麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、前々回放送された「マンガ家ガチアンケート・渡邊ダイスケ」編をお送りします(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。
2枚の写真の間にいったい何が!?
川島 今回のテーマは「マンガ家ガチアンケート」! 今回は山内さんリクエストの先生です。
山内 以前やったデスマンガ対決で、僕が「絶対にこんな死に方はしたくないデスマンガ」として紹介した、大好きな先生が来てくれました。『外道の歌』の作者、渡邊ダイスケ先生です。
川島 細モヒカンだ! 気合いバリバリじゃない?
山内 なんでしょう、「このマンガ描いてそう!」っていう。では先生のプロフィールを紹介させていただきます。神奈川県出身の47歳、渡邊ダイスケ先生です。
川島 先生、これはいつの写真……?
渡邊 18のときですね。
川島 いつのやつ持ってきたんすか(笑)。
渡邊 専門学校の入学式のときかな。
山内 専門学校卒業後、デザイン事務所に勤務。その後。フリーのイラストレーターを経てマンガ家を目指す。『健康で文化的な最低限度の生活』の柏木ハルコ先生のアシスタントを経験しました。で、2008年。
川島 もうちょっと間にグラデーションがないと(笑)。
山内 あの写真の後、一気にここに行ったわけですね(笑)。2008年、『写真の中の他人』で第59回ちばてつや賞優秀新人賞を受賞。2012年。ヤングマガジンにて『半獣』で連載デビュー。2013年、ヤングキングGIRIにて読み切りで『善悪の屑』を掲載、その後2014年から2016年までヤングキングにて連載。2016年からはヤングキングにて『外道の歌』を連載中、さらに『善悪の屑』のスピンオフ作品『園田の歌』や、僕もおすすめマンガとして紹介しました『朝食会 RISE OF BREAKFAST CLUB』の原案も担当されてます。『善悪の屑』シリーズ累計発行部数は530万部以上という、大人気のマンガ家さんでございます。
川島 いや素晴らしい。では『外道の歌』を簡単に紹介します。
- 2016年〜ヤングキングにて連載中
- 単行本は第14巻まで発売
- 主人公・鴨ノ目 武(カモ)は妻子と共に平穏な日々を過ごしていた。
- しかしある日、妻子が何者かに暴行を受け、殺害されてしまう。
- その後、刑事をしている叔父から、容疑者は「警察関係者で捕まることがない男」だと知る。
- カモは自らの手で裁くことを決意。
- ここから「復讐屋」としての生活が始まる。
- 「本当の正義」の意味を問う問題作。
山内 なんで復讐屋みたいなことをするんだという問いかけに対して、カモが「他の誰にもできない事だから」と答えるんですよ。自分と同じように復讐したくても、警察が捕まえてくれなくて、どうにもならない人がいるから、代わりに俺がやってやるよっていうね。
肥溜めで溺死させてやろうか?
川島 ではここからは、先生に書いていただいたアンケートをもとに、『外道の歌』の魅力に迫っていきたいと思います。最初の質問はこちら。
山内 ひい〜〜!
川島 ちょっと顔が歪んでしまうような、うわーって思っちゃう復讐方法がいろいろ登場するんですけれども、そんな中でも先生がお気に入りの復讐方法をいくつか挙げていただきました。まずはこちら。
山内 やったーーっ(笑)!
川島 これ、クレーンで体が3mになるまで吊るされるんです。「3mの高さまで吊るす」じゃないですよ、体が3mになるまで(笑)。165cmだった身長は、遺体が発見されたときには倍の3m近くまであったという。
山内 そんなに伸びれるんかな(笑)?
川島 先生、これはどうやって思いついたんですか?
渡邊 これはドラマとか映画で、昔見た記憶があったんですよ。
川島 そんなドラマある(笑)?
山内 『ラブジェネ』ですか(笑)?
渡邊 長時間吊されると関節が外れて、人間がすごく伸びるっていう。それを何かで見た記憶があって、ちょっとやってみたいなと思いまして。
川島 まだあります。続いてのお気に入りの復讐方法はこちら。
川島 これも見るからに残酷。最悪な殺され方なんですけど。
渡邊 これは地元の友達と飲んでるときに、よくこういう話をするんですよ。
川島 酒のつまみにならないでしょ(笑)。肥溜め溺死って。
渡邊 向こうですごく騒いでる人がいるとき、「ちょっとうるさいな。肥溜め溺死させてやろうか?」とか言って(笑)。
川島 間がない(笑)!
