神社の境内というちょっと変わった場所にある本屋さんが舞台。かなり調子のいい性格の主人公・中河泰弥がその書店でバイトを始めるところから物語が始まる。が、どうもその神社の"神様"らしき何かに見初められたらしく、バイト初日から泰弥の周りでは不思議な出来事が次々と起こっていく。 その不思議な出来事によって泰弥には大なり小なり不憫な目に遭うことになるが、その代わりに周囲に幸せをもたらしてゆく。いろんなハプニングが起こっても最終的には全部丸く収まってくれるし、当の泰弥は前述の通りお調子者なので不憫さをむしろ明るく、時に厭味ったらしく切り返していくので、いい塩梅のコメディとして成立してる。「スキップとローファー」のように、読んだ誰もが楽しい気持ちになれる作品。 1巻まで読了
鳥獣戯画ベースのイラストや素材って最近特に人気がありますね。 この本は「漫画特有の記号」=「漫符」をテーマに、戯画モチーフのゆる~い4コマで解説してくれています。もうね、本当にこのキャラクター達(特にウサギ)が可愛すぎて…ふむふむ言いながらにやけてしまいます。 「この世界の片隅に」でこうの史代さんを知ったんですが、こんなにキュートな動物を描くのか!!と感動しました。
よほど映像化しやすいんでしょうね。小さい女の子(ロリでなはくミニチュアという意味で)って可愛いし、なんだか思春期の葛藤みたいな感覚が南くんから伝わってきて、ありそうでない、切ないラブストーリー。 ちよみちゃんの服とか生活雑貨でサイズが想像できて楽しい。
おすすめです。 絵が緻密なのに物語がどんどん進んでいくので、読むととても濃い時間を過ごせます。 切ない物語です。
『魔法使いの嫁』のスピンオフマンガ! 主人公は幼少期に「チェンジリング(取替子)」によって人間に育てられた妖精ジャックと妖精に育てられた人間ラリー。彼らが成長してコンビを組み、魔法絡みの事件を解決するためニューヨークを駆け巡る! 原作は舞台がイギリスで、ゆったりした時間の流れが味わいになってますけど、本作はニューヨークの賑々している感じとアクションの派手さで特徴つけてるなと思いました。 そしてバディものはやはりいい。 取替子として育ったジャックは人間の世界に馴染みきれない寂しさを抱えていて、それを同じ境遇のラリーと一緒に過ごすことで和らげている。この関係性やキャラクター造形も混沌と孤独の街ニューヨークが舞台になっているのが超効いてます。最高…。 ジャックちゃんがニッポン・アニメのオタクなのもツボ(かわいい)。 ただカワイイだけじゃなく、物語のキャラクターに自分のあこがれを重ねて、格好良くあろうとしているのもグッときます。彼女が一人前になるのを応援したくなりますね。 僕は原作途中で止まっちゃってたんですけど本作に触れて読むの再開しました。 『まほ嫁』の広大な世界観の一片を個性的に使いながらも、原作の魅力もいや増すような良スピンオフだと思います!
お酒大好きな酒豪漫画家連中が登場するかと思いきや 「実は私は下戸でして」で始まる漫画が多い。 どうらやコミック・ゼノン連載陣を中心に リレー形式で酒に関する話を語ってもらった エッセイ的な漫画を纏めた本らしい。 下戸でもいいです酒にまつわる思い出話でもいいし、 みたいなワリと緩い感じの企画だったみたい。 そりゃそうだ、漫画家がみんな 土田世紀先生や西原理恵子先生みたいな人 ばかりのわけがない。 むしろ、このくらいの人が揃うほうが普通。 これで酒豪ばかりのエッセイ漫画がそろったら、 コミック・ゼノンはどんな雑誌だよ、となるし。 漫画ゴラクやアクションならともかく(ゴメン、偏見です)。 そんな感じで、ヘベレケに泥酔した話とか 酒乱気味に大暴れして大失態みたいな話とか それほどにはなくて、 下戸からみた客観的な酔っ払い観察記、 みたいな話が多い。 この漫画を読んで酒を飲みたくなる人は少ないだろうが、 お酒にたまに触れる生活、 家族や友達に酒好きがいる日常、 酒が引き出してくれて知った自分や知人の意外な一面、 世の中には、そんなあれこれがあってもイイんじゃないの、 と思ったりはする漫画だった。 そういう意味ではいわゆる飲兵衛漫画とは 別角度からの酒肯定漫画なんだけれども、 果たしてこの漫画を企画した意図が そういうことだったのかどうかは解らない。
『弁護士のくず』で小学館漫画賞を受賞した井浦秀夫のホラー・コメディ。『弁護士~』が異色弁護士の活躍する、ためになる系ドラマであるのに対し、こちらはタイトル通り、なんとも気の抜けた感のある作品です。妻を亡くして5年がたち、新しい恋人との結婚を考えはじめた漫画編集者。そこに死んだ妻・美保が幽霊になって現れて起こるひと騒動。古典怪談をなぞっているかのようなストーリー、昭和チックな絵柄と、『弁護士のくず』よりはるか以前に描かれたことがうかがえてその差に驚いてしまいました。ですが、読み進めてやっぱり同じ作者なのだなあと思うところも。人間の描き方なんですよね。主人公優作は美保の幽霊と恋人の間でふらふらして 、それはダメだろうと思わせる描写でコミカルを演出しながらも、妙に説得力のある正論をかましてどっちがいいのかわからない問題を納得させる。基本構造はよく似てるじゃないかなあ。『弁護士~』には思い入れがあるので、作者の基本姿勢ぽいところが垣間見れたのがうれしかった。まあ、そんな見方をする人は少数派でしょうが…。
東京から来た小学生のまなと、父方の縁者の佐吉おじさん、そして怪異たちが繰り広げる夏休みの物語。 怪異と人間の交流がテーマの漫画は数多くありますが、この漫画の特異な点は、世界観が「可愛い」という点にあると思います。 最初は怖そうな怪異たちも、空腹につい素の顔を見せ、美味しいご飯で笑顔になって主人公達と仲良しになる、温かなエピソードに溢れています。 その中で、主人公のまなが、怪異が見えることで母親と折り合えず苦しんだり、佐吉おじさんが何か秘密を抱えていたり、という人間側の物語が、怪異たちの協力でどう着地するのかが少しずつ語られます。 重いテーマも田舎の風物と怖くない怪異が慰めてくれる、ゆったりしたい人にオススメな物語。
