金の糸

どうしようもない嘘つき主人公が性春をこじらせ始める!

金の糸 稲妻桂
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

男子高校生の仄暗いこじらせ性春ものが始まりましたね! それがどんな状況であれ、無難で場に合った嘘をついてきた主人公。 気になるあの娘はクラスの一軍。 窓に映った彼女を盗み見てニヤける日々だったが、唐突にフランスから金髪ショートの美少女留学生サラがやってきた! しかもホームステイ先は自分の家!? 男子同士で話していたくだらない話が頭をよぎり、出来心であることを行動に移してしまったがゆえに追い込まれた窮地! どうするソーイチ!? そうしてまたソーイチは嘘を重ねてしまい…。 第1話https://pocket.shonenmagazine.com/episode/3269632237246535454 いやー、どうなっていくんでしょう! 作者さんが好きな漫画で挙げているのが『めぞん一刻』『惡の華』『童夢』ですからね! 『童夢』は世界観的に置いといて、『めぞん一刻』の正統派ラブコメ感、『惡の華』のどろどろした性春のようなものに影響を受けた作品になっていくんでしょうか。 現在公開されている過去の読切3作、どれも面白いので気になった方はぜひ。 『瀬戸際に轟く』『月の國』『あすか』 少なくとも主人公のソーイチは初っ端からでかい爆弾を抱えることになったのでいいスタートですね。 高校生が「嘘をつけばなんとかなる」「周囲からはみ出ず嫌われることもなくそこそこうまくいく」なんて悟ったようなこと考えてるから、そらみたことかとばかりに1p目と1話目ラストのようなことになるわけで。 嘘は決して本当の意味では身を助けないぞ…と。 しっかり前フリをしたこのキャラがどう活きてくるのか。 そしてまだキャラが分からないサラは一体どんな人物なのか…。 藤野さんとの関係は…? 嘘に嘘を重ねていってどんどん苦しくなっていく展開、そしてその先を稲妻桂先生なら上手く描いてくれそう! 楽しみです!

百合SMでふたりの気持ちはつながりますか?

オカシな私に、踏み込んでよ #1巻応援

百合SMでふたりの気持ちはつながりますか? みら
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

SM漫画としては、例えばスパンキングを見せておいてからのソフトな首輪束縛といった誘導や、各話間の注意書きやTipsにリアリティが……あるのかなぁ、私も成人漫画かビデオ位でしか知らないので……。 しかしここに複雑な「百合」関係性を織り込んで、特殊性癖を切ないドラマにして、心に刻み付けて来る。 登場人物は ●初恋相手に再会した高校生・更紗(S) ●更紗の1歳年上で初恋相手・澪(?) ●更紗の妹の中学生・桃乃(M) ●桃乃の級友でクラス委員・立花(?) とある事情から、短い期間で澪との関係を構築したい更紗。更紗と澪が近づく事で暇になった桃乃と、不真面目な桃乃を更生させたい立花。 描かれるのは「相手に踏み込みたい、何とか繋がりたい」という切実さ。それがSMプレイに込めて伝えられる時、昂る感情はエロスと噛み合い、巨大感情へと育って行く。 真摯さとインモラル、甘い恋とエグい性欲。そんな相反する物、あなたには無いか?と突き付けてくる。私と本気で繋がる気なら、私の中の異常性に踏み込んでよ、と。 (SMとしてはソフトだが)肉体的にも精神的にも痛々しい描写達。しかしこの痛みでしか、伝わらない感情がそこにはあった。

