発情させることによりすべての女性の人間性を破壊してるようにしか見えねぇ……
皆さんは「バ美肉」という言葉をご存知だろうか(知らない人はググってくれ) VRチャットやVtuberの隆盛でもはや珍しいことでもなくなってきたバ美肉おじさんが主人公の恋物語です。VRテクノロジーが進歩した、まさに今どきなサイバーパンク(楽園追放やSAOなど)世界で、現実に疲れたおじさんがVR内で謎の美少女アバターに恋をするところから始まります。 正直「VRおじさん」をテーマにこんなに美しく切ない物語が書けるのかと、漫画家すげえな、漫画すげえなと感心してしまいました。LEONの表紙みたいなイケおじだけがおじさんじゃねえんだ。みんな今を生きているんだ。
初見で好きすぎて20分位動けなくなりました。最初のカラーの時点で本当に最高だと思いました。人って好きなものに出会うと動けなくなるんですね。絵も素敵で、物語も最高です。そして世界観が好きです。メインの2人が今後どうなっていくのか気になります。踊場ゆう先生の作品をもっと見たいと思いました。これからのご活躍が楽しみです!!!
※ネタバレを含むクチコミです。
主人公はポルトガル人の女性・マルタさん。彼女は日本のアパートで一人暮らしをしていて、日本の生活を満喫しています。 食べることが大好きで、母国ポルトガル料理や日本の料理など、和洋問わずいろいろな料理を自炊する料理漫画なのですが、お金をあまり持っていないので、ちょっと貧乏飯になってしまう部分もあります。でも、マルタさんの性格が太陽のように明るいので、絶対に暗い雰囲気にはならないんです。周囲の人々との触れ合いによって、食べ物を分けてもらったりしながら、創意工夫で様々な料理を作っていくのが見ていて本当に心が安らぎます。 また、ボルトガルの人から見た日本文化を描くことによって、改めて日本の良さを再認識することができます。
生き辛そうなシンママ(パパ?)男子・雫斗(Ω)と、見た目はちょっと怖いけど心優しき高校生の葉月(α)。 学生時代にレイプされた際に身ごもった愛娘の雫と慎ましく暮らしていたものの、番がいない雫斗が危ない目に会うたびに自分の欲望を文字通り体を張って押し込めつつ全力で守ってくれる葉月はパーフェクト王子様。スパダリっていうんですかこういうの。 娘も可愛くて(言い方悪いけど)全然邪魔じゃない。むしろ雫斗のそばに居てくれてありがとな、という感じ。 なにかで1位を獲っていたので読んでみましたがエロ大丈夫なら全力でおすすめします。
主人公は超絶お嬢様の白鳥麗子。小さいころからの片思い相手・哲也を追いかけまくるストーリーです。麗子の思い込みの激しさからくる様々な妄想が笑えます。プライドが高すぎて、次々と哲也へのアプローチに失敗していく様子も面白い。麗子は、態度は高飛車だけど性格は純粋で素直なので、読者としては突っ込みぎみに麗子を応援してしまいます。ちょっとエロな展開もあり、ギャグ&恋愛がほどよいので気楽に読める漫画です。何回かドラマ化もされた作品で、私は松雪泰子さんバージョンが好きでした。
30代から50代の幅広い男性に受ける血がたぎるような熱い漫画。バイクレースの描写がとても素晴らしく、レース中の主人公の考えや動きが細かに描写されていながらも大胆さもあり、非常に引き込まれる漫画です。友人の事故死から主人公が成長していく過程が読んでいて次のページが気になるほど面白かったです。 古い漫画でありながらも、今の時代でも古さを感じさせない名作です。
ナギサさん我が家にも来てくれ!!と思うこと間違いなし。 料理に掃除になんでもできて、辛いときはそっと寄り添ってくれるなんて最高すぎる。結婚してほしい。 女だからって男に負けないとか、男だけどお母さんになりたいとか性別に囚われないようにと思うことで逆に囚われてしまうところを否定しないでいてくれる優しい漫画です。 お仕事でも家事でもなんでもがんばってる人はみんな偉い。
