表題作の「レオは負けない 」以外の方が好きかな。「ドラフト」と「隠れ鳶」はお気に入り。 「ドラフト」のようなヒューマニズムが溢れた漫画は何回読んでもいい
偶然「肝練り」なる奇天烈な文化について知り、それがこの薩南示現流に登場するということで読んでみました。とみ新蔵先生の作品を読むのは初めてだったので、ワクワクしながら読み始めたのですが、結構意外なところがたくさんありました。 【絵柄】 バリバリ硬派に武士を描いていて格好いいのですが、ペンのタッチやコミカルなデフォルメが西洋っぽいなと感じましたなんというか…昔の海外の風刺画っぽいというか、ルパンっぽいというか。 【意外とノリが軽い】 絵とストーリーがバリバリ硬派なのに、コマのスキマで頻繁に先生が自分の作画にツッコミ入れまくりなのに驚きました。(たしかに昔の漫画は作者の独り言とか漫画家仲間への手紙とか多いですけど、こんなにセルフツッコミが多いのは初めて読みました) あと「✧」「♫」「♡」などの漫符が使われていて、野性味溢れる力強い絵とのギャップがすごい。 井上雄彦がバガボンドで極力記号を使わないように描いていると言ってて、それまでその必要性が理解できなかったのですが納得しました。 【作品への感想】 裸足で歩き回って足裏の皮を厚くし、その辺の犬の首ねじって食うのめちゃめちゃで好き。 善吉和尚22歳なの普通にびっくりだし、過去が壮絶すぎ。「道理のない憎しみ」って自分も持ってるんじゃないかなとハッとしました。 重位の修行シーンの描写が長くて濃密なだけに、そのあと長谷場たち弟子が割と簡単に示現流の技を習得しているっぽいのがちょっと気になってしまいました。もっと苦労してほしい。 日本史に明るくないうえ、前情報抜きで読んだので最後に巻末に「(財)示現流東郷財団・ホームページ」とあり、示現流も東郷重位も実在すると知り驚きました。
※ネタバレを含むクチコミです。
本編の最終巻が13らしいですが、感動しました! 泣いた〜。 カメさんの人生が凝縮されててとても良かったです。この作品は全体的に優しさに包まれていて大好きです。
時間跳躍や並行世界移動で世界や大切な人を守る、という作品は、例えば『魔法少女まどか☆マギカ』のように、使命の重さと失う切なさ故に尊い!と感じる作品が多いと思う。 この『スーパーノヴァはキスの前に』も、時間跳躍で世界の滅亡を阻止しようとするのだが、それにしても…… 地球、簡単に爆発し過ぎ! 未来人のトキ君は、過去にやって来て皆の憧れの先輩と付き合う。先輩は地球の存亡に関わる存在……彼女が不満だと、地球は爆発!なので、先輩の恋心を満足させようとするが、トキ君はシャイな奴。キス一つままならず、地球をいくつも爆発させてしまう……おいぃ……。 それでもトキ君、次第に頑張って積極的になるが、先輩のツボが、分かったり分からなかったり……トライ&エラーを繰り返す。当然その数だけ地球滅亡。 先輩の心は、なかなかに不可解。トキ君はそれに、否応なく振り回される事になる。地球滅亡の切迫感の中にありながら、どうしても「不可解女子」と「振り回される情けない男子」の恋の攻防に心を持っていかれる。 恋の成就が世界を救う物語は、例えば『魔法先生ネギま!』シリーズっぽい、「軽さ」と「巨大感情」の両立に向かっていく予感がする。 さあ、先輩の欲望はどこまで膨らむのか……そしてトキ君それに応えられるか?色んな意味でドキドキだ!