女神たちと

河井克夫と女神たちの合作漫画

女神たちと 近藤ようこ 安永知澄 やまじえびね 河井克夫 二宮亜子 おくやまゆか 原百合子 横浜聡子
名無し子

河井克夫の原作を女性漫画家が作画する面白い試みの漫画(ひとつだけ逆のパターンもある)。コラボして面白くなってるツボが違うので一番好きな作品とかは特にない。どの作品も面白かったです。 「蛍の僧都のこと」近藤ようこ 近藤ようこさんが描くことを念頭に置かれて作られた原作だそうで、むしろ原作が存在しないんじゃないかってくらい近藤さんらしい漫画だった。 「5人いた」二宮亜子 ヨーロッパのお屋敷で旦那様が殺される事件が起こり、3人のメイドを事情聴取するが…という話。何重にもオチがあって面白かった。 「アムステルダム」安永知澄 一番独創的な作品でした。小学生達が遠足でアムステルダムにやってきてマリファナ入りのパンを食べてしまう話。色んな幻覚を見ます。 「米の回路」原百合子 当時まだ学生だった原百合子先生が描かれた作品。もしかしてこれがデビュー作なのかな?ストーリーうんぬんよりも現在の原先生の絵の上達っぷりに感動した。 「猫又」おくやまゆか 1500年生きて猫又になった小梅と元飼い主のあかねさんの都々逸対決。すごくコミカルで面白かった。 「サンクチュアリ」やまじえびね いつものやまじえびね先生とテイストが違うけど、先生がノリノリで描いたことが伝わってきた。 「片岡一郎の一日」横浜聡子 これだけ女性映画監督が原作を担当して河井克夫先生が作画をしている。起承転結の転になるようなことは何も起こらないのに面白い。片岡一郎の違う一日も読んでみたくなった。

美川べるのといかゴリラのまんが飯

パワフルギャグのマッスルドッキングや〜!

美川べるのといかゴリラのまんが飯 美川べるの いかゴリラ
兎来栄寿
兎来栄寿

女性向けギャグマンガとしては異例の長期連載だった『ストレンジ・プラス』等で人気を博すベテラン漫画家、ミカベルこと美川べるのさんと、「力こそパワー!」と言いたくなる『オタクだよ!いかゴリラの元気が出るマンガ』の新進気鋭のいかゴリラさん。 この二人を掛け合わせた上で、飯マンガを描かせようとした企画の勝利です。 最初のお子様ランチ画力対決からして「角材にしか見えないポテト」vs「90年代にペイントで描いたクオリティ」でフルスロットルで飛ばし尽くすところは、お二方の作品を好きな人には馴染み深いテンション。 あまりにも壮大にかまされるボケも、切れ味鋭いツッコミのセリフひとつひとつも、思わず声を出してしまう面白さで人前で読むのはお薦めできません(不覚にも電車の中で読んでしまい、マスクが当たり前の社会で少し助かりました)。 お二方の暴走特急のような魅力が足し算、否、掛け算されている様はまさにキン肉バスターとキン肉ドライバーのドッキング。 そして、植田まさしさん(が描いたあるモノ)や、『水曜日のトリップランチ』のたじまことさんによる美味しい料理の描き方指導など、スペシャルなゲストによりこの空間は更に混迷を極めます。 こんなにお腹が空かない飯マンガは初めてです。むしろ笑いすぎてお腹が痛くなること請け合い。2020年でも屈指の、頭を空っぽにして笑える一冊です。

ハイパーインフレーション

クセ強めで内容も面白い漫画好きな人は垂涎の一作!

ハイパーインフレーション 住吉九
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

未読の君、まだ読んでないなんてもったいすぎるぜ…!! 読んでる奴らとはダチになれそうだ!! なぜなら俺たちはルークさんを知っているから!! 俺たちの救世主!!ルークさん!!はわわ……! と、読んだあとちょっと変なノリをしてみたくなるほどにこの漫画は魅力的です。 時代設定は我々の地球でいうどのへんか分かりませんが、17、18世紀あたりの技術レベルでしょうか?もっと前なのかな? ヴィクトニア帝国という大国があり主人公はその帝国に搾取される側の植民地に住む少数民族で、金貨や経済などあるもののわりと原始的な生活を送っていた。 幼少期に両親が奴隷狩りに殺害されてから7年後、12歳になったルークは奴隷狩りに対抗すべく知恵を使い騙したり工夫して帝国と商売しお金で安全を買おうとしていた。 しかし、その矢先に再び奴隷狩りにあってしまい、自らも捕まり大好きな姉を連れ去られてオークションにかけられてしまうことになり、殴られ朦朧とした意識の中で神にあい、とある能力を授かる。 本来、年頃の人間が当たり前のように享受しているのが「生殖能力」だが、神はその代わりにルークに授けたのが「金を生み出す能力」だった。 しかも、まだもろもろ不明だけど帝国の紙幣、しかも全て通し番号が同じ偽札…。この能力と知恵を武器にルークはどう戦っていくのか! お姉ちゃんを取り戻すことはできるのか!? という話です。 第1話→https://shonenjumpplus.com/episode/13933686331749163174 話の設定や展開、ハッタリや知恵比べのようなギャンブル的な部分はもちろん面白いのですが、合わせて注目してほしいのはこの作品の根底に流れるセリフ運びのテンションやリズムとキャラたちのノリ!! 初期のジョジョを彷彿とさせる! そこにシビれる!あこがれるゥ!!的な香りがするゥ!! みんな大真面目なので最初は真剣に読んでたんですが、途中からもしかしてこれって笑って読んでもいいんじゃないか?というシリアスな笑いに思えてきますし、実際そこはかなり意識されてるんじゃないでしょうか。 生殖能力の代わりに授かった能力なので、金を生み出す時にドクッドクッってなるのや、頬を赤らめてちょっと汗かいてはぁはぁしているのもおもしろい…。 そのクセの強さに、やみつきになってしまう自分が愛おしいです。 画像:第1話57pより

