たか
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2022/03/26
ネタバレ
壮絶 #読切応援
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妹にだけ暴力を振るう父親の下で生きる兄妹の物語。読み終わって「こんなの感想書けるわけない」となるタイプのただただ圧倒される素晴らしい読切だった。 公式の作品紹介がないため以下あらすじ。 ・・・ 優しい兄の「兄ちゃんが大人になったら あいつ殺して 2人で逃げよ 俺らの手で殺すんや ほんで 幸せに暮らそう」という言葉で、小学校6年生の妹・幸は決して手に入らない家族という幸せの代わりに恋心を手にする。 しかし、兄が友人と遊びに行って帰りが遅くなった日に幸は父に犯される。 ・・・ https://comic-days.com/episode/3269754496788637696 幸がずっと願っていた本当の兄妹になることが、最後に壮絶な方法によって叶う展開はもう…。 幸が今までで一番の笑顔を見せ本当に幸せを感じていることに対して、クソみたいな家庭環境に怒ればいいのか、死によって救われたことを喜べばいいのか。感情がグシャグシャになった。 この作品、ストーリー自体もすごければ、踏切のシーンのマンガならではの表現(演出)も本当に巧い。 細い引っ掻いたような線を重ねるザラついた絵のテイストもシリアスな作風にものすごく合っている。 もはや途中から作者が16歳だということを忘れ完全にのめり込んで読んでいた。 (そもそも、その歳でジャンプラじゃなくて「モーニング&イブニング月例賞」に応募してくるあたりもう有望としか言いようがない) 今後発表されるであろう鳥羽瀬七先生の新作を今から楽しみにしています。
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2022/02/18
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女傑(ギャル)の生き様が示す「自分らしさの美しさ」 #読切応援
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たえ様の凄味はそのブレなさから来ている。決して弱気になったりしないし一切迷わない。なぜならギャルだから。 ギャルとは「自分らしく生きる」という信念。 岐路に立たされても、信念があるからブレずにまっすぐ進んでいける。 そして自分らしさファーストでいつでも自分を大事にしているから、自己肯定感バリカタで自信に満ち堂々としている。 「迷わずまっすぐ信念を貫いているたえ様の姿は美しい」。この作品を読んで一番言いたいのはそれ。 https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496760131146 漫画のストーリー以外の部分については、「ここぞ」というシーンでデフォルメが平田弘史ライクなリアルな筆致になる演出がすごく好き! そんでもって「戦国×ギャル」により、戦国時代的なガチシリアスと現代的なアレンジとギャルのユーモアが混ざり合って、ハチャメチャなんだけどかっこいい『BATMAN NINJA』的な作品に仕上がってるのがスゲ〜〜最高。 最後の「やってやるよ」のシーン。最初は笑いを取るためのギャグシーンに登場したデコ甲冑&ドクロ面頬が、最後にはあんなにかっこよく見えるって構成がまたすごい。 平田将先生、一体何者!?と思って調べたら『ソレギア』の方でしたか…! 今回の『ブシギャル』あまりにも良かったんで、他の作品も全部読んでみようと思います。
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2022/01/26
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弟のためにボウリングで賞金を稼ぐ「ぐう畜」JK主人公が最高!