熱と才能と凡才、執着を描くのがめちゃくちゃ上手い。 ページをどんどんめくらされていく感覚になる。 生まれつき足が速いトガシ、100mで1位になる、それだけで他は何も要らない、全てがひっくり返るからだ。彼には才能があった。 そんなとき目の前に現れたのは一切の才能を感じさせないコミヤだったが…。 そんな二人の話。 才能に安堵し、才能に苦しみ、才能に囚われ、いつしか才能を失い、最後は胸の奥の奥、熱い気持ちだけが身体を支え、背中を押し、足を前に出させるのだ。 少年期から始まり大人に至るまでのすべてを100m陸上に捧げた男たちを描くこの話には痺れた。 全体を通して対比を描くのがとても上手い。 希望と絶望。 才能と凡才。 自分に対してついてしまう嘘と否応なくつきつけられる真実。 諦念と覚醒。 実際のスポーツの理論は分からないが、とにかく気持ちの側面を強く描いた漫画なので万人の心が揺れるはず。 4巻についていた過去の読切も面白かった。 主人公になるべくしてなった男とそうじゃないモブキャラ。 それでもモブキャラは諦めない、自分と積み重ねてきたものだけは自分を裏切りたくないからだ。 周囲の評価とか目線なんて関係ない、自分がどうしたいかだ。 テニスの漫画、素晴らしかった。 そしてもう一本の読切「執刀」もコメディとして抜群だった。 テニスの方でも感じた漫画の素晴らしいテンポ感がギャグでも生きていた。 いまから次回作が楽しみだ。
次にくるマンガ大賞2019コミックス部門1位にランクインしていたのが手に取ったきっかけだけど、絵がかわいいなと思って気になってはいた。 僕は歴史にはとんと疎いけどそれでも楽しんで読めるようになっているし、どの程度史実通りに描いてるのか分からないけどそれでいいと思う。 薬師をやっていた少女が薬草の調達にいった先でさらわれて、昔の中国の宮廷の後宮で働かせられる様子を描いた話なんですが、思ってもいなかったのがわりとお話がミステリー仕立てなんですね。 主人公の少女は、毒とか薬に関しては好奇心旺盛で、自分の体でどんどん実験して毒に強くなったり痺れるのを楽しんだり左腕がボロボロになってしまうほど。 このキャラ造形がとてもよくて、基本的によっぽどのことがなければ動じない性格で、興味もったことに対しては頭をつっこんでしまう。 この時代では毒も薬も表裏一体で医食同源で、後宮という皇帝専用のハーレム、つまり隔離された空間で女同士の政治は毒殺で動いたりするもので、毒味役に抜擢されたことで毒の発見から原因の解明も処方も、手口の究明もすべてお手の物というわけで名探偵のできあがり。 名探偵特有のゆるさやどこか抜けた感じも持っていていいし、活躍するたびに本人の意志とは別に「こいつやるな」ということでどんどん株が上がっていくのは「小説家になろう」らしさがある。 薬師としての能力をもったまま後宮にいくというある意味チートなわけですね。 後宮というのが画面が華やかでとてもいい。 主人公が男だったら男ばっかり診て、後宮にいくにはソレを切らなきゃいけないわけで読者は無駄に辛くなってしまう。 宦官(かんがん)が出てきて、あー、歴史で習ったことあるな、女の園に入って仕事するためにイチモツ取った男の人達だ、そうだそうだ、という感じでなかなか楽しい。 タイトルにひとりごとと入っているくらいは、周囲をよく観察して一人で考えているシーンが多い。 やはり高貴な人たちが集まる場所には高度な政治とミステリーが発生して人間関係などの謎解きが行われる楽しさは癖になる。 他の漫画だと「Landreaall(ランドリオール)」は主人公が王城の貴族の学校へ行ってから話のテイストがガラッと変わるけど、そこからが面白い。 血筋、産まれ、階級、王位争奪、そんな要素があれば権謀術数うずまくものだ。 5巻まで読んだのでこれからも楽しみ。
『監察医朝顔』のコンビによる一風変わった構成のホラー。何が変わっているかというと、アンサーソングならぬアンサー怪談とでも言いますか、謎の美少女・月夜が、聞き出した怖い話のお返しに、少しだけ違った内容の怖い話を語る、という筋立てなんですね。月夜が聞く立場の怖い話は、キャラが柔らかいタッチで描かれ、逆に月夜が語る場合はよりリアルでシャープになっているという、驚異の人物描き分け技術をもつ著者ならではの凝った構成なのです。しかも同じストーリーをなぞる部分でも、単にコマ割りを変えました、というのではなく、構図ごとごっそり変更。より悲惨な話になるように工夫もされてます。また主人公の月夜も、語り始めるときはおちょぼ口がワニのようにぐっと広がるように描かれて、恐怖の案内人に適した風貌になるという芸の細かさもあり。この作品はずいぶん前に首都圏の駅前で配られていた無料マガジンに連載されていて、実は私、これ目当てで入手していたのですよ。単行本になっていない話もあるのでそれも電子化できるといいのですが。
民謡のような、説話のようなテイストが特徴的。いうなれば日本文学をマンガに落とし込んで、和風ファンタジーとして完成させたような作品。 個人的には、読者のストレスコントロールが完璧なところが素晴らしいと感じた。前半部は世界のどうしようもなさを、河童の愛嬌でうまく釣り合いを取り、後半部の緻密に書き込まれたドロドロの地獄をオチで、綺麗に飛ばす。河童の存在が終始とてもいいバランス感を保っていた。 河童は読者の救いであり、なによりも主人公の救いだった。 WEBで無料で公開もされているが、なんとなく、この読書体験は紙でしてほしいと思った。
いい雰囲気のラブコメです!
