大市民シリーズの山形と同じ飯を食い同じ酒を飲んで同じような偏見を撒き散らしている作家先生が主人公だったので、これを叩き台として大市民シリーズが生まれたのかな?と思って読んでたら山形が登場したからびっくりしました。 世の中に物申したい系のおじさまってみんな白菜の鍋食いながらビールに氷入れて飲んでいるんです…?とよくわからない偏見を抱きそうになりました。 なんかでも登場人物みんな楽しそうでいいんですよねえ。 不倫がどうだ女の尻がどうだ寿司の食い方がどうだなどと、超どうでもいい会話に花を咲かせ最終的には今のご時世がよくない!みたいな結論になっちゃうの正直わかる。酒飲んで個人的なゲスい悩み話してると最終的に人間とは世界とか生きるとはみたいなところに行き着きますもん。 大人ってこれくらい適当なこと言ってていいんだなと変に嬉しくなっちゃったのであと30年くらいは変わらずに生きていけそうです。
かつて大ヒットした映画「トップガン」 迫力有る戦闘機の空中戦映像などに 主人公の成長譚がミックスされている名作。 だが映画公開当時に見てから、ずっと疑問に 思っていることはある。 米軍がソ連軍の戦闘機をアッサリと撃墜。 それでいいの?と思った。 娯楽映画なのだから、ヤボな感想だったかもしれないが。 「ソラモリ」もまた、主人公は戦闘機乗りに憧れて 自衛隊学校に入校し、努力し成長して行く話だが、 トップガンとは似て異なり、トップガンに感じた疑問点を 色々な角度から再検討させてくれる内容だった。 主人公は戦闘機乗りになりたい、 早く、速く、長く戦闘機に乗りたい、と 高校卒業と同時に空自の航空学生となる。 出世欲は皆無。 国防意識は、ある意味で普通。 だが祖父が元・特攻隊員。 父はそんな祖父に複雑な思いを抱いている。 母は自衛隊を軍隊と思い、危険な仕事と思っている。 そして主人公は航空学校から自衛隊へと 進んでいくなかで 家族以外にも色々な人との出会いや経験をして、 考え方も変わっていく。 空を飛ぶことの大変さや意義や責任を深く学び、 単なる憧れとしての「飛びたい」では無くなっていく。 国防として空を飛ぶ自衛隊を描きながら、 国防・防空についてを漫画で描きながら、 これは単なる自衛隊肯定でもなければ戦争批判でもなく 絵空事ではない話だと意識させてくる漫画だ。
山本さほ先生は同世代…!そして恐ろしくこの人ゲームしかしてない…! 「岡崎に捧ぐ」から入った人も多かろう山本さほワールドですが、この「無慈悲な8bit」はファミ通に連載されていたので、それだけでも威張れちゃう!ていうのがなんとなくわかる人向けです。 ファミ通で連載してるなんてしゅごい…ってなる人は読んでたら楽しいと思う。 あと最近(2010年代以降)のゲームの話もポコポコ出てくるので楽しい。 感心するぐらい山本さほ先生はゲーマー女子のようだ。 あと学ぶことも多い。積みゲーが増えてにわかになってしまっている感覚や、兄のセーブデータを上書きしてしまった話なんかまさに同じことやったことあるし共感しかなかった。
ケンカの強さで近隣5県を制圧し! 仲間を拉致った組も単独で1つ潰すほどの暴力を有する暴走族の頭が!! 襲撃後、連行され向かったのは国会議事堂!! 政治も法案も全ての決め事は政治家が話し合い決めてるんじゃない!!! あんなのはフェイク!! 政治家の代理たちが国会議事堂内でケンカぶっこんで決めてたってわけ! ケンカで動かすのは「国」!! めちゃくちゃアガる設定でこれからが楽しみすぎる…!!! 格闘のシーンも迫力あって最高!! 作者の野部優美先生は空手と柔道やってきて体鍛えまくってたから闘いのリアリティにこだわりたいとヤングキングのインタビューで答えてた!! 1話目でも早速描かれていたけど、格闘技を極めた「技」の強者に、ケンカで鍛えてきた「タフネス」と「パワー」の主人公がどれだけ対抗していけるのかも気になるところ!
銀英伝やアルスラーン戦記では見事な作品になっている田中芳樹原作作品。 他の先生との組み合わせではどうなるんじゃろと興味を持って読んでみたけどまぁ田中芳樹でした。 銀英伝好きならいいと思うんだけど、正直やっぱりマンガとしての見せ方は前述の2作品には劣るところがあるなぁーと思ってしまう。 ただ、宇宙での戦闘シーンに関しては藤崎竜のソレに引けを取らない迫力で描かれていて、ス●ーウォーズさながらのコテコテのシーンがちゃんと再生されるのでとても良いです。 キャラの見せ方をもう少し…惜しい。でも面白い。
原作者の雷門風太さんが自身の体験や町田に実在するオタクBARなどで色々と聞き集めたエロネタを語るだけのマンガ。 ただそれだけなのだが花見沢Q太郎先生のエロは(・∀・)イイネ!! ってなるのでいいと思う (というかこれR-18じゃないの?)
