僕はまだ野球を知らない
高校野球の監督をするのが夢だった物理教師・宇佐智己(うさともき)は、念願叶って浅草橋工業高校野球部監督に就任。「セイバーメトリクス」を駆使して、甲子園を目指す! ゴールや成果の見えない努力は生徒たちを疲弊させる。しかし、「セイバー」を使えば着実に前に進むことができる! そして迎えた、強豪校と初の練習試合。敵校のエース相手に、ついに「統計学」が火を噴く…!
KILLER APE
バーチャルな世界の中でナポレオンに教えられた「英雄の条件」。その意味を咀嚼する間もなく主人公・坂本たちは次の戦場へと飛ばされる。そこは1066年のイングランド。迫り来るノルウェー軍とノルマンディー公国軍に対し、イングランド王ハロルド2世が300km以上を走破した伝説の戦い、「ノルマン・コンクエスト」に参加するのだ。22世紀のなまった身体を鍛えるべく、坂本たちは怒涛の行軍を開始する!進撃の第2巻!
誰が喚んだの!? ~異世界とゲーム作りとリクルート召喚~
――数年前、クリエイターだった久保俊徳を巻き込み、秋葉原は街ごと異世界へと転移した。現在、俊徳はここ秋葉原(in異世界)の片隅にある小さなゲーム開発室を率いていた。だが、エルフや獣人、魔族といった一風変わった制作メンバーは、スキルも足らず、発売延期が繰り返されるばかり。俊徳は考えた。これはもう“ヘルプ”を呼ぶしかないと。これは、異世界におけるゲーム制作と、現世からクリエイターを召喚しようという無謀な計画の実録である。
風の宿
東京の動物病院で働く獣医師、鹿間一成(しかま かずなり)は院長を殴打する事件を起こしてしまい、勤務先の病院を追われ、更には妻も家を出てしまう。一成は妻の連れ子で10歳になる諷子(ふうこ)と共に、両親を亡くした彼を育ててくれた信州の伯父夫婦の家を訪ね、そこで動物診療所をはじめることになるが…。ある日、一成の元へひとりの少女が訪れた。彼女が一成に治療してほしいと見せたもの、それはなんと掛軸に書かれた山女魚だった。亡くなった祖父が描いたというその山女魚は今まで毎朝掛軸の中を泳いでいたのに猫に爪を立てられて泳がなくなってしまったというのだ。そう必死に訴える少女に押された一成は掛軸を預かることにし、最初は少女をばかにしていた諷子も彼女の境遇を知ってから一転、一成にこの掛軸の山女魚を治すよう懇願する。本格的な調査に乗り出した一成がやがて見つけたものは…!? その他、祭りの夜に諷子が出会った女性。その女性が諷子の中に見ていた物は…「祭りの夜」、いやいや家にいる鳥の世話をしていた女の子、だがやがて彼女はそこにあった絆に気付き涙する「記念写真」、飼い猫が亡くなったとの電話を受けた一成、だがそれは既にこの世にいないはずの猫だった…愛猫と最後まで添い遂げようとする老婆の想いを描く「過去の中の猫」、等。田舎の暮らしと自然との関わり、そして昨今話題に上がる親子の絆…小山田いくが淡々と描く名作第6巻。 小山田いく先生の当時の単行本コメント『動物を描くのは、本当にむずかしいものです。表情だけで、その時の動物の心を表さなければならないからです。──だから、今まで、満足のいく動物の絵が描けたことって、本当に一度か二度なのです。それが三度に…四度に…なるよう頑張っているのですが…。』
衆楽苑
昭和の時代、上野駅は北の国から東京へ来る人々たちの玄関だった。多くの人々が夢を追い、この駅へ降り立った。そんな上野駅横で昭和3年に創業した大衆食堂「衆楽苑」。創業以来、たくさんの人に愛され続けているのは、和・洋・中、なんでも美味しいメニューを揃えていることもさることながら、そこに働く人の温かさにもあるようだ。今日も人々は様々な想いを胸に衆楽苑を訪れる…。ある夏、立ち寄る人々に蛍を披露していた衆楽苑。蛍の穏やかな光に癒される人々の中でその蛍をじっと見つめる少女がいた。そしてその深夜、衆楽苑のスタッフの一人は闇の中、蛍の前に一人佇む少女を目撃し恐怖する。その少女の行動に隠された想いとは…!? その他、相席になった学生と風来坊の男。男の話の中に衆楽苑のスタッフが感じ取ったものは…「永い旅」、東京で暮らす男が家族と帰省した時に見た黒塗りの壁。男が子どもの頃から嫌っていたその壁は、実は日本が通って来た悲しい歴史の遺産だった…「黒塗りの壁」など。人々が様々な想いを胸に上野駅に降り立った昭和の時代、その上野駅横にある大衆食堂「衆楽苑」で交錯する人々の人間模様を、小山田いくが丁寧に綴るハートウォーミングヒューマンドラマの決定版! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『ラーメンを食べるたびに、昔、父がどんぶりを持って、家の前を通った屋台ののラーメンを買ってきて、食べさせてくれた時のことを思いだします。食べ物は、必ず何か思い出をまとっているようです。あなたは何を食べながら、何を思いだすでしょうか。』