とある事件をきっかけに地球のバランスが崩れ、現実社会が夢の中のような、ヘンテコになってしまった世界で繰り広げられる青春オムニバス・ストーリー。かなり何でもアリな世界観なので、物語の自由度は「実私」よりも高いと思う。週刊少年ハチのように熱い部分だったり、さくらDISCORDのような甘酸っぱいさもあり、これまでの増田英二ワールドを全て詰め込んだ感じがする。一話目からいい感じのフレッシュさを感じる内容だったし、オムニバス形式ということで、今まで見たことのない青春群像劇に期待です。
季節を感じられる作品って、心温まってとても好きです。 花屋の店主六花の元旦那(既に亡くなっている)が見えてしまって、中々恋愛が前に進まない葉月くん。 元旦那さんは亡くなってるから、もちろん六花には触れられない。一番の切なさを感じたところがあったんですが、六花さんと葉月くんは現実で生きていて、二人の関係もどんどん前に進んでいるところですかね。 元旦那さんは、亡くなった時のまま全てが止まってるので。葉月くんとのやりとりとか諸々切なかったなあ。 花と人との描写はすごく綺麗で癒されました。
いま二巻分よめるらしいので試しに読み始めました。 忘却バッテリーってそのまま忘れてるのに野球やる漫画ですが設定はさておき1話がうまい!いや、キャッチャーのキャラがいい!?最高でした、読み進めます 1話読んでみてくれ〜!
ちぃの起動方法がすごいエッチだ…
夜の東京を駆るモグリ(!)のタクシー運転手「ミッドナイト」。彼が乗せるのはなぜだか毎回ワケアリの乗客ばかり。色んな人が居るんだな…という点では『ドキュメント72時間』とか『家、ついて行ってイイですか?』的な楽しみ方も出来るかも。 単純にお客さんを乗せる以外にも陰謀や犯罪に巻き込まれるエピソードも多いので、カーアクションも見所の一つです。 ミッドナイトが乗る相棒のタクシーはボンドカーやマッハ号のように特殊機能が満載のロボットカーです。防弾機能はもちろん車体から「5本目」のタイヤが飛び出たり、アクロバットなワクワク仕様。そんなタクシーがあるか!という感じですがやっぱりこれは嬉しいですね。 各話完結で読みやすいですがレギュラーキャラも魅力的で、なんとブラック・ジャックも登場します。モグリ仲間として! 脳死状態になってしまったミッドナイトの「ダチ公」マリを診察するなどなかなかの活躍ぶりで、衝撃的と言われる最終話にも重要人物として登場しています。 個人的な推しキャラは密かにミッドナイトに想いを寄せる運送会社の女社長カエデちゃんなのですが、これもまた最終話の展開に胸が締め付けられた次第…。 きちんと調べてはいないですが、最終話が収録されている電子書籍はおそらくこの文庫版だけだと思います。単行本に収録されなかったのは手塚治虫公式サイトによると「あまりにも意外だったため」とのこと。 確かに今読んでもかなりインパクトのある結末でした。 https://tezukaosamu.net/jp/manga/480.html 軽々しいことは言えませんけれども百合作品が好きな人は今こそミッドナイトを最終話まで読むべきなのではないだろうか…というような少々勢いづいたことを言ってしまうくらいのパワフルなストーリーテリングを楽しめる作品でした。
安堂維子里さんを知ったきっかけが「特蝶」だったので、今回初めて初期の作品を読んで作風が全く違うのに驚きました。ペンネームが違ったら同一人物だと気づかなかったと思います。個人的な好みで言えば自分はこちらの方が好きかもしれません…。作品の内容としてはSFファンタジーなんですが詩的な世界観もあります。五十嵐大介が好きな人は絶対好きだと思いますよ!
作者本人が書いている通り「ヒューマニズムを描くにはどういうモチーフであろうと関係ないんだと思います」がわかる短編集 表題作の「サンシャインロード」と「監督日記」がむちゃくちゃ面白い。 試合後のトレーナーのセリフはマジでよかった。結局勝負ってのはこうじゃないと面白くない。この冷徹さも含めてやはり弘兼憲史の漫画は面白い
魔女や超能力者やドラキュラなどの短編集。弘兼憲史の短編集を読めば読むほどネタの引き出しの多さの凄さに衝撃を受ける。あとスマートではない人間の仕草や描写やむちゃくちゃうまい気がする。この中だと「シクラメンのかほり」が好きかな。 俺が持ってる文庫版の帯では全6巻と書かれているけど9巻まで出ているんだな...