僕たちは繁殖をやめた

兄と妹の禁断の恋愛と最初から分かって読む漫画

僕たちは繁殖をやめた さおとめやぎ
名無し

『あいだにはたち』のさおとめやぎ先生のマガポケ新作。 絵柄も少し上手くん?なってマガジンっぽくなったような。 そしてエロさだけをフィーチャーするのもどうかと思うけどそこは健在。 まず、1ページ目からドキッとさせてくれる。 「時代は自由恋愛 同性婚も認められる世の中で好きになっちゃいけない人なんていない そう思っていた 彼女と出会うまでは 彼女だけは 世界中で彼女だけは どうしても好きになってはいけない人だった」 どういうことなの?と思っていたらもう設定にすぐ書いてあって速攻ネタバレされるんですが、そう、大学で偶然知り合う兄と妹、この二人は知らずに惹かれ合っていく。 こういった設定ってベタっちゃベタだけど、ここを主軸に置くことはそこまで無いような…? あくまで話の中で驚きの展開としてかき乱されるようなシチュエーションとしてはあるけど、最初から大きく振りかぶってるのをどう描くんだろうと思っていると、兄と妹だと分かりそうで分からないハラハラが続く。 そして若い二人の関係はみるみる深まっていくので、いつ二人が真実を知るのか、というところでドキドキしながら読める。 なるほど、こういう読み方かーと分かって楽しい。 関係が深まれば深まるほどに絶望が大きくなりそうで楽しみだし、その後をどう描くのかも楽しみ。 1話→https://pocket.shonenmagazine.com/episode/13933686331749944945

姉を好きなお姉さんと

恋は無くとも「エモい」同居 #1巻応援

姉を好きなお姉さんと 真くん
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

勿論ただの同居なら、別に恋愛は無くても、友情とか利便性とか契約とか、どんな関係でも構わない訳です。 で、この作品ですが、同居する二人の関係はかなりヘンテコ。 空き巣に入られて身の危険を感じた社会人・きのめは、一時的に居候させてくれる女性・あけびを姉に紹介される。しかし彼女、実は〈姉に〉恋してる! 漫画家のあけびはカッコよくて優しくて、変な男性に纏わり付かれるきのめには、頼れる存在。一方きのめは、得意な料理を振舞ってあけびに喜ばれる。win-winな関係は噛み合っていて楽しげですが、きのめの気がかりは、あけびの姉への恋心。 最初「姉を好きな人」とどう接して良いか分からずテンパる所から始まり、あけびの純愛に触れるきのめの、情緒が激しすぎて可笑しい。そして二人の生活は次第に楽しくなって行きつつ、あけびの恋はブレない。純情なあけびのポンコツな挙動も、また可笑しい。 心通わせてゆくコンビですが、恋になる感じは、する様なしない様な……姉の本心含めて、1巻ではゴールが全然予想出来ない。けれど同居物としては既に、互いへの思い遣りが「熱い」内容だし、今後もエモい展開が見られそうな気がします。