人妻が元カレに嘘をつきながら身体を重ねるだけの漫画。内容はシンプルにそれだけで、人妻の視点で感情と雰囲気を大事に描かれているのが印象的だった。 https://twitter.com/ym_shiraki/status/1295048583188643840?s=20
面白かった。徳洲会病院といえば地方にある自分の地元にもある病院だけど、その成り立ちについては一切知らないので全部興味深く読めました。2004年以降に描かれているはずなのに謎に劇画調なところも面白かった 1972(昭和47)年に、大阪・松原市に年中無休、24時間オープンの救急医療を行う徳田病院がオープンしたところから始まり、創設者の徳田虎雄が「生命だけは平等だ」という理念のもと、既得権益を守ろうとする医師会とバチバチに戦いながら日本各地に徳洲会病院を増やしていくという熱い話。 いつ何時倒れようと夜間救急や休日診療を訪れたり、救急車搬送され治療してもらえるのが当たり前だと思っていた自分にとって、70年代の救急医療の酷さにはとても驚きました(この本以外のソースをあたってないのでどの程度正確に描写されているのかわかりませんが)。 徳田虎雄自身は鹿児島市から約468km離れた徳之島という島の出身で、隣の町まで呼びに行ったのに医者が来ず弟を喪ってしまったことが、徳田虎雄の強い信念の礎となっている。病院を建てるためにあらゆる手段を尽くすと自ら選挙にも出ていたと知り、その信念が本物だなと感じた。 新しい病院を設立するために毎回自分に生命保険をかけ受け取り人を銀行にし、その額が1億8千万→8億→27億3千万と跳ね上がっていくところが凄まじい。 内容以外の絵について言うと、並んでる人物の大きさがおかしかったり、コマ割りが謎だったり、ギャグとシリアスの見分けがつかなかったりいろいろあるのですが、全部ひっくるめて面白かったです。
池田理代子のマンガである。ナポレオンの台頭から、その死までを描く。時代考証が精密であり資料をよく読み込んでいる。史実にそくしているが、大家・池田理代子の圧倒的なストーリーテイリングでグイグイと漫画に引き込ませる。ナポレオンを主人公とするマンガの中では最高傑作であろう。歴史の勉強のためにも日本人には全員読んでいただきたい。
フルカラーというのもあり映画のような雰囲気で勝手にモノローグとか情報量が多そうと思って気負ってしまっていたんですが、トーチで無料公開していたのを機に読んでみました。自分が思っていた500倍くらいはTHE・エンタメな内容でした!ひとりの男の純粋な愛と正義の心に感化されて、敵役だった者たちが仲間になっていくとか皆が好きなやつじゃないですか。最初から最後までページを捲る指が止まらなかったです。 やっぱりうる星やつらとか見てるようなちょい上の人達に刺さるんだろうか。ミーナを「弁天じゃん」って思った人たくさんいるはず。 改めてこれがデビュー作というのはやばすぎると思います… 今回は無料で読みましたけど、紙で買います。買わないとダメなやつだと思った。 ナイトメアバスターズも早く単行本化してほしい!!
※ネタバレを含むクチコミです。
父子家庭の親子が主役の『こどもの体温』は中学一年生の息子が「クラスメイトの女の子を妊娠させてしまったかもしれない…」と父親に打ち明けるところから始まります。他にも亡くなった妻の実家を尋ねる話や、父親の高校時代の同級生が登山中に事故にあってしまった話(これだけボーイズラブの要素も有ります)など、このシュチュエーションすごいなって話ばかりですが、どれもオチが明るいので読後感は気持ちがいいです。 架空の中世の国が舞台の『彼は花園で夢を見る』は、美しい花園がある屋敷に住む男爵と彼に楽師として拾われた孤児が主役です。男爵が生涯で二度だけ本当の恋をした話は、昔から語り継がれてるおとぎ話なんですよって言われたら信じちゃうくらいドラマチックな悲劇でした。こちらも全体の最後としてはいい終わり方をしているので読後感はよかったです。
大市民シリーズの圧倒的アッパーさにやられてしまい、何故か柳沢きみお先生が気になりだしています。 絶対好きになれない気がするんだけどどうしても気になるので、短めのやつで絵が可愛くて軽そうなやつから読んでみるかと思ったのがこの作品。 ドタバタコメディっていうからわかってはいたものの、めちゃくちゃアッパーでした。 内容なんて1ミリも入ってこず、そもそも内容があるのかもわからないけれども、終始ハイテンションでアッパーすぎて頭真っ白のまま読みました。 こういう時代なのかな、こういう作風の方なのかな、とかいろいろ考えてしまいますが考えても答えは出ないのでこれからも柳沢きみお先生の作品をいろいろ読んでみたいと思います。
どの短編もよくあるストーリーのようでいてひねりが効いているので、最初から最後まで退屈することがなかったです。『赤い恍惚~エクスタシス~』よりはサスペンスっぽいものが多い…かな…?「実録となりの夫婦生活シリーズ」はそれぞれに一話ずつ収録されてますが、どちらも面白かったです。 最初に収録されてる「結婚式前夜」が一番好きです。夫が「結婚前に言っておかなければならないことがある…!」と切り出す話で、最初は経験人数を誤魔化してたっていうたわいもない秘密だったんですが、妻が許す度に「言っておかなければ…」が増えていって、ギャンブルで作った300万円の借金、妻の友人と昨日まで浮気していた、年の離れた弟ではなく隠し子、という衝撃的な事実も判明していきます。妻の態度もどんどん急変していき、今度は開き直った妻が夫に秘密を打ち明けます…。見開きでドーンと終わるオチも面白かったです。
『黒い浪漫~ロマンス~』よりはギャグ要素が強いです。「ビーナススマイル」では美しい資産家の未亡人が主役ですが、実年齢はどうやら若くないらしいというギャップのある設定がとても効いていました。後書きの文章を読んでも感じましたが村生ミオ先生はとても真面目な方なんですね。 一番好きだったのは「完全なる結婚生活」です。サラリーマンの夫が上司や同僚達から今夜は飲みに行こうと誘われますが「結婚記念日なので参加できません」ときっぱり断ります。周囲が「きたーっ!愛妻男」「ステキー!」と盛り上がっているところに、今度は妻から「夕飯はすき焼きとハンバーグどっちがいい?」「ワインは赤?」と電話がかかってくる。アツアツ過ぎるやり取りに笑っちゃいますが、実はお互いに内緒で浮気をしているのが夫婦円満の秘訣なんです。夫が清々しい程のドヤ顔で「相手に対して後ろめたさがあるから優しく出来る」と語っているのが印象的でした。
