しく入ってきた相楽さんは中性的な見た目でかっこいい。引っ越してきた当初は一軒家にひとり暮らしなんて…と、近隣住民に不思議がられていましたが、町内のゴミ拾いでの仕事っぷりのよさ、回覧板まわし騒動で見せた意外な熱血さ、大晦日に神社で配る豚汁作りでの機転のきかせ方、を経て徐々に受け入れられてきた模様。 実は…という程でもないかもしれませんが相楽さんは女性です。あまりにもクールなので、第1話では町内会の全員が「男性なのかな?女性なのかな?でもすごく聞きにくい」と悩んでいて、そこがすごく面白かったです。私も正直どっちなんだろうって思いながら読んでいました。相楽さんはあらゆる物事を推理するクセがあることがずっと描かれていましたが、それも職業がミステリー作家だからということがシーズン1の最終話で判明してます。そのことをお隣さんはまだ知りません。 毎回クスッと笑えるところがあって個人的に激推しの新連載です!!
かしこ
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2020/06/14
少女漫画の歴史を知れる貴重な一冊
装丁がぶ〜けコミックス風なのもとっても素敵!出版社が違うのに実現したのは松苗あけみ先生だからこそなんでしょうね。生い立ちから始まり、色んな漫画家さんのアシスタント経験談、連載秘話など、内容に関しては読み応えあり過ぎるくらいです!デビュー後もストーリー作りがなかなか出来なくて苦労したというお話はとても意外でしたが、松苗先生が謙遜してるだけで本当はそんなことないんじゃないのかな?という気もします。一条ゆかり先生のアシスタントをされていて一緒に旅行に行ったりするほど仲良しということはお互いの漫画にもよく描かれているので知っていましたが、内田善美先生ともお若い頃から交流があったとは驚きました。内田先生の作品は今だと普通に手に入れることは難しいし幻の作家さんだと思い込んでいたのでこんなに気さくな方だとは思いませんでした!内田先生のアシスタントさんが消失点を取る為に部屋いっぱいに紙を広げて奮闘しているシーンは感動しました。松苗先生ファンはもちろんのこと、熱意と努力によって生み出された華やかな少女漫画の歴史を知れる貴重な一冊です。
かしこ
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2020/06/07
現代的かしまし家族マンガとしても面白い! #完結応援
上野にあるブラシ屋の三姉妹の末っ子・にれこちゃんが主人公。20年間も片思いしてた清田くんの傘工房でバイトしてたけど、ブラシ職人のおばあちゃんの体調不良という緊急事態にともない実家のブラシ屋で職人として働くことになった!というお話です。にれこちゃんの恋物語やブラシ職人道としても面白いけど、私は家族マンガとしての魅力が抜群だなと思ってます。 にれこ家はお父さんが単身赴任で長いこと不在だし、かなりの女所帯。ブラシ職人のおばあちゃんとお母さん。すでに独立してるお姉ちゃん2人。そして主人公のにれこちゃん。大集合することはないんですけど、それぞれの繋がりがちゃんと描かれているので、その様子がとってもかしましくて楽しいのです。実際に存在してる人達のような親近感があります。 にれこちゃんの片思い相手の清田くんも、元は一番上のお姉ちゃんの同級生ですからね。家族全員が事情を全部知ってるし、なんならお母さんの方が清田くんと仲がいいし。にれこちゃんの元彼・松谷くんに対しても、とっくに別れてるのにほぼ家族みたいな扱いなのもいいなって思いました。あだ名が「松谷王子」なのも可愛がってる感がめちゃくちゃありますね。でも松谷くんはとてもいい子なので、人も猫も魅力にやられてしまう気持ちが分かります。私も好きになっちゃいました! 全3巻で手に取りやすいし、いっき読みするのすごく楽しかった。ほのぼのマンガを探してるなら、ぜひオススメしたいです!
かしこ
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2020/06/05
男と男と女。3人の青春物語
絶対おもしろいやつだと思って読んだらやっぱりおもしろかった。 子供の頃からの幼馴染みで今も同じ高校に通っている堺と正二はバンドを組んでて、才能はあるんだけどなんだか上手くいっていない。二人はひょんなことからクラスメイトで服作りのセンスが抜群で「ゴッホ」というアダ名の女の子と仲良くなる。ゴッホが高校を辞めて服作り一本でやっていく決心をして、堺と正二もそれを応援するんだけど、高校卒業して働きながらバンドを続けるのも難しいし、ゴッホも親からの援助も打ち切られてお金がなくて、社会に揉まれてみんながどんどんダメになっていく。これが1巻。名付けるなら「3人の青春編」って感じ。 2巻はバラバラになった3人がまた再会していく話で、あらすじにすると漫画らしい展開の連続なんだけど、まったく安っぽくない。私は2巻からが好きだった。特にゴッホが衣装係として働き始めたショークラブで出会うエルムとの恋の場面。エルムも変わり者なのがまたいいんです。最初は堺とゴッホが中心の話なんだけど、タイトルの「バカとゴッホ」の意味が堺と正二の二人のことに変わっていく、これが見所ですね!でも3人の出会いがとてもいい結末を迎えたラストも素敵でした。
かしこ
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2020/05/27
10年振りにハチクロを読み返した
ハチクロの連載終了時が高校1年生だったので、私も大学生になったらこんな青春をしたいな〜と憧れながら読んでいました。気の合う仲間達と遊覧船に乗ってお弁当を食べたり、クリスマスパーティーをしてツイスターで遊んだり、笑ったり泣いたりしたかったのですが、実際にそんな感じの大学生活を送れるはずもなく…。月日は流れ流れて、あの頃大好きだったハチクロをこのたび10年振りに読み返してみました。 まず衝撃的だったのは、どんだけダサダサな服でも見事に着こなしてしまうおしゃれチャンプの山崎さんが年下になってしまったこと!彼27歳なんですって。若造ですやん。そんな感じで主要キャラの大学生5人も自分より年下になってしまったので、今回改めて読んでみたら大人キャラ達にとても共感するようになりました。例えば、野宮さんの山田さんに対するアプローチを見た山崎さんが「何でお前の恋愛ってさキズつけるのが前提なの?オレは好きなコができたらうんと大事にしよう…ってずっと思ってきたぜ?」と言ったことで、野宮さんがとうの昔に脱ぎ捨てた青春スーツをもう一度着ることになるこのシーン。これを読んで私は…ハッ!青春と呼ばれる時代が遠く過ぎ去ったとしても、あの甘酸っぱい感情とエネルギーは再び装着できるんだ!と目からウロコでした。(山崎GJ!あなたと一緒に大人になったって壊れない友情があるってコトを証明したいです!)ラストでは花本先生も青春スーツを再装着するのがいいですよね〜!むき出しの感情が人生を変える瞬間はキラメキに満ちています。大人になったことでようやく気づけた物語がありました。 ちなみに一番カッコいいと思ったのは美和子さん。私もまぜご飯番長になりたいです!