3インチ

実在の昆虫と戦いながら犯人を探すサバイバルホラー!

3インチ 多口はじめ
たか
たか

気弱な主人公もパニックホラーもたくさんあるけど、留学中の学生が主人公という設定はすごく珍しくて面白い! 留学中のアメリカで馴染めずにいた大学生の主人公は、勇気を出して年越しホームパーティーに参加するが、カウントダウンが終わった瞬間に意識を失ってしまい、目が覚めると身体が3インチ(7cm)になっていた。家アリや猫すら命を脅かす状況で、何者かがパーティーの参加者のペットである世界の昆虫をカゴから逃していて…というあらすじ。 1巻の表紙にあるように、人んちの猫に命を狙われるシーンがとても現実味があってメチャクチャ怖い!あとアリに襲われるシーンは漫画だとわかっていてもギョエーッとなる…。 また体が縮んだことでただ不利になるのではなく、「高いところから落ちても平気」、「筋力20倍」などのメリットをあるのが単純じゃなくていい。 カリフォルニアの虫や動物が次々敵として登場するので、アニマルドキュメンタリーを見ている感じで楽しめる。 実在する虫(主人公たちにとっては巨大生物)とバトルをしながら、味方の中に潜んでいる犯人探しをするスリル最高です…! https://www.urasunday.com/3inch/comic/58764.php

機巧童子ULTIMO

スタン・リーが原作の貴重な日本のマンガ

機巧童子ULTIMO 武井宏之 STAN LEE
ANAGUMA
ANAGUMA

アメコミの巨匠スタン・リーと『シャーマンキング』の武井宏之がタッグを組んだエクセルシオール!なコラボ作品です。 ご想像通り両名のカラーが渋滞を起こしながら大暴れしてフルスロットルで突っ走っていくカロリーの高さが魅力。 善(ヒーロー)と悪(ヴィラン)という概念に合わせてそれぞれの陣営のキャラクターが群像劇的に活躍するのはアメコミのエッセンスがしっかり詰まってます。大胆にタイムスリップしたりとか。 一方アクの強い主人公の親友やヒロインのキャラクター造形、超カッコイイ巨大メカなんかは武井先生の感性が炸裂。 アメリカと日本のマンガのストロングポイントを同時に楽しめるカツカレー的な味わいになってます。 本作の連載開始(2009年)以降、スタン・リーは『HEROMAN』や『THE REFLECTION』など日本のアニメ制作にも積極的に関わっていきます。 晩年の彼の活動を振り返るのにも大切な一作であると言えるでしょう。もっと日本での活躍も知られてほしいな…。 と言いつつもX JAPAN YOSHIKIとコラボした『ブラッド・レッド・ドラゴン』は僕はチェックできてないです。 https://www.barks.jp/news/?id=1000071768 あとはダンスタンっていうキャラクターが出てくるんですけどこれはダンスタンなのでスタン・リーではないです。 ダンスタンです。 https://i.imgur.com/T2LxNZt.jpg

きらきらひかる

【名作】監察医は死者の心に耳をそばたてて聞く仕事

きらきらひかる 郷田マモラ
nyae
nyae

主人公の天野ひかるは、東京の大学を主席で卒業し、地元の大阪に戻り、監察医として大学病院で働いている。 大学時代は、医学部に属していながら卒業後に進む道を決めかねていたひかるだが、あるショッキングな事件をきっかけに、死者の声を聞くことの意味を知り、監察医になることを決めた。 監察医になってからのひかるは、おっとりして控えめながら、気になったこと・分からないことに対しては納得いくまで調べ尽くさないと気がすまない性格ゆえに、必要以上に事件や事故の内情に入り込んでしまい、無念な死を目の当たりにしては心をすり減らすような日々を送っている。 そんなひかるの人並み外れた観察力と真実を知りたいという執念、どんな人間に対しても死には同じ重みがあると信じる純粋な心が、同僚や警察、被害者の周囲の人間にさまざまな影響を与える。 ストーリーの構成としては2〜3話完結(話によって5話くらい続くことも)で、読み手には最初から犯人がわかっているパターンもあれば、事故か事件かもわからないで進む話もある。 ひかるの身近な人間が事件に関わることも少なくない。 プライベートでは、母親からしつこく受ける見合いの誘いを断りながらも、仕事でよく関わる刑事の森田と恋仲になる。森田に対する自分の気持に気づいてから、何かにつれ顔を赤らめオドオドする様子は、相当な奥手女子であることがわかる。しかし、たまにある超貴重なデート回でも必ず事件や事故に関わることになってしまう運命なのはなんとも残念。 自分はとにかくこの作家の描く人体描写の虜である。 大きい頭になで肩、どんくさそうな脚、…。新作描いてほしいな、と小さな声で言ってみる。 ちなみに、本作の続編である「きらきらひかる2」の新キャラに霊が見える監察医がいるが、なぜかひかると同程度の主役級の扱いになっているうえに、森田の存在感がかなり薄くなっている(恋人同士という設定自体が無くなってる感じ)。 それにかなりのショックを受けたが「きらきらひかる最終章」(未電子化)でそこらへんはしっかり回収されている。