互いに子供がいる同士で再婚し、同居している家族の話。血が繋がっている同士とそうでない側で起こる些細なすれ違いや、元婚約者との関係、親戚付き合いなど、「普通」だったら悩むことのなかったような問題が次々と起こる。 本当ならこんな大変な状況で元気に生きているだけで100点、それで十分なのにも関わらず、「普通」がとんでもない暴力となって襲いかかってくる。 他人には見えづらく、想像もしにくい悩みの連鎖がとても丁寧に描かれていて、近い経験をした人には「ここに理解者がいる!」という気持ちになるのではないだろうか。誰もが何らかのマイノリティ。 終わり方はご都合主義的だけど、これくらいの救いはあっていい。
決して、生き抜いた人々は生きたいと強く願ったわけではない。運だ。全てにおいて自分の意思など意味がない環境で命令されるまま、怪我や病で死んでゆく仲間を横目に「次は自分か」と思うだけ。 極限とか絶望とか簡単に口にできなくなる。「死んだほうがマシでは」と何度も思った。しかし、生き抜いた。そして何十年の時を経ていろんな人へ漫画を通して伝えられた。凄いことだ。 そこで「それに比べれば今がどれだけ平和か」と思えることにも意味はあるけど、毎日能天気ではいけないと思う。 主人公たちが受けた仕打ちはもちろん、日本がしたことも、事実として一生歴史から消えることはない。
主人公の行動原理は母親のために純金の墓を建てること。この時点で「何か変だな」と思っていい。なぜかスナックを経営していて、さまざまな事件に巻き込まれながら一攫千金を夢見る。 他の登場人物も親に捨てられたり受験に失敗したりといいことがないが、基本的に元気。系統としては『男!日本海』からエロを抜いた感じのような気もするけど、単に自分のリファレンスが少ないだけかも知れない。全5話のうち3話で主人公が「早く死ねっ!」と言われて終わる。
タイトル通りゆるーくサバイバル漫画ですね! よつばとをサバイバル世界に投入させた感じ。 サバイバルで家族以外誰もいない簡単にご飯も食べられない状況なのに「いいな〜」と思ってしまう不思議な漫画。 期間限定だったらサバイバルしてみたい…
「江戸前の旬」さとう輝(てるし)先生の短巻作品をいくつか読んだのだが、この「釣り師青海」(せいかい)は、特にお気に入りだ。仏教×釣りという設定が面白いだけでなく、料理も恋も、バランス良く楽しめる一冊。主人公は仏の道より釣りの道に夢中になっているダメ坊主だけど、どこか憎めない愛嬌がある。「千手観音阿修羅釣り」なる仏教ならではの派手な必殺技も面白い。ただ、必殺技を使うのは主人公ではなくヒロインの方だけど(笑) 幼馴染のヒロインが天才的な釣りの腕を持っていて、活発な性格でキャラが立っていた。この子が主人公でもおかしくなかったな。最後の方で描かれる二人の恋の行方は、読んでいてとても微笑ましいものあった。
ドラマ見て、中々面白かったので読んでみました。 少女漫画で、ミステリーってどんな話かなと思いましたが物語が進むごとに、ここまでかと思うほど話が広がるし面白くなってく。 七桜の真っ直ぐな性格は芯がぶれなくてかっこよくて、私は好きです。 和菓子屋で女将の嫌がらせ、嫌がらせに負けない椿と七桜二人の恋愛模様などなど、見所はたくさんで読み応えありかと。 マンガも完結してないので、どんな終わり方をするのか楽しみな作品です。
蔦屋重三郎という人物は、 知っている人は知っている、というか、 もしかしたら謎の天才浮世絵師・写楽を 世に送り出した版元の経営者として 有名な人物かもしれません。 しかしただそれだけの人物ではなく、 今よりも娯楽が限られていた、というか 生活するだけで色々と大変で、という時代に 各種娯楽をプロデュースして世に送り出し、 それを生業として繁盛させており、なかなかの ヤリ手ビジネスマンだったと言えるでしょう。 そういうヤリ手、切れ者というと、マンガ的には 大人物でセンスがあってそれでいて金銭感覚がシビア、 という少しクールな完璧人間に描かれがちです。 しかし、この漫画の蔦屋重三郎は「蔦屋ちゃん」とでも 呼びたくなるようなカワイイキャラに描かれています。 他の登場人物(とくに歌麿)に振り回されますし。 作者の桐丸ゆい先生が江戸文化を愛する方らしく、 史実にそった範囲の中で、蔦屋、歌麿、写楽などの 喜怒哀楽に満ちた江戸生活が愛らしく描かれています。 吉原が舞台の話もあります。 なんせ吉原ですから光と影というか、陰鬱な部分も 実際には存在したでしょうけれど、 このマンガは良い意味で江戸文化の愛すべき部分を カワイイ絵で描いていて、明るく楽しめるマンガです。 ゴロゴロしてばかりで働かない歌麿や 吉原で女郎として働く女性たちなどを描きながら。 江戸文化の良い面を味わえるマンガだと思います。
ウィリアム・ダンピアは博物学者であり、作家であり冒険家、そして海賊である。 彼は十七世紀に、40歳まで海賊として世界を冒険し、詳細な旅程や風物の記録を残す。彼の本は後の地誌学や『ロビンソン・クルーソー』『ガリバー旅行記』などの文学にも影響を与える。 本作で描かれる彼の面白さは、海賊として荒事にも参加し、海賊を仲間として信頼しながらも、知識層に属する航海士への尊敬と好意も持ち合わせる、ニュートラルさ。その冷静さと熱い知識欲の眼差しで、彼は航海中のあらゆる物事を詳細に記述していく。 彼の物事を知るためのアプローチの一つとして「食」への挑戦がある。 ちょっとグロくても、食えそうと思ったら、何でも捌いてみて食べる!動物も植物も、現代の私達には想像もつかない物が多く、「それ喰うんすか?」である。 食材のバリエーションを広げることが生死に直結する航海。美味くても食いづらくても栄養価が重視される事情と、ダンピアの知識欲が噛み合って、かなり興味深い未知の食材が見られる。 当時の世界情勢と海賊事情、冒険のリアルと食事情、地理学や民俗学の原点……見所満載の航海記。世界一周を最後まで追いたい!