『包丁人味平』など知られるビッグ錠が電気を作る人々に取材を重ねて描いた力作です。この作品で取り上げているのは水力発電の現場で、そこにはダム工事のために働き完成を見ずに去る発破師がいれば、安定して貯水するために各取水口を確認して回る求水師がいる。彼らのような人たちがいなければ文明の火は灯りません。現代は食品や工業製品など、最終生成物は知っていてもその過程はブラックボックスになっていることが多くて、何が原料で加工の現場で何が起こっているかに注意を払うことがない時代。ですがそこには確実に人の手が入っているわけで、その存在の大きさをこの作品はリアルに感じさせてくれます。年末の選挙ではエネルギー問題に対する姿勢がクローズアップされることでしょう。ですが、震災から今日まで、この作品で描かれているような、「電気を各家庭に届ける」人たちのことについて、あまり見聞きしたことがなかった気がします。この時期に読んだのも何かの縁。なので、こういう人たちに触れた演説をする人がいたら、選挙では一票入れようかな。
親がおらず貧乏で高校進学もできない環境に置かれながらも懸命に生きる初子。 幼い頃に父親が借金を残して蒸発、母親も他界。兄とふたり暮らし。兄も、妹想いではあるが貧しさに心が荒んでいる。 初子にとっての心の支えは兄ともうひとり、クラスメイトで交際相手の三島くん。かつては彼と同じ高校に進学するつもりだったが、アルバイト先からも十分な給与をもらえず、進学を諦めるしかなくなる。 初子の周りにはどうしようもなく薄情な大人ばかり。 まともに仕事をしない担任や、弱った初子を介抱するついでに宗教に勧誘するおばさん。最終的には、蒸発した父親が浮浪者になって戻ってくる。 最後の最後までとにかく報われない初子だけど、ほんの一握りの希望を捨てずに健気に生きる初子の姿には色んな感情が混ざり、泣ける。 ちなみに、この作品は実写映画化されており、当時原作のことは何も知らずに観に行っている。まあ面白かったという記憶はあるが、キャストの顔とか名前、内容もほぼすべて覚えておらず、原作を読んでも何も思い起こされなかった。 同じく掲載されている、工場の息子が主役の話はまた雰囲気がガラッと変わって読み応えがあった。広島弁ていいな。
ジャンプ作品に出てきて、イマイチかなと思ったらハマりました。
聞いた話ですが、たまに派遣社員でもホントにスーパーマン(ウーマン)っているみたいですね。何でもできちゃう、資格もスゴイの持ってる、でも短期でしか仕事をしない。で、この漫画はそれを地で行くスーパーウーマンが活躍するお話。SEにCADオペレーター、看護助手に選挙プランナーと、異業種を渡り歩き、毎度事件に巻き込まれる。あぁデキる女はツラい、ってなストーリーです。ただ、この主役の蜂矢銀子、切れ者で妙にエロっちいのですけど、オトコに弱くコミカルすぎ。なんかもう台無しって感じですが、なまじ各業種の生々しい部分を題材にしているだけに、これが良い狂言回しになる。息苦しくなくて脱力するのがいいです。主役で息抜きというのもアレですが…。またこの作品、巻末にあとがきがついているのですが、これがまた作画家の人柄がにじみ出てて良い。全6話の取材裏話やちょっとしたネタばらしのほか、キャラへの思い入れについてのくだりもあり、あとがきのおしまいまでいい味出してます。
1話の主人公・喜多さんが先生に告白するといういきなりの導入から始まる連作短編集。各話ごとに主人公が移り変わっていき、それが巻を通して読むと円環のように繋がっているという構成がまず見事。また、それぞれの話を見てみると、各話の主人公たちの人生のターニングポイントとなるような場面を切り取って描かれているけど、明確なハッピーエンドともバッドエンドとも描かれていない作品が多い。同じ事象を別視点で描いている部分も多く、受けてによってプラスにもマイナスにも捉えられるということを思い知らされる。そして何より、どんな人にでもそれぞれの物語があり結末を迎えることなく進み続けるしかないということを1冊を通して感じさせる壮大な作品。
妹のために誰かを一日1人殺していく神様のルール(と主人公は思っている)を守り日付変更線までの行動を繰り返して進んでゆく。 割と苦労して殺してるので正確には虐殺ではないような気がするけど。 あと、なんとなく「僕だけがいない街」と「いぬやしき」を思い出した。 しかし最近は絵がうまい人が多い。そしてみんなだいたい原作付きでバイオレンス系。面白いんだけど読み始めるまで全部同じに見えてしまうのが難点かなぁ タイトル通りだけどネタバレありとしておきました、と思ったけどあらすじに書いてあるやないかーい
