【第5回トーチ漫画賞〈大賞〉受賞作】エアコン組立工場で働く川上綾は、小説家志望。 繰り返される単調な日々の中、月に一度、文芸サークルの集いを楽しみにしている。 しかしある事態をきっかけに、信じていた日常は崩壊する。 「”創作”なんかから卒業するきっかけを 本当はいつも探していたんだ」 逃れられない創作の呪縛、 この苦しみが誰かの喜びに変わる時まで――。
手をふって、いい気分で、進まねばならぬ。苦しんで生き生きと暮らすのだ── 冴えない中年医師と天真爛漫な姪。去りし日の苦味と若さのきらめきをともに祝福する ささやかで確かな人生讃歌。『太陽の季節』と芥川賞を競い、敗れた無冠の傑作が 稀代の劇画家ののびやかな筆致を得て、今ふたたび輝く!! トーチweb連載時から話題沸騰! 俊英・川勝徳重による傑作長編!
あの頃いつも一緒に遊んでいたK君とのこと。 時間が経っても変わらないものがあるなら。 友だちとの時間を描く18ページ読切。
小学生のユキナリは絵が得意。だがコンクールで選ばれたのはミステリアスな同級生るるれの絵だった。 なんであいつが選ばれて僕は選ばれないんだろう。みんなも言ってる。 でも、あの絵は…… ユキナリの渦巻く心は何色だろうか。 おさなごころが疼く読切37p。
ある日突然夫が透明になってしまった。 見えなくなった身体がもたらしたものとは…。 不確かな気持ちにそっと触れる読切38p
離婚水は涙の味——。どこかおかしい世界の哀しい恋物語。 この世界、どこかがおかしい。 ある日、仕事帰りの女は不審な男と出会う。 その男が口にした「離婚水」という言葉は女の人生を一変させる——? オールアナログで描かれる不穏で安閑な世界。新鋭デビュー読切25P。
三千世界のカラスを殺し、推しと朝寝がしてみたい—。 学校に馴染めない主人公・すーちゃん。“同担は殺す”そう思っていたはずなのに、同じ推しを持つ同担の麻里花や熱川さんと仲良くなってしまう。「ヤクルシ3000」を飲んで眠ると夢の中で推しに会えるらしいと聞き、すーちゃんたちはある行動に出る。 ピュアで危ういおんなのこたちの青春。トーチ初登場の異才が贈る読切28P。
思い出は、ほろ苦い味がする。 思春期のモヤモヤとした毎日のなかにひそむ輝きとやるせなさ。 僕たちはいつも自分の居場所を探していた—— 『牛乳配達DIARY』『つつがない生活』の著者であり、ハードコアバンドMILKのメンバーでもあるINAが贈る、心に染み入る新作短編。
体温の低いスミオと、平熱が高いえっちゃん。 二人が一緒にいれば、ちょうどよくなるはずだった…。
時は22世紀直前。ユートピアで夢見る第二の青春── 迫田啓介(75)が引っ越してきたのは、 多摩地区にある高齢者ケア施設〝ハイエイジケアタウン〟── 政府の施策によって大学施設を再利用したこの施設は、 まさに高齢者のユートピアともいえる場所だった…… 遠くない未来、いつか訪れる老後を明るく描く(第二の)青春群像劇。 イラストレーター・漫画家として活躍中の日向山葵、トーチに初登場!
時代の風が吹く中で歩き続けた。この道の先が知りたくて。情熱、悔恨、青春、諦観…… 日本映画黄金期を舞台に創作と生活のはざまを生きる 嵐のような日々。戦後の映画スタジオの光と影のなか、ひとびとが追い求めた夢。脚本家になんてなるつもりはなかった夏美も 気がつけばそこに立っていた。薄墨の表現が冴え渡る、永美太郎 渾身の新作。
小川しらす、鮮烈デビュー。心震える読切54P。 本田あみかは高校生。毎日マキシのポテトを食べている。 クラスメイトはたくさんお喋りしてるのに、あみかはあまり喋らない。 いつからうまく話すことができなくなったんだろう。 日々はポテトみたいにしょっぱくてあたたかいものかもしれない。 そしてたぶん、誰かと一緒に食べるからおいしいんだ。
緊急事態宣言下のある街で女が橋から飛び降りた——。 90’sを生きたパンク少女たちは、失った仲間と青春を引きずったまま40代の今をもがきつづける。 白と黒で描かれる、痛みに満ちた青春とミドルエイジ。 第3回トーチ漫画賞で〈山田参助賞〉を受賞し、山田参助氏に「圧倒的によかった」「今すぐ本にしてほしい」と言わしめた、40代主婦・入魂のデビュー作。
突然のうつ病発症から回復までの様子と、船場センタービルで過ごした数日間の出来事。 身体的な痛みから突如うつ病を発症。数ヶ月の療養生活を経て回復したところに届いた仕事の依頼は、大阪にある商業施設〈船場センタービル〉の漫画を描いてください。というものだったーー。 施設を実際に訪れて過ごした四日間、船場センタービルの中で、外で、著者が感じた様々なこと。 町田洋、初のエッセイ作品。
夏の神戸の街を歩く、母と娘。 久しぶりに会った母の腕は、抗がん剤のせいで痩せ細っていた。 「次があるか分からないから」そんなことばかり繰り返す母に、つい苛立ってしまう。 伝えたい言葉は、想いは、もっとたくさんあるのに…。 『そしてヒロインはいなくなった』『姉の友人』ばったん新作読み切り。
【第1回トーチ漫画賞「山田参助賞」受賞作品】 最凶の殺人イノシシ〝アバズレ〟とのファックに 全てを懸ける男の愛と戦いの記録!!
