10数年前の多感な時期に読んでものすごく印象的だった作品。途中までは学園生活の楽しさ満載なので、当時キャラと同じく学生だった自分は夢中で読んでたんですけど、結末がとてもシリアスでショックを受けました。それまでが楽しすぎるんです!私にとってよしながふみ先生のイメージは「フィクションだけど容赦なく現実を突き付けてくる」ですが、この作品がきっかけだと思います。だからこそ信頼できるし面白いんですけどね!

主人公の花園春太郎は白血病の治療の為に一年一ヶ月遅れで高校生になりますが、自己紹介で病気のこともカミングアウトするし、すぐにクラスメイトとも馴染みます。注目すべきなのは漫研メンバーです。その一人である武田さんの作品「ルイジアナにひな菊咲いて」がきっかけで展開していくエピソードが最高に面白いです。最初はひっそりと趣味で描いていましたがクラス中で人気になり、文化祭で演劇をするまでに発展します。漫画の中の漫画をここまでネタにしてくれるなんて感動ですよね。気になった方は読んでみて下さい。そういえば初めて油淋鶏の存在を知ったのはこれがきっかけでした。

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この世界の片隅に

漫画と映画を久しぶりに見返した!

この世界の片隅に
かしこ
かしこ

2025年のお正月にNHK広島放送で映画「この世界の片隅に」が放送されたのは、今年で原爆投下から80年が経つからだそうです。この機会に私も久しぶりに漫画と映画をどちらも見返してみました。 やはり漫画と映画の一番の違いはリンさんの描き方ですよね。漫画では夫である周作さんとリンさんの関係について触れられていますが、映画ではありません。とくに時限爆弾によって晴美さんと右手を失ったすずさんが初めて周作さんと再会した時に、漫画ではリンさんの安否を気にしますが、映画ではそれがないので、いきなり「広島に帰りたい」という言葉を言い出したような印象になっていました。映画は子供のまま縁もゆかりもない土地にお嫁に来たすずさんが大人になる話に重点を置いているような気がします。それに比べると戦時下無月経症なので子供が出来ないとはっきり描いてある漫画はもっとリアルな女性の話ですよね。だから漫画の方が幼なじみの海兵さんと2人きりにさせた周作さんに対して、あんなに腹を立てたすずさんの気持ちがすんなり理解することが出来ました。個人的には男性達に対してだけではなく、当時の価値観で大事とされていた後継ぎを残せない自分に対しての悔しさもあるのかもしれないと思いました。けれどもあえて女性のリアルな部分を描きすぎない選択をしたのは、原作である漫画を十分に理解してるからこそなのは映画を見れば明らかです。 久しぶりに漫画と映画を見返してどちらも戦争が普通の人の生活も脅かすことを伝えているのはもちろん、すべてを一瞬で無いものにしてしまう核兵器の恐ろしさは動きのある映画だから強く感じた喪失がありました。そして漫画には「間違っていたら教えて下さい 今のうちに」と巻末に記載されていることに初めて気づきました。戦争を知らない私達が80年前の出来事を想像するのは難しいですが、だからこそ「この世界の片隅に」という物語があります。どんなに素晴らしい漫画でもより多くの人に長く読み続けてもらうのは大変なので映像化ほどの後押しはないです。これからも漫画と映画どちらも折に触れて見返したいと思います。

野球で話せ

漫画で話せ

野球で話せ
かしこ
かしこ

何を隠そう私も自分の描いた漫画を第11回青年漫画賞に応募していたのです。とはいえ私は記念受験のようなものなので箸にも棒にもかからないのですが…それでも言わせて下さい、私のライバルって中原とほるだったのかよ!!と。いや〜でもこれは完敗です。だって全編を通して「漫画を描くのが楽しい」って感じだったじゃないですか。働きながら漫画を描くのは大変です。やりたいことがあるのは幸せだけど、休みの日なんかに一人で引きこもってコツコツ描いてると「誰にも求められてないものをこんなに一生懸命やって何になる?」と虚しくなります。それよりも情けないのは描きたいから描くのではなく「漫画家になりたいから描いている」という気持ちのブレが起きてしまうことです。それでは本末転倒なのです。だからこそ作中で叔父さんが言っていた『表現を続けなさい』というセリフに胸を打たれて勇気づけられました。それは連載デビューを経験された後も医師として働きながら投稿を続けられたご自身に対しての言葉なのかもしれませんが、私もこんな風に漫画と向き合いたいと思わされる姿でした。いつか私の漫画を中原さんに読んでもらいたい。漫画で話したいです!

ダイヤモンドの功罪

最新話で綾瀬川が覚醒したぞ!!

