巻数がまだ3巻以内の新作おすすめマンガ|川島・山内のマンガ沼web

巻数がまだ3巻以内の新作おすすめマンガ|川島・山内のマンガ沼web

麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、前回放送の「川島・山内のおすすめマンガ」の模様をお送りします(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。

魚豊の後継者?人体解剖をめぐるマンガ

川島 今日のテーマは「川島・山内のおすすめマンガ」。久々です。

山内 おすすめがいっぱいあり過ぎて。ここで紹介するために、めちゃくちゃテリトリー広がってますよ。

川島 広がってます?

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

山内 めっちゃ広げてます。昔はもう「血と暴力」のみでやってたんですけど。最近いろんなのを一応見るようにしてて。でも5巻まで出てたら「もう遅い」という思ってるんですよ。だから一番先に紹介したい。

川島 ということで、厳選したマンガを紹介し合いたいと思います。では私から。1冊目はアナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

山内 何これ!?

川島 この番組でも来ていただきました『チ。』の魚豊先生の後継者、来ました! おめでとうございます。『チ。』は地動説がテーマでしたが、こっちは人体解剖ですね。正しい医学書がなかった時代の話でございます。

山内 表紙の絵を見る限り、現代の話なのかなと思いました。

川島 今っぽいでしょ? でも15世紀後半の話でございます。では紹介させていただきますね。

高城玲アナトミア―解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている―』(秋田書店)
・2022年9月〜2023年3月まで『月刊ミステリーボニータ』にて連載
・2023年5月から『月刊プリンセス』にて連載中
・単行本は2巻まで発売

山内 知らない。『ミステリーボニータ』。

川島 これが高城先生のデビュー作ということで、デビュー作にしてここまで素敵な作品を描かれるんだと、ちょっと驚いてるんですけども。簡単にいいますと、物語の舞台は15世紀末のミラノ公国。主人公は理髪外科医のトト。いうたら町医者みたいなもんやと思ってください。理髪もする、いろんな雑用もしてあげるんですけど、いわゆる医者としてのオペとかをやったりする理髪外科医という職業があるんです。

 父親がそういう医者なんで、自分も医者として人助けをしたい、人の命を救いたいと頑張るんですけども。冒頭、3、4歳の男の子が運ばれてきて、うわーっと泣きわめくんです。高熱でうなされて、何か原因が分からないですけど、とにかくしんどそうにしてる。この時代の医療は、「病気というのは悪い血が体の中にたまってるから起こるんだ」という考えなんです。悪い血がたまってるから、その血を抜くという治療をする。

 静脈と動脈を間違えたら大変なので、トトが本で勉強した通り、「ここが静脈だから切っても大丈夫」という場所を切るんだけど、ブワーッと血が出るんですよ。悪い血が出切ったら止まると思ってたら、止まらないんですよ。そりゃ当然なんですけど。血が止まらへんから、どうしたらええねんとなったら、焼いた鉄を押し当てて無理やり止血する。それを子供にやるんですよ。

山内 昔はほんまにこんなことがあったってことですか?

川島 あったんですよ。それで子供が泣いちゃって。でも、これで悪い血は抜けたんで大丈夫……と思っていたら、後日お母さんが来て言うんです。息子は死にましたと。何やってくれてるんですかと。トトとしては勉強した通りにやったわけですけど、何となく気付いてるんですよね。これは医学書が間違えてるんじゃないかと。

 というのも、その医学書というのが、めちゃくちゃスカスカの体が描いてあって、静脈、動脈が簡単に描かれてるだけ。これが間違ってるんじゃないかと父親に言うんですけど、いや何を言ってんねんと。代々受け継いだ知識なんだから、間違ってるわけはないと。でもそれで人が死んでるのは事実なんで、もうこんなことはやめたいとトトは思う。

 正しい医療について勉強したい。そのためには人体解剖が必要だ、となるんですけど、人体解剖しようにも、当時の考えで「心臓は魂が宿ってるから触ってはいけない」みたいなルールがあるんですよ。こっそり自分だけ人体解剖やりたいけど、じゃあどうやったら死体が手に入るんだ、とかいろいろな問題が起こるんですね。

