どろへどろ
ドロヘドロ
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あらすじ

▼第1話/カイマン▼第2話/ハングリーバグ▼第3話/悪夢の中のアイツ▼第4話/袋の中▼第5話/食事中はお静かに▼第6話/隣の町の魔法使い●主な登場人物/カイマン(魔法で爬虫類の頭に変えられた男。かけられた魔法を解こうとしている)、ニカイドウ(カイマンの友達で、食堂を経営している。武術の心得もある女)、藤田(相方とホールに魔法の練習に来て、カイマンに襲われる)、煙(藤田の上役。部下がカイマンに殺されたのが気に入らず、復讐を決意)●あらすじ/自分を醜い姿に変えた、憎むべき「魔法使い」を頭からバックリ!! 口の中にもう一人の人間を住まわせた謎の異形の男・カイマン。魔法使いたちに姿を変えられた時に記憶を失い、いまはただ連中を狩る日々を過ごしている。「口の中の男」が犯人を言い当て、元の姿に還れるその日まで…(第1話)。●本巻の特徴/ドアによって隔てられた2つの世界。「魔法使い」の世界の住人たちは、自らの魔法でドアを作り出して、もう一つの世界「ホール」にやって来た…!! 魔法使いによって、頭を爬虫類の醜い姿に変えられた男・カイマンが本来の姿を取り戻すため、友達のニカイドウと共に、魔法使い狩りに立ち上がる。対する魔法使いたちも反撃を企て…。スリルと混沌に期待が高まる第1集! ●その他の登場人物/恵比寿(爬虫類の魔法を使う女。カイマンに顔を傷つけられた)、心(煙の雇った殺し屋。先輩格。何でもバラす)、能井(煙の雇った殺し屋。後輩格。こちらは何でも直す)

あいあむあひーろー
アイアムアヒーロー
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あらすじ

鈴木英雄。35歳。漫画家のアシスタント生活。妄想の中でしか現実に勝てず、そんな自分に付き合ってくれる彼女との仲にも、不安と不満が募る。だがある日、現実の世界が壊れ、姿を変えていき…!?異才・花沢健吾による極私的サバイバルパニックホラー!!

やみきんうしじまくん
闇金ウシジマくん
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あらすじ

オモテの金融機関に見捨てられた、哀れなヤツらの人生にトドメを刺す――闇金融の世界に生きるダークヒーロー、ここに誕生!!丑嶋のもとを毎朝9時に訪れる「奴隷くん」と呼ばれる人々。それはパチンコ依存症の主婦たちのことで、丑嶋は彼女らに3万円の現金と引き換えに5万円の借用書にサインさせる。あらかじめ金利・手数料2万円を引いた上、1日3割もの暴利を課しているにも拘わらず、今日も彼の会社には哀れな訪問者が引きも切らない。

よわむしぺだる
弱虫ペダル
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あらすじ

ママチャリで激坂を登り、秋葉原通い、往復90km!!アニメにゲーム、ガシャポンフィギュアを愛する高校生・小野田坂道、驚異の激コギ!!ワクワクの本格高校自転車ロードレース巨編!!