怖いものなんてない、失うものなんてないというマインドはやっぱり守るものや抱えるものが多くなればなるほど失われていくものだと思います。 ということは最強に守られていて愛されていて全てを手にしているけどそんなこと知ったこっちゃない子どもたちって死ぬほど強いのではないでしょうか。強盗に入られたら超こわくて通報すらまともにできない気がするけど子どもだったらみんな全盛期のマコーレカルキンくらいのことできちゃうもんな(偏見) そんな無邪気で聡明で金持ちで怖いものなしの子どもたちが大活躍するのがレピッシュ! 小学生なのに人生はバクチだとか言っちゃうの最強すぎる。飛行機とか電車自由に動かせるくらいの金持ちなんだからそもそも人生勝ち戦じゃねえかと思いつつも、無鉄砲で素直なチャコたちが眩しくて仕方ないのです。 怖いものなんてない、失うものなんてないように見えるけれど、原動力は大切なひとを守るため。無鉄砲なだけじゃなくて優しくて強いのが素晴らしいところです。 主人公が小学生だからといって侮るなかれ、バトルありスリルあり胸キュンありの最強エンターテイメント漫画です!
お化け屋敷って言われてるような洋館に引っ越してきた友達いない女子高生が呪いの人形に「オマエニ一生ツキマトッテ不幸ニシテヤル…」と取り憑かれて、「私も一生一緒にいることを誓います」って友達できたって喜んで、絡みが濃厚すぎて呪いの人形が逆に逃げ出そうとするホラーコメディ漫画めっちゃ面白いからみんなに読んでほしいよー! 呪いの人形、通称のんちゃんが愛されすぎてどんどん可愛くなっていく様子も見逃せない! ↓1話↓ https://viewer.heros-web.com/episode/10834108156740407901
タイトルは「さかどころ はらいそにちじょう」と読みます。SFと居酒屋をかけ合わせた作品でして、サイバーパンクかつレトロな雰囲気があり、荒廃した世界でたくましく生きる人々による人情噺が特徴です。「陋巷酒家(うらまちさかば)」に近い世界観なので、あわせて陋巷〜を読むことで、より楽しめると思います。 https://mangahack.com/comics/7190
家の仕事が”呪い屋(まじないや)”だという女の子が主人公。悪い子ではないのだけど、やることなすこと空回りして対象に呪い?をかけてしまう体質らしい。この先の人生も苦労しそうだなぁ…と思わせる表情がいいですね。
可愛らしい新連載だなと思いました。 美術室にひとり籠って創作に没頭する美術部部長のつぐみは、ある日突然生徒たちの作品がなくなっていることに気づき、速攻犯人が判明するのですが…正体がモンスターでした!! そのモンスター、人を襲ったりなんて気は一切なく、人間界の美術作品を「キラキラした財宝」として手に入れたい!という一心なんです。可愛らしくて健全。 そしてそのまま「そんなに欲しいなら、作ってみればいいじゃない」なんて素敵な展開!!最初は折り紙から。可愛らしい!
主人公は男子たちから女王様キャラだと思われてる女の子・えりな。ある日、家に迷い込んで来た猫の可愛らしさに感極まりキスをすると、なんとクラスの感じ悪い男子・猫山が全裸で現れて…!? 殺生丸様…シリウス・ブラック…動物に変身するイケメンってなんでこんなに良いんでしょうね。 普段無愛想っていのがまた猫っぽくていい。 http://betsufure.net/news/476.html
なんといっても主人公・星之スミレのキャラクターが強烈。173cmの長身でタバコをスパスパやりながら周囲の迷惑顧みずやりたいことに猪突猛進。持ち前の破天荒さにはいつもスジが通っていて嫌味なところがありません。見ていて気持ちのいい、カッコイイ主人公です。 スミレの所属する新聞部のメンバーも魅力的。スミレの相棒かつストッパーの優等生・琴子、ガタイはデカいけど繊細な部長に、スミレLOVEの後輩・上小路くんとバランスがよいです。 特に上小路くん、ちょっとおマヌケなキャラなのですがふとした時にスミレとちょっといい雰囲気になるのがほっこりします。いい部活モノだ…。 基本は高校生活のドタバタした日常を描いているのですが、ちょっとファンタジーな出来事もごくごく普通に起こったり。 それを「まぁいっか!」と受け入れてしまえる理由のひとつは、スミレを始めとするキャラクターたちの実在感でしょう。 何が起きても彼女たちのあり方は変わらんだろうという安心感が作品の懐を深くしている気がします。 そしてもうひとつはどのページ、どのコマにもたっぷり詰まった遊び心。どんな展開になっても必ずくすりと笑えるのがすごい。 頭をユル〜くして想像力とウィットの世界に身を委ねるのが最高に気持ちいい作品です!