いつも少し違った視点から、数々の少女漫画の名作を生み出してきた白泉社。 (白泉社にハズレはないと思うほど私は花ゆめいとです、笑) ここ数年、前面に売り出していた作品は、 『覆面系ノイズ』『なまいきざかり。』『高嶺と花』『水玉ハニーボーイ』『フラレガール』『墜落JKと廃人教師』…などなど。 どれもすごく面白い!面白い…けれど、恋愛モノ以外の新作も読みたいなァ…と感じ始めていた時、 やっと現れたのが、『マオの寄宿學校』でした。 転校も多く引っ込み思案で友達作りが苦手、友達は植物だけ?!なマオのために、両親は寮制度のある榮歐學園へ編入させた。マオはルームメイトで、なんと学園一ナゾで一匹狼で嫌われ者?のルイと出会います。 最初はルイから距離を置かれるものの、いつも一人でいるルイに親近感を覚えたマオは、なんとか友達になりたい!と思い、得意な植物を用いてルイの心を開かせます。 やっとルイと友達になれたマオ、でも実はルイの性格はマオとまったくの真逆だった! そんな凸凹コンビが、マオは學園の監督生とそのファグのみ許される植物園に入るために、ルイは最も優秀な監督生に与えられる地位を得るために、學園の様々な人たちと関わっていきます。 ひとりぼっちだったけれど、真逆な性格な二人が、お互いを補いながら學園生活を変えていく様は、まさに青春そのもののようです! また、ボーイミーツボーイから始まる物語は、どうしても80年代白泉社黄金期を連想させてしまいます。 そしてその2人の様は、『桜蘭高校ホスト部』、『花ざかりの君たちへ』の学園もの、そして『ここはグリーン・ウッド』の寮ものに次ぐ名作になることをどうしても期待してしまいます…! 1巻登場にして今最も続きが気になる作品です。
これは表紙だけ見てバイオレンス系のマンガだと思って敬遠してしまう人がいたら非常にもったいない。自分はギャグ漫画だと思ってます。 主人公の朝倉真一(通称:アサシン)が、漫画のアシスタント先では先生に毎日怒鳴られ謝り続けてメンタルを消耗している一方で、裏バイトとして殺し屋をこなしているというギャップ。 プロデビューを目指すもウンチが主役の小学生も読まないようなギャグ漫画しか描けず方向性に悩んでいるのに、殺し屋の時は迷いなく仕事を遂行する。 1巻無料だったので読んでみたらハマりました。
(天谷とは主人公のことです) 現実にこんな男がいたら間違いなく"""ヤバい"""のですが、女の子の誰ひとりとして傷つけておらず、周囲に向けた突拍子もないかと思えば妙に真理をついたアドバイスの数々は作中の登場人物だけではなく読み手である我々をも唸らせるほどの説得力があり、含蓄深い作品だと感じています。 信念があまりにもハッキリしていて何があってもブレない天谷の生き方は見ていて爽快感に似たものを覚えます。 概ね下ネタなので人は選ぶと思いますが、大丈夫な方にはおすすめです。
2020年4月からだって! クマと戦ってるシーンばっかトレイラーに出とるが! 動いてるミナレさんとしっかり動く乳に感動した。 https://youtu.be/n9CsQWT1cTM
※ネタバレを含むクチコミです。
発売日にソッコーで本屋さんに行って買った短編集です…!! 短編集1作目は、2013年第70回JUMPトレジャー新人漫画賞・佳作でワニ先生(24)による「過狩り狩り」。画風もストーリーも鬼滅よりだいぶ大人っぽい感じだったのが新鮮でした…! 読み返したり、しっかり考えながら読まないとわかりにくい、非エンタメ映画っぽい構成がかっこよかったです。 http://www.shonenjump.com/j/_sp/mangasho/treasureread2013.html そしてどのお話も、吾峠先生にしか描けない唯一無二の個性とギャグセンスが光っていて最高でした…!! 特に2作目の文殊史郎兄弟はの「言うわけないだろう。お前が名乗ってないとか、尋ね方が悪いとかではなくて」がツボすぎました。 (文殊史郎兄弟は読んだことがありましたが、)私のように鬼滅の刃でしか吾峠呼世晴先生を知らないという人はたくさんいると思うので、ぜひ多くの人に手にとってもらいたい作品です。 ちなみに紙だとカバーがスベスベで題字が金色でキラキラしてて、紙も普通のコミックスの紙じゃなくて白っぽくて厚みがあってツルツルしています。ぜひ紙でどうぞ…!
