新人賞 - 夏休みの町 | 受賞作品 | マンガ部門 | 第17回 2013年 | 文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品
文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品
都会から離れた町の大学へ通う「ソウ」は、若さと暇な時間が合わさる唯一の時、大学生の夏休みを満喫していた。花火大会の場所取りのために友人たちと訪れた丘の上には、朽ち果てた戦闘機があった。ひょんなことから彼らはそこで老人に出会う。聞けば老人は第二次世界大戦中に戦闘機のパイロットで、未確認飛行物体"フーファイター"に連れ去られた戦友を捜すために「もう一つの世界」から来たと言う。老人の不可解な言動に...
「町田洋さんが新作マンガを描かれている」 その事実だけで世界の彩度が上がるような、祝福を覚えるような心持ちになります。 Kindle限定で突如発売された、この新作『ごみをひろう』は「ごみひろいを描く連作シリーズ」ということだそうです。 1P目からいきなり想像上の妻(なぜか星の見えるソファの上で歯ブラシを持っている)と会話を始める辺りの幻想感がとても町田洋さんらしいのですが、読み進めると思った以上に実務的な内容でした。 恐らく、皆さんも疑問に感じたことがあるのではないかと思います。汚れやゴミが付いてしまっていたり、飲み残しがあったりする缶やビンやペットボトルは、どこまでを資源ゴミとして出してどこからを燃えないゴミとすればいいのか。ふせん、シールの台紙、ねぎのテープはそれぞれ何ゴミに分別すべきなのか。 想像上の妻のように気にしない人はまったく気にしないであろうもの。しかし、気になる人はとことん気になるであろう事柄。 自治体によっても違いがあるのでこれが絶対という訳ではないですが、一度調べて子供とこうした境界線上にあるものをクイズ形式で検討し合ってみたら、良い学びの機会になりそうだなと思いました。 人が活動する場所では必ずゴミは生じ、美しい景色は何もせずには保てず誰かがごみを拾ったり掃除をしたりして綺麗になっている。それは当たり前にやられていても決して当たり前のことでなく、価値ある尊い営為であるということを静かに語りかけていってくれます。こうした人によってはまったく気にも留めない世界の片隅に向けられる眼差し、そこから情緒豊かに掬い語る様は、町田洋さんの素敵なところです。