5.0
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1960年代初めに描かれた白土三平の貸本劇画です。
忍者漫画と思いきや、なんと舞台は西部開拓時代のアメリカ。キムはあくまで謎の人物という設定になっていますが、手裏剣を投げたり、土に潜ったり、どこからどう見ても日本の忍者!(笑) とはいえ、西部劇のガンマン達と「ニンジャ」が闘うなんて、テンションが上がらないわけがない。
キムは母を探すため西部をさすらい、行く先々で悪者をやっつけ、人々を助けていくという展開。白土漫画で一貫している、虐げられた者たちへの思い入れは、日本の農民と同じように、黒人やインディアンに対する差別に対しても発揮されています。未完という形で1巻で終わってますけど、大作を予感させる構想だと思いました。野生の動物たちの描写も見事。シートン動物記の要素がふんだんに入ってます。動物解説を見てるだけでも楽しい。
単行本化の際に、第一部完とするため12pの描き下ろしが加えられています。これがまたシブい雰囲気の引き方なんですよねえ…。こりゃあ子ども向け作品としては続かなかった理由の一つなのかなあと。