MIX、11月号から連載再開だそうです、良かったですね!! 今回はリハビリ読切とのことで、仕事場の近所を散歩する様子が描かれてます。 デビュー50周年の節目にこんな事態になってしまいましたが、やはりなにより悲しいのは夏の甲子園の中止ではないでしょうか(代替大会はあるものの)。 あとあだち充漫画といえば西武線。読切にもおなじみの駅が出てきて地元民としてはやはり嬉しい。
最近単行本で読み返したが単行本で読んだ方が数倍面白かった。百人の悪党集団を撲殺していくだけというシンプルな内容と全3巻というちょうどいい巻数で一気に読めた。続いて欲しかったと思う反面ここで終わったから良いという気もする
恋人の紺を急に亡くした女子高生・純は、紺の妹・藍と再会する。純に憧れ、純を追いかけて同じ高校に入った藍は、純に恋心を告白する。紺への想いに囚われていた純だったが、次第に藍に心を開き、仲を深めるうちに、紺への呪縛が解けていく。しかし……。 ○○○○○ 主人公・純の心にあるのは、いつでも失った者への執着や、後悔である。かつての恋人への想い、そこから救ってくれた藍への後悔、決定的に失われた事柄への、遅かった気づき、どうしようもなさ。 純と藍の恋愛は熱を帯びてゆく……ように見えて、純の受身な姿勢は最初から最後まで、どこかもどかしい。しかし、そのもどかしさは、私が私自身に感じるもどかしさ……自分の狡さや愚かさを見るようで、どうしようもなく純に共感してしまうところもある。 それゆえ、最後に打ち込まれる「Forget Me Not」という楔をそのままに、愛情と贖罪を胸に、生き続けるという純の能動的な覚悟に、背筋が伸びる思いがする。そういう罪の生き方が、私に出来るだろうか。
「零戦少年」1巻で完結したはずでしたが、続編が刊行されていて驚きました。なんと完結後にお祖父さんの同期、三浦さんという人物から連絡が届き、そこで新たに得られた戦争の証言によって続編が作られることに。 今作では戦友・三浦さんから見た祖父と、三浦さん自身の戦争体験が描かれています。予科練での訓練、戦地での再開、そして共に特攻へ向かった先で起きたこと。あらためて戦争とは一人の主観だけでは到底理解しきれないものなのだと思い知らされました。前作を読んだなら続編も読んで損はないです。 ※それと、もし興味のある方は現在連載中の「不死身の特攻兵」という漫画も読んでみて下さい。葛西さん・三浦さんたちと同時期のお話になります。おすすめです。
漫画家って破天荒なイメージなんですよね。 生活スタイルが乱れていることもそうですが、そもそも漫画を描く上で、ものの見方が「普通」ではないわけで、それを表現することで読者に新しい価値観なり考え方を与えてくれると思っております。 なので、必然的に「一般家庭とは異なる」という先入観があるのです。 だが、しかし。本作を読んで、その考えが全く変わりました。 もう公になっておりますが、『BEASTARS』の作者:板垣巴留氏は、日本男児必読の『刃牙』シリーズの作者:板垣恵介氏のご息女です。 刃牙を読んだことある人は同じように思ってくれるかもしれませんが、刃牙で表現される「父親像」(父性)がとにかくすごいので、一体、どんなふうに育ててきたのか?と気になってました。 結論いうと 破天荒なんてもんじゃない、めっちゃ良い家庭で育った ということ。 板垣家、なんという幸せ家族。その一言です。 性格の異なる二人の姉妹。 いつも褒めてくれる愛くるしい母。 イケてる祖父。 そして圧倒的な父! 本作内で父親を描く瞬間は、そう多くはないのですが、その分存在感があってすごいです。 また良き父親らしいシーン ーたえず気にかけてくれたり、子供ではなく一人の人間として扱ったりー があってほっこりします。 特に自分が印象深かったのは、巴留氏が学生時代に父親と会って別れる際に「スイカに2万円ほどチャージ」してくれるというシーン。 ここに感銘をうけた。 現金を直接渡すのではなく「スイカにチャージ」という点。 