『巡る遊星』感想
主人公の遊星のキャラがなんとも絶妙〜ですごい。結局は人柄だというのは本当にそうだと思う。ほんのちょっとだけホラー要素がちらついてるのが何なんだろう。笑 これから彼がどうなっていくのか楽しみだけど、あらすじによると群像劇なんだ。前から気になっていた作家さんの連載、楽しみです。
その男の名は遊星。まもなく30歳を迎える売れない芸人。高校時代の同級生・松島に誘われて、お笑いトリオを組んだが鳴かず飛ばずで、今は元カノ・美加理の家でヒモ生活を送っていた。そんなどうしようもない遊星の日々が、あるきっかけから歪み始め、周囲の人間関係が絡まり、もつれ始める…。 巡る巡るよ、因果は巡る。“事故多発”人間交差点。
待ってました!中島佑先生の新連載!!
ちばてつや賞『ODD FUTURE』や、となりのヤングジャンプ読切『友人について』『A PERFECT DAY』など素晴らしい読切を発表されてきた中島佑先生。
満を持しての連載!楽しみにしてました!
高校時代、文化祭で脚本を書いたクラス演劇が優勝して才能を発揮していた主人公は、のちに高校時代の同級生に誘われてトリオを組んでいたが30を目の前にして芸人として売れていなかった。物書きとして友人の怪談系YouTubeの台本を書いて活躍してステップアップみ見えてきたりはするのだが、周囲では少しずつ不協和音的に人間関係がもつれ始めていく…。
これは「お笑い」の話というより、彼と彼を巡る周囲の物語。
物書きとして自分に自信がある主人公だし、自分自身のことを客観的に見られているのだが、決定的に人を楽しませようという気持ちに欠けているから芸人には向いていない。さらに、少なくとも自分は面白いものを書けているという傲慢さ、ふてぶてしさが表に出てしまっていて、他人から好かれることもない。プライドから自分から出た言葉は引っ込めないし、一人で何が悪いと開き直っている部分もある。
それでも僕にはどうしても彼を憎めない。
誰に評価されるでもなく、自分が面白いと思えることをやることが正義な世界で貫く彼は素晴らしい。しかしその価値観を他人に押し付け強要するのは傲慢すぎるし、いる環境に自分を適合させようという意思すら感じないのも違うと思う。その強情さと柔軟性の無さはやはり芸人には向いていないかもしれない。人に求めてばかりで求められることに応じられないのも人間関係が厳しくなってくる。
そのブレない姿勢が必要な場所もあるだろうから、全てを失う彼にはどこかで上手くいってほしいと願ってしまう。本格的に孤独になった彼にどのような変化が訪れるのか。
これからが楽しみだ。