小さな島の役所で働く穂高大志、44歳。一級建築士でありながら現在は土木課に勤務しており、一人暮らしの家事も完璧にこなす。どうも過去に何か秘密があり、建築事務所を辞めたのにも理由がありそうなんだけど、淡白な振る舞いからあまり考えの底が見えない人物。 そして突然孤島に現れた女性、嶋燈子、28歳無職。私有地にテントを張って居座り、「ここに家を1人で1から建てる」と嘯く。どうやらそのために会社も辞めてきたらしいけど、貯金自体はしっかりとあり、冗談で言っているわけではない様子。 という全然違う意味で掴みどころのない2人が出会い、燈子の"家を建てる"という目的のために距離感を近づけたり遠ざけたりしながら進んでいくラブストーリー。 端から見れば掴みどころのないキャラクターの2人なのに、物語が進むごとにモノローグでお互いの心の中が描写されて、何を考えているのか、過去にどういう秘密があったのかが徐々に明かされていく感じが新鮮で面白い。今のところは奔放な燈子に当てられてなのか穂高のほうが心を徐々に開いていっている感じがあるのだけど、1巻の終わり方を見るとまだまだ大きく物語が動いていきそうであり、また穂高・燈子それぞれの過去について完全に明かされたわけではないので、ここからどう進んでいくのか楽しみな作品。 1巻まで読了
主人公のOLが婚約してた彼氏の家に行くと知らない女性と同衾真っ最中 →次の日通勤中に痴漢に遭うもメガネイケメンが助けてくれる →後日親から持ちかけられたお見合いの相手がその時の彼 →いい感じかと思ったらあっさり断られる →その後偶然再会したときに彼の手帳を見てしまい、彼がいつも自分のブログに優しいコメントをつけてくれてる常連さんだと気付く という、1話で半ばご都合的に設定を放り込んでくる。でもそのあとは主人公のOL・花川の凄まじい行動力とお見合い相手にしてコメント主・高屋の清々しいまでの二面性との凸凹な組み合わせがたまらなく痛快。 なにより高屋の"リアルのほう"の性格が本当に頑なで、花川との恋愛フラグを折るどころかフラグを立てる気配すら感じさせない。だからこそ、安易に落ちて"両片思い"のような状態になるよりもラブコメのコメディのほうが強調されて安心して読める。この作品が現状電子書籍のみでしか単行本が出ていないのは本当にもったいない。 1巻まで読了
どこにでもある普通の会社に勤めるOL・星野は実は魔女。といっても、物を魔法で動かしたりほうきで空を飛んだりする以外は普通に会社で仕事をする普通のOL。そんな彼女と、彼女の後輩・美園とのほんわかラブコメディ。 …というのが試し読みを読んだ印象だったのですが、続きを読んでみると少しだけ印象が変わってきます。作品の世界は魔女が人間社会の中で共存しているのですが、どうも身の回りに"普通に"いるというわけではないようで、魔女に対してちょっとした偏見をもっている人もいる様子。そのうえ静はちょっと気が弱くて他人の押しに流されやすく、それによって苦労していることも多々あり。なのでラブコメ的には意外とビターな展開も多く、でもだからこそ魔女がいるというちょっと不思議な世界観を純然なファンタジーではなく"この世界のどこかで実際に起こってそうな物語"という感じで受け取れる気がします。 1話のページ数が短くてちょっとTwitterマンガっぽい雰囲気がありますが、それを理由に試し読みだけで見切ってしまうにはもったいない、酸いも甘いも織り込んだ物語です。 1巻まで読了
美しい女性をさらって殺してしまうと野獣が出るという言い伝えのある森に禁を破って入ってしまった少女・ベル。ただの御伽噺だと訝しむベルだったが、目の前に本当に野獣が現れ、ベルを追って森に入ってきた母親をさらって行ってしまう。数年後、ベルの目の前に再び野獣が現れたことから物語が動き出す。 二度野獣と対峙することになるベルであったが、一度目の遭遇の後に伴侶を亡くした父親に監禁され、人の目にに触れない生活を送ることになる。元々自分が特異な髪の色をもって生まれたことを気にかけていたベルが、最愛の母親を失い、父親からも自身の過失を咎められたことにより、快活だった性格が見る影もなくなってしまう。特に母親がベルから野獣の目を逸らせるために言った「この子は美しくない」という言葉が呪いとなってベルの心に刺さってしまっている。一方、ストーリーが進んでいくと、野獣・キリルは実は城の王子で従者もろとも何かしらの呪いを受けて異形の姿になったことが示唆される。この"呪い"の掛かった両者が再び相まみえることで新たな化学反応を生み出していくファンタジー。 1巻まで読了
今の時代だとネットミームに少しでも触れた人なら知ってるレベルだけど連載当時に読んでた人は絶対ビックリしたよね 『ありのまま今起こった事を(ry』 『な……… 中にいたのは……………… おれだったァーーーーー』 この時点でDIOの能力の正体に気づけた人がどれくらい居たのかやら