国民的大ヒットの刃牙の作者であれば、うなるほどお金があるはずなのに、子供に無尽蔵にお金を分け与えない姿勢が垣間みえて、めちゃくちゃしっかりした教育方針をもっているのだと感じました。 お金に関する親の考え方が一番教育に出て、ひいては子供の人格面に影響を与えると思うんですよね。 金持ちの親がドラ息子抱えるのは、お金に対する明確な方針がないからだと考えているので。 (作中でも出てきますが、巴留氏はバイトをしたり意外と貧乏学生もしております。) デビューも親の七光りでなんとかしようとしない姿勢も、こういうところからなのかしら? また、こんな家庭の一幕を垣間見せながらも、 基本は、作者独特の目線で描かれていてそれもまた面白いです。 スポーツ中継を見ながら、突然、TVにうつる選手と入れ替わったら?とか、ふつー考えないですよね。(その対策もまた独特で笑えます。) 『BEASTARS』は「多様な種と共存していく社会」を描くという意味で、ダイバーシティをうたう現代社会の写し鏡的な作品だと、私はとらえております。 そこには、他者に対する想像力が重要なのですが、 この『パルノグラフィティ』を読んで、作者のその能力の一旦(ないしは、育まれた過程)を見ました。 『BEASTARS』がより楽しめること請け合いです。
森泉さんといえば「爪楊枝で漫画を描く人」ですが、一番最初に掲載されている「最後のフェリー」は初めてボールペンで描いた作品だそうです。 あとがきに「そろそろペンで自分の線を描けそうな気がしたから」とありました。 普段爪楊枝で描いていることに対しては「自分でもよくわからない」と言っているのがなんか笑えました。 通常のマンガ誌に掲載されている読切等は読んだことがあったのですが、文芸誌やアーティスト個人に寄稿したものがあるのは初めて知りました(ランバーロールは読んでいます)。活動範囲が広いというのがわかる短編集です。大林宣彦監督って義理のお父さんなんですね。監督との二人のエピソードを描いた話が好きでした。 タイトルの「爪のようなもの・最後のフェリーその他の短篇」という普通ならどれかひとつの短編タイトルを付けたりするものですが、こういうかたちにしたというのになにか意味がある気がしてなりません。 またこれだけは強く言いたい。紙版を買って読むべし。 作品によって用紙が変えてあり(なのでさわり心地も違う)、ただお金がかかっているなという高級な感じはなく、リトルプレスのような自由さがあります。 ▼こんな感じ
これはたしかにつつがない。 必要以上の温かさも幸せも困難もなく、ただつつがない生活がここにはあります。 いや、ちょっとの不安や不穏さはあるんだけども、それを補うだけのちょっとの愛や優しさがある。 溢れんばかりではなくて、たまにぽたっと降ってくるくらい。 日々の暮らしってこういうのでいい。こういうのがいい。 自分もこういう生活をできている気もするし、できていない気もするし、客観的に見ないとわからないけど今日も生きているのでまあいいかなと思ってます。 この作品は何もない日々の暮らしへの礼賛ではなく、ただただそこにあるものを映し出しているようで、そのつつがなさが素晴らしいなあと思いました。 感想を一言で言うと「ああ、つつがないなあ…」って感じです。
昔アニメをきっかけにハマって漫画も読んでいたのですが10数年越しに再読しました。当時はもっと見てはいけないもの見ている禁忌感があったはずなのですが自分も大人になったということでしょうか。とはいえ遺伝的な奇病とか黒髪和服の美女っていう世界観はやっぱりいいな〜と思ったので確実に影響を受けたことを実感しました。 まるで吸血鬼のように他人の血を欲してしまう精神的な奇病を発症する一族に生まれた姉と弟が主人公。大抵は女性のみが発症するとされ幼いうちに症状が出た姉とは違い、普通の人間として育つことを望まれた弟は秘密を知らないうちに父の友人の元で育つことになった。しかし高校生になった弟は発作に襲われ発症してしまい、生き別れた姉と同じ宿命を共有して生きることを選択する…。 弟の発作を治める為に姉が自分の血を飲ませていくうちに一線を超えるような愛情をお互いに持ち始めますが、そうなっちゃうのも仕方ないような因縁が色々あるんです。横溝正史みたいなおどろおどろしい話が好きな人は結末も含めてオススメ出来ます。
