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東京近郊のレンタルビデオ・CD店の2階にある、(株)炎プロダクション。そこではひとりの熱血漫画家が、日夜命がけで原稿と格闘していた。彼はこれまで、締切りに間に合わないという弱音を吐いたことは1度もなかったのだが…。決して妥協を許さない大熱血漫画家・炎尾燃は、今日も作品のため燃えに燃えまくる!超熱血&爆笑の、半実録マンガ家一代記。伝説の名作『燃えよペン』の魂を継ぐ勇者たちが、ここに集う!!
「新吼えろペン」は、ホノオ先生の過去作が実写映画化されることになった、というところから物語がスタートします
…というかまぁ、当時、現実世界で、島本先生の「逆境ナイン」が実際に実写映画化されましたので、そのへんのエピソードということになります
つまり、「新吼えろペン」は、「逆境ナイン」を読んでないと、完全には楽しめないお話なのです。未読の方は、ぜひ読んでおきましょう
というか、「新吼えろペン」とは関係なく、「逆境ナイン」は絶対に読んでおくべき作品です
この作品はですね…。本当に名作なんです。でもどうにもメジャー感がない。映画化したのに!
私は、島本先生の最高傑作だと思ってます。もし読んだことがない人は絶対に読むべきです
簡単に紹介しておきます
「逆境ナイン」は、今は亡き少年キャプテンに連載された、熱血野球漫画です
主人公の所属する野球部が廃部を言い渡されるという逆境から物語は始まり、主人公の「不屈闘志」(すごい名前だ)が、次々襲い掛かる逆境を乗り越え、大いなる成長を遂げるという青春ストーリーです
しかも、襲い掛かる逆境というのが、本当にちょっとシャレにならない、これは絶対本当に無理だ、みたいなものばかりです
たとえば、先ほどの、野球部廃部の関係でいうと、不屈は、廃部を防ぐため、甲子園で優勝するという大風呂敷を広げ、甲子園ベスト8の高校を10日以内に倒す!と言い出します(なお主人公の所属する野球部は地区大会ベスト4に入ったことすら無い)
そして、他の部員らを説得して、いつもの日の3倍の特訓を開始するのですが、部員たち(全9人。不屈含む)のうち7人がいろいろな事情で試合に参加できなくなり、さらにはピッチャーである不屈は試合前日に利き腕を怪我するという大ハプニングに見舞われます
どうしようもない逆境ですが、そんな状況でも「今日の試合…」「勝つ!」と言い切る不屈。凄すぎますね。読んだことない人ははやく読みましょう!
なお、最高に盛り上がるのは、3巻の終わりから始まる、県大会決勝です(日の出商戦)
詳しくは書けませんが、不屈は、ちょっと信じらないような逆境に襲われ、しかしなお、そこから立ち上がります
このへんの展開は、他の野球漫画では絶対にありえない、島本作品だからこそ成り立つ、一歩間違えばギャグになってしまうような、ギリギリの、でもだからこそ最高に燃え上がるものになっています
島本作品の完成形といってもよいと思います
今回、改めて再読したのですが、やはり良かった。いつ読んでも良いです
なお、少年キャプテン版のコミックは長らく絶版でしたが、映画化に合わせてサンデーGXコミックで復刊し、今はkindleでも読めます