伝説が現在進行形で描かれている

新刊が出るたび読んでいるが、現時点で56巻まで出ているので序盤の熱量をもう一度確認したくなって読み返してみた。 やはりすごい熱量。 読んでいるだけで体が熱くなってきて今すぐに自転車で飛び出したくなる。 高校に入学した小野田坂道が自転車競技に出会い、隠された才能を発揮し、のめり込んでいく熱血青春スポーツ漫画だ。 この漫画のすごいところは、話の導入部分がものすごく丁寧で、違和感なく自転車競技というものに興味を持たせられるところだ。 主人公の小野田坂道は自転車になんか全く興味がなく、アニメ研究会に入ろうとするが人数が足りず休部になっていて部員勧誘をするも集まらず途方に暮れていた。 まず、主人公が自転車に興味がないのがポイントで、多くの読者と同じ目線に立っているのでとても共感できる。 そして、アニメ好きで節約したいからといって千葉県から秋葉原までの約45km、往復90kmをほぼ毎日ママチャリで走っているという。 もう、自転車に向いてそうで才能を発揮してくれそうな説得力あるエピソードが分かりやすい。 同世代ではトップレベルの自転車やってる同級生が、偶然学校前の激坂を歌いながらママチャリで登る小野田を目撃し、ハンデ込みで勝負を挑むが、僅差で小野田は負ける。 しかし、全くの素人相手に僅差の勝負だったことで、彼は小野田の才能を認め自転車部に勧誘する。 ここでいよいよ自転車の才能があることが発覚してきて、あとはそれを疑う周囲の人に実力を見せつけるのみとなってくる。 ここから面白いのが、小野田の成長と、ママチャリと自転車レースで必須な速く走ることに特化したロードバイクとの違いを丁寧に描いていくのだ。 まず、適切なサドルの高さにすることでこぐ力が完全に伝わり、ギアがつくことでさら速くなる。その感動を喜びの新しい発見の感情として表現してくれている。 そして、ここまではまだママチャリだったが、レースに参加することでギアとかサドルとか関係なく完全なロードバイクとの性能差を見せつけられ愕然とする。 しかしここでママチャリですらかなり速かった小野田がロードバイクを手にすることで爆速となり部員をごぼう抜き! ここまでで自転車競技用のロードバイクってすごいんだ!乗りたい!となるほどに分かりやすく描かれている。 そしてここから小野田本人の成長物語へと移行していき、1年目のインターハイが終わるまで30巻近く使う。 これって、実はあのスラムダンクと似たような構図なのだ。 バスケに興味が無い桜木花道、異様なジャンプ力を発揮し才能がチラつき、バスケの勝負のアツさや桜木花道の成長を描いていき、インターハイを描き終わるのに約30巻。 4月~インターハイの終わりまでの短期間をここまで濃くアツく描けている点など共通点がたくさんある。 これで名作にならないわけがない。 そしてスラムダンクは熱量が下がったその後を描きたくないとのことでそこで終わったが、弱虫ペダルはその後もきっちり描き、2年目のインターハイもものすごくアツい展開になってきている。 僕たちはいま、後世に語り継がれる伝説的な漫画が誕生しつつあるリアルタイムの連載を追えていることに幸せを感じた方がいいのかもしれない。

吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

仮説:精神特化型スポーツ漫画

個人的仮説として、この世のスポーツ漫画は大きく4つに分類できるとする。 ①ビジュつよつよ型 ②必殺技「なにィッ!」型 ③精神性特化型 ④設定展開運転型 仮に例をあげると、①:『スラムダンク』『黒子のバスケ』②:『キャプテン翼』『テニスの王子様』④:『ブルーロック』で、弱虫ペダルは③にあたると考えています。(※異論他論認めます。個人的な見解です) ほかの分類は他で述べるとして、何をもって〈精神性特化型〉と言うかですが、基本的に弱虫ペダルの根幹はキャラクターの『気持ち』が非常に重要な鍵となっていると感じます。 日本であまり馴染みがなかったこのサイクルロードレースという分野をここまで認知度をあげ、経済的にも大きく影響を与え、ロードバイクの売上に寄与できたのか。何故ガチ沼した当時、私に20万以上もするデローザのロードバイクを買わせしめたのか。 全てはレース中の精神性、個々のキャラクターの精神状態、心理描写の熱さ、個々の気合、何を持って〈勝ちたい〉のか。それぞれの強い想いの描写が作品パワーを感じさせる重要な一因となっていると感じます。弱虫ペダルファンに聞くと面白いのが、他の漫画よりも最初にビジュ的に好きかも?と思ったキャラから、読んでからガチハマりするキャラが違うこと。 だいたい誰か、何かシンパシーを感じるキャラがいて、入り口とは違う沼に浸ることになることが多いです。 自転車漫画でありながら、レースの終盤や盛り上がり場面はテクニックとかよりも〈どれだけ勝ちたいと、どんな気持ちで思っていて、どういう精神状態で今臨んでいるか〉がかなり強く出ている印象で、やーもうやっぱり最後は気持ちですよ!!という気がします。スポーツ漫画というより気持ち漫画というか、精神漫画というか。 なので、スポーツ漫画や自転車に興味がなくても、人間で心を持っている方にはおすすめできる漫画だと思います。どのキャラが好きになるかでその人のなんとなく性格とか大事なものがわかる気がしますね。それがこの漫画の真骨頂であり、これだけ幅広い層に受け入れられた理由ではないでしょうか。 ちなみに私は手嶋純太の「フトン最高」が大好きですし、御堂筋くんを敬愛して止みません。結晶や。 ペダルの熱さにあてられて長くなりましたが、心を持っている方、熱くしたい方、わたしってこころあったかしら?とこの頃忘れてしまった方にもおすすめです。ぜひ心のありかを確認してください。