恥ずかしながらこれまで古屋兎丸先生の漫画を読んだことがなかったのですが、初心者でも読みやすかったです。タイトルにもなってる「ハピネス」と、表紙の女の子が登場する「嬲られ踏まれそして咲くのは激情の花」が印象に残りました。自分が好きなテイストの話は「もしも」です。女子高生のたわいもない会話劇ですが「もしも自分が主人公だったら誰に描いてもらいたい?」「私、吉田戦車!」「私は絶対楠本まき♡」というコマを本物の2人が作画協力されていて興奮しました。こんな会話する女子高生が登場するのが古屋兎丸ワールド…?
姉と弟がSMプレイをする話です。痛いことはしません。弟は姉への好きをこじらせてますが、姉の方は弟にどんなことされても「優しいお姉ちゃん」として受け入れてくれます。保育園の先生で天然だけど優しくて美人な姉のキャラが好きでした。打ち切りになってしまったそうですが、完結巻も発売されなかったんでしょうか。秘密の関係がどういうラストを迎えたのか気になります。姉弟のやり取りをもっと読みたかったです。
数あるドカベンシリーズのなかでも、亜流なのかもしれないですが、地味に好きなのがプロ野球編です。まず、ドラフトからいって滅法おもしろい。巨人とホークスを除いた10球団が、山田、山田、山田、山田、山田、山田、山田、山田、山田、山田、と山田を一位指名して、岩鬼が学校のグラウンドでラジオを聞きながら怒っているという。たしか、岩鬼はノックをしながらで、一年か二年の誰かが受けているんですけど、全部かっ飛ばしちゃって、これじゃあ練習にならないですよーとか言われている。とても印象的な始まりでした。そんな岩鬼は、巨人とダイエーから一位指名を受け、気持ちは巨人の長嶋監督だったけれど、ホークスの王監督が当たりくじを引く。岩鬼は涙ぐみながら、これも勝負の定めとか何とかそれっぽいことを言ってホークス入りを決める。外れ一位戦線では山田のライバルたちが次々と指名される。 日ハム→不知火 横浜→土門 中日→影丸 ヤクルト→中 近鉄→坂田 阪神→武蔵 広島→犬神 本格派の好投手を獲ってしっかり育てているイメージのある日ハムが不知火を指名しているのが、いかにもって感じです。こうしてみると、みんなけっこうハマっているような気がします。坂田なんかは地元球団ですしね。 そして、里中が三位で千葉ロッテ、微笑が三位で巨人。五位でオリックスがピアノの道に進む殿馬を強行指名と続きます。 肝心の山田は西武ライオンズ。これは清原から直に打診があったそうなんですね。俺はドカベンから四番バッターの心得を学んだんだ、と。だから、ぜひとも続きを描いてほしい、と。まあ、清原が言うんじゃ仕方ないというわけで、山田は清原が在籍していた西武に入団することになります。ちなみに殿馬のオリックス入りはイチローが頼みこんだみたいですね、ぜひとも殿馬とプレイしたい、と。これはもうナイスアシストとしか言いようがないですね、ここに夢の1・2番が誕生するわけですから。 そんなこんなでプロ野球編がはじまるわけですが、捕手を主役に置いたドカベンの特異な構造が高校のときよりもふんだんに生かされていると思います。これこそがプロ野球編ひいてはドカベンの醍醐味だと思うのですが、本来なら主役におさまるべき投手を主役にせず、あえて捕手を主役にすることで、かえって個性豊かな投手たちをライバルとして描けることになるのです。そればかりではなく、プロ野球編では、山田が受ける投手がもはや里中だけじゃない。何なら里中は高校時代にはなかったスカイフォークを引っさげて山田のライバルとして立ち塞がり、山田は、渡辺久信(ナベQ)、松坂大輔、犬飼知三郎、蔵獅子丸らを巧みにリードしていきます。対ホークス戦では、岩鬼の打席で、大先輩のナベQに対してど真ん中の直球を要求して、マジかよ、なんて言わせるわけですから、これが面白くないわけがないんです。 プロでも山田殺しのワンポイント・リリーバーが大勢現れます。なかでも印象深かったのは、牛虎というピッチャーですね。のらりくらりとした牛のようなフォームから、星野信之ばりのスローカーブと直球を投げ分ける投手で、90キロのスローカーブを見せられたあとの直球に山田は金縛りにあう。しかも、スピードガンには150キロの表示が。まさに牛虎という名を体現した投手でした。 そんなこんなで投手はむしろ、贅沢なことにも有り余ってきたような感じになり、坂田や犬神を野手としても活躍させたりしています。坂田はわかるとしても、犬神の野手転向は渋かったですね。あくまでも、どっちもできるユーティリティープレーヤーみたいな感じでしたけど、一時期はカープの四番打っていましたからね。 時代が進むごとに野手でもオリジナル・キャラクターが増えてきます。いちばん最初は、里中とバッテリーを組むことになる瓢箪だったでしょうか。里中のスカイフォークを捕球できるのが一緒に特訓をした瓢箪だけだったので、里中とともに一軍登録になり、ロッテの守護神バッテリーとして活躍します。のちに山田とバッテリー組むことになる蔵獅子丸も、当初は野手として登場しました。