巡る遊星
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待ってました!中島佑先生の新連載!!
ちばてつや賞『ODD FUTURE』や、となりのヤングジャンプ読切友人について』『A PERFECT DAY』など素晴らしい読切を発表されてきた中島佑先生。
満を持しての連載!楽しみにしてました!


高校時代、文化祭で脚本を書いたクラス演劇が優勝して才能を発揮していた主人公は、のちに高校時代の同級生に誘われてトリオを組んでいたが30を目の前にして芸人として売れていなかった。物書きとして友人の怪談系YouTubeの台本を書いて活躍してステップアップみ見えてきたりはするのだが、周囲では少しずつ不協和音的に人間関係がもつれ始めていく…。

これは「お笑い」の話というより、彼と彼を巡る周囲の物語。
物書きとして自分に自信がある主人公だし、自分自身のことを客観的に見られているのだが、決定的に人を楽しませようという気持ちに欠けているから芸人には向いていない。さらに、少なくとも自分は面白いものを書けているという傲慢さ、ふてぶてしさが表に出てしまっていて、他人から好かれることもない。プライドから自分から出た言葉は引っ込めないし、一人で何が悪いと開き直っている部分もある。

それでも僕にはどうしても彼を憎めない。
誰に評価されるでもなく、自分が面白いと思えることをやることが正義な世界で貫く彼は素晴らしい。しかしその価値観を他人に押し付け強要するのは傲慢すぎるし、いる環境に自分を適合させようという意思すら感じないのも違うと思う。その強情さと柔軟性の無さはやはり芸人には向いていないかもしれない。人に求めてばかりで求められることに応じられないのも人間関係が厳しくなってくる。

そのブレない姿勢が必要な場所もあるだろうから、全てを失う彼にはどこかで上手くいってほしいと願ってしまう。本格的に孤独になった彼にどのような変化が訪れるのか。
これからが楽しみだ。



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テムパル〜アイテムの力〜

ゲームの中でアイテム作って売りまくって現実でも成り上がる!

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吉川きっちょむ(芸人)
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先日発表された「ピッコマAWARD 2023」のSMARTOON部門を受賞していましたね。 https://piccoma.com/web/product/43170 世界最高のバーチャルリアリティゲーム<SATISFY>。全世界ユーザー数20億人が参加する壮大なファンタジーゲーム。 主人公は、借金まみれで日雇いの肉体労働で稼ぐゲーム中毒者の青年。ゲームばっかりやるから友達からも家族からも見放されていたが、ある日ゲームの中の依頼をこなしていると、まだ一人も存在しないレジェンドクラスの「伝説の鍛冶職人」に転職できる本を見つけ転職する。「伝説の鍛冶職人」になったおかげで、何でも武器を装備できるし強い武器も作れるようになって、それらを売ったお金を現実で換金して儲かってゲーム内でも現実でも底辺から成り上がっていく! という話です。 アイテムの力で猛スピードで成り上がっていく痛快なストーリー、縦スクロールならではのかっこいいアクション、仲間との絆、ゲームの世界のキャラ(AI)との恋愛まであって見どころがたくさん! 底辺を味わってきた主人公だから、ずっとお金にがめつくてとにかく根性で乗り切るところが面白いです。いろいろ運も向いてくるんですよね。 気軽にサクサクスルスルっと読み進められるのでちょっとした時間にぜひ。

あおげばとおとしいととしつき

旧友と気遣い合いながらも大切にしていきたくなる関係性

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吉川きっちょむ(芸人)
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漫画誌「キーホルダー」第1号テーマ「本」に掲載された、『ぷらせぼくらぶ』や『心臓』の奥田亜紀子先生の新作読切。 https://x.com/akikookuda6/status/1799269009067831583 https://www.folkbookstore.com/?pid=180925589 電子版は無いので「キーホルダー」を買うしか読む方法ないのもまたいいですね。 数年ぶりに会った大人の女性二人。柊さんと遠嶋さんは高校時代からの付き合いだ。 当時、中学時代の友人を介して知り合った小説が趣味な二人は、帰り際にお互いもっと話したいと思い、その日のうちに意気投合。そんな頃から何年も経って、お互い結婚もして、子供も出来たり。 互いの事情に気を遣い合いながらも、それでも散歩しながら出逢った頃のように楽しく話す二人。この二人がいればいつでもあの頃には戻れるけど、当然周囲の環境も変わってるから時間の終わりもあり、現実に引き戻される。 あの頃もよかったし、お互いいろいろ変わったいまもいいんじゃない?と思わせてくれる素晴らしい読切でした。 やっぱり僕は奥田亜紀子先生に絶大な信頼を寄せているみたいで、今回も間違いなかった。大好きです。時間の経過や気持ちの拠り所、ここで起きていないこと、心の繊細で深いところまで描いていて最高でした。 大阪在住だったら『キーホルダー』展に行きたかったな。 7/15までやってるとのことなので、行ける方はぜひ。

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