”安楽椅子”系の犯罪捜査モノ
いつの時代でも犯罪捜査という題材は受けがいいようです。加えて、時代によって人気になる捜査手法がでてくるのが、ジャンルとして廃れない理由かもしれません。この作品は”安楽椅子”系捜査官タイプで、動かないのではなく動けないのがミソ。自宅から外に出ない警視・氷室と、その手足となって動く婦人警官・くるみによる推理ドラマで、頭脳は氷室、行動はくるみという仕立てになっています。と、書くと、なあんだ、J・ディーヴァの「ボーン・コレクター」じゃん、と思う方もいるかもしれません。しかしこちらは、難しい科学捜査は省き、クールな氷室と、ふにゃふにゃ娘のくるみというキャラを生かし、より漫画らしく仕上げた作品。ドラマ化されたのも新鮮さとわかりやすさが同居してたからなのでしょう。さらに書くと、このドラマのキャストがはまっていたんですよね。氷室に堂本光一(テレビ誌によると警視を演じた最年少役者だそうです。警視って銭形のさらに上…)、くるみは深田恭子。漫画を読みながら当てはめてみると、わりと楽しめると思いますが、いかが?
漫画だからこその設定だともいえるが
危険な現場に送り込む部下をチョイスするなら
普通は屈強な男を選ぶと思う。
ターミネーターみたいなクールでタフな大男とか。
なのにカヨワイ娘を使うとか、無理がある感じはある。
まあ氷室警視正としては毎回
「安全を確保出来る」と見込んで
「無茶はするな」と指示した上で送り込むから、
ギリギリ納得できないことも無い展開かもしれないが。
過酷な任務すぎて部下になった者は皆が逃げ出して、
しょうがなく彩木くるみが押し付けられたということでもあるし。
それに後半は、くるみのほうがなぜか偶然に事件に
巻き込まれてしまって氷室に助けを請うパターンが多くなるし。
この辺は、さすがに「金田一少年」の原作者らしい(笑)。
お仕事の世界では、上司の無茶振りや
意に反した人事や仕事の割り当てに憤ることは珍しくない。
「いいからやれ」「黙って働け」
と言われて納得できなくても動かされることはよくある。
後になって、それの指示がいかに的確だったかと
思い知らされることも、
いかにいい加減だったかと思い知らされることも、
どちらもあったりする(笑)。
どっちにしても死んじゃったら元も子もないのだけれど。
くるみはわけもわからないままに
非番だろうがデート中だろうが呼び出されて
命がけの仕事を押し付けられる。
上司・氷室の無茶振りは強烈だ。
だがそれだけに第10巻での氷室の言葉には
無茶振り上司にこんな独白をさせたくるみに
「よく頑張った」と言いたくなった。
「リモート」は究極の、無茶振り上司と部下の
仕事を通じたツンデレ話だったのかもしれない。