あらすじ橋を渡り切って手にした大金のチケット。しかしそれを換金するためには、新たな“橋”を渡らなければならない。その新たな“橋”とはビルとビルとの間に渡された、高さ数10メートルの鉄骨だった。さきほどの橋とは違い、落ちればそれは即、死を意味する。勝てば金……負ければ死……己の命を賭けた鉄骨渡りが始まるっ……!
十数年ぶりにカイジを読んだ。当時とて当然感動したし面白かった。この間に数多くの漫画や書籍、映画やアニメに出会ってきて、精神的にも豊かになった。今読むとどうなるか? 勝負の勝ち負けも、ストーリーの結末も知っている。 だが面白い。 利根川の名言一つ一つが、熟成された旨味を伴って染み渡るのだ。カイジの小賢しさもここぞの度胸も、俯瞰して「観客」として楽しめる。 「金は命より重い」 当然ながら利根川は本心からそう思ったわけではあるまい。帝愛の企業理念やスローガンかもしれない。だが、間違いなくあの場あの空気に最もズシリと響いた言葉を選んだのだ。