ある日、若い夫婦の前に巨大な鬼が現れ、「15年後に迎えに来る」と言い残し一人の赤ん坊を預けた。謎の子は手天童子郎と名づけられ、夫婦に我が子のように育てられる。しかし約束の15年が近づいた頃、次々と子郎の周りで怪事件が…。呪われし運命の命ずるまま、子郎がはてなき闘争の旅へ出る!
長州藩、下級武士の家に生まれた石垣直角(いしがきちょっかく)。直角は父の教えどおり「武士はつねに戦場の心でいるべし」ということを忠実に守ろうとしている。藩の名門校・萩明倫館(はぎめいりんかん)に入学以来、騒動ばかり起こしていて…。直角が曲がりくねった世の中を、直角斬りで一刀両断!!
フランス国王陛下の銃士隊長トレヴィルの銃士隊に入るべく、田舎からロバでパリへ向かったダルタニヤン。誇り高いダルタニヤンは旅の途中、酒場にいた剣士から挑発され得意の剣を抜くも軽くあしらわれ倒されてしまう。いつか決着をつけてやると決意しつつパリに着き父の旧友のトレヴィルにも出会うが、持ち前の性格から次々と3人もの銃士とそれぞれ決闘の約束をしてしまい――。アレクサンドル・デュマによる名作「三銃士」を、南波健二、久保田千太郎の実力派コンビで堂々コミック化!
江戸の粋と風狂の中で生きた天才浮世絵師、葛飾北斎。酒を愛し、風流を愛し、新しい才能に嫉妬し…、画狂人・北斎の知られざる日常。彼が人生をかけて追い求めたテーマはなんだったのか。日本一の絵師としてその名を知らしめた人生を、昭和の絵師と謳われた上村一夫の筆がきり裂く!
佐々木小次郎はなんと別の人間だった?村を襲う少年盗賊団の一味だったムサシが、幼い頃にコジローと出会い、やがて剣豪として日本中にその名を馳せるまで。小池一夫と川崎のぼるのコンビが描き出す、新解釈の剣豪・宮本武蔵の物語。巻頭カラーページも多数収録!
『週刊パワァコミック』連載の「縄文少年ヨギ」を、後の着彩ページも完全再現した、水木しげる漫画大全集だけの完成版! 縄文時代を舞台に、家族や村を守るため懸命に生きるヨギたちの姿から目が離せない! 「水木しげる漫画大全集」-半世紀以上にも及ぶ漫画家生活初の集大成。「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」などの代表作から、貸本時代、風刺、戦記など様々なジャンルに及ぶ水木しげるの漫画作品を、京極夏彦責任監修の元、完全網羅。最新デジタル技術を駆使し最高画質を達成。第1期33巻。
北海道の山奥で暮らす山川一家。長男・大地は中学三年。運動神経は抜群、勉強も模擬試験で道内一位を取ってしまう秀才だ。しかし進学を拒否する大地。「ぼくは長男なんです。家を守らなけりゃならないんです」。妹・いずみはそんな兄に反発する。「わたしはこんな田舎での生活なんてイヤ!」。家出をしてしまった、いずみを探す大地。そして二人は・・・。人間らしい生き方とは?北の大地を舞台にした、爽快ロマン漫画、第一巻
昭和20年、焦土と化した大阪で、たくましくしたたかに生きる若者たち。両親の仇としてマッカーサーを暗殺しようと、青年は密かにチャンスをうかがうが……!? ヤングジャンプ連載の未完の大作! <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT311~312『どついたれ』第1~2巻収録 <初出掲載>第1部 1979年6月7日号~12月20日号 ヤングジャンプ連載/第2部 1980年6月19日号~11月20日号 ヤングジャンプ連載(未完)
生れついたは追われる星の下! 流れ着いたは忘八稼業! 生きては地獄、死んでは地獄!! 「孝」「悌」「忠」「信」「義」「廉」「恥」の八つを忘れた外道・非情の世界。人斬り死能の鬼哭の剣に託して描きつくす黄金コンビ・小池一夫、小島剛夕の快心の傑作!!