はい歴史漫画好き注〜目〜!!よしおかちひろ先生の「針鼠」めっちゃ最高でした…!!!狼の口 ヴォルフスムント、ヴィンランド・サガ、イサック、チェーザレ、ヒストリエなどなど、西洋歴史漫画好きに読んでほしい、**三十年戦争を戦ったドイツ傭兵(ランツクネヒト)**を描いた読切です。いやもう正直この設定だけで面白い…! https://twitter.com/_12Log/status/1181454745333977091?s=20 **少年漫画らしさのある独特の線のタッチと、史実に基づいたゴリゴリにシリアスなお話のハーモニーが堪りません…!!**ボロボロの羊皮紙がナレーションのフキダシになってるタイプの雰囲気を大事にするマンガ大好きです。 はあ〜!もうこれこのまま連載してほしい。 こちらはイブニングの新人賞「俺の零話プロジェクト」の第7弾に選ばれた読切作品なのですが、もし連載するとしたら話の濃さと内容からいってイブニングより月刊誌のアフタヌーンの方があってるのではないかななどと勝手に妄想しています。 「俺の零話プロジェクト」は全部拝読していて、面白かったものには逐一メッセージをお送りしてますが、**個人的な好みにドスレートで刺さったのはこの「針鼠」だけ**です。 **歴史ものを面白く描ける人は正直どんな話でも描けると思います。でも面白い歴史ものを描ける人は何百人に一人もいません。**だからどうかこのまま歴史ものを描いてほしい…!! よしおかちひろ先生の30年戦争を連載で読めることを、心から楽しみにしています!! 【掲載ページ】『針鼠』よしおかちひろ http://www.moae.jp/comic/reiwaproject/7
表紙の絵柄からやや少女マンガ寄りの雰囲気なのかなと思って手にとった作品。ある事件のせいで幼馴染の穂積と疎遠になってしまった中学2年生の女の子・芽出子。どうにかして仲直りをしたいけども上手く行かなくてもどかしい様子の描写はまさしく少女マンガ。しかし、ある日の河川敷で穂積の子供の頃にそっくりの少年に出会ったことから大きく物語が動き出す。 穂積への思いと少年との出会い、どちらも並行して展開しながら芽出子の心境が変化していき、やがて大きく行動を起こしていく。 少女マンガ的な様相を保ちながら、ファンタジーのようなミステリーのような、不思議な雰囲気を併せ持っている。何よりその両方の面に馴染んだ形で主人公の芽出子の内面が前向きに変化していくのが伝わってくるので、より芽出子のことを応援したくなる。 少女マンガ的な特徴が強くなれば「orange」のような雰囲気になりそうだし、ミステリー性が高くなれば「僕だけがいない街」のような作品になるかもしれない。まだまだ先の展開は分からないけど、いろんな面で楽しめる作品になりそう。 1巻まで読了
著者はイラストレーターとして活躍している方で、漫画を書くのは初めてらしいのですが、そんなこと微塵も感じさせない完成度の高い読切です…! 超有名な古着のバイヤーだった父が亡くなり、家には価値もわからない大量の服だけが取り残された。家族を放って海外に行ってばかりだった父を恨み、反動でオシャレに一切興味がなくなった男の子が主人公。 あまりに毎日粗末な格好で生活している姿を見かねて、服好きのオシャレ女子・ハナちゃんが声をかけたことをきっかけに服たちに秘められた父の思いに気づくことができる、というものです。 そこから一気に服に対しても考えが180度かわり、目に光が戻った主人公のまぶしいこと。 正直自分も古着の価値などはさっぱりですが、着る服で人生が変わるみたいなことも決して大げさではないと思います。オシャレは素晴らしい。
クリント・イーストウッドってこと? 主役の突っ走り系の東森くんより、リーゼントヘアのお人好し、五十嵐くんがとてもかわいいです。
SNSで旅の行き先だけざっくり(方角とか地域程度)決めて、細かいことは決めないでまさにタイトル通りの雑な感じで旅をするという作品。 旅行の計画自体はほんとに適当に決めてるんだけど、旅マンガらしく旅行先の情報はちゃんと組み込んでいる。ただ、その情報が主人公の語りという形で書かれているので文体がどうもユルい。でもそれがクセになる感じ。 また、主人公が東京生まれ東京育ちなためか、旅行先だけではなくその過程、特に新幹線の中で彼女なりの発見をするところまで描かれており、そのあたりは旅マンガらしからぬ新鮮さを感じる。 旅に行きたくなるというよりも、彼女たちの旅路を遠くからずっと眺めていたいという気分にさせてくれる、今までにない読み口の旅マンガ。 ちなみに、作中に登場する主人公のTwitterアカウントは実際に存在し、それどころか作中で行ってる旅の行き先アンケートも実際にこのアカウントで行っている。毎月末にアンケートを採ってそこから実際に旅したあと、旅路の写真もアップされているので、興味がある人は覗いてみると面白いかも。 1巻まで読了
松本零士作品の中では珍しい部類である、実在の人物・平賀源内を題材にした物語。微妙にSFテイストも入っており、ある意味、とてもロマンチックな作品になっています。というのも、この作品は源内の親友である赤松の精蔵の視点で描かれていて、その目線というのが、著者の思い入れまるだしなんですね。著者の特徴であるモノローグのせりふもいつもより気持ちが入っていて、どんだけ詩人なんだよっ、て突っ込みたくなります。ストーリーも、冒頭こそ新しい技術に胸を躍らせる青年時代の源内と、彼といっしょに伊予から出てきた少々抜けてる精蔵と、わかりやすい主人公と脇役という設定なのですが、やがてこの関係も思い入れが強すぎて微妙に変化。2人が歳を取ってからはなんとなく関係が逆転してしまうことに。読めば精蔵は著者の分身であることは明らかで、まるで「俺が友を語るんだ」といわんばかり。この辺、あとがきにネタばらしがありますが、たとえ書いてなくても「昔からの知り合いのような気がしてきた」なんて気持ちだだ漏れですよ。
