あらすじ遂に訪れた決定機……流れも、そして理すらも手中に収めたカイジらだったが、閉塞した場は勝負を放棄……。不信感から誰もが動くことのできない中、カイジを騙した男・船井が声を上げる。カードをシャッフルして再配布、そこからの勝負再開を提案する船井だったが、それに乗ることはカイジらの戦略破綻を意味していた。金縛り状況のまま沈むのか……それとも再び運武天武の勝負に身を任せるのか……カイジの決断は……?
十数年ぶりにカイジを読んだ。当時とて当然感動したし面白かった。この間に数多くの漫画や書籍、映画やアニメに出会ってきて、精神的にも豊かになった。今読むとどうなるか? 勝負の勝ち負けも、ストーリーの結末も知っている。 だが面白い。 利根川の名言一つ一つが、熟成された旨味を伴って染み渡るのだ。カイジの小賢しさもここぞの度胸も、俯瞰して「観客」として楽しめる。 「金は命より重い」 当然ながら利根川は本心からそう思ったわけではあるまい。帝愛の企業理念やスローガンかもしれない。だが、間違いなくあの場あの空気に最もズシリと響いた言葉を選んだのだ。