マンバ通信で知り読んでみたのですが記事では触れられてない部分が予想外に面白くて得した気分です。 しょっぱなから自分より格下の相手のことを指差して腹抱えて笑う主人公のアニー。品性なさすぎで最高……!いくら目の見えない弟のためとはいえ、この言動ではボウリング場の風紀を乱していると嫌われるのも納得。 謎の男性に川に落とされたときは、高笑い(高笑いするJKって何)したあとに川に突き落とし返すと 「このアニーさまはブジョクするやつをけっして許さないって事さ」 「キザ保安官 あんたには説教より犬かきがお似合いだよ!」 といい放ち、やはり高笑いしながら去っていく。 ▼『最後のストライク』井出ちかえ https://i.imgur.com/W53Nfwd.png https://i.imgur.com/swbkQci.png 女子高生にしてこの煽りスキルと手を上げるスピードの速さよ……女子高生天才小説家・響さんを思い出します。 ライバルとなる学生チャンピオンのアメリカ人・ロマとの初めて出会ったときも ▼『最後のストライク』井出ちかえ https://i.imgur.com/XYvvGJ4.png 「フ...思った 通りかこの毛唐め!」 「よっしゃ あのキザ野郎もふくめてほえずらかかせてやる!」 と、この言いよう。まあロマもロマで試合後に札束(10万円)でアニーを引っ叩いて 「さっさとそれをもってきえるがいいわ」 「ダニの顔はもうもうみるのもふゆかいよ!」 と言い捨てる。この主人公にしてこのライバルあり。 **ズベ公** **めくら** **対戦相手ども** **毛唐** **ボーリング界のダニ** **ハゲチャビン** 主人公のアニーだけでなく周囲の人間もキレキレで、1話にして悪口のデパートとなっていますが、いくらなんでも毛唐はヤバすぎだろと読みながらひとりで焦ってしまいました。 絵に関してはコマ割りが凝ってて複雑ですし、ぶち抜きも多用されていて迫力があります。 それにしても隆史コーチがアニーに惚れるの超スピードすぎてマジで謎。 アニーに事情を尋ねることさえせず、2回も酷い誤解をしておきながら「ぼくのアニー」とか何様なんだよと思ってしまう。 物語最後のロマとの再戦がかかっているプロの試合。 ライバルが週刊誌に弟の失明の真実を報道するように仕向けたらしく、その記事を試合中に読んだアニーは激しく動揺するが、そんなアニーをみてロマが喝を入れる。 そもそも試合中にわざわざ自分から週刊誌読むなよというツッコミはさておき、女の子同士のゴリゴリにバチバチのライバル関係って最近の少女漫画であんまり見ないのでやっぱいいなぁと思いました。 呪術廻戦の野薔薇と真依さんみたいなバチバチの関係大好きなんで少女漫画でも増えてほしいです(願望) 後半の短編「ホームラン広場にあつまれ」もスポーツマンガで、こちらは対照的に女の子同士ライバル関係が毒抜きで爽やかに描かれていて違った味わいがありました。 弟の失明の確定しアニーが右手の負傷を乗り越えプロになってからはアニーの素行がよくなってしまい、普通のスポ根になってしまいちょっと物足りなかったですが序盤のぐう畜ぶりは必見です。 https://manba.co.jp/manba_magazines/15647
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2021/12/09
「中学時代」と書いて「地獄」と読む。最悪すぎて最高なジュブナイル・ストーリー
2021年12月、半年ほど前に知り合いからおすすめされたものの積んでいた『来陽と青梅』をついに読みました。ヤバすぎますねこれは……!なんでこんなに知名度ないのか不思議。ある意味『チ。』ばりにエグくてぶっ刺さる話だからもっと話題になっていいはずなのに。 狭い世界。 未熟な男女交際。 男に媚びて友達を陥れる一人称が名前のクソ女。 シンプルに頭が悪い同級生。 陰口。 同調圧力。 とにかく中学生の最悪なところが全部ブチ込まれています。 私は中学時代「ねぇ〜たかは好きな人いる〜?⤴️」と恋愛体質の女子に絡まれて死ぬほどつまらない恋バナに巻き込まれるのがだ〜〜いっ嫌いだったので、「あはは…今は好きな人いないかな〜」と愛想笑いで流しながら 「なぜ常に好きな人がいる前提で聞いてくるのか」 「仮にいたとして、おめーに話したら確実に次の日には学年の無数の女子にバレるのにそんなリスク犯すわけねえじゃん」 「そもそも対して仲良くもねえお前にそんな大事な情報話すわけねーべ馬鹿か?」 と内心罵詈雑言を浴びせかけつつ、全力で恋バナを回避する努力していました。 本当に仲のいい友達には話しても良かったかも知れませんが、その当時読んだ小説で読んだ「誰が1人に秘密を言うことは世界中に向かって言うのと同じだ」という言葉を噛み締め、『身の安全』には充分気をつけて学生生活を送っていました。 だからこそこの漫画はゲボ吐きそうなくらいしんどい。 自分もほんのすこし何かが違ったら、主人公と同じこの地獄にいたかも知れない……。 「存在しない中学時代の記憶」を眺めているかのようなおぞましさがこの作品の魅力だと思います。 中学時代に味わわされた嫌〜な気持ちがブワーーッと全部まとめて甦ってくる最悪すぎて最高なジュブナイルストーリーです。メンタル元気な時にぜひ……!