幸っちゃんさん

「幸っちゃんさん」と呼ばれる幸子の幸せ

幸っちゃんさん 柳内大樹
兎来栄寿
兎来栄寿

2019年の暮れに出た『儚いくん』に続く、柳内大樹さんの「SUBARASHIKI KANA JINSEI」シリーズ2冊目。1冊で完結する短編で、シリーズ物ですがこの作品単体でしっかり楽しめます。 『ギャングキング』や『セブン☆スター』でヤンキーマンガのイメージが強いであろう筆者ですが、このシリーズを読むとその引き出しの豊かさに感銘を受けずにはいられません。 本作は、4人の女子大生とミスターキャンパスに選ばれたものの実は少しオネエの気がある男性を中心にした群像劇です。 ヒロインの幸子は豪放磊落な性格で、喉仏が動く男がタイプであり日々イイオトコとの出逢いに飢えている女性。 「人間なんてしょせん自分のことを好きになってくれるやつが好きなんだよ!」というモノローグを仁王フェイスでかます彼女はデンジくんに通ずるものがあります。 巨乳でクールビューティだけど処女のマリコ。 ちずるはドMで天然の不思議ちゃん。 カズ美は一番真面目だが一番4人の中でエロくてS。 優しくて真面目で顔も良く薙刀は全国ベスト4の腕前だけどオネエの蜂須賀。 そんな個性的なキャラたちによるそれぞれの恋愛模様が描かれますが、大人だからこそのビターさもあり味わい深いです。幸子の顔芸を始めとしてふんだんにギャグも交えながらも、シリアスなシーンはしっかりとしっとりとキメてきて人生を生きる上での含蓄に富んだセリフも沢山登場します。 恋愛も人生も必ずしも上手くいくことばかりではないですが、そんな時には寄り添い支え合う4人の友情がまた美しいです。幸子の人生がこの後どうなろうと、こんな素晴らしい友人ができたことは一生の幸せだろうと思います。 幸子の母&祖母や、「とっととどっかのカラオケでも行ってでっかいパンにアイスでものっけて女子会でもするよし!」「帰りましてよ!パンピーども!どきよし!」とのたまうお嬢様など、サブキャラも強烈で楽しいです。 酸いも甘いも溢れる人生はそれ自体の素晴らしさを力強く謳う一冊です。今後もこのシリーズを続けていきたいそうなので、『セブン☆スターJT』ともども楽しみにしたいです。

アエカナル

悪意の介在しない"たった2人だけ"の日常 #1巻応援

アエカナル 笹倉綾人
sogor25
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サラリーマンの定井光臣は自らの命を絶つために山の奥深くに足を踏み入れていました。 彼がしめ縄の巻かれた大樹の側を死に場所に選んだそのとき、高い木の枝に縄を掛けようとする少女を発見します。 「彼女が首を括ろうとしている」と咄嗟に思った彼はその少女を助けようとしますが、実はその少女は単に干し芋を作ろうとしていただけでした。 ただしその少女・アエカは自分のことおただの人間ではなく、その土地の山の神に嫁入りしたため800年間生き続けている"八百比丘尼"(やおびくに)だというのです。 この作品はそんな2人の出会いから始まる異類婚姻譚のような物語です。 『ホーキーベカコン』を描かれていた笹倉綾人さんの新作。 仕事の多忙さに疲れて死を決意した定井でしたが、天真爛漫で朗らかなアエカに接するうちにいつしか生きることに対し希望を見出していきます。 一方のアエカも、山の神が去り、元いた村も滅び、150年もの間たった1人で過ごしていて、久々に接する人間であり、謎多き彼女にも優しさを見せる定井に徐々に絆されていく様子が描かれています。 作中で描かれていく、悪意の介在しないたった2人だけの日常は何気ない日々ながら心に染み入るものがあります。 ただこの作品、2人の日々を描くにはやや変則的な導入をしていて、それが今後の物語にどう関わってくるのかも気になるところです。 1巻まで読了

おしえて! BLソムリエお兄さん

ただのBLでは満足できなくなった方もそうでない方も #1巻応援

おしえて! BLソムリエお兄さん 下瀬川ひなる
sogor25
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物書きを目指しているがなかなか結果を出すことができていない苦学生の又来。 彼がバイトしている古書店で「BLヅラしてないBLが読みたい」という女学生を相手にしていると、謎の男が声を掛けてきます。 彼は「一般向け作品でありながら同性愛を匂わせている作品」通称"匂い系"の作品を布教する"匂い系ソムリエお兄さん"を名乗り、女学生に夏目漱石の『こゝろ』を薦めてきます。 その後も彼は又来の行く先々にどこからともなく現れて"匂い系"の作品を薦めて回ります。 この作品、一般文学作品をBLと拡大解釈して布教してくるというかなりの変化球の設定のように見えるのですが、ただ単にお兄さんが自分の解釈で話しているのではなく、書籍や文献などから引用して説明しているので、その論には不思議と説得力があります。 また、彼に毎度相対することになる又来という存在も絶妙で、彼は物書きを目指しているだけあって文学に対する造詣が深く、お兄さんのBL解釈に対してあくまで一般的な視点からの反論を試みます。 これにより、作品自体の盛り上がりが生まれるとともに、紹介されている作品への理解が深まり、文学紹介マンガとしての側面も感じられるようになっています。 紹介されている作品も、内容まで詳しく知らなくてもタイトルは知っているような作品を取り上げていて、純粋なコメディとしても充分に楽しめる作品です。 1巻まで読了

