ワケあり物件にワケあり。
新人OLの春海ちゃんは人外・クロちゃんと共同生活中。クロちゃんとの毎日は楽しくって、穏やかで、それが当たり前のものになっていて。なのに―― クロちゃんが突然いなくなった!? そこに現れた新たな人外・アオくんが春海ちゃんに同居を持ちかけてきて…。ワケあり人外くんとひとつ屋根の下ラブコメ、きゅん&感動の最終巻!
魑魅
河童、猫又、人魚など、世の中には昔から正体のわからない生き物が語り継がれて来た。そしてそれらは今も存在する…私立十種高校には部員がたった二人しかいない生物部があり、その部室の地下には数多くの正体不明の標本が安置されていた…。生物部長、東森 覚(ひがしもり さとる)のもとに送られて来た一枚の絵。それは猟奇殺人を犯したとされる画家、三王寺連介が妻を描いたといわれる絵だった。美術部の奥原 紡(おくはら つむぎ)はこの絵に魅入られ、模写を始めるがやがて彼女と東森の周りに不可解な出来事が起こり始めた。やがて生物部の一年生、専女 摩未 (とうめ まみ)までもが不可解な行動をとり始めるが、その裏に隠れた事実とは…!? その他、東森と海に遊びに行って命を落とした親友。人魚に憧れていた彼がその死の際に手に持っていた人魚の鱗の様な物が実は…「人魚の巻」、東森の祖父が想いを寄せていた女性、その女性が死の際に残した植物の種子が時を経て全ての謎を解き明かしてゆく…「時の種子の巻」など。古くから言い伝えられる正体不明の動物たち。それらの物語を通じて小山田いくが人の心の機微を描く、感動ホラーコミックの決定版! エッセイ漫画『1968年の標本ビン・魑魅の素』も同録。
合歓リポート
小春日 合歓(こはるび ねむ)は14歳、小さい頃から身体が小さく、臆病な中学生。両親は大気汚染、河川の汚染などの問題が「公害」と呼ばれた時代に育ったが、彼女にとってはそれは既に昔の事、いや、昔の事の筈だった。小学5年生の時、合歓の友達、省二(しょうじ)が新しくできた道路の脇の池で酸を被ったような状態で亡くなっているのが発見された。それから3年が経ち、合歓は今も現場に建つ地蔵に花を手向けるが、当時一緒にいた本田、千香の二人は目の前の事だけに夢中な毎日だ。そんなある日、地蔵に花を供えに行った合歓は、地蔵の顔が醜く変わっていることに恐怖する。同じ時、合歓の前を通り過ぎた女性があの時と同じように死んだ。そして、あらためて現場を訪れた合歓、本田、千香の3人に恐怖が忍び寄る。その他、海に遊びに来た合歓といとこの早苗が、そこで村の男たちの奇妙な行動を目撃して…「死水母」(しくらげ)、肝試しでとある博覧会の跡地に来た合歓たち。そこで彼女たちが見たのは幻か、恐るべき人類の未来か…「枯れた地平を見ぬように」、誤って学校の地下室に閉じ込められた合歓たちが見た遠い日の飢餓の記憶 「フォメ(飢餓)」 など。現代の人類が抱える数々の問題を小山田いくがホラータッチで鋭く切り込む意欲作! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『あなたは何か怖いものがありますか? 幽霊…地震…暴力団…テスト…タレントAさんの顔……。何かあるでしょう? 恥ずかしいことじゃありません。怖いものを怖くなくすことで、街は進歩してきたんですから…。だから今、ほんの少し、自分のまわりを見て、怖いと思ってほしいんです。山ほどある怖いことに、気づいてほしいんです。』