ネタバレ

【掲載誌】
モーニング2017年30号(2017年6月22日発売)より連載開始

【代表作】
『湘南レスキュー部』 東元俊也 名義
バウンスアウト』 東元俊也 名義
バタフライ』 東元俊也 名義

【公式ページなど】
モアイ http://morning.moae.jp/lineup/833

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佐野は田中さんの部屋を見回して何に気づいたのだろう。片付いているのは誰かが世話に来ているということか。

田中さんは鼻がきく。
「いい匂いだ」と言う背後に鈴がいる。
薬を用意する、と言ったのは女子。
そして最後にささやきかける人物も何かの匂いを感じている。
まるで鈴を疑え!と言われてるような展開だが…

「いい匂いのする先生」は果たして本当に先生なのか?田中さんは目が見えないのだから子供達と一緒にいる大人を先生と思っているだけでは?

毒を使えば人を殺したいって思いさえあれば誰でもできるわけだし、子供を容疑者候補から消してしまうのは早計だよなぁ…とわかってはいるんだが…

「夫の葬儀中、そこに来た夫の同僚に一目ぼれをした未亡人。その夜に息子を殺害した。その理由とは?」
という話が一時期僕の友人のあいだでよく話題になっていた。サイコパスという言葉が広まる前だったので、猟奇殺人犯ならこう答えるという感じだったが。
最後のうさぎの話はこれを思い出した

 前回は、犯罪心理学者、ロバート・D・ヘア博士が作ったPCL-Rサイコパシーチェックリストを紹介したが(関連記…

7話、単行本の最後のページに犯人がラジカセに録音している場面でカセットケースが並んでいるコマがある。
そのラベルの日付の筆跡がどれも違う。しかも縦書き、横書き、メーカーのロゴと逆向きのもの、ラベルが向こう側になってるものと不統一。
これって田中さん宅の詩を録音しておいて子供たちに書き取ってもらうためのものではないか?

落としどころが全く見えない。作者の頭の中ではもうかたまっているのだろうが。
先が楽しみだよ。

同感。
事件が起きないと犯人の手掛かりがつかめないのは残念。何件かやり過ごすことになるのか。
和歌山の毒カレー事件とも共通するのが、目撃証人なし、被疑者の自白なし、ただ状況証拠のみで最高裁で死刑が確定していること。
犯人が分からないまま凶器が佐野家に持ち込まれてしまうとゲームオーバーとなる。
結構な長編になってしまうか。

念のため1話に出てきた犠牲者のリスト。
◯◯美和子、工藤小百合、山口由紀子、佐田悦子、冴島真理、
斎藤愛、古川かなめ、吉田朋美、星野ゆい、
永山涼、岡田健介、須藤直人、児玉直弘、
西脇勤、藤崎正也(転校生の)、佐藤陽 の16人の生徒と
木村さつきを含む5人の職員。合計21人。
当然このメンバーはシロということになる。
病院に運ばれたのが39人。生存している被害者も結構いる。
教室での自己紹介の場面の登場人物で生存しているのは(行方不明の三島明音を除くと)佐野涼、そして加藤みきお。

過去を変えてしまったら、生まれたばかりの娘の未来(みく)は、どうなるの?
後、気になるのは、現代の時間軸で、刑務所の佐野文吾に、田村心が会いに行った時に、全ての真相が判明するとか、そう言う展開が予想される。

こういうタイムリープするストーリーだと、過去を変えてしまった結果生まれるはずだった子供は生まれないことが多いよね。殺人事件を回避するか、父の冤罪?を晴らした段階で相当人生が変わりそうだから、出会う相手も変わってきそうだし、やっぱり生まれてこない展開が濃厚かと。

今回のカセットテープさ、2通りに解釈できると思うんだよね。1つは、佐野が立ち会って注射をしているのを外から見ている誰か。もう1つがあの場にいた誰か。まぁあの場にいるとなると佐野以外にはありえないだろうし、さすがにないと思うんだけどね。邪魔者ってのとの整合性も取れなくなるし。

犯人が一人?で田中さん宅に来ようとして佐野文吾のパトカーを見つけ、「邪魔者」。これで佐野は無罪確定か。それにしてもいい推理している。
元の世界でも一連の事件を殺人の線で捜査しているが、ノートの出来事が役に立たなくならないことを願う。

田中さんの詩、暗すぎる。犯人の残酷さにも影響しているのか。
最後の絵、泣いてるのが三島明音なら消されたのは
①亡くなった妹なら、1人でさまよう、行方不明事件の暗示。
②目の大きな子、すぐ前にケンカした鈴だとしたら、鈴が狙われている?
ウサギは子供が生まれてから殺すみたいなことを言っていたが、これまでのはすべて明音を悲しませる状況を作って楽しんできたんだろうか。

「お稲荷様のたたり」の話、まるで映画の「八つ墓村」みたいだ。そういえばタイムリープ直後にキツネの面をかぶった子供に会っているが。
それにしても長谷川翼、気持ち悪いくらいに5年生のいるところどこにでも現れる。三島明音のことをいつも面倒みているとのこと。何者?