四ツ谷十三式新世界遭難実験

圧倒的才能...! マンガが上手すぎる

四ツ谷十三式新世界遭難実験 有馬慎太郎
たか
たか

2017年に読んで衝撃を受けた作品。1話だけ読んでもとにかくすごい。というか1話4ページ目の見開きのシーンが上手すぎる。ただの釣りと見せかけておいて、いきなり奇妙で壮大な世界を見せつける構成に痺れる!! (読めばわかります…とにかく第1話読んで) https://comic.mag-garden.co.jp/yotsuya13/ 凄まじい画力と懐かしいノリのギャグが織りなすハーモニーが最高。 ネットでは「高い画力で描かれるSF。主人公がゲスに振り回されるストーリー」という部分がレベルEと共通するというだけで「パクリ」と呼ぶ輩がいるようで本当に悲しいです…。 それは「NARUTOはハリー・ポッターのパクリでハリー・ポッターは落第忍者乱太郎のパクリ」だと非難するくらい、的はずれなこじつけにすぎません。 そもそも冨樫先生の高い画力と卓越したストーリーは、表面的に簡単にパクれるようなものではありません。魅力的な絵と読者の度肝を抜くエグい展開。この2つが揃って初めて冨樫先生らしさにようやく一歩近づけるかどうかというくらいでしょう。 もし仮に冨樫先生の漫画を真似できるとしたら、それ自体がその人の人並み外れた能力の高さを示しており、むしろ評価されるべきだと思います。 そして有馬慎太郎先生は、誰と比べる必要もなく最高の漫画家です! マグコミでずっと読んでいたので、休載のアナウンスがあったのかどうかすら把握していないのですが、ずっと続きを待ってます。 (画像は2話より。キャラデザ・設定、何もかも好き…)

カクレミ

凄まじい完成度…!17歳の驚異の読切

カクレミ 百田稜助
たか
たか

画力・ストーリー、何もかも完璧でおよそ欠点が見つからない読切!1ページめのカラー絵からとにかく素敵で、絵柄の印象は出水ぽすかと堀越耕平を足して割らない感じ。最強かよ…!! https://manba.co.jp/boards/106655 【あらすじ】 湖で渦潮に巻き込まれた主人公・ワタリは銛を持った泳ぎの得意な少女・ミクリに助けられ、擬態生物たちの王国・カクレミ島に足を踏み入れるが、実はカクレミ島は巨大な生きたクジラの島で主人公が溺れかけた湖はクジラの口だった。 島の住人はみな個性的で、岩のようなやつ、木のようなやつ、カメレオンのようなやつ、四角くて平たいやつ…それぞれ外敵から身を隠す術をもっている。ワタリは嵐に巻き込まれてカクレミ島にやってきたと告げるが、実は…。 https://i.imgur.com/5ttzKdu.png https://i.imgur.com/6AEH9AW.png (画像は『カクレミ』百田稜助より) 少年マンガらしい明るい冒険譚かと思いきや、ワタリの真の目的が明かされるシーンがとてもゲスくて**気持ちよく予想を裏切られました。** 何より素晴らしいと思うのが、この作品のテーマでタイトルでもある「隠れ身=擬態」が、物語の中で一貫して重要なキーワードとなっているところ…!画力、魅力的なキャラ、ストーリーの捻り…天は二物どころかいったい何物を与えたのだと、ただただ驚きます。 もうとにかく「すごい、面白い」しか言えない…!大絶賛のわけは読めばわかるので、まだの人はジャンプ買って読んでください!! ↓ 『少年ジャンプ2019年30号』 http://jumpbookstore.com/item/SHSA_JP01WJ2019027D01_57.html https://www.shonenjump.com/j/weeklyshonenjump/img/_mainImg_color4.jpg

HEART GEAR

終末後の世界を生き抜くドロイドたちとひとりの少女

HEART GEAR 高木勇志 タカキツヨシ
mampuku
mampuku

 「BLACK TORCH」のタカキツヨシ先生新作。手堅い能力バトルな前作とはうってかわって終末後の世界を描いたSFです。ど迫力のメカアクションにあっと驚く展開、「BLACK TORCH」と比べてもスケールアップが著しいです。  そして変わらず素晴らしいのがキャラの魅力的なこと。感情豊かな人間の少女ルゥ。人間らしいコミュニケーションを会得した、AIを搭載したロボットたち。人間(AI?)ドラマとしても面白いです。  人工知能を決して低く見ていないのが実に今どきの近未来SFって感じでいいですね。「AIには理解できない人間どうしの機微」というのは将来的になくなるそうです。機械が人間を知性で上回り、強力な機体をもち、自立した活動を行えた場合、人間は彼らの下位的存在でしかなくなってしまうのでしょうか。絶滅後の生き残りであるルゥは、その存在の珍しさから好奇心を満たす存在としてドロイドたちに可愛がられています。あるいはクロムのように、ルゥを守ることを使命としてプログラムされたドロイドもいます。どちらも見かけ上は人間が抱く愛情となんら変わりなく思えます。人間の感情も脳内物質の伝達とニューロンの発火からなるアルゴズムといいますし、作中のように高度に発達しいたドロイドと人間の差なんてあってないようなものかもしれません。