清原の抜けた四番に山田を押しのいて座るんですけれど、まあ、高飛車な選手で山田をコケにしまくる。背番号は440(ししまる)、もうこれだけで勝ちのキャラクターです。でも、じつは変化球がまったく打てないことが判明して、いつのまにか投手として山田のいい相棒になっていましたね。イチローの後釜として、オリックスに入団した不吉霊三郎なんてのもいました。名前のごとく、対戦相手に怪我とかイレギュラーとか不吉なことが起こりまくるというドカベン史上もっとも意味不明なキャラクターでしたけれど、まあ、トリッキーの殿馬との相性はバッチリでした。 岩鬼がバント等の小技に目覚めるなんて年もありました。お客さんからの野次が秀逸で「何でもありじゃあスーパースターじゃなくて、スーパーマーケットだろうが!」とか言われていましたね。大笑いしたのを憶えています。 最後まで名前の出てこなかったことからお察しいただけるように、微笑をいかに活躍させるか、みたいなところもひとつの見所ですね。 シリーズの中では、つまらないと言われがちなプロ野球編ですが、いやあ、滅法おもしろい! ドカベンならではの良さがいちばん出ているのがプロ野球編だと思います!
主人公の田中麻里鈴はコネで一流企業に就職したけれど出身大学は三流がおまけにコネには力がない。入社してすれ違った男性社員に一目惚れして、その男性社員の近くにいくには「出世が一番」と助言されてから物語の本編がスタートする。 マンバにあったクチコミを見て気になって読んだが予想以上に面白い。あらすじの時点では合わないかもと思ったが最初のほうで「峯岸さん」で登場して出世するには話あたりから「これ面白くねーか?」と思い「夏目さん」「小野さん」「璃羅のよしえさん」あたりが登場した辺で確実にハマった。 配置転換などでいろいろ部署が変わるが個人的に特に好きなのが「ホワイトローズクラブ編」と「レディスシンクタンク出向編」 「ホワイトローズクラブ編」は始まりから結末までむちゃくちゃよかった。令和の景気の悪さでは絶対ありえなそうな事例だがバブルの頃にだったらあったかもしれない内容とそれに対する会社のやりかたが興味深かった。 「レディスシンクタンク出向編」は「峰岸さん」「高井さん」の間に挟まれてどっちかにつけば楽になるというのに最後の最後まで悩み抜いてあの結論をだしたのはすごい良い内容だった。 「総務部総務課山口六平太」の全体を見て最適化する会社員や「サラリーマン金太郎」のすごい会社員とも違うし、同じ女性が主人公の「この女に賭けろ」のような正統派キャリアでもない今まで俺がしらない路線の会社員マンガだった。 好きな登場人物は「峯岸さん」「小野さん」「高田さん」かな
純情パインも少年エスパーねじめも苦手だったがこれはワリと楽しく読めた。途中からほとんどアイドル関係ない話になってたけど。どこで笑うのかわからんギャグが相変わらず多かったがクスッと笑えるところも結構ある。ムシゴロウの回とか、普通にめっちゃ面白い回なんだよなあ。下ネタの程度もちょうどよかったし。「座輪ザワ吉」みたいなパロディネタも冴えてた。※画像参照。かなり早い時期にカイジのパロネタやってたんだな。 1巻打ち切りは勿体ないね。 もう少し続いても良かった気がする。 終わり方はなかなか酷いぞコレは(笑)
楳図かずお60年代の初期の短期連載作品「赤んぼ少女」(週刊少女フレンド/1967年)と「へび少女」(週刊少女フレンド/1966年)ほか、いくつかの短編を収録。 「赤んぼ少女」 見た目の怖ろしさだけでなく、忌み子を持つ家族の人間模様も描かれています。元は「のろいの館」という題名だったそうで、わかりやすさでは前者ですが、後者のタイトルの方が物語に則していたのでは。 「へび少女」 楳図先生はへびっぽい女性が好きなんですかね。へび女の話がちょくちょく出てきます。ホラー的な怖さ、というよりは女性の怨念めいた感情に怖さを感じました。 「ねがい」 漂流教室や、他の短編集にも収録されている傑作短編「ねがい」ですが、恐怖劇場にも収録されてます。モクメは永遠のトラウマ。久しぶりに読むと、子供の頃に読んだ衝撃と恐怖がよみがえってきます。
作者は本作品を水戸黄門に例えていましたが(特級厨師の印を印籠にみたてて)、昔ぶりに読んでみたら「あっ、これナローだ!」となりました。主人公マオの奇想天外な発想、だいたい現代人なら思いつきそうなやつですよねw
読み始め、作者の中村キヨさんが前の奥さんを病気で亡くして別の女性と再婚するところから始まるんですが、別れの部分があまりに衝撃的だったので「その話を描いたエッセイがあるのでは」と思って探したんですけど、多分ないみたいです。そして、作中でも亡くなった方とどのような暮らしをしていたかはほぼ語られません。 メインは酔っ払って道端で座り込んでいたところを中村さんが介抱してあげたことがきっかけで知り合い、結婚(もちろん事実婚)したサツキさんとの生活が描かれますが、その中身は私が想像できるレズビアン同士のやり取りからは想像を遥かに超えるものがありました。 ただそれは、この人達がこうなだけであって、レズビアンとはLGBTとはこういうものという話ではなく、言うなればその辺で生きてるとあるカップルの日常を描いたに過ぎない。 サツキさんには息子が3人いるのですが、当然中村さんとは血の繋がりはありませんので、父と母が1人ずつではない家庭を彼らなりに受け入れなければならない。そこで親が先駆けて周りにカミングアウトするのもありではという中村さんに対し、サツキさんが「子は親を選べない以上、選べることは全て選ばせたい」「遠くの1億人が理解してくれたって、身近な10人が無理解だったら地獄でしょ」と伝えます。ほんとその通りですね。 「愛とはなんなのか」というのも常に問い続けているのも印象に残ります。もちろん答えは見つかりませんが、読者として感じたのは、愛する人が幸せであるように願うこと、かもなと思いました。