名無し
名無し
ダイヤのA Ace of Diamond
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中学全国大会を目標としていた沢村栄純(さわむら・えいじゅん)。最後の大会は自らの暴投で敗退してしまう。仲間とともに高校でリベンジを誓うなか、名門、青道高校野球部からスカウトが来る。見学に訪れた沢村は、いきなりエリート校の洗礼を受けることに!名キャッチャーの呼び声高い御幸一也(みゆき・かずや)との出会いが沢村の高校野球への情熱を目覚めさせる!!

ちはやふる
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まだ“情熱”って言葉さえ知らない、小学校6年生の千早(ちはや)。そんな彼女が出会ったのは、福井からやってきた転校生・新(あらた)。おとなしくて無口な新だったが、彼には意外な特技があった。それは、小倉百人一首競技かるた。千早は、誰よりも速く誰よりも夢中に札を払う新の姿に衝撃を受ける。しかし、そんな新を釘付けにしたのは千早のずば抜けた「才能」だった……。まぶしいほどに一途な思いが交差する青春ストーリー、いよいよ開幕!!

ついに完結した名作・・

終わってしまった・・50巻と区切りも良かったですし、ちょっとマンネリ化もしてきてないとは言い切れない状態でしたので、これで良かったのかもしれませんが、続きが読めないとなるとものすごく寂しいです・・ 元々は全然知らないマンガだったのですが、甥っ子が学校で百人一首大会があり、それに向けて練習をしていると言っていたので、「百人一首スペースマンガ」で検索したところ、こちらのマンガがヒットし、甥っ子に読ませる用に購入したのが出会いでした。 それで、表紙や絵柄が完全に少女マンガ的なこともあり、甥っ子が全然興味を示さなかったため、わたしが先に読んでみようと読んだんですが、これが面白い!!! 久しぶりに1日に3回も4回も本屋に行ってしまいました(続刊買い増しのため)。 その後、コロナとかあり、個人的にも一市民なりにいろいろなことがあったのですが、その度に読み直しをさせてもらってます。総武線で危うく落涙しそうになり、マスクで顔を覆ったこともありました。 マンガ一時好きだったのですが、いろんなソシャゲとかも出てきてほぼ読んでない時期があったのですが、やっぱマンガ読んだ方がいいな、と気付けたきっかけの作品でもあります。 内容的には百人一首に打ち込む高校生達の物語で、少女マンガの雑誌に連載されているものですが、正統派スポ根ものです。努力と友情と勝利も全部マシです。柔道部物語やマキバオーが好きな人は絶対に好きだと思うので、50巻ありますが、なんとか理由をつけて読み始めてみてください。

酒チャビン
酒チャビン
それでもまちはまわっている
それでも町は廻っている
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人情あふれる丸子商店街に存在するメイド喫茶(カフェではない)「シーサイド」。まさに、天真爛漫!女子高生にして名探偵に憧れる嵐山歩鳥は、地元丸子商店街のアイドル(?)兼お騒がせ娘。ありふれた町のちょっとおかしなメイド喫茶を舞台に繰り広げられるドタバタ活劇!

