”安楽椅子”系の犯罪捜査モノ
いつの時代でも犯罪捜査という題材は受けがいいようです。加えて、時代によって人気になる捜査手法がでてくるのが、ジャンルとして廃れない理由かもしれません。この作品は”安楽椅子”系捜査官タイプで、動かないのではなく動けないのがミソ。自宅から外に出ない警視・氷室と、その手足となって動く婦人警官・くるみによる推理ドラマで、頭脳は氷室、行動はくるみという仕立てになっています。と、書くと、なあんだ、J・ディーヴァの「ボーン・コレクター」じゃん、と思う方もいるかもしれません。しかしこちらは、難しい科学捜査は省き、クールな氷室と、ふにゃふにゃ娘のくるみというキャラを生かし、より漫画らしく仕上げた作品。ドラマ化されたのも新鮮さとわかりやすさが同居してたからなのでしょう。さらに書くと、このドラマのキャストがはまっていたんですよね。氷室に堂本光一(テレビ誌によると警視を演じた最年少役者だそうです。警視って銭形のさらに上…)、くるみは深田恭子。漫画を読みながら当てはめてみると、わりと楽しめると思いますが、いかが?
遠隔操作(リモート)は戦闘等の危険な活動には有効だ。
操縦者が負傷したり死ぬ危険がない。
操縦されるほうも通常は鉄人28号のようなマシーンだから
痛みも恐怖も感じず、それらに左右されることもなく
操縦者の意図通りの行動が行える。
壊れたら修理すればいいし、修理不能なら捨てて
新しいマシーンを投入すれば良い。
マシーンなら痛みや恐怖や死は関係ないのだから。
だが操縦される側が鉄人ではなく、かよわい女性だったら?
鋼の体も拳も心もなく、個人として意思を持ち、
傷つけば血が流れ痛みも死の恐怖も感じる人間だったら?
そして操縦する側のほうがマシーンのように冷徹だったら?
寿退社寸前だった婦人警官・彩木くるみは
急遽、結婚資金を貯めるために仕事を続けることに。
新たに与えられた任務は
地下室に引きこもって一歩も出てこない
イケメンで感情の一部が麻痺した
氷室警視正のお世話係。
身の回りの世話くらいかと思っていたら
連絡役とか捜査のアシスタントどころか
劇場型犯罪や密室殺人、大統領テロの現場に
体を張って「飛び込まさせられる」ことになってしまった。
マシーンとは違い体は生身で、
マシーンとは違い自分自身の意思を持ち、
マシーンとは違い痛みや怒りや恐怖心も感じる、
21歳の女の子が
マシーンのように冷徹な上司からの
携帯電話での指示だけを頼りに
犯罪者に立ち向かうことになってしまった。
腰かけ仕事が命がけ仕事になってしまったくるみが
葛藤のすえに辿り着いた境地は・・