 そんな感じで、トトが人の死体の手だけを運んでたら、町の人からボロクソ言われるんです。お前は人殺しや、とか言われて。その手を落としちゃった時に、「その手、要らんのやったら欲しいんやけど」って、ある画家がやって来る。自分は人間というものを描きたいので、人体に対してめちゃくちゃ興味があると。だからその手を解剖して描きたいから下さいと言うんです。

 トトも人体解剖したい。お互いのやりたいことが一緒ということで、手を組むんです。で、その画家に名前を聞いたら、「レオナルド・ダ・ヴィンチと言います」。

山内 すご!

川島 この2人がタッグとなって、いろいろ世の中を変えようという話です。僕は『チ。』を初めて読んだ時と同じ感覚になりました。多少ロマンの部分はあるんでしょうけど、これたぶん実際にあった元の話をテーマにしてるんだと思います。今、目が離せない作品ですよ、これは。

アートビジネスってこうなっていたのか!

山内 僕も絵の話です。僕のおすすめマンガはこちら、『いつか死ぬなら絵を売ってから』。ぱらり先生です。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

ぱらりいつか死ぬなら絵を売ってから』(秋田書店)
・2022年10月から『ミステリーボニータ』にて連載中
・単行本は第1巻まで発売

山内 『ミステリーボニータ』また出てきた。

川島 いま『ミステリーボニータ』が熱いんだ。

山内 僕が読むジャンルじゃない感じのマンガなんですけど、僕は血と暴力、ミステリーに加えて、お金も好きなんですよ。で、この話はマネーが絡んできてて面白いなと思ったんです。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

ぱらりいつか死ぬなら絵を売ってから』(秋田書店)
・主人公はネットカフェ暮らしの清掃員・霧生一希(きりゅう・かずき)
・そんな一希の唯一の趣味は絵を描くこと。

山内 清掃員としての自分に満足はしてないんですけど、「空いた時間に絵を描くのが趣味」くらいのレベルなんですよ。ある日、その一希の前に、その絵を見て惚れ込んだお金持ちの青年・嵐山透が現れ、「絵を買わせてほしい」と懇願するんです。

川島 来たよ、お客さん。

山内 俺の絵なんか買ってどうすんの、と一希が思っていたら、その嵐山透は、一希の絵を高値でどんどん周りに売っていくんですよ。「絵を描く青年」と「絵を売る青年」が手を組んで、価値のある絵を作り上げていく、アートマネーゲームマンガなんですけど。絵の価値ってどうやって決まってんねやろ?って、ちょっと分かんない部分あるじゃないですか。

川島 ほんまやね、「なんでこんな落書きみたいのんが100億なん?」って思うことあるしね。

山内 この嵐山透は、絵の価値を決める側の人間。だから、この人が認めたら「この絵っていいんだ」ってなるようなポジションにいる青年なんです。

川島 値段付けられる人なんや。

山内 だから一希は、「俺の絵なんか価値ないだろう」と思ってんのに、「君が気付いてないだけで君の絵は価値があるよ」と言って、透の周りに集まってくるお金持ちたちに、「すごい新人見つけたんですよ、これどうですか」と言って、透が値段を決めたらお金持ちが買っていって、一希の絵の価値がどんどん上がっていくんですよね。

川島 ビジネスの天才なんだね、透は。

山内 だからこういう人と出会わないと、絵って値段上がらないんだなとか。

川島 結局そういうことや。

山内 逆にこの人が認めれば、絵ってどんどん値段上がるんだと分かっていくマンガというか。「絵ってこういうことなんだ」というのが分かったマンガで、面白いなと思って。

川島 最近のトレンドですよね。物事の成り立ち、仕組みをフィクションも交えながら発表するっていう。

山内 僕、絵の投資もしてみたいと思ってたんで。いま絵の価値ってめっちゃ上がってるらしいじゃないですか。どういうことなんかなというのが、このマンガ読んだらちょっと見えてきて。非常におすすめですね。特にそういうのに興味ある人は。

川島 俺は聞いてる。山内の投資がもうとんでもなく止まらなくなってるって。この人、アルコール一滴も飲まへんのに、家に酒めっちゃ置いてあるっていう(笑)。北海道のウイスキーに目を付けたって。

山内 厚岸のやつね(笑)。

バンパイア+将棋=王道のジャンプマンガ

川島 私のおすすめマンガはこちら。『バンオウ-盤王-』。山内さん知ってますか? 