激マン!マジンガーZ編

巨匠・永井豪先生の「ロボットまんが道」

激マン!マジンガーZ編 永井豪 ダイナミックプロ
名無し

漫画家の先生の自伝的作品としては 藤子不二雄A先生の名作「まんが道」がある。 その「まんが道」とは時代も状況もかなり異なるが 同じ漫画家の自伝的作品でも、 こういう「まんが道」もあるんだな、 と思わせてくれる作品。 それが永井豪ならぬナガイ激が主人公で、 巨大ロボット漫画・アニメの原点となった 「マジンガーZ」の製作裏話を綴った 「激マン!マジンガーZ編」だ。 藤子先生のまんが道は、少年が漫画家として 自立するまでを自伝的に描いた青春物語だ。 一方、永井豪先生の「激マン!」は、 デビュー数年にして超売れっ子漫画家になっていた プロ漫画家が更に新境地に挑む業界物語だ。 なので漫画家漫画によくあるような とにかくデビューしてなんとか連載を持って、 というような地味な努力の展開とはかけ離れいている。 当事に存在した少年週刊漫画誌5誌の全てに 同時に連載漫画を持つような超売れっ子漫画家なのだから。 いままでにないロボット漫画を描くために、 どこの雑誌の連載を打ち切るか、と悩むとか、 ダイナミック・プロのスタッフとともに アニメ製作会社やスポンサー筋と交渉するなど、 ただ部屋に篭って机に向かってペンを走らせるだけ、という 普通の人が思い描いているような漫画家生活とは かなりレベルも内容も違う、ナガイ激先生の 常識外の漫画家生活が描かれている。 多分、永井豪先生が特殊な存在なのだろうけれど、 「藤子先生のまんが道とはえらい違うな」とか 「ナガイ先生のバイタリティ凄いな」とか ひたすらに驚かされる。 また、この漫画は週刊漫画ゴラクに連載されていたが、 ナガイ激先生がマジンガーZの構想を思いついてから 漫画化、アニメ化されるまでのドキュメンタリー的な ストーリーの合間に、舞台を現代に移した 「リメイク版的マジンガーZ」の新作を 挿入する形で、二つの物語の同時進行で掲載されていた。 このマジンガーもいかにも永井豪的な内容で面白かった。

僕はまだ野球を知らない

野球未経験の野球馬鹿という利巧か馬鹿か良くわからない主人公

僕はまだ野球を知らない 西餅
名無し

野球未経験だが統計学を駆使して頑張る 新米高校野球部監督の話。 スポーツ漫画では昔から 「センスと体力の塊」みたいな主人公に 「知能と論理が全て」みたいなライバル登場、 ってのはよくあった。 メガネをかけてパソコン持ち歩いているようなやつ。 大概は「(主人公)は計算外の大物だ」みたいになって 主人公が勝つんだけれど(笑)。 漫画キャラとしては計算高いやつより 純粋にその競技が好きなやつのほうが好まれて 論理派は嫌われるだろうし、 そういう設定と結末になるのはある意味で自然かも。 「僕はまだ~」で好感を感じたのは 主人公が統計学馬鹿なんだけれども、 統計学馬鹿が野球に口出ししてきたのではなく、 野球馬鹿が統計学を武器に頑張るということ。 そして、統計学を勝利のためだけでなく、 選手の可能性を奪わないために使うこと。 野球が好きだがやらせてもらえなかった?主人公が 野球未経験の自分がどうやったら野球に関われるか、 弱小高校のナインを勝たせてやれるのか、 そう考えて武器にしたのが統計学である、ということ。 主人公が単なる統計学馬鹿で野球を好きでもなんでもないし 勝つことだけを目的に考えるキャラなら この漫画はまったく魅力がないものになっていたはず。 それとこの手のパソコン信者とかデータ主義の キャラって理知的過ぎて人間味にかけたり、 そんな凄い処理能力のPCや そんな都合のいい正確で大量のデータなんか 用意できるわけがないだろ、という無理無理感が つきまとったりする、普通は。 そのへんを最新の機器やソフトを登場させ、 工業高校であるという強み? そして主人公の情報収集力が ストーカーレベルに上昇した、 などの小ボケネタ的エピソードを盛り込んで 話に説得力と好感を持たせている。 この漫画については僕はまだ一巻までしか知らない(笑) 多分、二巻から先では統計学の限界とかに ぶつかったりして悩んだりするんだろうな、と想像している。 そんな限界を小ボケかましたりしながら乗り越えていく(だろう) 主人公と野球部員の話を、これから読むのが楽しみだ。