罪を犯すことよりも、償うことと許すことのほうがずっとずっと難しい。 女子トイレでオナニーするのも、クラスメイトをいじめるのも、いじめたやつに復讐するのもそもそもやらなきゃいいんだけど、やってしまったとしたら償わなきゃいけない。 子どもながらその覚悟を決めた黒沢の潔さに泣いた。その彼にしっかり手を差し伸べた友人達にも泣いた。 登場人物全員救われた訳ではないけど、少しでも前を向けたらそれは素晴らしいことだから。やってしまったことは消えないけど、人生は続くんだから進んでいくしかないんだ。 タイトルだけしか知らなかったのでギャグ漫画だと思っていたけど全ての学生に読んでほしいヒューマンドラマだった。 あと恋より先にオナニー覚えちゃうのがなんかリアルだなあとも思った。
率直な感想。怖っ。 母親が亡くなった後の姉と妹と父の家族話。 みんな、お面を被ってて、上部だけの関係。 姉妹の会話に感情がこもってなくて、初めまりからずっと同じ温度感。 ただ、どんな終結を迎えるのか気になってしまう、不思議と引き込まれる内容になっていると思った。
探偵というか刑事の元に宇宙人現る! しかも超チートアイテムを持ってるという漫画。 探偵ものと思って読むと全く違うんですが切り口が独特で面白い。 よく描けるなこんな話…と思ってしまいました。
1980年代、何故か、突如として、りぼんに異端児たちが集結する。 さくらももこ、おーなり由子、岡田あーみんの三人衆がそれである。 さくらももこが『月刊ガロ』の影響を汲んでいるのは周知の通り、三人が三人とも、従来の少女マンガの系譜から隔たったところから出現している。 まあ、三人は異端児同士、仲も良かったらしい。『ちびまる子ちゃん』のほのぼのした世界に『お父さんは心配症』のとんでもワールドが侵食していくあの合作には痺れたなあ。合作きっかけで、それぞれの身辺雑記的なマンガにお互いのことを描いたりもしている。普段はふたりともハナクソみたいな絵を描いているのに、さくらが描く岡田の容姿も、岡田が描くさくらの容姿も、妙に気合いを入れて描いていたのは微笑ましかった。 ちなみに、さくらももこは、おーなり由子とも合作をしている。ふたりでカーペットに寝転んで、でかい一枚の画用紙にふたりで絵を描いたりしていて、なんとも羨ましく思ったものだった。
気になる!!!
Dr.スランプにうる星やつら(1981年)、マクロス(82年)、キャプテン翼やクリーミィマミ(83年)、そして風の谷のナウシカは84年……僕らが夢中になった80年代の、あの時のアニメ。 今になって気付くのは、それらを創っていたのは、実は誰かの「父ちゃん」だった、ということです。 アニメ屋の「父ちゃん」がいる日常って、どんなだろう……。そんな興味を漫画にしたのが、この『アニウッド大通り』です。 ★★★★★ 主人公の父は、TVアニメの演出家(監督)。かつてガンダムの名作回に関わり、今では有名作品を手掛ける父は、あまり家に帰らないけれど、家では子煩悩で愛妻家。子供と自作のゲームで遊び、TVを楽しみ、普通の父親が教えないようなことを教えてくれます。 そんな父を持つ主人公の小五男子は、みんなとバカをやりながら、ノートに次々と漫画を描く日々。そして父の仕事を見て、アニメや映画への憧れを持つようになります。 友達との遊びや二年生の妹との毎日は、懐かしい80年代の団地の風景。しかし妹は物凄く絵が上手かったり、父譲りの壮大な制作を兄妹で行ったりと、普通とはやはり、ちょっと違う。 こんな風に未来のクリエイターは生まれるのかな……と、ちょっと羨ましくもあり。 主人公の日々には、今までにない出会いがある一方、周囲に少しの変化があり、おバカ男子ではいられない寂しさが次第に訪れます。 時を同じくして父も、作家性が世間に受け入れられず、干されるように。「映画」に思い入れがある彼は、「巨匠が投げ出した映画作品」の代役を提示され、心が揺れます。そして……。 ★★★★★ よくよく見ていると、出てくる作品から年代がある程度絞られてきて、リアリティがあり、歴史物語としても楽しめます。 書籍版の巻末に入っている漫画は、作者の記伊孝先生が宮崎駿監督の「東小金井村塾」で学んだことを記したエッセイ。作者のギリギリ具合と現場の熱気が面白い! 最後に、この作品は記伊孝先生の個人出版。kindleで出版したものを星海社が書籍にしています。kindle版は2020年2月現在11巻に対して、書籍版3巻はkindle版6巻まで収載とのこと。単行本の早期対応を待望!