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

山内 僕、これ読んでます。すごいの組み合わせたなという。

川島 これはほんまおもろいですね。ちょうどええとこいったなという感じでございます。

原作:綿引智也(わたびき・としや)/作画:春夏冬画楽(あきない・がらく)『バンオウ-盤王-』(集英社)
・2022年12月から「少年ジャンプ+」で連載中
・単行本は第3巻まで発売

川島 『ババンババンバンバンパイア』とかの最近のトレンド、「絵がうまいバンパイアもの、絶対売れるな」と思ってるところに、ついに来ました。「バンパイア+将棋」という世界観なんですけども。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

山内 将棋とバンパイアはすごい組み合わせ。

川島 将棋って真逆やんと思ってたんですけども。あらすじ紹介させていただきましょう。

 主人公は永遠の命を持て余していた吸血鬼・月山です。その月山が出会ったのが将棋。死ねない体なので、退屈なんですよね。つまんないなというところに、月山は将棋と出会います。将棋の奥深さに魅了された月山が、300年将棋やりまくるんですよ。プロが50年60年で極めるところを、彼は300年、将棋だけやるんです。なので、もう圧倒的な棋力(将棋の実力)を手にしてるんですが、月山は人間社会で正体を隠さないといけない。バンパイアなんで、太陽出てるところで活動できないんです。だから夜、ネットの将棋をめっちゃやるんですよ。で、もう負けなしの伝説の棋士になっちゃうわけです。ネットの中では。

 人間社会では、なじみの将棋教室にちょっと顔出すようになる。腕前はマジでプロ級なんですけど、周りの人は「なんでこの人プロの棋士にならないんだろう?」と思うんです。でもなれないんですよね。昼間は活動できないですから。

 だけど愛してた将棋教室がつぶれちゃうという話が出てくるです。この将棋教室を守るには、4,000万かかりますと。なので、経営者のおじいちゃんも正直無理やと。長年やってきましたけどここは閉じます、今までありがとう……となると、月山が黙っちゃいないっていう。こんだけ将棋を広めてくれてお世話になったところ、そして子供たちに将棋を教えるところは絶対守らないといけないということで。だけど4,000万どうしようか。そこで、将棋界最高峰の棋戦・竜王戦。これで優勝すれば4,400万もらえると。

山内 マジで存在する大会ですよね。

川島 マジでこの賞金なんですよ。4,400万。これに挑戦するしかないということで、正義のために将棋を使うんです。なので、吸血鬼VS最強の天才棋士の戦いになるんです。天才棋士というのは、2巻の表紙になってる新堂竜王。もう将棋界の神。この二人が相まみえるということになるんです。

 めちゃくちゃおもろいポイントとしては、やっぱり300年将棋に向き合ってきたんで、とんでもない手で打ってくると。アマチュアの大会で優勝したりするんですけど、そこにゲストで来たプロの五段と指し合うんです。素人の大会で優勝した人ね、くらいの気持ちでプロは打つんですけど、見たことない手で来るので、「やばい負ける!」ってなるんです。プロも月山もお互い一歩も引かず勝負する。で、決着つきそうになるんだけど、昼間なんで体力もたへん!となったりとか。いい感じにバンパイアの設定を使ってくるのよ。

山内 タイムリミットじゃないですけど。月山は早く勝たないと。

川島 はよ勝たないと、体力もたないんですよ。吸血鬼の日常は知らないけど、昼は相当つらいみたいですよ(笑)。バンパイアという設定も生かしてるし、なおかつこの月山以外にも魅力的なキャラクターがいるんです。月山の将棋を見て、ほれてきた男とか女の子とかがいっぱい出てきて、将棋というものをテーマに非常に分かりやすく描いている。これこそ『ジャンプ』という感じで、王道を突き進む集英社期待の作品じゃないでしょうか。

なぜその弁護士は絶対に無罪を勝ち取るのか?

