1987年当時のアニメ事情や社会情勢を背景に、高校生だったアニメ好きの山口と絵が上手い宇部の2人がクラスで出会い、長編アニメーション映画初監督・作画監督まで?を描く。
第1話で、2017年現在の変わったようで変わらない2人の関係を見せ、2話目以降から87年当時の高校生として出会いから描いていく。
仲間内でアニメ好きを隠すっていうのは、趣味の多様性が認められつつある現代とは違って、「オタク」が認知され始めて肩身が狭い時代だからか、いや結局いまもそうなのかな。
そんな時代に彼らが出会い、互いに触発され歩みを進め始める。
一人はアニメーターとして、もう一人は演出・プロデューサーとして。
宇部が、見たものを目に焼き付けて動画や静止画として描けたり、パッと見たアニメキャラの絵柄で見えない部分は他から補完して描いたり、飛びぬけた観察力と天才的な部分を見せていくシーンがワクワクする。
そして対比として描かれる山口の凡庸さだ。
嫉妬・羨望などあるが、素直なやつなので卑屈にならずにすぐに認めて前を向く爽やかさがあって良い。
マンガとしてもアニメーションを意識しているのか、動きが連続して描かれる箇所がたびたび出てきて面白い。
池袋駅の雑踏の効果音を「ザハザハ」としているのが、ん?となるが、確かに「ザハザハ」で想像してみると、そう聞こえる気がする。
もしかして、「ザハザハ」と書いて「ザワザワ」と読むのかな?どっちだろう。
派手な面白さがあるタイプの作品ではないが、ゆっくり彼が行く先、その動向を見守っていきたくなる漫画。
1987年、地方都市の平凡な男子高校生だった山口は宇部と出会う。共通点はテレビアニメ。地方で暮らすアニメ好きの青年にとって、共通の話ができる友人はかけがえのないものになった。深夜に待ち合わせて『王立宇宙軍 オネアミスの翼』封切のために並んだり、放課後に「『風の谷のナウシカ』鑑賞会」をしたり……いつしかふたりはプロのアニメーターへの道を進み始める。 『機動旅団八福神』、『星屑ニーナ』に続く福島聡の長編新作は、男ふたりのアニメと友情の物語!
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