UFOの襲撃により未練を残し、命を落とした詐欺師の大谷。 しかし、ふわふわもこもこな種族・マ〜ル族の儀式により、異世界への転生を果たす。 ふわもこに生まれ変わり、救世主としてチヤホヤされる日々を過ごす大谷だったが……。
各界戦慄の超新星・龍村景一が解き放つ、劇薬的デビュー読切。 袋田滝殴郎(1967-84)、享年17。 最期の言葉「やじうまのケンタウロス」 目覚めると、そこは100年後の仮想世界だった。 「オレ…朋美に告ってねェ…」 たとえ世界が終わっても、再びあいつに会うために——。 がんばれ殴郎!1,000,000回の拷問地獄!!!!!
中年のセンパイに起こった奇跡——人生を揺らがす24p読切 「この時を待ってた!」 ファストフードでだべる中学生が目撃した、さえない中年のセンパイに起こった奇跡とは… 第5回トーチ漫画賞最終候補作家が鮮烈デビュー!
私たちは物語り、物語られる。誰のために? クラスメイトに告白するチャンスを探している女子高生、運頼みで生きてきたガンマン、漂流中のクルーザー、日照りに苦しむアフリカの民…誰もが豪雨を待っていた。 同じ願いのもと、混じり合う果ての物語は誰のものなのか。 第5回トーチ漫画賞に応募された3編「豪雨を待つ」「小岫が雉」「商談」を公開。 物語ることのプリミティブな根幹に触れる、第5回トーチ漫画賞〈準大賞〉受賞作。
植物たちは恋人を求めさぱさぱと・・・・・ 植物に愛された男・菊次。ストリッパーのよだか。よだかのファンの義手のおじさん。 夜の街で交差する3人の賑やかなひととき。
「今年読んでよかったマンガリスト」を作ったときに、今年読んだ読み切りで何が良かったかな…と思いだす中で、真っ先に思い出したのが本作だったんですよね というか、「ゼロ災でいこうっ」のシーンが思い浮かんだ(添付) 衝撃的なシーンでした 大人になっていく中で、飛行機事故を契機に、自分の「核」が創作ではなくなっていたということ(又は、自分の「核」は最初からそんなところにはなかったということ)、そして、現実を前に情熱は失われてしまっていたこと、そのことを自覚する物語 それが、本作に対する私の印象でした …が、読み返してみると、実はそうではなかった だって、主人公は、そのことを自覚しながら、それでも、創作をやめられないから 「他の選択肢がない」という理由で、やはり創作を辞めることができない 別の人生を歩めるなら歩みたいと泣くのに、それでも辞めることができない それどころか、キャロット通信は解散し、仲間もいなくなり、 誰も読んでくれない、読者すらいないのに、辞めることができない 「にもかかわらず…私は…懲りもせず」 「また繰り返す…どうして?」 「なぜ??」 たぶん、このセリフこそが、この作品の核心なのでしょう 主人公にとって、創作は、苦痛なのでしょう でも、主人公の救いは、もはや創作しかない だから、主人公は、創作に向き合い続ける 「赤羽」に登場するペイティさんが、 「やはり創らないと気が狂いそうだから創るってコトですね…」 と言ってました(増補改訂版4巻、ボーナストラック9話)、 「創作」というのは、もともと、そういうものなのかもしれないです あ、ところで、そんなふうに「創作」をやめることのできない綿本おふとん先生ですが、トーチwebで新連載とのこと!みんなで応援しようね! https://x.com/offton_w/status/1873197901478019149