あらすじ遂に限界に達してしまった石田の気力。自らのチケットをカイジに託し、無言で堕ちた石田の最後の勇気に、カイジは涙を流す。気がつけば、先を行く佐原も堕ちた人間の幻影に惑わされ、その足が止まっていた。そんな佐原を、そして己を鼓舞し、カイジはゆっくりと、しかし確実にその歩みを進めていく。カイジと佐原、互いが互いを“希望”とし、恐怖と闘う二人……そして遂に佐原が橋を渡り切るのだが……?阿鼻叫喚の「鉄骨渡り」の結末とは……?
十数年ぶりにカイジを読んだ。当時とて当然感動したし面白かった。この間に数多くの漫画や書籍、映画やアニメに出会ってきて、精神的にも豊かになった。今読むとどうなるか? 勝負の勝ち負けも、ストーリーの結末も知っている。 だが面白い。 利根川の名言一つ一つが、熟成された旨味を伴って染み渡るのだ。カイジの小賢しさもここぞの度胸も、俯瞰して「観客」として楽しめる。 「金は命より重い」 当然ながら利根川は本心からそう思ったわけではあるまい。帝愛の企業理念やスローガンかもしれない。だが、間違いなくあの場あの空気に最もズシリと響いた言葉を選んだのだ。