温泉の湯けむりに隠れて暗殺を行う――。てっきりそんな話だと思ってました。あらら、全然違うじゃんだまされた、つぶやきながら読み進めていったらこれがなかなか掘り出し物。元殺し屋の「源さん」が過去を捨てて第二の人生を温泉宿の従業員として生きる、という話で、これがシブくて深い。温泉に訪れる客との交流に源さんの過去を絡めるだけでも結構イイ感じの人情話。さらに松茸取りの名人やら女体盛りやら夜逃げやらアナクロな感じの要素がてんこ盛りで、田舎育ちの私にとっては日本にはまだまだこんなところが残っているよな、と再確認してしまいます。私が特に好きなのは温泉街の人が集まって夜桜で花見をする場面。人工的な照明ではなく、暗闇にぼんやりと浮かび上がる桜。秘境ならこんな花見もホント、ありです。また、後半になるにつれて比重の高くなる源さんと2人の女性との心理描写も読み応えたっぷり。重厚な絵柄がそれを引き立ててくれます。しかし女体盛りが出るような秘湯なのに、近場に海の家がある海水浴場があるなんて…。モデルがあるなら一度行ってみたいものです。
都会の喧噪を逃れ、秘境の温泉宿・椿屋で従業員として働き始めた謎の男・源さん。彼はかつて、人の命を奪うことを生業(なりわい)としていた殺し屋(スナイパー)だった!!正体を隠して勤める源さんの元に、以前の「マネージャー」だった男が訪れ、再び殺人の依頼を持ちかけるが……。ゼロから人生をやり直そうとする男の胸を打つ人間ドラマ!
都会の喧噪を逃れ、秘境の温泉宿・椿屋で従業員として働き始めた謎の男・源さん。彼はかつて、人の命を奪うことを生業(なりわい)としていた殺し屋(スナイパー)だった!!正体を隠して勤める源さんの元に、以前の「マネージャー」だった男が訪れ、再び殺人の依頼を持ちかけるが……。ゼロから人生をやり直そうとする男の胸を打つ人間ドラマ!