2015年、戦後70周年に際して組まれたビッグコミックオリジナルの増刊号。各世代の漫画家が表現した「戦争マンガ 」16作が収録されています。過去作の再録だけでなく描き下ろし作品が半数近くあり、いずれも力作揃いです。戦中戦後の話だけでなく戦争の未来を描いたものまで幅広く、憲法9条を擬人化した「さよなら憲ちゃん」のような意欲作もあって面白いです。ちなみに、いましろ先生だけは釣り&愚痴のいつも通りの漫画になります(^ ^;) 重いテーマの作品が多いですが、収録順に趣向が凝らしてあり、最後まで疲れずに読み通しやすいです。収録作をまとめてみましたが、これが五百円で読めてしまうなんてお得すぎます。 以下、収録作 水木しげる「人間玉」 滝田ゆう「夢いちりん」 松本零士「晴天365日」 さそうあきら「奈々子戦記」描き下ろし 浅野いにお「きのこたけのこ」 高橋しん「LOVE STORY, KILLED.」 いましろたかし「自爆列島」描き下ろし 山上たつひこ「光る風」 呉智英さん解説付き 三島衛里子「橋のたもとで」描き下ろし 石坂啓「さよなら憲ちゃん」描き下ろし 比嘉慂「砂の剣」 あまやゆうき/吉田史朗「僕はあの歌が思い出せない」描き下ろし 竹熊健太郎/羽生生純「ほーむ・るーむ」 東陽片岡「五式戦じじいのブルース」描き下ろし 井上洋介「少年と戦争」 花輪和一「小日本鬼子穴」描き下ろし <コラム> いとうせいこう、無着成恭、横尾忠則、モーリー・ロバートソン、片岡義男、南信長「漫画と戦争」 漫画の合間のコラム「わたしの戦後70年談話」も読み応えがありました。 著名人が戦争を語ってゆくのですが、有名な教育者である無着成恭先生の「なぜ戦争はなくならないのか」という問いに対しての回答がとにかく素晴らしかったです。仏教的な観点で人間、畜生、餓鬼に例えた説話がおもしろいのなんの、このテーマだけで本一冊作れるのでは?と思ってしまうほど。 最後に<編集後記>堀靖樹さんのメッセージは本当にその通りだと思いました。”時代のカナリア”として戦後70年を過ぎても読まれ続けてほしい一冊です。 > 『こうして眺めてみると漫画家はやはり自由の民です。本能的にお上の胡散臭さを嗅ぎ分けてますし、自分の生死は自分の戦場で決めたいと考えています。だからこの増刊は時代のカナリアかもしれません。漫画家の想像力はもう何年も前から、日本の行く末に警鐘を鳴らしていたのです。 漫画は別にお国のためにはなりません。そして、その作品で仕事をしている我々、編集者もしかりです。だからこそ、この時代の「嫌な感じ」に声を上げましょう。そんな増刊号です』
両親を無くした少女、とその叔母が一緒に住む話ですが実際は「全く違う人間を分かろうとしたり自分の感情を噛み砕いて受け入れたりする」漫画なのではないかと思います。 自分的には槙生もその姉もすごく物言いが冷たい人で、リアルにいたら避けてしまいそうなキャラクターですが、実際は作中同様繊細な人間なのかもしれませんね… 作中で槙生が「あなたが感じることはあなただけのもので、誰もそれを責めたり批判したりできない」って言うシーンがあるんですが、こんな当たり前そうなことも皆忘れちゃってるんですよね。 自分も他人に対してどんな物言いしてきたか、ふと考え直してしまいました。 亡くなった人に対しての考え方もちょっとリアルで色々考えさせられます。
「お父さん本当は絵本作家になりたかったんだ」そんな夢を語られた翌日に、住職である父が家出をしてしまう…!そして母も父を探す旅に出てしまったので、副住職の息子がワンオペでお寺を切り盛りすることになっちゃった!初の一人仕事がヤクザの親分の葬式だったり、住職失踪のウワサも広まり檀家が押し寄せてきたり、平穏だったお寺ライフがドタバタしちゃうコメディーです。 表紙のお坊さんがイケメン過ぎて最初はピンと来ませんでしたが「ん?宮本福助?拝み屋横丁顛末記の作家さん?」と思って読んでみたら、いつもと変わらないノリでとても面白かったです。お寺と縁が深い関係である葬儀屋が幼馴染なのも個人的に好きなポイント。1巻がいいところで終わったので続きが気になります。
