劇画のドンが秘めていた危険な裏話が、出て来るのかと期待させる漫画
今は亡き梶原一騎氏の自伝であり、これまで書けなかった事を暴露的に発表するとの触れ込みで連載が開始された本作品ですが、氏の急逝で残念ながら未完大作となりました。力道山vs木村政彦の世紀の決戦から始まる物語は、梶原氏の独壇場である格闘技界を中心に進んで行くので、安心・安定感があります。未完ですから物足りないと思った方も多いでしょう。そんな人は、小説「梶原一騎伝/斎藤貴男」を読み、漫画らしい部分の修正や補完をすれば尚良いと思います。
劇画原作の第一人者で、数々の大ヒット作を世に生み出した梶原一騎の引退作にして絶筆作品。この作品の連載中に巨星が堕ち完結を見なかったことは非常に惜しまれるが、『巨人の星』や『あしたのジョー』などと並ぶ代表作であることは間違いない。「これが劇画原作者・梶原一騎としての最後の作品になる。題して――一騎人生劇場・男の星座。さよう、完全なる自伝である。(中略)愛する読者諸兄よ、梶原一騎とのゴージャスなる「最後の晩餐」に堪能せよ!」(本文「さらば友よ」より)。
「アントニオ猪木監禁事件」は当時、
・新日に登場したタイガーマスクの権利・利益で梶原先生と新日本プロレスが揉めていた
・猪木さんが寛水流という空手流派の設立に関与していたため、
空手なら梶原という自負・面子から揉めていた
等の事情から、ホテルの一室に梶原氏がヤクザとともに猪木さんと新日営業部長の新間さんを呼び出して軟禁・恐喝・暴行もしたといわれる事件ですね。
そこには拳銃使いで有名な大物ヤクザもいたとか。
もっとも梶原先生自身は
「ちょっと会いたいと思って呼んだだけ」
「激高するヤクザをなだめる立場だった」
というように述べているようです。
とはいえ、これってヤクザがらみの恐喝事件で関係者が供述する典型的パターンですよね。
自分とヤクザが飴と鞭を役割分担するという。
この事件に関しては後に新間氏が
「猪木は数分で退室してしまい自分だけ一晩軟禁された。
翌朝に猪木のところに行ったら警察を呼ぶつもりだったんだがと言い訳された」
見たいなことも言っています。
梶原先生が真実をブッチャケてくれたら相当に興味深い話が聞けたのでしょうけれど・・。