おおきくふりかぶって
おおきく振りかぶって
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あらすじ

県外の高校に進学した卑屈で弱気なピッチャー・三橋廉(みはし・れん)。見学するだけと訪れたものの強引に入部させられたのは、全員1年生(くせ者揃い)に女監督(コワイ)という創設まもない野球部だった!オレらのエースは暗くて卑屈。勝つために、弱気なエースのために。行け、オレら!読むとためになり、しかも血沸き肉躍り涙する。絶対に面白い本格高校野球漫画!

三橋くんの未来を見たかのような林優樹くん

9月も半ばを過ぎて、いつしか心身に沁みる涼しい風が吹いてくるようになりました。はなしは数ヶ月前にさかのぼり、夏の甲子園の県予選が始まるよりも前。U18侍ジャパンの一次選考合宿の記事に、かの有名な佐々木朗希くんと並んで、U15の選手が間違えて紛れ込んだかのような体格の林優樹くんが写っていたのに心をときめかせたものでした。 彼こそが去年の夏の甲子園の準々決勝で、近江が金足農にツーランスクイズを決められたまさにその時、マウンドにいて泣き崩れていた投手でした。この時バッテリーを組む有馬くん共にまだ2年生。甲子園球場が金農旋風に沸くなか、TV中継で祈るように林くんを応援していたのは、近江の甲子園初戦を偶然みて一目惚れしたからでした。優勝候補にも数えられる智辯和歌山の強力打線を相手に、林くんは小さな身体から「おおきく足を振りあげて」淡々と飄々と投げ込んでアウトを重ねてゆく。そして2回戦の対前橋育英では、2点のビハインドを背負う3回からリリーフして残りの9回までを無失点で切り抜け、近江は9回にサヨナラの一打で勝利。そして3回戦の対常葉大菊川では先発し、8回まで投げて3安打11奪三振の大好投。奪った三振のほとんどは、のちに魔球と言われダルビッシュ選手にも凄いと称賛される右打者の外に大きく逃げながら落ちるチェンジアップでした。球速は130前後ながら、内外高低の制球がすばらしく、とくに右打者の内角をクロスファイアで深くえぐってから外角低めに落とすチェンジアップは芸術的とさえ言いたくなる出来栄えでした。チェンジアップだけではなく、伏線のまっすぐも余程コントロールに自信がなければあれほど内角いっぱいには投げられないし、クロスステップでかなり角度があるからなのか、膝もとに向かってくるまっすぐに打者が驚いて避けていながらもストライクを取られている場面も多々ありました。ほとんど無名のノーマークでありながら蓋を開けてみれば、まだ2年生ながら大会屈指の左腕として取り沙汰されていました。 大会後に色々調べてみると、1年時には秋季近畿大会の準決で黄金世代(根尾・藤原・柿木・横川の4人が高卒ドラフト、ドカベンか!)の大阪桐蔭を相手に先発したり、その後のセンバツでは同じく1年の奥川がいる星稜を相手にも先発していたらしい。その頃から足を高く上げるフォームではあったものの、まだ「おおきく足を振りあげて」というほどではなく、それからひと冬を経て、振りあげた膝を肩にまでぶつける勢いのあるフォームに変化していったらしいのです。 