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2021/11/25
幼馴染に死を予言されてしまう話
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扉絵がすごくよくて本編読む前に過去作2つ読んでから読みました。  ◇ ◇ ◇ 2020年に第87回小学館新人コミック大賞〈少年部門〉佳作 「パラダイムシフト」 https://shincomi.shogakukan.co.jp/winner/87/ 少年サンデーS 2021年11/1号(2021年9月25日発売) 掲載 「兄貴が嫌い」  ◇ ◇ ◇ 作品を重ねるごとにストーリーが少年マンガらしくわかりやすく面白くなっていってるな〜という感想。 全部じわ〜〜っという感じの読後感で、「少年マンガの絵柄で少女マンガみたいに丁寧に感情の移り変わりを描いたマンガ」という印象です。 エンターテイメント的な面白さは控えめで、大人っぽい作品というか小説みたいな感じというか……「人間関係と心の機微をただただ描写するのがメインで、そこに少年マンガ的なエンターテイメントな要素が添えられている」という、少年マンガとしては珍しいタイプの気がします。 インパクトのあるショッキングな展開で惹きつける癖の強い少年マンガが増えてきている中で、この「じわ〜〜っ」という文学的な作風は差別化出来てて強みになるんじゃないでしょうか。 逆に言うと最近の人気マンガに多い巧妙な伏線とか意表を突く展開とかそういうのはないので、それを期待してよむと肩透かしかも。(このお話もマンガがちゃんとキーアイテムになってる感じがしないし……) とにかく、今後どんな作品を描かれるのか楽しみです。
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2021/11/23
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謎だらけの17歳、フィンランドでホテルマンを目指す。【最新話13話までの感想】
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この作品を早く世界に気づいて欲しいのと同じぐらい独り占めしたい!!けど売れて欲しいから推します。もうとにかく絵が綺麗!温かくて素敵なホテル・メッツァペウラの従業員(イケオジ)たち!フィンランドの雄大な自然と美味しそうなご飯!そんなものに囲まれつつ、ミステリアスな主人公・ジュンの素性が明らかになっていくところが堪りません。 第1話が載ってるハルタ78号読んだら、あのクソ分厚いハルタを最新号まで全部買ってしまうこと間違いなしです。 あの刺青のシーン、引用として画像を貼りたいけどあまりにも素敵なのでこれはネットの海に流出させたくない……!のでぜひご自分の目でご覧ください。 89号まで全12話一気読みしたのでネタバレありで各話の感想を書きました。(本編読んだうえで読むことをおすすめします)  ◇ ◇ ◇ 【登場人物】 立派な和彫が入った謎多き17歳「ジュン・シノミヤ」 上品なイケオジホテルマン「アードルフ」 ワイルドなシェフ「クスタ」  ◇ ◇ ◇ 【第1話】『北の端の小さなホテル』 ・サウナに入るために服を脱ぐシーンが圧巻…!見事な彫り物に目を奪われる。「17歳の体にこれを?」という疑問も湧きまくる。 ・ちっちゃなボロボロのぬいぐみを抱きしめて寝る少年の寝顔よ…… ・スーツとオールバックが似合いすぎてうおおお〜〜〜ありがてぇ……😭     【第2話】『初めてのゲスト』 ゲスト: エンマ ・脱衣麻雀ならぬ脱衣手押し相撲で草。未成年飲酒と同じくらい脱衣も問題の気がするけどまた入れ墨が見れたのでオッケーです! ・オーロラの見開きシーン。室内なのにぶわーっと空が広がる感じがしてすごい……!     【第3話】『保存食』 ・扉絵から血まみれで微動だにしないジュン…マジでこの子どんな育ち方してきたの…… ・お母さんは実はフィンランド人なのか…… ・保存庫見開きがすごい。ねじれた奥行きの描き方が格好いい!     【第4話】『ひとときの晴れ間』 ゲスト: バーナネン ・朝の支度のシーンが好き。オオカミちゃんを椅子に座らせてあげるとこもいい ・エンマさんのときといいお客さんのために親身になるジュン……     【第5話】『先生』 ・たびたびジュンの言葉に出てきた“先生“の正体、そして現在の先生であるアードルフの過去が判明。“先生“がヤクザ者だったのは納得だけどアードルフさんの正体が元・国防軍の軍人というのはさすがに意外だった。     【第6話】『昔の写真』 ゲスト: クッカ&マリッカ・エルッキ ・子供の世話得意なジュン好き ・初のベッドメイキング回。