腐っても父親

『腐っても父親』森藤渉先生 いいね! 面白い!!!

腐っても父親 森藤渉
超電子バイオマン

ゾンビと人間の家族と言う設定が面白い。 ゾンビなのだが、通常のゾンビとは違う設定でゾンビの特質を生かして難題を解決するという流れがさらっと読めて、すーっとストーリーが入ってくる。 ゾンビと人間のハーフの息子が、結構しっかり者で、気も効いているから、キャラとして確立している。顔もかわいい!まちで起こる数々の事件をこの父と息子で解決していくといった展開で続編が読んでみたい。父が「ゾンビなんで」といちいち説明しなくても、うまくごまかしたり、流したりしてうまく解決に結びつけてくれそう。キャラクターグッズにしてもかわいいかも。 母も仕事で家にいない間、父と息子で出かけた先でなんだかんだあって、まちの事件を解決して、家に帰ってくるとみんなで晩ご飯と言った展開でも面白いだろうし、晩ご飯に間に合わないというときには、冷蔵庫に作り置きをしていると主夫としての力量が垣間見えたりするのも良いかもしれない。 ゾンビだけど、みんなが思うゾンビのイメージと違うという設定も「ゾンビはこういうこともできるのか」と読者に想像させる猶予が残されているので話の展開もそこから望めるかも。 ゾンビは何をされても効かないから、まちの社会悪を全部受け止めることも可能。それと家族愛のコラボが読者をほっこりと包み込んでいく。 今後の展開に期待しています。つづきが読みたい!

やっちまったよ一戸建て!!

家を建てるという自虐プレイ

やっちまったよ一戸建て!! 伊藤理佐
名無し

世界に一つの自分の家を建てるのが昔からの夢だったの、 その夢をついに実現させる時が来たの、 という話かと思ったら 実は、今がおトク!の言葉にフラッときて、 気が付いたら1年半以内に家を 「建てなければならない」 という立場になってしまった話だった。 大慌てで自分に合った家を考えるはめになり、 それは自分はどういう人間か、を考えることになり、 結果、徐々に具体化していく家の設計図はなぜか 「一人用三階建て一軒家」 アレこういう家でいいのか、という思いは そんな自分でいいのか、という思いにつながり、 家が出来ていくにつれて自分の心が傷ついていくような、 まさに「やっちまったよ!」な、 ノンフィクション・エッセイ漫画。 成功した人ってよく「御殿みたいな家を建てた」とかの 話を聞きます。 漫画家でも小林まこと先生とか西原理恵子先生とかが ナントカ御殿を建てた、みたいに言われていたし。 伊藤理佐先生もヒット作を生み出しているし 売れっ子漫画家と言っていいと思います。 だから30歳バツイチ独身という立場であろうとも なんだかんだ苦労しつつも新築一戸建てを建てる財力もあり、 けして自分を卑下する必要はないし 自分は成功者だ、と胸を張って豪邸を建てもいいと思います。 それにこうして漫画ネタになったのだし。 まあ少しくらいは「どう転んでも漫画ネタになるし」 という目論見も最初にあっての家造りだったかも、 とも(それで数千万円かけるか?とも)思いますが・・ 一方で、これは読後に知ったのですが、 家を作り始めた時には 「30歳バツイチ独身女子」だった伊藤先生ですが、 この漫画を描いて数年後に同業の漫画家の 「吉田戦車先生」と結婚したそうです。 この漫画の伊藤先生と、あの吉田先生がご結婚って、 さぞかし楽しい幸せな家庭を築いているでしょう。 私は伊藤先生と知り合いでもなんでもないけれども 「人生いろいろあったみたいだけれど、  良かったねえ、伊藤先生。」 と誠に勝手ながらではありますが思ってしまいました。