激動の中国。燎原(りょうげん)に広がる火の如く、義和団の乱は中国全土を覆っていた。絶大な外国勢力の前に、真の太平国家の建設は可能なのか!? そんな時代に抗し、ひたむきに生きる中国女性・三娘(さんじょう)。やがて、惨状を生き延び日本へ逃れた三娘の前に現れた謎の青年・北輝次郎。激しい情熱を胸に秘めつつ、どこか物憂げな彼こそ、昭和の思想界を揺るがす一大指導者、北一輝の若き日の姿だった!! <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT282~283『一輝まんだら』第1~2巻収録
会津藩武家の娘、芙美は有馬家へ嫁ぐことになった。それまで馬に剣にと天衣無縫に育ってきた芙美だったが、式の直前に、兄弟のように育った新吾への恋心に気付く…このまま、会ったこともない有馬武史のもとへ嫁ぐべきなのか、しかし、武家の娘として、一度決まったことを白紙に戻すためには死を覚悟で決断しなければならない…世は幕末、激しく揺れ動く時代から始まる壮大な大河ロマン!
昭和二十年五月七日、鹿児島県鹿屋基地から沖縄方面の米機動部隊に肉弾攻撃をすべく、五機の零戦が飛び立った。一番機山吹建夫は、愛する妻つや子との束の間の再会の後、「君の命を守るためにぼくは死ねる。きみは、どんなことがあっても強く生きて欲しい。」と言い残して去った。本宮ひろ志が描く、戦争で散った男たちの物語!
有名なSF小説『1984』で知られる英作家ジョージ・オーウェルの社会風刺の効いた短編小説を漫画化。――家畜として人間に搾取されている動物達が、ある日、自由に目覚め反乱を起こす。「同志諸君、団結せよ。闘争じゃ、革命じゃ!」と論ずる豚をリーダーとして、人間を追い出し、理想の共和国家を築こうとするのだが、指導者の豚の裏切りに遭い、事態は次第に恐怖政治の様相を呈してゆく。動物共和国の行方は……!?
留学生ソラヤがパリで青春の傷口をいたわりあった東欧の人、ジェルジに寄せる限りないノスタルジアを描く表題作「無言歌」をはじめ、「大江山花伝」「金銀折鶴」「ご意見無用の物語」など、ロマンの狩人木原敏江ならではの珠玉の5編を集めた傑作集です。
美形、百合太郎の遭遇する数奇な恋と冒険の物語は、日本、ペルシアをまたにかけ、王子、王妃、超能力者、盗賊、衆道、ハレム、暗殺等々、自由奔放な創造力が織りなすフィクションの醍醐味を満喫させてくれる。これぞコメディ!と呼ぶにふさわしい木原敏江の長編傑作です。
戦国忍者の活躍を描く白土三平の幻の名作! 雲の巻▼第1話/神隠し▼第2話/死神の使者▼第3話/風魔砦▼第4話/明智の忍者▼第5話/天紋▼第6話/竜煙の謎。残月の巻(一)▼第7話/伊賀忍者▼第8話/金色の鷹▼第9話/狸とその部下▼第10話/謎?▼第11話/土遁変化▼第12話/誓い▼第13話/亡霊▼第14話/乱心法虫遁変化▼第15話/変わり身▼解説/初見良昭 ●登場人物/小太郎(風魔の忍者。竜煙の書を持って風魔の一族から逃亡する)。宗剣真(医者。22カ国の言葉を操り、この世でただ1人、竜煙の書を読めるという)。風魔十法斎(風魔の主領。天下を手に入れるために竜煙の書を狙う)。佐助(風魔の忍者。小太郎の師)。お春(小太郎の実母。小太郎を捜して放浪している)。●あらすじ/戦国の世、農民・お春の子、小太郎は大ワシによって連れ去られたまま行方不明となり、いつしか十数年の歳月が流れた……(第1話)。▼死神小僧という少年が現れた村は、全滅してしまうという噂が広まっていた。そこへ、ある平和な村に死神小僧が出現。彼を50人もの甲賀忍者が取り囲むのだが……(第2話)。▼風魔砦に現れた死神小僧は、風魔の主領に会わせろと主張する。高笑いする仮面の下から現れた顔はなんと主領の息子・小太郎だった。小太郎は父の命により上杉謙信のもとに忍び込み、ある人形を奪ってきたのだった。そして、その人形の中には巻物が隠されていた……(第3話)。●その他の登場キャラクター/十官道人(竜煙の谷に住み、竜煙の書の謎を知る老人。十官流忍法道の使い手)、石川五右衛門(伊賀忍者の集団の首領。天下を狙っている)、服部半蔵(家康の隠密団首領。家康の命で竜煙の書を狙う)、美女丸(秀吉配下の忍者)、美香(宗剣真の娘)
昭和二十年、長かった戦争がついに終結した。戦後の混乱の中、たくましく、かつ、したたかに生きる若者達!!焦土と化した大阪で、一旗揚げようと、哲はふんばるが…。手塚治虫が自身の青春をだぶらせた長編漫画・第一部。
一世紀前、未開の北海道原野をさすらうひとりの男がいた。シュマリと名のるこの男の、旅の目的は!?そして、右手のホウタイは何のため!?激動する時代を背景に、野性児の強烈な生きざまを描く傑作長編、第1弾!!