新装版を購入。昔リアルタイムで読んでました。連載開始から20年も経ってるなんて信じられません。 絵柄はさすがにちょっと古いかなと思いますが、ラブコメ的なテンポの良さが素晴らしい。 やっぱり何と言ってもキャラクターが良かったですね。妹の可奈子がもうちょっと早く登場してくれたら良かったのにと思います。 約束の女の子が誰だとか、東大に本当に合格するのかとか、ストーリー展開は予定調和的なのですが、生き生きとしたキャラクターたちと共に、懐かしさを感じながら楽しく最後まで読めました。
ノーベル文学賞を受賞したジャーナリストであるスヴェトラーナ・アレクシェービチさんが500人以上の従軍女性に取材して書いた原作を、『大砲とスタンプ Guns and Stamps』などでも戦争の裏側で直接の戦闘行為を行わない人々の闘いを描いた速水螺旋人さんが監修し、『サフィズムの舷窓』のキャラクターデザインや『ビビッドレッドオペーション』のコミカライズを行なっている小梅けいとさんがマンガにする。 企画の勝利、と言う他ない作品です。ちょっと普通には思い付かないですし、思い付いてもやらない、そんなことをやってのけてこのクオリティで出してしまったことに敬服するしかないです。 こうして本にされることが無ければ絶対に意識もしなかったであろう戦時下の数々の事柄。様々な部隊、部署に女性でありながら従軍した者たちの実体験からくる生々しい苦しみの証言が今回マンガにされたことでより克明に伝わってきます。 兵士の服は誰がどのように洗っていたのか。 女性兵士はなぜ脚が緑色になるのか。 なぜズボンがガラスのようになるのか。 戦火の中での彼女たちが感じる幸せとは何なのか。 その過酷な答はすべて読めば解ります。 「戦争はなんでも真っ黒よ 血だけが別の色 血だけが赤いの……」 といった、心に深々と刺さる生々しいセリフも溢れています。 戦争は手段に過ぎず、双方が望まずとも起こってしまうこともあります。それでも、なるべくその手段を取らなくて済むように、かつて先人が味わわねばならなかったこの悲哀と辛苦をこの先の時代に生まぬように、人類が知識として未来へ伝承していかねばならない大切なものが詰まった本です。 『アンネの日記』や『夜と霧』などと同様に読み継がれて欲しい、あらゆる人に一読を推奨したい名著です。
初めてトニー・ヴァレントさんの『ラディアン』を読んだ時、「絵のみならず日本の少年マンガの文法をここまで取り入れた作品をヨーロッパの作家が描く時代かー!」と驚愕しました。 最近は海外のマンガも沢山読めるようになってきましたが、当然ながらその国のテイストが強く出ている作品が基本的に多いです。その上で、完全に日本マンガナイズされていた『ラディアン』は衝撃的でした。 そして、この『ミンゴ』に関しては同様のことが今度は日本の青年マンガの文脈をしっかりと汲み取った上で為されていることに感嘆しました。 主人公のちょっと残念で、でも一念発起して頑張ろうとする姿に苦笑しつつ憎めず応援したくなる感じや、友人の無茶苦茶な振る舞い、ヒロインの絶妙なかわいくなさは正に『アフロ田中』などを読んでいる時の感覚そのもの。 絵はもっと上手くなると思いますが、今くらいの画力が平成前半位の青年マンガ感を生み出すのに一役買っていて丁度良い気もします。 テラスハウス出演のイケメンイタリア人が描くマンガの内容がこれ、というのもまた物語として面白いです。本人が主人公で実写化するなどしたらまた話題になって面白そうですけどね。