山内 全部間がないなー(笑)。
川島 普通、「あいつ死んだらええのに」とか、何かいろいろあるでしょ。なんで即、肥溜め溺死なんですか(笑)。たとえば今のお話ですと、実際は(騒いでる人に)注意しにいかないわけですよね?
渡邊 しないです。僕も友達も、相手に聞こえないようにちっちゃい声で言ってるんで。
川島 (ささやき声で)「うるさっ……肥溜め溺死しろ……」。
渡邊 騒いでる人って、いかつい人が多いんですよ。だから「ああいう人たちは、クレーンで3mくらい伸ばそう」とか言って。
川島 ははあ、マンガの中で成敗してるんだ。
山内 ちなみに僕が一番うわっとなったのが、削り死(人間の体を足からヤスリで削っていく)のシーンなんですけど、これはどうやって思い付いたんですか?
渡邊 昔の『こち亀』で、すごく執念深い男の人が出てくる話があって、夜中に一晩かけてちっちゃいヤスリで車を削るんですよ。で、運転手さんが次の日朝起きたら、車がこんなんなってるという。
渡邊 「あれやりたいよね」みたいな話を若い頃、友達としてたんです。
川島 『こち亀』オマージュなんですか(笑)!?
川島・山内が復讐したい相手とは?
川島 ここで逆に、先生から我々2人に質問があるそうです。こちら。
川島 「いないという答えは無しで」とのことなので、もう逃げられません(笑)。復讐したい人、山内さんいますか?
山内 とある番組で、打ち合わせに来たディレクターがいたんですけど、その人が、オープニングトークの話を相談してきたんですね。で、「いつから芸人として主役になれないと思ったのか、その思ったきっかけを喋ってもらっていいですか」って。「なんでダウンタウンにはもうなれないと思ったのか、みたいなことをしゃべってほしいです」って言われたときに……「こいつ、いま殴っていいかな?」と思いました。
川島 すごいデリカシーのなさ。
山内 濱家はもう一瞬でピリッとなってたから、俺がすぐに「はいはい、なるほど。わかりました」と言って。で、僕らの後に、そのディレクターが飯尾(和樹)さんのところにも同じ話を持っていったんですよ。そしたら飯尾さん、「いや〜もうキャイ~ンに会ってすぐ思いましたね」って(笑)。
川島 すごい(笑)。
山内 「大人やなー」と思いました。
川島 で、そのディレクターにどうやって復讐しましょう。なに死がいいですか?
山内 ……削り死(笑)。
川島 厳しいですねー(笑)。
山内 川島さんはいますか?
川島 ショックやったんはやっぱり、相方が『ホームレス中学生』という本で225万部売れたときのことで。その頃、僕は田村の仕事についていくだけ。田村メインですよ。テレビ局は田村を呼びたい、それは当たり前なんですけど、一番ショックだったのはピンマイクを付けてもらえなかったこと。
山内 うわーっ。
川島 これはほんまに、1回だけあったんですけど。「ここまで存在を認めてもらえないんだ……」というので、その音声さんの顔と声をめっちゃ覚えてるんですよね。
山内 でもそれは音声さんの指示じゃないんですよね?
川島 音声さんは悪くないよ。上からそう指示されただけやから。でもその言い方が(冷たく)「川島さん付けなくていいんで」と言われたのが、なんか全否定された感じがあって。「おまえは喋っても使わへんから」みたいな雰囲気で。許されるんだったら……ピンマイクってさ、服を通して付けてくれるやん?
山内 そうですね。Tシャツとかを通して。
川島 その音声さんの口から入れて、目からピンマイク出したい。
山内 ははははは!