1話の伏線として、夫婦で写っている写真が置かれているコマ、未来にハーモニカを聞かせると喜んでくれる、というエピソードがあった。ぎっとこれに対応する形で伏線回収はされると思う。
経験する出来事、それによって変わる人生があってもあの両親、兄姉、そしてわが子との肉親関係は決して変わることはない、というのがタイトルに秘められたテーマなような気がする。単行本表紙の文吾と子供の心が手を繋いでいる場面は元の世界では実現していないが。

あの場にいる誰か説の場合、初登場の長男に疑いがいく。週末しか帰ってこない。そして事件はすべて週末。
もちろん田中さんは息子の声を聞き間違えることはないと思うし「いい匂いの先生」を演じることはないと思うけど。
明音と鈴のケンカを目撃した1人が外から見ていたという場合、ケンカを仲裁しようとした加藤みきおが気になる。でもやはりいい匂いのする小学生ってちょっと不自然だけど。
このまま謎の状態のまま終盤までいくのだろうか。

そうか、長男の田中正志は登場したっきりすぐにいなくなった(&注射のシーンにはいなかった)ので失念していた。たしかに彼の可能性はありそう。
あとちょっと気になるのは、田中さんの詩のメモに使われている漢字が小学生には難しすぎるということ。砲艦なんて小学生には絶対に無理だと思う。

確かに小学生には分からないだろう言葉、感じを使っている。
しかし一方では最後の絵、5年生の書く絵としては下手くそなレベルのように思う。
ますますわからない。

うーん、そうなんだよね。色々とちぐはぐで、いろんな可能性がありそうなんだが、まだこれっていう決め手がない。まだ序盤だから当たり前なんだろうけど笑

ついでにいえば最初の事件の犯人の初めてのメッセージは年齢、推定体重、パラコートの分量といちいち詳し過ぎ。職業でいえば医者か警察みたい。
複数犯、多重人格者、それとも催眠術や洗脳?な世界。

タイムリープの直前と直後にそばにあった石の地蔵が描かれたコマがあった。自分の意志でもないので、度々タイムリープを起こす物語ではないかもしれない。

複数犯の可能性はおおいにあると思う。
田中さんの詩に「死」などの言葉が出てくるので、犯人と接触しているうちに影響を受けたのかもしれない。洗脳とまでは言わないけど、そういう精神的な影響?繋がりはヒントになるかも。

タイムリープは現代に戻るためにもう一度は起こると思うが、それ以上に関しては本当になさそう。もしくは事件の解決が物語の主題ではなく、物語を間近で見たことによる心の変容を描きたいのかも。テセウスの船というタイトルと1話目の始まり方から考えると。

田中さんの詩、物凄く気持ち悪いが、それだけじゃなくてそもそも詩じゃない、というか全然脈絡がないし、横線を無視して書いている。失礼だが頭大丈夫かこの人?と思えるレベル。
同じ人、というか精神状態の人が最後の絵を描いたのなら納得かもしれない。
そもそもこれ、本当に田中さんの詩なんだろうか?そうだとしたらヤバ過ぎるが。

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テセウスの船

どちらかというと『テセウスの船』というより『動的平衡』じゃない?

テセウスの船 東元俊也 東元俊哉
mampuku
mampuku

時間遡行をして人生をやり直したとしたら、それは本当に同一の自分といえるのか?という問いを有名なパラドックス「テセウスの船」になぞらえたタイトルだ。 ストーリーに関しては論理的整合性や感情的整合性においてやや粗い部分も感じられたもののサスペンスとして緊張感もあり、ラストは新海誠監督『君の名は。』のような美しい締め方だったし概ね面白かった。 ただ、タイトル『テセウスの船』がイマイチストーリーにハマっていない感じがした。 どちらかといえば「動的平衡」のほうが比喩としてしっくりくるのではないだろうか。 「動的平衡」とはシェーンハイマーの提唱した概念であり、日本では福岡伸一氏による著書『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』で有名になった言葉である。“生命”とは、取り込まれ代謝されていく物質、生まれ変わり続ける細胞どうしの相互作用によって現れる“現象”である、という考え方だ。 主人公の田村心は生まれる前の過去に遡り、そこで巻き起こる惨劇を阻止することで、その惨劇により自身に降りかかった不幸な運命を変えようと奮闘する。作品では、過去を改変して自らの人生を曲げようとする一連の試みをテセウスの船にたとえているが、やはりピンとこない。作中、田村心は殺人事件を未然に防ぐため凶器となった薬物を隠したり被害者に避難を呼びかけたりするが、その影響で心の知る未来とは異なる人物が命を落としたり、結果的に大量殺人を防げなかったばかりか予想だにしなかった事態を招くことになる。 この予測不可能性こそがまさに動的平衡そのものって感じなのだ。生命体は、船の部品のように壊れた部分を取り替えれば前と変わらず機能する、ということにはならない。ある重要なホルモンの分泌に作用する細胞を、遺伝子操作によってあらかじめ削除してしまったとしても、ほかの細胞がそのポジションを埋めることがある。これは心が殺人事件の阻止に何度も失敗したことに似ている。思わぬ不運や予想しない死者が出てしまったのも、脚のツボを押すと胃腸の働きが改善するなどの神経細胞の複雑さに似ている。 船は組み立てて積み上げれば完成するが、生命は時間という大きな流れの中で分子同士が複雑に相互作用しあうことで初めて現象する。『テセウスの船』での田村心の試みは人生あるいは歴史という動的平衡に翻弄されながらも抗う物語だったのかもしれない。

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