ネット連載でも楽しく読んでいたんですけども、やっぱり実際に本になると、もういちど読みたくなってしまいます。 それにしてもノムさんの亡くなった同じ年に伊藤トモの漫画が世に出るというのは因果なことです。やっぱり伊藤を使い潰したというイメージは拭い切れないですからね。そうなってくると、伊藤トモは不運な男だった、となりそうなものですけど、この漫画は何故か『幸運な男』と題されている。 まあ、漫画内でも野村監督は、めちゃくちゃ悪そうな風貌で描かれています。巻末の対談では、それでも抑えぎみに描いたと言っていましたけど、やっぱり悪そうなジジイにしかみえない(笑) でも、いつでも、どこでも、伊藤トモはノムさんのことを悪く言わないんですね。追悼のインタビューでも ~あまりほめられた記憶がないですが、1度、新人の時にねぎらってもらった試合があって。それは今でも忘れない。5月の中日戦で、勝てはしなかったが9回くらいまで無失点で。次の日に野村監督に『ああやっていけば必ずこの世界で成功できるから』と声をかけてもらって、非常に勇気づけられた~ と言っています。 あるいは、野村監督の25年ぶりの謝罪では ~僕はあそこで代えられたら嫌でした。マウンドを降りるほうが嫌でした。投手は先発したら完投するのが当たり前です。何球投げようが関係ないです。先発として最後まで投げるのが使命だと思います。何とも思っていませんよ、監督~ もう、これだけで泣けてしまいます。 選手の酷使を美談にすり替えるな、という声があるということももちろんわかります。選手は酷使されるべきではない、これは間違いのないことでしょう。でも、そのいっぽうで、伊藤トモのようにマウンドに執着する投手がいてもいいと思うのです。むかしの野球はとても野蛮で、近年ではそれが改善されつつあり、今年の春のセンバツではつい球数制限が導入されて、めでたし、めでたし、というはなしでは必ずしもないと思うのです。じっさいに高校球児から球数制限に反対する声だってありました「僕が最後まで投げられなければチームが負けるから」と。 選手はたしかに酷使されるべきではない。ただ、あれはしてはいけない、これはすべきではない、といった制約が日本の野球をせせこましくしていることもひとつ事実ではあるでしょう。球数制限のような流れは、今後さらに強くなってゆくことでしょう。でも、かつて日本野球は優雅で楽天的だった、ということも忘れたくないなあと思うのです。最高のピッチャーが9回裏に、最高のバッターにホームランを打たれて、でも、ふしぎと笑顔になってしまう、そんなような。 でも、まあ、野球そのものがどんどん窮屈でシビアになってゆくなかで、野球の楽天性をもっとも強く体現している漫画があるうちは、優雅で楽天的な日本野球は滅ぼないでしょう。『高速スライダー 幸運な男・伊藤智仁』も見事なまでに優雅で楽天的な日本野球を体現しています。最後のページで、それまで若い頃の姿で描かれていた伊藤トモが、とつぜん老けた現在の姿になって言うのです「ラッキーなんだと思います。ただ、それだけです」もう、この野球漫画的な楽天性にあふれた演出には涙を禁じえませんでした。
『孤食ロボット』、『土星マンション』の岩岡ヒサエさんが結婚式をプロデュースするウェディングプランナーを描いた物語。 最初のお話では本が好きな夫妻のために既に運営を止めていた私設図書館を貸し切って行う結婚式の様子が描かれるのですが、こんな式を挙げられたら素敵だなぁと本好きとしては思いました。 「どうやったらお客様が一番喜んで幸せになって下さるか」ということを考えるのは多くの職業に共通するところであると思いますが、そのためにできることを真摯に考え抜き、実行し抜く主人公の姿に異業種であっても共感と尊敬を覚えずにはいられません。 大手ホテルから独立した女性主人公に複雑な想いを寄せる男性ウェディングプランナーの視点でのお話も描かれるのですが、彼が彼女の手腕に発奮する様子にも共感します。今抱えている仕事でもっとできることはないか、と考えさせられました。 また、客側でも男女のすれ違う考え方などもあるあると思わされます。結婚式を挙げる前に夫婦で読んでおくと良いマンガかもしれません。