ブラック・ジャックがカワイイ女子中学生になっちゃった!テヅコミシリーズ初めて読みましたが面白かったです。 登場人物はお医者を目指すクロミ、死神を名乗る中二病高校生キリ、破天荒男子ピノオの3人。大胆すぎる改変だ…。本家のシリアスさはどこへやら、キャラがキャッキャするようすが最大の魅力かと。 本作のテーマは家族です。 クロミ、キリ、ピノオ。彼らは三者三様に家族をめぐる寂しさや孤独感を抱えています。賑やかな画面とは裏腹にどこか寂しげな雰囲気が流れているのが、ただのカワイイパロディに終わらない味わいに繋がっていると思います。 ブラック・ジャックは医療を通じて人を救ってきました。一方クロミたちにはそんな力はありません。それでもみな、それぞれのやり方で誰かを助けようとしているのです。 「なぜブラック・ジャックを女子中学生に?」という問いにはあとがきで七野ワビせん先生が応えているのですが、個人的にはこちらもじんときました。こういうifはいいですね。
SF短編集だった。 表題の「私の赤ちゃん」と「指定席」が面白かった。 「私の赤ちゃん」のオチが面白いんだがこれ日常の仕事でもありそうなミスだったし、「指定席」は冴えないサラリーマンのドッペルゲンガー現象により生活が一変するが、生活が一変する方法の再現性を考えたりして面白い。 一番好きなのは弘兼憲史の「自分はSFは好きなんだと、描きながら気が付きました。UFOは大好きですが、存在は全く信じていません。」のコメント
11号に掲載された読切『五十六の密命』をゼロ話とする新連載。第1話は昭和19年、250kg爆弾を積んでの体当たり戦法実行を前に、作戦撃墜王・菅野直が厚木基地へゼロ戦を受け取りに向かい源田実と出会うところから始まる。 75回目の終戦の日を前にして始まった新連載。須本壮一先生の所信表明から始まるところに気迫を感じました。
結構前に電車でサラリーマンが読んでたのを見てずっと気になってた漫画がこれ。絵が綺麗ですごく可愛いくて、顔に傷がある男の子がすごく好みだったので「OL 男子高校生 傷 少女漫画」とかで検索しまくったら見つかりました。 10年前、主人公が高校生のときに出会った美少年・啓吾がゴッツイ強面になって現れてというラブコメ。 ホントに絵が魅力的で、じっくり主人公の気持ちの変化を描いてるところが良かった。何より良かったのが、啓吾は見た目こそ厳ついけど中身はそれなりに年相応でよく照れるとこ! 王道の恋愛少女漫画として完成されてて読んでて安心します😊 頭空っぽにして少女漫画読んで手っ取り早く癒やされたいときにおすすめです。 https://comic.pixiv.net/works/4708
すごい「夏」の切り取り方だなと思いました。地獄のドン底みたいな夏だってある。 少年の傷ついた心と、母の止まらない独り言の差がすごいことになっていた。実家だな、という感じがした。
俺の好きな「江戸前鮨職人 きららの仕事」の原作者が書いているので気になったので読んだ。 あらすじにある通り、雪吹なつめが茶人・山上宗刻の茶道教室に田中芳郎を誘ったところから始まる。開始当時は意識はないが田中芳郎は利休が転生おり、物語が進むにつれ利休の意識ではじめ、また同じ時代に転生した利休の関係者なども登場していく 今の茶道に対して利休がどう考えるかなどの話もあり楽しめた。