注意力散漫でドジなヒロイン、というのが大丈夫なら王道なラブコメ漫画として文句なしに楽しめると思います。 正直、自分はドジヒロインにイラッとくるタイプなので読むのを楽しみにしていた分、少し期待はずれでした。ドジなんだけど何か突出したすごい特技があるとか…なんかしらのひねりが欲しかった。
ああ、足首を首にひっかけてクルって回るプロレス技の…というボケが、タイトルの意図として近いのか遠いのか。解説には史上最大の親子ゲンカ勃発!とありまして、おやおや『グラップラ―刃牙』ですか、とまたしてもボケを入れてしまいますが、これ正確には親娘ゲンカ。不良娘・美矢と政治家の父との凄絶なバトルなのであります。といっても暴れているのは美矢だけなのですが。あらすじをかいつまむと、ちょっとしたコミュニケーション不足で一方的に父を憎むようになった娘の反抗…、と、普遍的テーマの話。悪く言えばありきたり。けれど、こんな一直線に突っ走る漫画って結構好きなんですよね。「ドカッ」とか「ゴゴゴゴ」とか擬音もたっぷり、絵も動きがあってしなやかで展開も早い。また、そんなハデハデしい中、場面に応じて美矢の瞳に演出を入れている細やかさもいいなあ、とも思ったり。つまらないオヤジギャグをかましてしまう、そんなオッサンでも気分が高揚したり感心したりする勢いのある漫画。若さがあって気持ちがいいです。
缶コーヒーを共通の小道具にしたオムニバス作品。グラビアアイドルを引退して田舎に帰る女性や、母親に複雑な感情をもつ少女、夫の浮気を勘ぐる妻、友人の葬式で再会した同級生などなど、11編のショートストーリーが展開されています。私、この手のくくりのある短編集ってわりと好きなんですよね。学生のころに短編の自主映画を作っていたことがありまして、そのせいで映像にした場合を思い浮かべてしまうので、妄想を膨らませて読むのが楽しくて。漫画だとロケ地がいろいろ選べていいなとか、映像の尺にすると10分ぐらいかな?とか、もうすっかり監督気分です。まあ客観的に見てもこの作品は写実的なので映像化向けだし、主人公の設定や年齢に幅があり、なおかつオチの付け方も笑いあり涙ありで、万人受けする内容だとも思いますし。飲料メーカーのスポンサーでもつけて、テレビの深夜帯で誰か映像化してくれないかなあ。最後のルポ風の作品は震災関連ですが、それも含めてそれぞれの話がコンパクトに高い完成度でまとめられているので、値段分の価値はある内容です。
ギャグ漫画にもいろいろあります。本作はそのジャンルの中でも好き嫌いが激しいというか、読み手を選んでしまうナンセンスギャグ漫画。どう思うかは感性に委ねられる部分が大きくて、人に薦めるときに面白さを説明しずらいんですよね。なので読むきっかけを見つけてみました。まず、この絵柄って見たことないですか? 著者はイラストでも有名で、かつて「COMIC QUE」の表紙も手掛けた方。本作は少々昔の作品で絵柄は古いですが、本編の巻末にカラー描き下ろしがあるので、こちらを見ればサブカル好きな人は「ああ、あの絵か」と思うはず。また「小学館新人コミック大賞」入賞作という箔も付いてます。さらに上下巻をセットで買うと付録本がついて、なんと古屋兎丸やしりあがり寿、押切蓮介のイラストを掲載! これで興味を持ってくれたなら、あとは主人公・森繁アユコの大暴走に付き合うのみです。赤塚不二夫もびっくり、吉田戦車も真っ青。なんて言うと大げさですが、この不条理感は数あるナンセンスギャグ漫画の中でナンバーワンだと断言します。
走るキリンって生で見たことあります? 私、ここで見てビックリしたんですよね。ってことでこの作品、テレビ番組や書物で有名になりました、”北の奇跡”旭山動物園のドキュメント風漫画です。この作品、全3巻まるまる使って、廃園の危機から復興するまでを描くのかと思ってましたが、そのあたりは第1巻に集約。第2、3巻は人間と動物の関わり合いを中心にしており、フィクションを織り交ぜた展開。なので2、3巻は目新しい話ばかりで、動物の生態を解説したガイドブック的な内容も数多く含まれています。地元の人以外にとって簡単に行けるところではないですが、これを読むと行ってみたくなりますね。しかしながら私、第1巻は社会人、特にサービス業に携わる人によく読んでもらいたいとも思っています。ただ工夫しました、だけでなく、それをいかにして知ってもらうか、味方を増やすにはどうすればいいのか。現在の人気を勝ち得た努力もしっかり描かれていて、このお話に、そういう側面もあることを感じてもらえると思うのですがいかがでしょう。