白い雲、青い空と海。ぽつんと浮かぶ絶海の小さな孤島。その上に立つ、白塗りにピンポイントで屋根や扉に青が差された建物というビジュアルは、エーゲ海に浮かぶサントリーニ島を思わせる風情です。 そこに黒猫と住む魔女のレストラン、という設定だけでとても絵になり良い異界感があります。単行本の最初に収録されているカラーイラスト集の中にある、水平線に陽が落ちるのを眺めながら桟橋で猫と共にグラスを傾ける様子にはこういう隠遁生活したいなあという憧れを抱きます。 そんな不思議なお店で繰り広げられるのは、「客が悩みを話し、その悩みを料理として提供する」という一話完結型の物語。哀しみや寂しさが根底にゆらめきながら、心を解きほぐす物語が紡がれていきます。 読み進めると様々な納得感が生まれると共に新たな謎も浮かび上がり興味をそそられる構成となっています。 ファンタジー要素を感じる設定やアイテムにも逐一心躍りますが、全体を通したしっとりとした雰囲気が何より魅力に感じる作品です。
この過酷な状況で生き延びる青年と幼女という言ってしまえば中二病設定が好きでしょうがない訳です! 少年漫画寄りで昔のガンガンを彷彿させるような… まだアニメ前に全部読んで見ようかと思います。
男子333名・女子45名、機械科・自動車科・電気科・設備科の4つの学科がある只野工業高校を舞台に繰り広げられるコメディ。 スタイリッシュな絵で描かれるヤンキー気質の強い男子生徒たちの等身大の日常はそれだけで可愛げがあり面白いのですが、そこに工業高校要素が濃厚に絡まり独特の妙味を醸し出しています。 バカっぽく見えても国家資格を複数持っており(取得理由は「かっけーから」)専門分野の知識や技能では頼りになってカッコ良く見える部分もありつつ、その上でなお日常の残念さが際立つなど、それぞれのキャラの様々な面が見られて皆魅力的に感じられます。 男子高校生のわちゃわちゃ感が好きな方、工業高校に興味のある方には無条件でお薦めしたい楽しく読める作品です。 表紙の通り、一応後半から少し女の子も出てきます。男女比が極端な工業高校の中で今後繰り広げられるであろう少し特殊な恋愛にも期待が募ります。
よくある結婚する男女の少女漫画として読んでるけど一冊読んだ時に「リアルすぎない?」って感覚になる そのくらいには読み手に近い漫画! 逆にみんな同じようなこと考えてんだな、と安心します
客をアゲアゲにしたりチルしたりする点において、とんかつ屋もDJも同じなんですね…。 DJとしての心得を学んでいくうちに、とんかつ屋としても成長し、かわいい女の子との関係も深まっていくという進研ゼミの漫画のめちゃくちゃ面白いやつみたいな感じがしました。 クラブでうどん踏むイベントとかトイレ工事やデスマッチを見せるライブハウスとか実際にあったし、とんかつ揚げる音でアゲアゲになるクラブも実際あるといいなあ
マンガ好きにとっては「シュリンク」というと、書店でマンガを買った時に本を覆っているビニールのカバーをまず想起してしまいます。が、本作のタイトルである『Shrink』が意味するのは精神科医のこと。 純粋に英語で精神科医を表すのであればpsychiatrist、therapistといった語の方が一般的でありshrinkと言ってしまうとやや侮蔑的な意味もこもってしまうのですが、それでもしばしば使われる語彙です。 特に、海外ドラマでは本当によくshrinkが登場します。親族やペットの死、仕事や恋愛での痛手などメンタルにダメージを与えられることが起きたらすぐにshrinkのところに行くのが当たり前だそうです。それによって、精神病の人の数は日本より遥かに高いんだとか。 翻って日本では精神病の人の数は表向きは少ないですが、実際にはストレス大国であり同じような水準でカウントしたら精神病の人は海外より高い割合で存在するのではないか、そういう意味では精神科にかかる人が増えて精神病と判定される人が増えた方がより人々は幸せになれるのではないか、という問題提起をしてくれるのがこの作品です。 「微笑みうつ」を「新しい自分として生き直すチャンスをくれる病」と非常に前向きに捉える視座にはなるほど、と思わされました。 パニック障害や自閉症など、聞いたことはあってもまさか自分がそうだとは微塵も思ってなかった、という人も世の中には多いことでしょう。本作を読むことで、精神科医にかかるかからないに関わらず少しでも生き易くなる人が増えれば良いなと思います。
