マウナケア1年以上前編集雑誌連載時から読んでいて、章が変わるごとに、著者の新しい面が見られるのが楽しみでした。3巻あたりまでは、麻雀をきっかけに知り合ったひろゆきと天のヒューマン・ストーリー。泣かせる演出も入れた仕立てで、これは『熱いぜ辺ちゃん』など初期の作品に見られるテイスト。その後、真骨頂である心理戦を中心とした麻雀勝負論が、ヤクザの代理戦である東西戦を舞台にスタートします。強烈な個性のぶつかりあい、息をもつかせぬ駆け引きの数々と、このあたりは『アカギ』などの代表作で確立した作風そのもの。そして最後の3巻は麻雀とかけ離れた、裏の主人公・赤木しげるの死生観について。不治の病に侵され、自ら死を選ぶ赤木と、それを翻意させようとする仲間との人生談義が展開されます。「無頼伝涯」などでも見られた極限の人生論に圧倒されました。今更ながら思うのは、著者のさまざまなタイプの作品のエッセンスは、みんなこの中にあるということ。福本漫画の世界に入門するにはうってつけです。0わかるfavoriteわかるreply返信report通報
あらすじ顔に無数の傷をもつ男――天。見かけの豪放さとは違い彼の打つマージャンは繊細で思慮深い。権謀術数の卓上に彼の不敵な微笑が浮かぶ。ある日、なじみの雀荘のピンチを聞きつけた天はその店へとおもむく。しかしそこにいたのは、まだあどけなさの残る若者ひろゆきであった。続きを読む
雑誌連載時から読んでいて、章が変わるごとに、著者の新しい面が見られるのが楽しみでした。3巻あたりまでは、麻雀をきっかけに知り合ったひろゆきと天のヒューマン・ストーリー。泣かせる演出も入れた仕立てで、これは『熱いぜ辺ちゃん』など初期の作品に見られるテイスト。その後、真骨頂である心理戦を中心とした麻雀勝負論が、ヤクザの代理戦である東西戦を舞台にスタートします。強烈な個性のぶつかりあい、息をもつかせぬ駆け引きの数々と、このあたりは『アカギ』などの代表作で確立した作風そのもの。そして最後の3巻は麻雀とかけ離れた、裏の主人公・赤木しげるの死生観について。不治の病に侵され、自ら死を選ぶ赤木と、それを翻意させようとする仲間との人生談義が展開されます。「無頼伝涯」などでも見られた極限の人生論に圧倒されました。今更ながら思うのは、著者のさまざまなタイプの作品のエッセンスは、みんなこの中にあるということ。福本漫画の世界に入門するにはうってつけです。