こんちは、マンバ通信の伊藤ガビンです。風も涼しくなり、過ごしやすい日が増えてきましたね(希望)。ここでニュースです。
さてマンガファンのみなさんは、MdNという様子のおかしいデザイン系の雑誌があることはご存知でしょうか。
様子がおかしいっていうのは、デザイン雑誌なのに特集がですね、
『男装憧憬』境界を超越するキャラクターのデザイン
『乃木坂46』歌と魂を視覚化する物語
『大相撲の美』デザイン視点で相撲を知る
『神社デザイン』うんちく倶楽部、始動!
とかなんですよ。様子がおかしいでしょう。
もちろんそればっかりじゃなくて
『ベストセラー本、そのデザインの理由』
『絶対フォント感を身につける。』
『CDジャケット90年代狂騒史』
みたいな特集もしているみたいなんですけどね。でも中身を読んでみると、ほかのデザイン雑誌とかなり印象がちがうんだなあ。簡単にいうと「小洒落てない」んですよね。デザイン雑誌特有の小洒落感がない。この話、長くなるのでやめときますが。
で、そのMdNの9月号特集が
『マンガ雑誌をMdNがつくってみた』
っていう特集なんですよ。そして実際にマンガ雑誌がついてる! 本誌よりもぜんぜん分厚い! しかも本誌が薄い!
マンガのことを取り上げるんじゃなくて、マンガ雑誌自体を作ってみたという特集。なんなんだいったいなにが起こっているんだ。いったいなんでこの企画やろうと思ったんだ。
いわゆるマンガ家じゃなくて、独特の人選なんですよね。このイラストレーターにマンガ描かせたかー。わー、アニメーターのBahi JDさんにマンガ描かせとる! とか、人選も楽しい。しかしなぜこの人選なのか。
ニュース記事といえど、そのあたりの独自情報も載せたいなと思って、MdNの本信編集長に軽い気持ちでコメントをおねだりしてみました。この編集長そのものが様子がおかしいのですが、やはりいただいたコメントも様子がおかしかった……!
以下は、月刊MdNの本信光理編集長によるものです。
はじめまして。わたくし、「月刊MdN」編集長の本信光理(もとのぶ・ひかり)と申します。尊敬する編集者は伊藤ガビンさんです。
先日、MdN9月号で特集「マンガ雑誌をMdNでつくってみた」という号を企画いたしました。
実際に自分たちで「COMIC MdN」というマンガ雑誌をつくり、それを付録にしてます。
こんな内容です。ドンッ!
収録しているマンガも本当に面白いと思います!
こんなマンガを収録してます! ドンッ!
えー今回、マンバ通信さんに「なぜ『COMIC MdN』というような企画をやろうと思ったのか」「マンガを描いてもらった作家の人選は?」などを教えてくださいと言われたので、思いつくことをつらつらと書いていきたいと思います。
まず、「なぜ『COMIC MdN』というような企画をやろうと思ったのか」ですが……企画ってなんでもそうだと思うのですが、自分の中や編集部員の中のいろんな想い、計算が交差するところで「こういう企画をいまMdNがやったら良さそう!」とポンッと出て来る感じです。
だから理由は一個だけではないのですが、自分の中に編集長としてそれらを全て紐付ける動機みたいなものがあるとしたら、「怒り」とか「苛立ち」からくる衝動ですかね~……って、重い! ルサンチマンマン!!!(←これでいろいろとごまかしてみたつもり)
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みなさん、そもそも月刊MdNってご存知でしょうか? 簡単に説明しますと、グラフィックデザインや映像など〈視覚表現〉というものをテーマにしたデザインの専門誌です。
なのですが、なんといいますか、デザインの専門誌ってうっすらとみんなの頭のなかに「ちょっと素敵なたたずまいで、クリエイティブで知的な人たちが『なるほどなるほど』という感じで読んで、レイアウトもシンプルで美しくて……」というようなイメージがあると思うんです。
僕は、いつも「それって、ほんとう~~!?」「そのやり方じゃないとダメなの~!?」という気持ちがあって。
あとそもそも、グラフィックデザインの本って、特にデザインの専門誌って売れてないじゃないですか。ダイレクトに言ってしまいましたが、売れてないんです。売れてたら、他にもデザインの月刊誌っていろいろとあると思いますが、売れてないからないんです。
「デザインの月刊専門誌」というほっとくと超売れないテーマで、売れる雑誌を作る(作ろうとする)。そんなアンビバレンツなことをやっていたら「怒り」や「苛立ち」みたいな感情も湧くという話ですよ。
というようなところからくる「衝動」が、「MdNに本誌より厚いマンガ雑誌が付録として挟まってる!」みたいな暴力的な在り方、佇まいとして表出してしまったのではないかと思っています。ルサンチマンマン!
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といいつつ、ルサンチマンで本を作るのは本当に良くないです。
本を作るなんて、サービス業以外の何ものでもないわけで。読者がほしいと思うものを作って、お金をいただく。
スタートに暴力的な気分があったとしても、作る過程でそれらはロケット打ち上げのための〈エネルギー〉か、もしくはそういう暴力的な気分自体も好きな読者のための〈味付け〉として使うようにします(当初の暴力的な気分は誌面から拭い難く、にじみ出てしまうとは思っています。それが〈味付け〉です)。
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そもそも、なぜ「マンガ雑誌」を付録にしようと思ったのか。
マンバ通信的には、〈そこを教えろ!ここまでは余計な話だぞ!〉という感じだと思うのですが……。
明確に答えづらい……。
先ほども書いたとおり、「衝動」だからロジカルな理屈がない。
これが「流行ってるから、特集にしました」とかだともう少し簡単に答えられるのですが……。
でも「ただ衝動だけで、最初から最後まで作りきった」というのも違う気がします。
いま、MdNでマンガ雑誌を作って付録にしたら、当たりそうな気がする、という〈直感〉は働きました。そうでないと、やりません(実際に当たるかどうかは、出版は博打性が高いので、わかりませんが)。
そこら辺のことは、MdN9月号の本誌の「マンガ雑誌をMdNがつくってみた」というリポート記事にも簡単に書かれているのですが(というか、僕が書いた)、後編では「なぜ『COMIC MdN』というマンガ雑誌を作ろうと思ったのか?」「どういうマンガ雑誌にしようと思ったのか?』『作家の人選は?』などについて〈直感〉をより明確に、でもボンヤリとした部分はボンヤリとしたままお伝えしていきたいと思います。
以上、月刊MdN編集長 本信光理さんからのコメントでした。長いよ!
というか
後編では「なぜ『COMIC MdN』という(略)
とか、いつの間に前後編にしてんすか。
そんなわけで「後編」に続くようです。ニュースなのに。
後編はこちらからどうぞ!
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月刊MdN 2017年9月号(特集:マンガ雑誌をMdNがつくってみた!)[雑誌]