『精神科ナースになったわけ』、『大切な人が死ぬとき ~私の後悔を緩和ケアナースに相談してみた~』など、医療系エッセイマンガを著してきた水谷緑さんが5年間の取材を通して描き出す、新たなる精神科ナースの物語です。 絵柄はとてもかわいらしいのですが、描かれている内容はとてもシリアスで重みのあるもの。幻覚が見える人、幻聴が聴こえる人、リストカットする女の子………… なるほど、こういう場合はそういう風に対応するのか、得心するところもあります。もし自分が担当医だったらどうするだろう、突然のショッキングな事態にこんなに上手く立ち回れる自信はないな、と考えてしまうようなエピソードも多々描かれます。 でも、世の中には確実にこういったことで苦しんでいる人が今この瞬間にもおり、そしてこのように尽力している精神科の方々がいるのだろうと考えさせられました。 「本来のその人になっていく。私たちはそのささやかなお手伝いをする仕事だ」 という節が心に残ります。 誰しもが心のバランスを崩して、本来のその人でなくなってしまうことがある世界。その中で、無言でそっと抱きしめてくれるような優しさがここにあります。その優しさの存在に、ただ本を読んだ身ではありますが感謝せずにはいられないのでした。
ユースに注目するというのが、今までにない切口を生み出した理由。 部活中心のスポーツ漫画が多い中で、ユースをフォーカスする先進性は面白い。 また、主人公を取り巻くキャラの立ち具合もまた魅力的。
西原さんの代表的なコミックのひとつです。西原さん自身の子育ての日々のなかでのあれこれが面白おかしく描写されていて思わず笑いがあふれる内容になっています。自分自身が子育てのストレスでイライラしているときなどに、この漫画を読むことでかなりすっきりすることができ、また子育てを頑張ろうというファイトが出てきます。西原さんの、明るく前向きなキャラクターがそのままこの漫画のなかに折り込まれていて読み終わった後、楽しい気分になれます。
高校生の時にこの作品と出会いました。 他校と喧嘩にあけくれるような高校生活を送っているわけではありませんでしたが、この作品を読んでから喧嘩の仕方を知りましたし、暴走族に憧れを抱くようになりました。※たまに喧嘩もの以外の回もあるので、そこもまた面白いです。 ヤンキー漫画で、今の時代と少しかけ離れているかもしれませんが、若い世代に読んで欲しい作品です。 ※この作品が好きすぎて、作品中に出てくる【新聞メリケン】を自作して塀を殴ってみましたがめちゃくちゃ手を痛めたので、絶対にやらない方がいいと思います。
不思議な二人の関係。 居ないと気になるし、居たらいたで、小競り合いになるし。でも、お隣同士が、丁度いい関係なのかも? お互いのことをよく知らないままのんびりと時間が過ぎていく関係・・・。 どちらかが、意識し始めたら変わってしまいそうな危うさがいい。
約20年ぶりに読んでみた。1話に夢小説の醍醐味がすべて詰まっていて凄い。もはや教科書。 普通のJKが人気バンドのボーカルに見初められ専属の作詞家になりファン達に妬まれながらも適度にエロいことしつつ愛を育む…妄想の王道だからあの頃みんな読んでたんだなあ…ちゃんと乳首描いてあるなあ…とノスタルジックな気持ちになった。 みんなここを通って大人になるんだ。
田村由美先生の漫画は殆ど読みましたが、今までの激しめの舞台とはまた違い、現代の日本の日常の中で物語は起こります。 ただ淡々と主人公が話しているだけなのに、為になるエピソードもあるし、すっと引き込まれます。 相変わらずハズレなしの作家さんです。是非。
恋に仕事に努力を欠かさなかったデヴィ夫人の自伝”選ばれる女になりなさい”の漫画ver。 本は読んだことないけれど、漫画の内容だけで十分伝わってくるデヴィ夫人のこれまでの人生。 本当に綺麗な人だけれど、その綺麗さ(強さ)は中から滲み出ているものだなと感じた。 一番大変な努力とチャレンジを、今でも続けるデヴィ夫人は芯の通った素敵な女性だなと思った。