そして女房役の有馬くんは、かなり早い段階からドラフト候補にも名前の挙がっていた、これまた非常にクレバーなタイプの捕手で、インタビューを読んでみると、小学生の頃から父親と野球中継をみては配球について語り合っていたという生え抜きの配球オタクであり、対戦相手の監督からも「試合の状況や展開をみて目まぐるしく配球を変えてくる非常にデータの取りにくい捕手」だと嫌がられていました。本人も「自分は相手の嫌がりそうなところを徹底的に突くタイプの捕手」だと自己分析しています。もう、林くんが三橋くんならば、有馬くんは阿部くんなのかと問い詰めたくなってしまいます。ちなみに林くんのインタビューによるとツーランスクイズを決められたときに投げたのはストレート、有馬くんのサインのスライダーに首を振って投げたそうです。それ以来、首を振ったことを後悔して、有馬くんのサインを信じて投げ抜くことに決めたんだとか。 2年生バッテリーはチームの中心として最上級生になり、秋は滋賀大会優勝で乗りこんだ近畿大会の初戦で同じく左腕エースの林投手が率いる報徳とのダブル林対決にまさかの敗退、センバツ出場を逃します。この日の林くんは自身MAXの136キロを計測しているのだけれど、これがおそらく敗因に繋がっている。夏に吉田輝星のまっすぐを目のまえで目のあたりして以来、まっすぐの球質を上げる特訓に励んだそうで、この日はまさに球の走りがよく絶好調だったとか。ただ阪急ーオリックスの星野伸之(スローカーブが有名の!)がそうだったように球が走っている日は、自分の本来の持ち味を忘れて、まっすぐで押してしまい、かえって打ち込まれることが多かったと言います。 この惜敗からチームは夏の甲子園までいっさいの負けなしで突き進みます。冬明けのシーズン開幕すぐに組んでいた奥川率いる星稜との練習試合では林vs奥川の投手戦で1-1の同点、これを先駆けに春の滋賀大会、近畿大会をそれぞれ優勝で飾り、このままの勢いでマークのかなり厳しいなか、林くんは夏の滋賀大会すべてを無失点で切り抜き2季連続の甲子園に導きます。滋賀大会決勝の光泉戦はほんとうにヒリヒリする投手戦(1-0)で、相手ピッチャーはドラフト候補の吉田くん(また吉田かい!)。9回に林くんはとうとう二死一三塁にまで追い込まれ、打者は去年のトラウマを思い起こさせたいのか二死なのに何故かバントの構えで威嚇する。値千金の1点を完封で守り切った林くんはベンチで号泣、1年間ずっと応援していたわたしも中継をみて泣いてしまった。 夏の甲子園ではバッテリーをみっちり研究してきた東海大相模のアグレッシブベースボールに敗退するものの、林くんは早くから評価の高かった女房役の有馬くんをさしおいてU18侍ジャパンのメンバーに選出される。アメリカの屈強な打者に対しても、コースいっぱいを突いた見逃しや伝家の宝刀チェンジアップで三振を奪っていました。高校野球引退後、有馬くんはインタビューで「林には本当に感謝している、林に出会えて良かった。林のコントロールのおかげで自分は配球というそこだけは誰にも負けない力を発揮することができた。またいつかバッテリーを組みたい」というようなことを言っていました。これはもう、三橋くんと阿部くんに聞かせてあげたいセリフですね。