アードルフさんかっけえ ・若アードルフさん&クスタさんいいな〜〜!     【第7話】『椅子』 ・女泥棒を容赦なく制圧するジュンさんかっけえ ・泥棒の正体はまさかのクスタの娘・ファビーちゃん(大工さん) ・フィンランドの「婚約したら新郎が新婦に椅子を贈る(あなたの居場所を作りましたよという意味)」という風習、素敵ですね ・タキシードのジュン良き……🥺 「あなた……ナイフを持った人間に飛びかかれるのに……ドレスの女性の方が怖いって言うんですか」     【第8話】『居場所』 ・ファビーちゃんのおかげで窮地脱出 ・クスタさん怖いけどやっぱりいい人……!     【第9話】『地下室に曰くあり』 ・シリーズを通して90度のお辞儀とか土下座めっちゃスムーズなジュンさん ・ホテルで働いてるはずなのに流血沙汰の怪我多すぎるだろ(3話ぶり3回目) 怪我フェチなので嬉しいけど自分を大事にしてくれ〜😭 ・タンクトップに紋紋はいいですねぇ🤤 ・幽霊より人間が怖い……     【第10話】『突然の贈り物』 ・バーナネンさんから山程のクリスマスプレゼントとクリスマスカードが届くの巻 ・クリスマスの思い出が先輩に酒飲まされてゲロって流石に不憫…… ・ちゃんとビザのこと考えてるんだなと感心すると同時にそれ働いたりして大丈夫なやつ?と心配してしまう。あと2カ月と6日。     【第11話】『大切な人』 ゲスト: アキ・バーナネン ・足をガバっと開いた扉絵あまりにも良すぎる…… ・バーナネン(弟)、マッシブな色男って感じで兄と対極すぎる ・「Söpö poika(ソポ・ポイカ)」は「訳: かわいこちゃん♡」とのこと。看板持ってるトナカイがキュート ・お母さんはサーリセルカという意外と近くの街に ・ホテルのロビーでドッタンバッタン大騒ぎで草。また流血沙汰(1話ぶり4回目)     【第12話】『サーリセルカへ』 ・しょっぱなからむちゃくちゃ嫌そうな顔してるジュン😂 ・ジュンのママの名前は元大統領と一緒(タルヤ・レフト) ・意外とすぐに打ち解けたアキとジュン🥺 ・いつかママと会えるのだろうか……     (追記: 2022/01/13) 【第13話】『牧場からのお客』 ・また土下座してるよこの子 ・パワータイプの犬に引っ張られて残像出るの好き ・犬とイケメンの破壊力がシンプルに強い     ◇ ◇ ◇   【掲載号】(休載なし。全号載ってます) ハルタ 2020-OCTOBER volume 78 ハルタ 2020-NOVEMBER volume 79 ハルタ 2020-DECEMBER volume 80 ハルタ 2021-FEBRUARY volume 81 ハルタ 2021-MARCH volume 82 ハルタ 2021-APRIL volume 83 ハルタ 2021-MAY volume 84 ハルタ 2021-JUNE volume 85 ハルタ 2021-AUGUST volume 86 ハルタ 2021-SEPTEMBER volume 87 ハルタ 2021-OCTOBER volume 88 ハルタ 2021-NOVEMBER volume 89 ハルタ 2021-DECEMBER volume 90
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2021/11/09
怪我と学ランのハーモニー
今日コミックDAYSのトップを見てたらバナーに怪我でボコボコの男の子がいて、気になって開いたら「えっ!もしかしてBL?」と思ってしまうほど繊細かつ色気のある扉絵が待ち受けていてまんまと読んでしまいました(スニーキーレッド好きな人) https://comic-days.com/episode/3269754496323056140 矢野くんマジで毎日ビビるほどボッコボコで吉田さんと同じく悪い想像をしてしまい心配だったのですが、単にドジっ子なだけらしく(それはそれで逆に心配だけど)ひと安心。 「怪我だらけの男子高校生は見たいけど、暴力はちょっと…」という複雑な乙女心にこたえてくれます。 和山やま先生の色気&ユーモアと舟本絵理歌先生のフェチズムをフュージョンさせたような作風でどひゃ〜とあっさり好きになり予約購入してしました(明日発売) ギャグシーンのデフォルメがレトロな感じで特に笑ってるときの三角形みたいな口の描き方が好き。さもえど太郎先生とかたなと先生っぽい。 巨匠に似てる似てる言いまくってしまったあとに恐縮ですが、この作品はなんといっても絵が素敵なんですよ…! すべすべお肌に桃みたいなほっぺにちょっぴりしかない鼻……!愛らしすぎる。 私は存じ上げなかったのですがもともと有名なイラストレーターさんとのことで納得です。 明日の1巻楽しみ!