土山しげる先生の漫画を一作でも読んだことがあるもしくはインターネット大好き好きマンなら絶対にハンター錠二のことを知っているはず。そして、ハンター錠二のことを笑うひとはいてもハンター錠二のことを嫌う人間はいないはず。嫌いって言ってる人はたぶんOKFFの人です(喰いしん坊!参照)。 そんなハンター錠二がつかず離れずの距離感で東北のうまいものを紹介してくれるのが流浪のグルメ。ハンター錠二と出会う人達はハンター錠二がハンター錠二であることを知りません。 なんかよくわかんないけどグルメで説得力があってテンガロンハットにサングラスの謎の男として出会うのです。 飯を死ぬほど大量に食う訳でも箸を両手に麺を食う訳でもないハンター錠二、なんかいいんです。大食い甲子園のときのコーチ姿もよかったけど、姫トラお京とのやりとりにリアコ味すら感じるんですよ…恥ずかしながら…!! そんな冗談はどうでもよくて(6割5分ガチだけど)東北は本当に美味しいものがたくさんあるので、グルメガイドブックとして読んでも参考になると思います。 魚も肉も野菜も美味しいし、B級グルメや甘いものも魅力的なものたくさんあります。 旅行なんて難しい状況ですが、お取り寄せなんかも盛んな時代ですから!! 漫画読みながら東北の美味しいものを食べればハンター錠二のリアコ味をあなたも感じられるはず…です。
元ネタがわかる人がもう少なそうだな あかつき戦闘隊/忍者武芸帳/おそ松くん/ハリスの風/ハレンチ学園/サイボーグ009/火の鳥/秘密探偵JA/包丁人味平/同棲時代はわかったけどその他はちょっとわからんかった。 このシリーズで聖闘士星矢とかハートカクテルのバージョンもあったと思うけど収録されていなかった。
常に命の危険に晒されながら、感染拡大を抑えるため、ひとりでも多くの命を救うために最前線で働く人たちの目線を体験したような感覚でした。凄まじい。 自宅隔離生活で人との会話に飢えてる人の描写も、今の自分は近いものを経験してるからこそ「ほんとそう…」となります。 ついウイルスは人間の敵と思いがちですが、人を殺すためではなく、あくまでも目的は寄生することなんだと、ただ憎むだけでは何もならないという考えを学びました。
妹に婚約者を横取りされた貴族の令嬢が半ギレ状態でドラゴンの生贄になりにいったところ気に入られたのでお嫁さんになったろうやん!ついでに世俗の関係を断って新生活始めたろうやん!となる物語。広告でよく出るようになってきて絵もキレイなので読んでみました。 主人公エリアナは『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』みたいに片っ端からアベンジするわけではなく、婚約破棄の元凶である父親、妹、元婚約者の王子にも説諭の場を設けようとしていて話通じるタイプでした。 と同時に、その敵キャラ連中のインパクトはちょっと弱いかなとも…。今のところただ意地悪なだけでどうしてエリアナを排除しようとしてたのか正直ピンときませんでした。もっと邪悪じゃないと倒し甲斐が無いなというのが少し気がかり。 とはいえ主題はエリアナと伝説の竜グリード(※イケメンに変身できる)とのイチャコラ異種族愛だと思うので些細な問題でしょうか。 2巻からは国取り要素も入ってきてこのままふたりが理想国家を建国する流れになるんじゃないかな。敵国を一瞬で制圧したのはちょっと笑っちゃいましたけど。 竜、7匹居るらしいので全員でエリアナを取り合ったりしたら面白そうとか思ってます。7匹勢揃いするんだろうか? あと巻末のおまけマンガが面白かった!ここのクオリティが高いのも読む楽しみになるので嬉しいです。
こちらは『スーパーノヴァはキスの前に』『年下の先輩ちゃんには、負けたくない。』のなめたけ先生が、Twitterで連載している漫画です。 内容は、売れない漫画家のレンくんが、風俗で働く彼女のマサコちゃんに「フォロワー10万人いったら仕事辞めて欲しい」とお願いするというもの。 しっかりした彼女に手玉に取られる感が面白い作品です。また、風俗産業への偏見などのない、だからこその様々な葛藤や、性風俗のリアルをライトに読める作品でもあります。そして衝撃の第2話……! 作品のモーメントへのリンクはこちら https://twitter.com/i/events/1261679995069493248?s=21 そして1話ごとの感想も繋げて書いていきたいと思います。(皆さんも感想書いて!) 一番言いたいことは……なめたけ先生のTwitter垢をフォローしよう! https://twitter.com/nametakesantaro?s=21