影絵が趣味
影絵が趣味

目の錯覚という物語から遠く離れて

単行本デビュー作『家族のそれから』いらい、泣虫弱虫な人物を主人公に据えて、そんな人物像をなぞるかのように、奇妙な頼りなさで泳ぐ線画と、それに似合ってどこか芯の一本抜けてしまったように狂いがちのデッサン、こんな造形ではたして人間は直立することが出来るのだろうか、それこそマウンドでおおきく振りかぶり一本足になった途端にでも崩れ落ちてしまいそうな。 ひぐちアサの漫画はすべてこうした絵までを巻き込んだマイナス的な要素からスタートしているように思われる。と、そんなことを改まって書くまでもなく、漫画をはじめとした大体の物語なるものは何か欠如的なものがあるという認識からはじまり、その欠如的な何かを乗り越えるなり克服するなり、そんなような方向性に向かうこと必定である。では三橋くんはどうなのかというと、まず野球的な要素にだけ絞っていえば、初っ端からけっこう凄い能力をもった投手であることが明かされる。九分割のコントロールに、何よりもクセ球の真っ直ぐ。そして、このクセ球の真っ直ぐの原理も早々に説明される。いわく、打者というのは現実にボールを見ているのではなく、ある程度の経験と予測でもってボールの来るであろう位置をはかり、それでバットを振っていると。つまり別の言葉でいえば、打者はストレートという名のあらかじめ刷り込まれた定型の文脈、物語を読んでいるだけで、けっして現実をしかと見ているわけではないと。事実、三橋くんはそんなふうにして中学時代にはダメピー扱いを受けていたのである。中学時代のチームメイトは現実の投手三橋を見ていたのではなく、球の遅いピッチャーという物語を読んでいたにすぎなかったのである。 さて、この物語を読むばかりに現実を見誤ってしまう目の錯覚、これは私たち漫画読者にも当てはまりはしないか。読むという行為は時と場合によっては自分にとって都合のよい解釈にしかならないし、まさしく打者が三橋くんの真っ直ぐを打ち上げてしまうように紋切型の煽情的な物語に目くらましをされていることだって大いにあり得ることだと思う。『おおきく振りかぶって』のひぐちアサはそのことに始めから自覚的だったのではないか。この漫画はある欠如を克服する方向に持っていくという定型の物語を、目の錯覚という現実を介して、いきなり短所から長所に逆転させてしまうことからはじまり、長短でも、高低でも、正負でも、そういったいかにもありそうな物語的な対立を、けっして向かい合わせるのではなく、すべてみんなでいっせいに前を向いていこうする、それに対応する否定的な要素がみられないほどの断固たる肯定的な姿勢で乗り越えていく。その肯定的な姿勢とは、ありそうな物語を読むのではなく、しかと現実を直視しようとする試みに他ならない。三橋はあくまでも弱虫泣虫のままそれでもマウンドに立ち続けるし、田島は背が伸びないなりにそれでも工夫をし続けるし、花井は持前の勝負弱さを抱えながらそれでも強気な気持ちで打席に立ち続ける。マイナスがありプラスがあるなんて図式におさまらない、マイナスもプラスもいっしょになっていっせいに前を向こうとしている。『おおきく振りかぶって』がとても感動的なのは、ある種の物語的な感動から自由になったこの肯定の姿勢、この健気さ、この懸命さに尽きると思う。そして選手たちが正も負もないまぜにいっせいに前を向こうとしているとき、ふしぎと、そんなパワーに勢い押されているのか、狂いがちであったデッサンが芯の通ったもののように見えるのである。

影絵が趣味
影絵が趣味
しどにあのきし
シドニアの騎士
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あらすじ

対話不能の異生物・ガウナ(奇居子)に太陽系を破壊されて千年。人類の繁殖と生産を維持しながら宇宙を旅する、巨大なる播種船・シドニア。シドニアの最下層で育った青年・谷風長道(たにかぜ・ながて)は、衛人(モリト)と呼ばれる大型兵器の訓練生となり、歴史的名機・継衛(ツグモリ)への搭乗を許される。長道の命を賭(と)した戦いが今ここに幕を開ける!

あおいほのお
アオイホノオ
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あらすじ

時は1980年代初頭――漫画・アニメ界に新たなムーブメントが起き始めようとしていた熱い時代。近い将来ひとかどの漫画家になってやろうと、もくろむひとりの男がいた。男の名は、焔燃(ホノオモユル)。しかし、野望ばかりでまだ何も具体的には動いていなくて…!?熱き野望と空回りの毎日に苦悶する、熱血芸大生の七転八倒青春エレジー!!