ダイヤモンドの功罪
かしこ
かしこ

最新話でついに!綾が覚醒をしましたね!エヴァで言うところの覚醒と同じ意味なので心配ではありますが、これから益々タイトル通りの「功罪」っぷりを発揮してくれることでしょう。 ということで単行本を読み返してみました。運動神経だけではなく、身体能力、そして頭脳と、スポーツをする為の全てに恵まれた小学5年生の綾瀬川。U12の日本代表でもエースに選ばれ、他の代表選手からも「俺の世代にはずっとコイツがいるんだ…」と恐れられる程の逸材っぷり。しかし綾瀬川の本心は只々みんなと楽しく野球がしたいだけ。そう、綾本人も自分の才能に傷ついているのです。でも誰もそれを知らない。いてもイガくらいかな? 私は野球に関して全くの無知なんですがそれでもハマるのは、これが「才能」の話だから。やはり圧倒的な才能は人を翻弄するんですよ!!恐ろしやです。 日本代表の並木監督があのまま綾の面倒を見てくれたらよかったけど、このまま足立フェニックスで限界まで投げ続けたらプロになる前に選手生命が絶たれそうで心配ですね。ストーリーの冒頭で何回か高校球児になった綾が出てくるけど「この試合で壊れてもいい…!」と言ってたのが気になる。それがどういう意味なのか。やけっぱちなんだろうか。今のところ理解者になりそうな人が大和しかいないけど、東京と大阪で距離もあるし、大和もプレイヤーになりたそうだし、どうなっちゃうんだろう…。 将来は大谷さんのようになってくれたらいいのにな〜と思うのも綾にとっては大きなお世話なんだよね。とにかくハッピーエンドであってくれ!!と願いながら読んでます。

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Talent −タレント−

Talent −タレント−

2000年6月。便利屋4人が活躍する連続ドラマの撮影現場。若い4人の俳優たちは、大女優との共演に緊張しながらも、各々全力で挑んでいた。狭いスタジオに大人たちの思惑が飛び交う中、まだ、「何者」でもない若い役者たちが躍動する──。

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環と周

環と周

家族、恋、友情……さまざまな関係性で綴られる“好きのかたち”。 ――現代編 中学生の一人娘が同級生の女の子とキスをしているのを目撃して動揺する妻。実は夫にも、かつて同級生の男の子を好きになったことがあった。 ――明治時代編 大切な“お友達”になった女学生の環と周。周の縁談が決まり二人は離れ離れに……。 ――70年代編 病気で余命わずかと知った環は、同じアパートに住む少年と出会い交流が始まる。 ――戦後編 復員兵の周は元上官の環と再会し、闇市で一緒に店を始めるが、環には秘密があった。 ――江戸時代編 周の夫を斬った相手は、幼馴染みの環だった。仇討ちのため再会したことから、二人の運命が変わり始める。

バイリンガル版 きのう何食べた?

バイリンガル版 きのう何食べた?

西島秀俊と内野聖陽のダブル主演で、『きのう何食べた?』がスクリーンに登場! 映画化を記念して、バイリンガル版コミックのお出ましです。吹き出しの中に英訳を、枠外に元の日本語のセリフを配したバイリンガル版。英語がわからなくてもすぐ横に日本語があるので、辞書いらずですいすい読めます。シロさんとケンジが英語で会話しているのが味わえるし、佳代子さんや店長だって英語ペラペラ! この巻で取り上げるレシピは、たけのことがんもとこんにゃくの煮物、いわしの梅煮、鮭とごぼうの炊き込みご飯、栗ご飯などなど。もちろん、作り方(=シロさんの心の声)は全部英語で読めます。巻末にはバイリンガル版の特典として、調理に関する用語の日英対訳一覧表も掲載しています。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

愛がなくても喰ってゆけます。

愛がなくても喰ってゆけます。

こんなに食べてすいません……!!美味しい料理に群がるちょっとヘンテコな愛すべき面々の食欲全開ライフを描いた、よしながふみの初グルメ・ショートショート。「エロティクスF」連載当初から「夜中に読むと空腹が刺激されて危険…」と話題を読んだ人気シリーズ全13話に加え、描きおろし2話収録、よしながふみオススメの東京うまい店ガイド&MAPつきの豪華版。この本片手に紹介されたお店をたずねるもよし、読んでも見ても楽しい1冊です。

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ジェラールとジャック

ジェラールとジャック

借金の形に男娼館に売られた誇り高き貴族の少年ジャック。「初めての客」となったのは銀髪隻眼の男・ジェラールだった。偶然、ジェラールの屋敷で働くことになったジャックは、自分の手で何かを為す喜びと様々な知識をジェラールから得て、強く美しく成長していく――。革命期の激動のフランスを舞台に展開される不朽のドラマティックロマン!

それを言ったらおしまいよ

それを言ったらおしまいよ

よしながふみが贈る珠玉の短編集!毒舌家の青年医師、甘えんぼのプー太郎、性欲満開のお坊ちゃま、美貌のセクサロイド……など、いいオトコ盛りだくさん!!傑作ロマンティック&エロティック・ラブ・ストーリーズ5編。収録作品:「それを言ったらおしまいよ」「私の永遠の恋人」「おとぎの国」「ある五月」「ピアニスト」

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笑ったり泣いたりするだけが青春じゃないんだにコメントする
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