真の名作は色褪せず、発酵し熟成する
十数年ぶりにカイジを読んだ。当時とて当然感動したし面白かった。この間に数多くの漫画や書籍、映画やアニメに出会ってきて、精神的にも豊かになった。今読むとどうなるか? 勝負の勝ち負けも、ストーリーの結末も知っている。 だが面白い。 利根川の名言一つ一つが、熟成された旨味を伴って染み渡るのだ。カイジの小賢しさもここぞの度胸も、俯瞰して「観客」として楽しめる。 「金は命より重い」 当然ながら利根川は本心からそう思ったわけではあるまい。帝愛の企業理念やスローガンかもしれない。だが、間違いなくあの場あの空気に最もズシリと響いた言葉を選んだのだ。
高校くらいに、1度読んでどハマりした作品。
正直、失礼を承知で言うと、その時まで絵柄が合わないと読まないくらい、絵を重視していたのですが、何気に絵がアレでも初めてハマった作品が本作です。
それくらいストーリーにひきこまれていきました。
当時は、駆け引きとかよりも、少年ジャンプ的な勧善懲悪、努力の後に正義は勝つ的な漫画ばかり読んでいたので、本作の最後、兵藤との一戦後は、衝撃でした。
正義(主人公)は必ずしも勝たない、大人の世界を体験させてくれたので、今でも大事な1冊で、こうして度々読み返すんですね。
そして、やっぱり面白い。
ゲーム性もそうなんですけど、勝利や敗北を通した「勝負の美学」が、
やっぱりグッとくるんですね。
勝つために、それこそイカサマをやってでも手段を選ばない姿勢。
死力を尽くして負けた後の、受け入れて、ごまかさない態度。
人間の尊厳
とも言うべき美しいプライドを、それぞれのキャラが魅せてくれて、すごい格好良いんですね。
昔の武士のような、生き様です。
まぁ、やっているのは債務超過の底辺人間同士の博打なんですけどね、だからこそ、輝くのかもしれません。
続く作品も、どれも面白いのですが、やはり原点は濃度が違うように感じます。
ギャンブルという一ジャンルとして閉じず、上記の人間ドラマも是非味わってほしいです。