渡邊 いや、とても参考になりました(笑)。
川島 ピンマイク死(笑)。
山内 聞いたことない。
『外道の歌』でもっとも好きなセリフ
川島 続いての質問はこちら。
川島 先生の回答はこちら。
「好きなシーンは『外道の歌』2巻の126〜128Pですね。このセリフを書くために、このマンガを描いたんだな……と思いました」
川島 カモが言うんですよ。「被害者や遺族に対して、周囲の人間はただの一つも何かを要求するべきじゃない」って。
渡邊 それに続けて、「許せということすら求めるべきじゃないんだ。許せば人生が前向きになるだなんて一括りにするものじゃない。人の心の在り方と同じ様に、それぞれの考えがあるのだから」と言ってるんです。というのは、被害に遭った人の気持ちとか、家族の人の気持ちをもうずっと想像するしかないので、毎日毎日それを何年も続けてたら、自然とやっぱりこのセリフが出てきました。自然とこういう考えになりましたね。
山内 いや、深い……深いですね。
川島 続いてはマンガ沼恒例のこの質問でございます。
川島 先生の回答はこちら。
「資料写真を撮るカメラ、それとカモの衣装のパーカーとサングラスです」
川島 実は先生にこの3つの道具の写真を撮って、送っていただきました。
渡邊 これがないと描けないですね。
川島 これを見ながら描くんですか?
渡邊 いえ、これを着て、僕がサングラスかけてスタッフとかに撮ってもらって……。
川島 先生がカモになるんだ! ということで、大ファンの山内さんのために、先生がカモのパーカーとサングラスを持ってきてくれました。
山内 うわー、これ着ていいんですか?
川島 いや山内……こういう日あるよ(笑)。どうですか、念願のカモになった気分は?
山内 なんか……削りたくなってきた……。
川島 続いて、先生の仕事部屋の写真もいただきました。
川島 先生は手描きですか?
渡邊 半分デジタル、半分アナログで描いてます。
川島 いろいろマンガっぽい資料がありますけど、積まれてるのは何でしょう?
渡邊 奥にあるのは『キン肉マン』ですね。大好きなんですよ。唯一、単行本で紙で買ってるのは『キン肉マン』。
山内 他に読んでるマンガはあるんですか?
渡邊 少年ジャンプが大好きで、もうずっと小学校のときから欠かさず、いまだに買って読んでるんですけど、いま一番いいなと思うのは『SAKAMOTO DAYS』。あと『マッシュル-MASHLE-』『僕とロボコ』かな。
山内 ギャグも読むんですね。
これをやったら安眠できました
渡邊 実は、仕事場の壁を全部ガラスにしてるんです。玄関入ってすぐ正面に仕事場があるんですけど、玄関から入ってくる人間を全員チェックできるように。
川島 作業中でもパッと見たら誰が入ってきたかわかる。
渡邊 なるべく仕事場と家族が生活するところを離そうと、家を全部リノベーションして。玄関の目の前に仕事場、一番奥にリビング。玄関のすぐ隣にトイレがあるんですけど、スタッフさんがトイレ行くときに「ちゃんとトイレ行ってるかな」っていうのもチェックできるように……。
山内 めっちゃ疑ってるじゃないですか(笑)。
川島 さぼってんちゃうかと。
渡邊 いや、トイレ行くふりしてリビングの方に行ったら、「おい!」ってすぐ行けるようにですね。
川島 え、何を想定してるんです?
渡邊 毎日いろんな事件のことを調べてて、プロの窃盗グループや強盗グループの手口を知ったら、もう不安で不安で夜寝れなくなっちゃったんですよ。で、引っ越したときに警備会社の担当さんに「夜寝れないんです」って相談したら、強化ガラスを紹介してもらって。
山内 「夜寝れないから」って強化ガラスを(笑)!?
渡邊 それでベランダから小さい窓から全部強化ガラスにしたんですよ。そしたら夜寝られるようになりました(笑)。
川島 時間とお金かかったなー(笑)。でもそうしないと、安心できないのか。家族もいますからね。
最後に、渡邊先生から2人に、『外道の歌』の名シーンをモチーフにしたイラストをいただきました。
川島 これからも『外道の歌』楽しみにしております。渡邊先生、ありがとうございました!
次回放送は「川島・山内のおすすめマンガ」後編をお届けします。
(構成:前田隆弘)
【放送情報】
次回放送
読売テレビ●9月17日(土)深1:28~1:58
日本テレビ●9月22日(木)深1:59〜2:29
「川島・山内のおすすめマンガ」後編を放送。
(Tverでも配信中!)
公式HP/公式Twitter