異常なまでのおもしろ成分含有

マンガ家マンガが好きなので手に取りました。島本先生のことは超絶失礼ながら存じ上げなかったのですが、今やサインがもらいたいマンガ家ベスト5位くらいには入ってきてしまっています。 マンガ家マンガということで読んだのですが、一応そのテイストも十分に感じられますし、ジャンル分けすればマンガ家マンガになるとは思うのですが、それを抜きにしてもめちゃくちゃ面白いです。マンガとしてエンタメとしてストーリーが圧倒的に面白いですね。あとギャグもまじで面白いです。 「面白い」と言っても、コントなどをみて爆笑する面白さだけでなく、歴史が面白いという時などの面白さや、ストーリーの先が気になるなどの面白さなど、たくさんあって、面白い気持ちというのはとてもハイブリッドで複雑なものだと思います。 それが本作品は、多種類の面白さがものすごく重層的にミルフィーユされていて本当にすごい作品だと思います。一応泣けるシーンもあったような記憶もなくはないです!! しかもマンガの歴史などもものすごく勉強になります!!!例えば、うる星やつらの連載が始まったときや、アニメが始まったときなどの社会的な情勢だったり、主人公の気持ちだったりが、とても丁寧に詳しく描かれていて、体験したかのような感じになります!!! この作品はまだ連載中ということですが、どこまで行けるのか、島本先生はいま事業会社の社長を兼務されているようで、掲載のペースは早くはなさそうですが、次巻の発売が待ち遠しすぎるマンガ(わたし調べ)1位です!!

酒チャビン
酒チャビン
うみまちだいありー
海街diary
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あらすじ

男の部屋で朝を迎えた三姉妹の次女・佳乃(よしの)に父の訃報(ふほう)が届いた。母との離婚で長い間会っていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃は…。鎌倉(かまくら)を舞台に家族の「絆(きずな)」を描いた限りなく切なく、限りなく優しい吉田秋生の新シリーズ!!

鎌倉に住みたい……

私事ながら、先日、夏の休暇に鎌倉へ遊びに行ってきました。一日じゅう海だ山だと方々歩きまわって、さいごは海岸の小さな橋に足をぶらんと投げ出して海と日没を拝みました。 帰ってきて翌日、そういえば、鎌倉といえば『海街diary』だったと思い立ち、本棚を漁って、およそ2年ぶりに頁をめくりました。連載のスピードがあまりに遅いのでしばらく放っておいたんですね。するとどうでしょう、鎌倉で目にした風景のあれやこれやが数頁に2,3度も描かれている。とりわけ、私がさいごに腰を落ち着けた海岸の小さな橋、これが何度も出てきてですね、しかも三姉妹それぞれの重要な逢瀬の場になっている。そのときは涙でぐしゃぐしゃになりながら読んでいたわけですが、後になって冷静に考えてみると、じぶんの無意識がおそろしいのか、すべては吉田秋生の手中にあるのか、それは分かりませんけども、とにかく場所の力というのは物凄いと感じました。この海岸の小さな橋以外にも、おなじ風景はたくさん描かれていて、しかも、違う人物がそこに居たりする。おそらく、それらの場所は、鎌倉において人がしぜんと足を止めてしまうところなのでしょう。 海街diaryを通して読んでいくと、とくに人の生死やお金にまつわる問題をめぐって、いかに人と人とが分かり合うことが困難か、というより、そもそも分かり合うことはできないけれどそれでも生きてゆく、というモチーフが繰り返し描かれているように思います。でも今回、鎌倉にじっさいに足を運んでみて、そんな人それぞれの胸の内の想いが、おなじ鎌倉の風景の下で人知れず交わっている、そんなことを考えると胸が熱くなってくるのです。

影絵が趣味
影絵が趣味
えまもりかおる
エマ
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あらすじ

貴族ウィリアム・ジョーンズはかつての家庭教師、ケリー・ストウナーを久方ぶりに訪ねた。そこで眼鏡をかけた聡明なメイド、エマと出会い、徐々にふたりは惹かれ合う……ヴィクトリア朝の英国ロンドンを舞台に、伝統と革新のブリティッシュロマンスが始まる!