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2021/09/23
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残された側から見る「異世界転生」
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異世界モノがブームとなってから相当な時間が経ちますね。フィジカル最強の大統領が転移したり、昏睡状態のセガ大好きおじさんが目覚めて異世界から戻ってきたり、ヤクザが異世界の素材でタピオカ作って儲けたり、公務員のお父さんが悪役令嬢に転生したり、転生してエルフになってからも生前の借金返済に追われたり。画期的な設定が次々と生み出され、いつの間にやらこのジャンルはものすごい発展を遂げました。 そして!ついに!ようやく!ここに来て初めて! 残された遺族の辛さを真正面から描くお話が登場しました……なんか感慨もひとしおです。 そもそも異世界転生はなろうやラノベの得意分野。 エロ・チート・ハーレム・スローライフ・婚約破棄・追放・ザマァなどなど、気持ちいい要素で楽しませることがとにかく重要で、正直それ以外の記述(現実に残された遺族の気持ち)は邪魔なだけで読者も作者も求めてないんですよね(エロ漫画と一緒。細けえことは今はどうでもいいんだよっていう)。 作者も読者も、現実から遠く離れた異世界に思いを馳せてとにかく楽しく夢想したい。 だから「転生者の遺族視点」という誰にでも思いつくような簡単なアイデアなのに形にする人が今まであらわれなかったんですよね。 こんなシリアスな話、もし本職のラノベ作家だったら書けないですよね……楽しさ全部載せのチーレム作品みたいにボンボン売れるわけないですし。 『私の息子が異世界転生したっぽい』 この作品の作者がかねもと先生だと知ったとき「ああ、この人だったら絶対タイトルどおりのすごいやつ描いてくれるだろうな」と思いました。 勇者パーティで働くワーママの辛さを真剣に描いた「伝説のお母さん」の作者さんなら、ラノベでは都合よく省かれてる「親」という存在を真剣に掘り下げられるはず。 そして実際読んでみて、全くその期待通りの内容でした。 残された母親の苦しみが正面から描かれていました…。 オタクコンテンツと縁のない若い美人なお母さんと、ラノベオタクな元同級生。 2人は異世界に行く方法を探して同じ時を過ごすなかで、今生きているこの現実を捉え直していく。 「ファンタジーとエンタメ」重視のラノベ業界では決して描けない「現実と痛み」の物語で読んで良かったです。 常日頃異世界モノを読んで現実逃避してる身なので、たまには真剣に残される側がどんなに辛いかを考えるの大事だな…としみじみ思いました。 こちらのかねもと版では旦那がほとんど出て来ず、この先お母さんはどうやって生きていくんだろうと気になります…。夫婦の決着が現在連載中の『私の息子が異世界転生したっぽい フルver.』で描かれるのを楽しみにしています。
たか
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2021/09/10
仙台弁が正確すぎてもはや教科書だでば!
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今まで人生で読んだ漫画の中で一番仙台弁が正確で笑いながら感動してしまいました。すごすぎる…!実家には1年8カ月間帰って居ないので読んでてめちゃくちゃ元気出ました。 先日新刊ページを眺めてたらパンチしかない表紙とタイトルを見つけ即購入し読んでみたら大当たり。 私の中の「漫画に出てくる仙台弁のネイティブ度ランキング」では今までいがらしみきお先生の作品がいつも断トツ1位だったのですがそれを上回って来ました(2位は相澤いくえ先生のモディリアーニにお願い)。もはや宮城県のその辺で撮影した動画を観てるレベル! 一番笑ったのが「いずい」の伏線回収のとこ。ラブコメの真っ最中に回収されて予想外すぎて普通に吹き出してしまいました。 正直「目の中にまつ毛」はいずいのレベル超えてる気がするけどそんなことどうでもよくなる面白さ。 Windows95のペイントで塗ったのか?って感じの表紙に反して、本編の絵は王道女性漫画という感じでとても素敵。 2巻まで読み終わったときに「えっ…ここで終わりなの」と残念に思うほど面白かったです。 (宮城県民以外が読んで面白いかどうかはちょっと自信ない) ▼感動したポイント 「1話の1コマ目の風景」 開始0秒で仙台じゃん!!www新幹線が減速し始める頃に左側の窓から見えるやつじゃん!! 「佐々木さえらさんだスペ!?」 なんの疑問も感じたことなかったけど「だスペ」って面白過ぎるな。 「まあズまズ」 よく言うよねばあちゃんが。意味は知らない。 「ほいなぐ」 「ハイカラだっちゃなイや!?」 笑いしか出ない!好き! 「なあーに語ってんの」 ファーーー!!言うわ!これ。 「とーちょーから来てけられんだォ」 ライティングが100点満点過ぎる。完璧にばあちゃんの声で脳内再生できた。 「ヤロッ子」 やろっこwwwリアルガチで15年ぶりくらいに聞いたし、漫画の中で見たのは初めてかも。 「んだがら」 「あらーやんだごどォ」 言うよね…!(ニッコリ) 「騙されったのか?」 うんうん、受動態は促音になるなる! 「んだすぺ?」 この1ワードだけで仙台力53万ある。 「んだ!こいなオマケのほーがいんだ!」 んだがらやァ。 【追記】 1話の「仙北担当希望」のところ。ルビが潰れて読めないけど読みは「せんぽく」のはず。キー局のアナが「けんぽく」という言い方に驚くというシーンを昔見て、「え…けんぽくって呼ばないの!?」とカルチャーショックを受けました。
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2021/09/08
完璧な「男のツンデレ」と大天使エルちゃん!【1巻の感想】
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いつか読みたいと思っていた身長差ラブコメの名作『Theかぼちゃワイン』。1話を読んでまず思ったのが、春助のツンデレが完璧すぎるということ…! 「思春期特有の恥ずかしさから毎回エルちゃんからの厚意を無碍にするけど、本当にエルちゃんを傷つけてしまう前に手のひらを返して素直になる」という絶妙なバランス感覚が見事。 ツンデレキャラは下手したら「はあ?何だこいつマジ何様だよ…」となってしまいがちだけど、全く読んでいて嫌な気持ちにならなかったのがすごい。 春助がまだまだ女子になびくのはダサいと思っているお子様であり(=情状酌量の余地がある)、エルちゃんが太平洋より広い包容力を持っている(=そう簡単に傷つかない)おかげで安心して見ていられるのかも。 とにかくエルちゃんがビジュアル的、内面的に最高すぎて読みながらずっと心のなかで「バブゥ〜〜〜〜」と唱えていました。エルちゃそ〜〜〜〜!! 世界一かわいいよ! あっという間に1巻読み終わってしまって続きがメチャクチャ気になる。 ▼以下、1巻で面白かった&好きだったとこ ・開幕早々「サンシャイン学園」というネーミングで何故かツボって笑ってしまった ・超古典的ツンデレセリフをマジのガチで言ってて感動 >「い いいか 勘違いすんなよ! 別にお前が心配だから きたんじゃねえぞ」 ・かっこいいで喩えに出てくる芸能人が小林旭なの流石に古い ・ズタズタになったマフラーを見て何も言わずに静かに傷つくエルちゃん。しかし春助が喧嘩したとわかるやいなやソッコーで怪我の心配をする…あまりにも大天使 ・自分史上、笹寿司以来の最高の敵役・テッキン。シンプルかつどストレートに嫌なヤツで好きすぎる!! ・お勉強も得意なエルちゃそ素敵すぎる…… ・テスト撒くとこで「女王の教室じゃん!!」と興奮してしまった ・ネクタイで生徒とチェーンデスマッチするテッキンさん最高の極み ・「レッツゴー♡ ファイトファイト♡」と、あるはずのないハートが見えてしまいそうなぐらいかわいいエルちゃその応援たまらん… ・テッキン、カスみたいな教師のくせに発育の良い女子生徒のパンチラをみたくてしょうがないところも最高にクソで愛せる ・団長といいテッキンといい負けたら潔いとこがすごくいい ・ボンネットとフロントガラス破壊されて「ジワア」ってなってるテッキンの顔良すぎる ・電話で中学生の息子に「愛してるわよ!」と言う母と、そんな母からの頼み事をしぶしぶ聞く息子という関係があまりにも理想的すぎる。こういう家庭環境からも春助は素直じゃないだけで性根はいい子だというのが伝わってきて好き ・容姿差別と地方差別のWパンチみたいなキャラが出てきて時代を感じた ・パンツ履いてるときはパンチラさせるけどノーパンのときは一切見せないという倫理観好き。普通にドキドキしました ・「学寮祭」の扉絵に描かれたのはゴジラなのかTレックスなのか… (▼『Theかぼちゃワイン』三浦みつる 1巻より。最の高)