みなさんは「麻雀」というものにどのようなイメージを持っているでしょうか。マンガで言えば有名なのは「アカギ」や「天牌」「むこうぶち」などでしょうか。いずれにしても、ギャンブルだとか、アングラな世界と近い存在という印象を持っている方が多いのではないでしょうか。 しかし最近、そのイメージを払拭しうる、新しいムーブメントが起こっていることはご存じでしょうか? 2018年、競技麻雀のナショナルプロリーグ「Mリーグ」が発足しました。Mリーグはプロ野球やJリーグと同様、一般企業がスポンサーとなってチームを運営し、囲碁や将棋のようなマインドスポーツとして麻雀を捉えて、賭博行為からの完全分離したプロスポーツとして運営されるプロリーグです。10月に初年度のシーズンが開幕し、全試合がAbema TVで生中継されるほか、パブリックビューイングとして、お酒や食事をしつつ、生の実況解説を聞きながら麻雀の観戦を楽しむという新たな楽しみ方も提供され始めています。 ここまでの説明でマンガ好きの方には何か思い当たる作品があるのではないでしょうか。そうです!「咲-Saki-」の世界観、これが現実世界で生まれようとしている、それがこのMリーグを中心としたムーブメントなのです! そんな近年のムーブメントを反映させ、現実に即した形で競技麻雀の世界を描いている作品がこのゴールデン桜です。 主人公はプロとしての一定の実績はありつつも日の目を浴びることのない生活を送る麻雀プロ・早乙女卓也。彼があることをきっかけに、"女性プロ雀士"として活動を始める所から物語は始まります。 競技麻雀ではかつての競技人口の少なさから女性限定の大会やリーグは存在しますが、基本的には男性と女性がフラットに闘うことのできる競技です。その点は他のプロスポーツや囲碁、将棋などとも異なる点かもしれません。また逆に、人気商売であるという側面から収入面では女性プロのほうが男性を上回りがちであるというのも麻雀プロの1つの特徴でもあります。男性が女装して活動するというのはベタな設定ではありますが、この"男女平等"と"男女格差"という相反する側面を兼ね備える麻雀業界を、フィクションの設定を用いてリアルに表現している作品です。 また、内容以外の部分でもこの作品は現実とのリンクを巻き起こしています。まず、あとがきにも描かれていますが、この作品の1話プロットが完成するのとほぼ同時期にMリーグ発足が発表、慌てて作中にMリーグの描写を取り入れるという経緯があります。更に、原作者の岡田紗佳さんは実際にプロ団体に所属する麻雀プロなのですが、2019年7月に行われた第2期のドラフト会議にて指名を受け、今年からMリーグの選手として闘うことが決定しました。しかも指名したチームの名前が"サクラ"ナイツで作品タイトルとも掛かっているという、何重にもリンクが張られた作品となっています。(ちなみに本作の連載は竹書房の近代麻雀ですが、サクラナイツのスポンサーはまさかのKADOKAWAというオマケつき) それでなくても"現役の選手が(監修ではなく)原作を担当するマンガ作品"というのは他のスポーツではなかなか実現しないことだと思いますし、内容としても麻雀の競技自体の表現は最小限に留められているので、ぜひ麻雀というものに触れたことのない方に読んで頂きたい作品です。 1巻まで読了。
2016年の熊本地震をきっかけに同居することになった40代書店員の灯、30代女医の鹿乃子、20代インテリアショップ店員の仁、そして(元々は鹿乃子の飼い猫であった)ミカヅキ。年齢も性別も境遇もバラバラの3人が、地震という不意の出来事を契機にして共に生活を送る物語。 といっても、3人の中の誰かが付き合ったり、もしくは恋仲に発展しそうになったり、というような展開は出てこない。なんなら灯以外の2人にはどうやらちゃんと恋人がいるという描写がある。 いわゆる"シェアハウス"を舞台にした作品では、同性どうしであれば外での恋愛模様に喧々諤々としたり、もしくは異性間の同居となると同居人どうしの恋愛に発展したりしなかったりと、どうしても"シェアハウス"という空間と恋愛が相反する存在として描かれる傾向が強いように思う。しかし、この作品では3人の中での楽しい共同生活とその外の恋愛というのが完全に独立した状態で存在している。一応3人の間に恋愛が生まれなさそうな設定上の仕掛けがあるのだけども、恋愛そのものを否定せず、むしろ肯定したうえで、恋愛に囚われない幸せもあるということを描いている稀有な作品。 もちろん現実ではこんなに人たちに出会えるとは限らないし、この3人も奇跡的なバランスで関係性が成り立っていると思うけど、何が自分にとって幸せなのかを見つめ直させてくれると共に、恋愛だってなんだって、探せば幸せはいろんなところに転がっていると気付かせてくれる、読んでいて多幸感で満たされる作品。
犬と猫同時に飼うと性質が違いすぎていいとこ・悪いとこが過剰に感じられ、相乗効果で可愛く見えるあるあるだなこれは。
一巻読了しました〜 恋とは? ふんわりと感覚で語ってある漫画が多い中、ここまで言葉で語られるものがあっただろうか! 実は一言で「恋」したなどというが実は千差万別、100人いたら100人の語り口と感覚があるのかも! こういう風には考えたことなかった〜! 興味深くて面白い本です。 読み進めます
「人に勧めたい青春漫画Best」の中の1つです。 仲が良かった昔と違い、少し距離が開いてしまっている幼馴染の3人が主人公。 恋や進路に悩み、それぞれ人に言えない秘めた気持ちを抱え過ごした一年間の話。 希望どおりにならないことも自分なりに折り合いをつけながら子供と大人の狭間で揺れる思春期の心や、田舎町ならではの閉塞感や安心感を見事に描き出していると思います。 さすがふみふみこ!という感じです。
「廃墟」「無人島」のパワーワードに惹かれて読んだ。 タイムトラベルものって読むのにちょっと疲れるから、全1巻でちょうどよい長さかも。やっぱり原作があると話がきれいにまとまっていいね。
