自分は完全に主人公(娘)側の立場として読んだので、彼女がああいう状態の母親と一緒に居てどれだけ辛いかが痛いほどわかります。時間がないこともわかるし、優しくしたい気持ちもあるけれど、そこまでの余裕を持てない。むしろ冷たくしてしまう。それは子供として母親に対する甘えでもあると思うしそれ以上に、実の親からあそこまでリアルに「死」を突きつけられて冷静でいろなんて無理ゲーすぎる。同じ経験をしたことがあるわけじゃないのに、どこか自分を見ているような気持ちになってなおさら辛かった。
一方で、母親本人の立場からしてみれば自分の寿命が尽きかけていることを自覚したうえで今できることをできるだけやっておきたいという気持ちもわかる。それに心がついていかない娘。
少なくともこの話の中で母娘ふたりの心が噛み合うことはない。駅で別れたあと、娘が母を思い泣く場面があるが、そこで終わっているのがこの漫画のすごいところだなと思った。是非一読をおすすめする。
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夏の神戸の街を歩く、母と娘。 久しぶりに会った母の腕は、抗がん剤のせいで痩せ細っていた。 「次があるか分からないから」そんなことばかり繰り返す母に、つい苛立ってしまう。 伝えたい言葉は、想いは、もっとたくさんあるのに…。 『そしてヒロインはいなくなった』『姉の友人』ばったん新作読み切り。