ニコニコ動画のタグで「野生のプロ」って、ありますよね?無名だけれど、凄い技術力の動画に付されるタグ。 この『ハックス!』は、そんな「野生のプロ」が誕生する瞬間を描いた物語です。 ★ ★ ★ ★ ★ 高校に入学した阿佐実みよしは、新歓で見たアニメに感動と既視感を覚え、アニメーション研究部へ。 新歓アニメフィルムの保護を訴える美少年・児島に教わった既視感の正体は、「前半だけ伝説」の商業アニメ。第一話を観て興奮したみよしは翌日、衝動に任せてパラパラ漫画を描いてきて、それを映像技術に詳しい児島が動画にし、ニ⚪︎動(にまるどう、と読んでね)にアップ。すると…… ……すごい!観られてる! この感動を足がかりに、みよしは動画を、もの凄い勢いで描き始めます。 面白いのは、みよしの才能がアニメーションの面白さと「手の速さ」であること。ひと月で6本のパラパラ漫画を描きつつ、出来た作品からフィードバックを得て質を上げていく様は、最高のOJT。 彼女、結構「現場」向きかも知れません。 文化祭で上映するアニメ制作に突き進むみよしと児島。しかし、やる気はあったが煮え切らない部長、部外者だけれど部長と遊び、邪魔な先輩、逆恨みで難癖をつけてくる人……マイペースなくせに意外と他人のことを考えてしまうみよしは、モヤモヤしてしまいます。 果たして文化祭アニメは完成するのか?そして例の新歓アニメの製作者の謎は……? ★ ★ ★ ★ ★ 部室に残っていた本格的な機材や、かつての製作の遺跡、フィルムに埃が映り込む感じなど、生々しい感触があるこの作品は、同時期のアニメ製作漫画『空色動画』を「スーパー系」とすれば、「リアル系」と分類できるでしょうか。(スパロボ的分類) ニコニコ動画の当時のネタっぽい物が出てくるのも面白く、細かな見所の多い作品になっています。 アニメ製作の面白さを描きつつ、何かに打ち込む人と何もせず腐る人のコントラストが複雑な感慨を与えてくれる、骨のあるドラマ。古びない普遍性のある作品です!
短編とは思えないぎっしりと思いが詰まった作品。 想像しない世界の連続で、びくっとする。 知らない世界の扉を開けた感覚。 更にその後を少し・・・。 で、『箱庭の虜』は、救われた!
最初は興味本位で読んでみましたが 爆ハマりしました 15巻からは自ら買ってます
若かりし頃のモンキー・パンチを描いた特別読切。1977年からpcに着目し、ルパンの顔をプログラミングで再現してたって話、先見性ありすぎでしょ。周囲の理解ない環境で独学で学習し続けたのもヤバい。ほんとカッケーなぁ。
昔の自分と、今の自分が両方感じられる。 年齢を重ねたからわかることと、年令を重ねて忘れてしまったことと、・・・。 この短編には、現在の色々が詰まっている。 『stand up』が好き♬
マジで謎なんだが
ラーメンというよりはノワールギャグのがメインかな。途中でメタ的な台詞が入るのも面白かった。にしても「ラーメン滑川さん」を読んでた時も思ったけど、安っぽい中華そばを啜るヤーさんは絵になっていいな
ジャンプ+を読んでた人なら知ってると思うけどブーメランパンツ野郎先生って、ギャグ漫画の人ってイメージが完全に定着してたんですよね。しかもかなりアホ寄りの。 そんな人がホラーを描くとなったからみんな侮ってた。けどこれが中々凄かったんですね。まさに不協和音。ズレた世界にいるような、不思議な怖さがある。絵の下手さがまたこれに味を出している。病院に描いてあったらゾクっとくるタイプの。まぁ読んでみるのが一番早いと思いますよ。はい
自分にとってできることは何で、やりたいことはなんだろう。そんな青春期の王道な悩みをすこし不思議で優しいところへふわっと飛ばしてくれるようなお話。 今回はヒロインがサブのポジション。試験結果を覗いて、ついてくるだけの子。でもだからこそ味のある名脇役だなぁと思う。 さすがカラシユニコ先生だなぁ
発情させることによりすべての女性の人間性を破壊してるようにしか見えねぇ……