私が山田芳裕作品を知ったのは、わりと早くて「大正野郎」の単行本が出たころでした。弟の部屋に本が転がっていて、最初は「なんてレトロな絵なんだろう」と思って、あまりそそられなかったんですが、ページをめくっていくうちに、ついつい読み込んでしまっていました。なぜなら、どうしてこんな地味なところを突けるんだろう、という着眼点の凄さと、それを作品にまで仕上げるパワーに心ひかれたから。「大正野郎」はタイトル通り大正時代にこだわっています。そしてその後もスタイルには大きな変化がなく、今作ではこだわる部分が“哲学”に。侍が刺客に対して仏陀を引き合いに出してダメ出しし、林羅山を説いても、作品中では何の違和感も無い。葛飾北斎に意見したり、松尾芭蕉を船頭と語ったり、さらにはソクラテス、ナポレオンなどなんでもござれ。タイトルもパスカルのもじりですし。これがうまく武士道や粋、そして生き方といった、目に見えない観念とマッチしているんですね。まさに一味違う切り口の時代劇、です。
まず目につくのはそのメタリックな装丁。そしてなんだか作画密度の濃い建築物や背景、それに不釣り合いなほど登場人物らしきなにか。そのすべてをボールペンのみで描かれているというから驚き。いざ中身を読んでみると、その作画密度のアンバランスさはそのままに、会話劇はタイトルの通り飄々としていながら、時にクスッと笑えるような、時にとんでもなくドラマチックな、でもいずれにしてもあまりに非現実的な摩訶不思議な世界観が広がっている。 ネルノダイスキさんはもともとはコミティアで活動されていたマンガ家さんで、文化庁メディア芸術祭で新人賞を受賞されてもいるけど、私の知る限りでは商業誌での活動は全くされていない方。そして出版社のアタシ社は神奈川の三浦市で夫婦お2人だけで活動されている出版社。そんな、メジャーな場所ではなかなかできないようなこだわりがたくさん詰まった珠玉の1冊。 そして、帯のスチャダラパーBoseさんの推薦文が素晴らしくエモい。内容に全く触れずに内容を端的に表してるし、この推薦文に惹かれたならば読んで間違いない作品。
コナンに安室と赤井から入った人にいつも布教してる。 「松田という刑事がおってな、爆弾処理班でな…」 最高です!! 読みたかった!!ありがとう青山先生!
表紙のエロ可愛い女の子が目を惹くこの短編集、全5編すべて王道と思わせて全く違う方向へシフトチェンジ、そして予想外の着地を見せます。 中でもお気に入りが「4番目のヒロイン」「僕は彼女の彼女」で、キャラたちがとても人間ぽくて、オチに心を鷲掴みされました。なんでも描けるんだな〜この方は。 女の子の可愛さといい、ストーリーの巧みさといい、かけがえのないとはこの事かなと。 表題作は描き下ろしとのことですが、その他は掲載雑誌がバラバラなのも面白い。別冊少年チャンピオンやサンデーの増刊、フィーヤンなんかでも描いていたんですね。
この漫画の良いところを全部合わせると、鬼滅の刃が出来上がる感じ。大作の途中や過程をこっそりみれるのが短編集の面白味だと思う。
周囲からは札付きの不良として疎まれている青葉マサムネ。 根は純真なのだが自分を持て余して 喧嘩ばかりしているマサムネが 色々とあって投げ飛ばされて好意を抱いた相手は フランス柔道王者で最近転校して来たハーフの女の子。 マサムネは彼女と親しくなろうと柔道部へ入部。 しかし恋敵?が現れて・・ 「ぶろおど!」を読み終えて この漫画はローストビーフ丼みたいだな、と思った。 しばらく前から流行っている「ローストビーフ丼」。 自分としては牛丼をオシャレで高級にしたようなもの、 と考えている。 牛丼は普通に美味い、値段を考えればかなりお値打ち。 でもいまどき「安くて美味しい牛丼」では 客の興味を特に引けない。 なら「ローストビーフ丼」にしてみたらどうだろう? ちゃんと米や牛肉は良いものを選んで、 和風にちょっと洋風テイストを加え、 丼料理をあえて高級洋食風に調理すれば 牛丼より付加価値のついた新感覚で、 結構良いものが出来上がるかも、 ・・みたいに考えて作られたのがローストビーフ丼であり、 ぶろおど!という漫画なのかな、と思った。 ギャグ展開も多いし、本格柔道漫画とは言いがたい。 どちらかというとコイバナ的な展開の青春柔道漫画。 全二巻の短い作品だからか柔道の公式試合すら一度も描かれない。 だが、試合風景こそないが、柔道の基礎練習、 基本動作、技の原理などに費やすページが 比較的に多くなっているせいか、 柔道シーンの扱いが軽いという印象は受けない。 なので柔道漫画としては他の作品と比べると、 面白さで上位とは言えないが、 独特の味は持っているし、 こういう柔道漫画もいいかもな、とは思った。 ただし、ヒロインがフランスと日本のハーフだとか、 フランス王者だったという設定は、あまり重要性を感じなかった。 強くて綺麗な大和撫子では話題として弱いかもしれないが、 フランス人で無ければ駄目だった、という盛り上がりは あまり感じなかった。 そのあたりに、 普通の牛丼に調理してもソコソコ美味しい丼になっただろうに、 わざわざローストビーフ丼に仕上げて良かったのかなあ? という感想が沸いた。
神社の境内というちょっと変わった場所にある本屋さんが舞台。かなり調子のいい性格の主人公・中河泰弥がその書店でバイトを始めるところから物語が始まる。が、どうもその神社の"神様"らしき何かに見初められたらしく、バイト初日から泰弥の周りでは不思議な出来事が次々と起こっていく。 その不思議な出来事によって泰弥には大なり小なり不憫な目に遭うことになるが、その代わりに周囲に幸せをもたらしてゆく。いろんなハプニングが起こっても最終的には全部丸く収まってくれるし、当の泰弥は前述の通りお調子者なので不憫さをむしろ明るく、時に厭味ったらしく切り返していくので、いい塩梅のコメディとして成立してる。「スキップとローファー」のように、読んだ誰もが楽しい気持ちになれる作品。 1巻まで読了