陶芸漫画のパイオニア
陶芸漫画のパイオニア的作品だと思います。 NHKで田中美里さん主演でドラマ化されており、たまたまドラマを観て面白かったため、原作の漫画も読んでみました。陶芸について知らない身からすると、とても勉強になる漫画でした。有名な〇〇焼きは何県の物でどのような特徴があるのか等、陶芸の基本を学べました。焼き物の歴史、土の違い、作陶の技術、釜の違いなど、かなり深い部分まで描かれています。 父親の思いを継ぐ主人公はもちろん、トーベェさんなどの人情噺もあったりで、物語としても充分に楽しめました。青年誌連載だけあり、透明感のある画に対してドロドロした話もあり、結構読み応えのある漫画です。
3巻くらいから主人公が器を焼き始めるので面白くなってきます。
一度登り窯の窯焚きを手伝ったことがあるんだけど、本当に徹夜で大変だった。マンガに出てくる通り験担ぎもやるし日誌もつける。土の成分がどうとか窯の温度をどんだけの時間かけてどんだけ上げるかとか、ちゃんとデータを取ってる。釉薬も完全に化学の世界だし、かと思えば『用の美』として「持った時に軽いか」「口をつけやすい形になってるか」みたいに、デザイン的な側面もあって、めちゃくちゃ奥が深い。
そういう細かい薀蓄も「幻の器の作り方を突き止める」ための手がかりとしてストーリーに出てくるので押し付けがましくない。職人世界のかっこ良さにも痺れるし、とりあえず野焼きをやってみたくなる。