江戸の遊里・吉原の大門前のおもちゃ屋で、竹とんぼを作っている「とんぼ」。しかし、店の本業は吉原で借金を取り立てる始末屋だった…!! 店にはさまざまな始末事が持ち込まれ、一見ぼんやりと頼りなげなとんぼが、さまざまな事件を解決していく!
美作の国(岡山県)讃甘郡宮本村に生まれた武蔵(たけぞう)は、継母にいじめられる日々を過ごしていた。力が強いのをいいことに、村では乱暴ばかりをはたらき迷惑ばかりかけていた。ある時、近所の寺の宗禅和尚に捕えられ懲らしめられる。「おのれの強さはけだものの強さだ、人間の強さではない」と和尚にいわれた武蔵は、本当の強さとは何かを求めて旅に出た。宮本武蔵の波乱の生涯を、石ノ森章太郎があざやかに描き出す!!
人気グラビア・カメラマンという栄光を捨て、麻樹(マッキー)は人生の夜明けを求め、内戦で火花を散らすアフリカに赴き、勇猛果敢と謳われた外人部隊“牙”に身を投じた。命の限界ギリギリに身をおけば、真実の生き方を見つけることができるのではないか――?殺戮に明け暮れる戦場で、麻樹のヒューマニズムは熱くたぎり、「この現実を世界に告発してやる」と叫ぶのだった!!
作者に何かが憑りついて生まれる作品、あるいは見えない力に突き動かされて生まれる作品は名作率が高いと思われる。 どの創作物がこのことに当てはまりそうかは各人が知っているものに思いを馳せてくれればいいが、永井豪作品なら、いや漫画ならこの手天童子がその代表だ。 永井先生は本作制作にあたって「鬼が赤ん坊をくわえている映像が見えて、導かれるように描いた」と巻末解説やインタビューで語っている。また鬼の首取材をきっかけに執筆中は「鬼に祟られていた」とも語り、数々の怪現象と悪夢に苦しめられた結果、おはらいを受けることで最後まで描き切れたと振り返っている。 こんな背景を基にして描かれた作品、締まらない終わり方じゃ一生祟られるんじゃないかと不安になるが、そこはご安心。まさに導かれたかのような綺麗なハッピーエンドを迎える。涙涙で描いたというあの最終回をもってお祓いは完了したといえるだろう。 本作は夫婦の前に突如として現れた、恐ろしい鬼同士の取っ組み合いの争いから始まり、鬼の口の中の赤子の存在に気付いた妻・京子の、鬼にも臆さない愛ゆえの行動から物語が動きだす。 ストーリーは第一話で鬼から語られた「15年後に迎えに来る」という約束が果たされるまでの前半、果たされてからの後半に分けて考えられる。 そう、前半の終わりこそが、物語の始まりから続いてきた、子を思う母の愛が鬼によって引き裂かれる悲劇の場面なのだ。この辺を描いてるとき、永井先生は無茶苦茶苦しめられたに違いない。もしここで読むのをやめれば、読者だって悪夢にうなされかねない。 前半はサスペンス・バイオレンスホラー漫画に分類できそうだが、後半では一気にSFスペクタクルにスケールが広がる。主人公は自身の出自の謎を追いながら宇宙と時空を駆け巡るのだが、子と妻を思って孤軍奮闘する父・竜一郎パートが都度挿入され、やがて家族愛で結ばれるべく物語はクライマックスへ収束していく。 あの父がこれまたかっこいいのだ。彼の「鬼とは…」と語って狂気じみた行動に出るシーンに私は痺れた。 本作は鬼の伝承について取り上げ、またその伝説を巧みにストーリーに組み込んでいるのも魅力の一つだが、展開的に取り上げられても不思議ではなかった、ある有名な鬼がいる。しかしその鬼は作中で触れられることはない。 その鬼について触れれば、「鬼とは…」で語られる本筋からやや外れたところに焦点が合うことになりかねないから、あえて避けられたのだろう。それがまた、本作を引き締まったものにしてくれている。