数字であそぼ。 絹田村子
数学をめぐる、ちょっとおかしな大学生の物語
やめろーッ!! そんな目でこっちを見るなああぐああ(悶絶)
大学時代に経済学の公式の「理解」ができず、主人公の横辺と同じように「割り算とは、掛け算とは」というレベルまで立ち返らざるを得なかった自分としては横辺の苦しみは痛いほどわかります……。
再履のときに1年生が花を背負ってるのが見えることも、そして同じ留年仲間が数学のできるやつだったときの「最初からあちら側の人間だった」という裏切られた気持ちも……。
甘野と北方の残念なものを見る目にわたしの古傷も痛みました。
横辺くんのまわりにどんどん留年仲間が集まっていく展開が好きです。まるでスタンド使いのように留年者が惹かれあうのには、身に覚えがあります。なんなんだろうあの引力。
「ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~」の中で、覚えるのが非常に大変な枝足の言語を、主人公がヒーヒー言いながら覚える様子をみんなが見に集まるというシーンがありましたが、わたしにとってこの作品の楽しみ方はまさにそれと一緒。
3留という危機が迫る中、どうにかこうにか数学を「理解」したくて七転八倒する横辺くんを安全なところから眺めるのが面白い。
大学時代に禍根を残す身なので、完結した暁には、横辺くんにはぜひ数学と仲良くなって無事卒業してもらいたいなと願っています。頑張れ!