この作品は、なめたけ先生の『年下の先輩ちゃんには、負けたくない。』の続きであり、一応の終着点です。 ホームセンターを舞台にした、仕事の出来る女子高生先輩ちゃんと、気後れして敬語を使う後輩大学生の焦ったい恋物語は、一巻通してほんの少ししか進展しませんでした。 このジリジリした攻防のトキメキと、バイト仲間の楽しそうなやりとりを、ずっと見ていたいと思いましたが、彼らにはタイムリミットが待っています。 大学生の坂上は就職、高校生のかをりは進学……バイトを辞めればもう会うこともない関係。バイト以外の互いの世界も知らない二人。 時間制限の中でもなかなか前に進めない、二人の焦ったさを眺めているのも良い。けれどもきちんと気持ちを確かめ、勇気を持って相手に向かう時の高揚感たるや!時間と仲間に押されて進む恋の、一応の到達点を是非確かめて欲しい! ---余談--- それにしてもこんな二人、側にいたら見守りたくなります。坂上とかをりを見守る女子高生の若菜と新大学生の間中、さらに新加入の即戦力君なども、いつも一緒に働きながら二人をからかい、共に遊んだりしているのは、楽しそう。 中でもずっと見守って来た若菜。当初から二人を見守っていたこの女の子については、言葉を尽くしたい。 彼女のポジション、何気に楽しいです。気の合う仲間たちとワイワイしながら、仲間内の恋路を応援して、進展があれば心温かくなり、喧嘩すれば心配し……こんな時間がずっと続けば、なんて思ったりするかも(まあ、経験に基づく妄想ですが)。 最後の時間の、若菜の情動について、すごく分かってしまったというか、気持ちを共有してしまいました。泣きましたよ、ええ。 テキトーで時給以上働かない、でも明るくて仲間思いな若菜に……恋に落ちました(ポッ
ハムスターに見えないけどハムスターらしい。 先日、ちみたんは寿命で亡くなったと聞きました。ちいこ丸命よ永遠に…
『うしおととら』の短編エピソードが収録された外伝集。読めばキャラクターの魅力と本編の味わいがいやますこと間違いなしです! 家族を殺された鏢が仙界で仙術を身につけるまでを描く「桃影抄〜符咒師・鏢」や、紫暮と須磨子のなれそめを描いた「里に降る雨」、クリスマス嫌いの少年とうしおの交流が泣ける「プレゼント」など、本編人物を掘り下げるエピソードはどれも粒ぞろい。 最終巻のあとに外伝を読むケースが多いと思うのですが、もう一度1巻からキャラの活躍を読み直したくなっちゃうものばかりです。 なかでもとらの過去を取り上げたものが一番多く、平安時代の陰陽師との戦いをめぐる「妖今昔物語」、源氏の女武将巴御前ととらが出会う「雷の舞」、とらを封印した侍の物語を描いた「永夜黎明」と、時系列はそれぞれバラバラですが、外伝オリジナルのキャラクターが出てくるのが楽しいです。 なかでも「永夜黎明」の最終ページはあまりに美しく、これのおかげで読み終わると1巻にすぐ手が伸びるようになってるんですよね…。 個人的な一番のお気に入りは「雷の舞」です。女だからという理由で義仲とともに戦場に立てず、戦の終わりを「待つ」ことを強いられている巴御前。そんななか、尼僧とともに山に潜む物の怪の群れを退治することになるのですが、そこにとらが現れます(この登場シーンが最高!)。 「乗りてえ風に遅れたヤツは間抜けってんだ。」ととらに発破をかけられた巴御前は「待つ」ことをやめ義仲とともに決死の戦場に赴くのですが、この凛々しさにシビレます。 うしおだけでなく、様々な人のあり方をとらは変え続けてきたんだなというのが、なんかいいんですよね。 また、この『外伝』のコミックスには収録されていないですがうしおととらのコンビが外国の魔道士と対決する「ECLIPS」も超絶かっこいいです。 『原画集 月と太陽』や文庫版、完全版などで読めますのでぜひ。
国友やすゆき先生の遺稿のこのマンガの存在は知っていたがたまたま今回見かけてから買って読みました。 なんというかサイコーでした。「ダブル~背徳の隣人~」や「時男~愛は時空を超えて~」「ウタ★マロ~愛の旅人~」もすごいんですが、それと良い勝負いやそれ以上のポテンシャルを秘めて名作になりえたかもしれないのに途中で終わってマジで残念。俺の読む雑誌から国友やすゆき先生の連載が消えてからわかったんですがこの人マジで偉大でマンガ雑誌とかで重い話を読んだ後にこの人のマンガを読むと精神がニュートラルに戻って良い感じで雑誌というものを楽しめていたんだなとつくづく思ったりする。
なんで読んでしまったんだと猛烈に後悔してしまうほどに凄い漫画だった。刺さりすぎてしんどい。 わかる と わかってたまるか と わたしはちがう が交互に襲ってきて冷静ではいられません。冷静に読み終わりましたけども。 しんどい!すごい!これを描ききるのがすごい。本気で描いたのか皮肉で描いたのかわからないけどすごい。すごい。
大市民シリーズの山形と同じ飯を食い同じ酒を飲んで同じような偏見を撒き散らしている作家先生が主人公だったので、これを叩き台として大市民シリーズが生まれたのかな?と思って読んでたら山形が登場したからびっくりしました。 世の中に物申したい系のおじさまってみんな白菜の鍋食いながらビールに氷入れて飲んでいるんです…?とよくわからない偏見を抱きそうになりました。 なんかでも登場人物みんな楽しそうでいいんですよねえ。 不倫がどうだ女の尻がどうだ寿司の食い方がどうだなどと、超どうでもいい会話に花を咲かせ最終的には今のご時世がよくない!みたいな結論になっちゃうの正直わかる。酒飲んで個人的なゲスい悩み話してると最終的に人間とは世界とか生きるとはみたいなところに行き着きますもん。 大人ってこれくらい適当なこと言ってていいんだなと変に嬉しくなっちゃったのであと30年くらいは変わらずに生きていけそうです。