変な時間にお昼食べちゃったときとか、お酒飲みたくなったときとか、大人になって自由になりすぎちゃって深夜になんか食べちゃうときってありますよね。 誰に咎められるわけでもないのに背徳感があっていいんですよね。真夜中ごはん。 まさにこの漫画に出てくる料理みたいに、簡単にできるものから妙に張り切っちゃってちょっと凝ったもの作ってみたり。食事というよりごほうび感覚なのがいいんですよね。いいんですよ。 ふわっと絵本のようなタッチで描かれた夜の空気感と美味しそうな料理がおだやかで優しくて、特段変わったエピソードとかストーリーがあるわけではないけれどあたたかい気持ちになります。 昔のこと思い出したり、懐かしいごはんが食べたくなったり、真夜中のひとりごはんのお話なのに人の体温が感じられる優しい優しい飯漫画です。 夜食への罪悪感も優しく包んでくれることでしょう…。
10数年前の多感な時期に読んでものすごく印象的だった作品。途中までは学園生活の楽しさ満載なので、当時キャラと同じく学生だった自分は夢中で読んでたんですけど、結末がとてもシリアスでショックを受けました。それまでが楽しすぎるんです!私にとってよしながふみ先生のイメージは「フィクションだけど容赦なく現実を突き付けてくる」ですが、この作品がきっかけだと思います。だからこそ信頼できるし面白いんですけどね! 主人公の花園春太郎は白血病の治療の為に一年一ヶ月遅れで高校生になりますが、自己紹介で病気のこともカミングアウトするし、すぐにクラスメイトとも馴染みます。注目すべきなのは漫研メンバーです。その一人である武田さんの作品「ルイジアナにひな菊咲いて」がきっかけで展開していくエピソードが最高に面白いです。最初はひっそりと趣味で描いていましたがクラス中で人気になり、文化祭で演劇をするまでに発展します。漫画の中の漫画をここまでネタにしてくれるなんて感動ですよね。気になった方は読んでみて下さい。そういえば初めて油淋鶏の存在を知ったのはこれがきっかけでした。
狩撫麻礼&泉晴紀のタッグによる25編、560ページ超に及ぶ分厚い短編集です。 (連載時の名義はダークマター、泉レッドドラゴン) 狩撫麻礼さんの没後に刊行された完全版になります。 中身としてはオチがなくて意味がよく分からない話もありましたが、泉晴紀先生のギャグっぽい作画がハマってる所もあり、楽しめた話とそうでない話が半々くらい。 ーーーー 特に好きな短編 「ダークマスター」 表題作。味は良いが、店主の性格に難があって繁盛しない店を他人に任せることになり、店主の代わりになんでもやらせてしまう話。何を表現しているかは言わずもがなです。オチはないけど面白いっ。 「ミッションあるいは伝道」 高齢化した個人商店とニートをマッチングさせて、寂れた商店街を復活させようとする男の話。発想は凄い良いけどたぶんうまくいかないと思わせてくれる所が良い。 「眠らぬ男」 オチの秀逸さでは「オッパイ説」か、この話が一番好きですね。ネタバレできない面白さ。 ーーーー 話のバリエーションは多いので、昔からの狩撫麻礼ファンに限らず、「世にも奇妙な物語」のような不可思議な話、刹那的なショートストーリーが好きな方なら楽しめる短編集だと思います。
複雑な心境で読み終わりました。 みちるの子、ゆうたを取り巻く環境が、何とも言えない複雑です。 その複雑さは、話が進むにつれて感じたものですが。(特に最終巻で) いや、だけどこう言う形もありかって思った。 根底に深い愛情があると思うから。 色んな糸が複雑に絡み合ってるけど、ゆうたの存在が話の雰囲気をホンワカさせているように感じました。
アンドロイドとか宇宙人が絡むギャグ漫画なので、ブルーピリオドやかくかくしかじか的な話を期待してはいけない。美大受験や美術業界を経験してないとどこが笑うポイントなのかもよくわからないと思う(だからお蔵入りだったんだろうけど)。 でもその分こんな一面もあるのだな、というのがわかるので、彼女の作家性を知るにはいいかも知れない。 自伝的エッセイの番外編と、近藤聡乃も含めた座談会がとても興味深かった。影響を受けたカルチャーは同世代感ある。
表題作の「レオは負けない 」以外の方が好きかな。「ドラフト」と「隠れ鳶」はお気に入り。 「ドラフト」のようなヒューマニズムが溢れた漫画は何回読んでもいい