山内 さあ山内ファン、お待たせしました! 私のおすすめマンガはこちら、『私刑執行人』です!

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

川島 我慢できへんかったんかい(笑)。

山内 血と暴力。ザ・山内マンガです。

原作:草下シンヤ/漫画:内田康平/監修:大槻展子『私刑執行人~殺人弁護士とテミスの天秤~』(秋田書店)
・2022年12月から『別冊ヤングチャンピオン』にて連載中
・単行本は第1巻まで発売主人公は「無罪仕事人」と呼ばれる敏腕弁護士の霧島司
・そんな霧島には、どんな殺人鬼でも無罪にする、ある秘密があった

山内 この霧島弁護士は、「もうどう見ても悪いやん」という殺人犯の弁護をするんです。しかも絶対に無罪を勝ち取るんですよ。でも無罪を勝ち取るのは理由がありまして。霧島はテミスと名乗り、凄惨な事件の被害者から復讐を依頼され、無罪になった殺人鬼を「私刑」と称し、暴虐と異常性の限りを尽くして裁きの鉄槌を下す(笑)!!!!

川島 大興奮してるやん(笑)。

山内 極悪人を法に任せると、十分な裁きを与えられないと。

川島 法で守っちゃってるんじゃないかと。

山内 だからこいつを無罪にして、こっちで私刑にしますと。

川島 私の刑と書いて私刑。

山内 裁判で死刑食らわすよりも、こっちでとんでもない私刑を与えて、もう遺族も満足して「ありがとうございます」ってなるくらい、もう、うわっ!て言うような私刑を……。

川島 執行するわけだ。

山内 「法をつかさどる1人の悪魔による、戦慄の弁護士殺人鬼コミック」です!

川島 弁護士殺人鬼コミック(笑)? 初ジャンルですね。

山内 はい。弁護士殺人鬼コミック。たとえば、お金持ちのやつがキャバクラで働いてる女の子に、お酒を「飲めよ、お金やるから」みたいな感じでめっちゃ飲ませて、急性アルコール中毒になったのに放置して、その女の子が死んじゃう事件が起こるんです。どう考えてもこの金持ちのやつが悪かったのに、弁護して無罪を勝ち取るんですよ。

川島 まずは。

山内 その後にこの金持ちのやつを捕まえて、テキーラを直腸に入れるんです(編集部註: 肝臓で分解されずにそのままアルコールが吸収される)。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

川島 これは一番体に良くないですね。

山内 こいつはもともとアルコールに強かったから、飲まされても耐えられるかな?と思っていたら、お尻から入れられたので、どんどん体が熱くなっていって、一気に急性アルコール中毒になって死んじゃうと。

川島 同じ目にあわせて。

山内 「主文、被告人を『私刑』に処する」って決めゼリフです。

川島 好きそうやなー山内、これ。

山内 この容疑者が与えた罪よりもさらに重いことをして、罰してくれるという。

川島 でも監修はほんまに法律事務所の方がやられてるから、ここがリアルなんでしょうね。ほんまにそういうパターンもあるよということで裁いてるというところなんでしょう。

山内 この主人公の弁護士がなぜこうなったのか、まだ全部は明らかになっていないんですけど。

川島 なるほど。まだ1巻ですからね。

山内 次は少年法がテーマになってます。法で守られている少年法、このへんがどうなるのか非常に興味津々です。これはもう山内ファンは絶対おすすめです。

 

撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

次回は「マンガ表紙王決定戦・前編」をお届けします。

 

(構成:前田隆弘

 


【放送情報】
マンガ沼 公式サイト
次回放送
読売テレビ●10月14日(土)深1:38~2:08
日本テレビ●10月19日(木)深2:29〜2:59
「マンガ表紙王決定戦・前編」を放送。
TVerでも配信中!)
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