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ぺそ
ぺそ
2021/02/23
20世紀初頭、アメリカの豊かな森で番人をする心美しい少年の物語 #完結応援
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竹宮惠子先生の1巻完結の作品ということで読みやすそうだなと軽い気持ちで手にとったのですが、 若草物語や大草原の小さな家に通じるアメリカの古き良き時代と大自然を感じさせる本当に素敵なお話でした! 本当の名前すら持たない、片腕でアイルランド訛りの少年「そばかす」が、林業で賑わうアメリカはインディアナ・リンバロストの飯場で森の見回りとして働く物語。 自分を雇ってくれた支配人に恥じぬよう正直に一生懸命働き、リンバロストの森に棲む鳥や虫など様々な生き物を慈しむそばかすの姿に、周囲の人々はみな心を打たれ愛情をもって接します。 材木泥棒と鉢合わせ目をつぶれと持ちかけられたのを毅然と断り、殴りあったそばかすを、偶然居合わせ目撃した支配人などは 「なんてヤツだ! 美しい……神のみわざそのものだ」 と心のなかで讃えるほど。どれだけそばかすが素晴らしい少年なのかがわかると思います。(ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが本編を読めば全くそんなことないです) 「鳥のおばさん」と呼ばれる写真家のご婦人のために森で見つけた生き物や珍しい出来事を報告したり、賢く勇気と思いやりのある製材会社の令嬢・エンゼルに叶わぬ恋心を抱いたり(エンゼルが沼地を歩いたあとに残った足跡に、そっと板切れをかぶせて大切に残しておくなんていじらしすぎる)、材木の窃盗団に立ち向かったり…。 そばかすのリンバロストの森での生活は充実していて目が離せません。 最後には、そばかすの出生の秘密が明かされ物語はハッピーエンドで幕を閉じます。 この『そばかすの少年』は、アメリカの女性小説家ジーン・ポーターが1904年に書いた原作『Freckles』を、『赤毛のアン』でおなじみの村岡花子が翻訳した小説をもとに竹宮惠子先生が1982年に漫画化したもの。 この時代の少女漫画って言葉遣いが古風で上品で本当に素敵だなと思うのですが、海外小説が原作ということで台詞回しが輪をかけて魅力的で原作の小説も読んでみたくなりました。 【原作】 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309464077/
ぺそ
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2021/01/05
お弁当は兵糧丸!? お家で戦国時代料理を楽しもう! #1巻応援
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辛い前職を辞めて時間に余裕の出来た戦国時代好きOL丸根さんが、お家で戦国ご飯を作ったり仲間と武者行列に参加したり、充実した戦国ライフを楽しむお話です。 https://twitter.com/nosukenoiz/status/1346059589020598273?s=20 兵糧丸って子供の頃憧れましたよねー!それがまさかお家で作れるとは。 丸根さんが作る料理はどれも簡単に手に入る食材ばかりで、自分でも作れそうでワクワクしました。 特にいり酒…!日本酒に梅干しと鰹節を入れて煮るとか…そんなの絶対美味しい…! これ1冊で ・焼き味噌 ・兵糧丸 ・香の物 ・鯨汁 ・ニラ雑炊 ・こねつけ ・ほうとう ・金平糖 8つの戦国料理が楽しめるので、お家で変わったメニューが食べたいときは参考にしようと思います! また丸根さんが戦国にハマった理由が戦国鍋TVだと仄めかされていて思わず笑ってしまいました。確かにあの番組は面白かった…! 武者行列って日本各地で行われているのを知ってはいましたが、こんな感じで参加するのかと参考になりました。 丸根さんが料理やイベントを心から楽しんでる姿や、戦国仲間たちと盛り上がってる様子にほっこりしました。 トクサツガガガもそうですが、何かに夢中になっている人たちを描く作品って、それを読んでいるこっちまで楽しい気持ちになるので好きです。 単行本の発売を機にこの作品を知ったのですが、1巻で終わってしまったのが本当に残念です…。 元・武将隊だったという北大路の過去、めちゃくちゃいい感じに近づいた北大路と丸根さんの関係などなど、気になるところがたくさんあるので何らかの形で続きが読めたら嬉しいです!
ぺそ
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2020/12/25
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著者の父との思い出と別れ
他人の人生をまるごと覗き見たようで、読み終わったあとは切なく温かい気持ちになりました。 第二子として生まれた著者の松田洋子先生の数少ない父との温かい思い出の1つである海水浴のシーンから始まり、父が仕事で全てを失ってから家族がバラバラになっていく姿、そして父の最期のときが描かれます。 戦後の貧しい時代に靴すら与えられず虐待されて育った父は、自分で建てた工場を失い、子どもたちは全員家を離れていく。 多くの「なくしもの」をしてしまった父は、子どもたちが出ていってからは、家のなかでホームシックになってしまい犬を飼い始めた…というエピソードが印象的でした。 甥っ子がおじいちゃんのために絵を描いたり、「あっちですぐプレーできるように」とゴルフウェアを着せたり、昔は全く似ていなかった弟が父の遺影とそっくりになっていたり…。 葬儀の場面には家族ならではの気の置けない優しさで満ちていました。 父も家族も大変という言葉ではたりないほど苦労ばかりの人生だったけれど、最期はたくさんの家族の温かく見送られる…というのは、幸せな人生だったという1つの証なのかなと思います。
ぺそ
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2020/11/30
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1984年、女子新体操に出会った少年の物語 #完結応援
新体操と聞いた時、だいたいの人はリボンやボールを使った女子の華麗な演技思い浮かべると思いますが、静と動が美しい男子新体操の団体演技を思い浮かべる人もかなりいると思います。 しかし実は、男子新体操(団体・個人)は日本だけで発展した独自の競技であり、五輪競技となっているいわゆる新体操は女子だけのものです。 この漫画は、「新体操」が導入された1984年ロス五輪の年に、広島港町に住む少年・凜太郎が新体操に出会い魅了され、たった1人でその険しい道を歩んでいくというお話です。 https://twitter.com/hartamanga/status/1326133748790784002?s=20 優しい姉、厳しい父…母を亡くした家庭はどこかぎこちなく、そこへさらに「新体操」という誰にとっても未知のものが入り込んで、家庭内は激しく波立ちます。 しかし、男はみな父の跡を継いで漁師になるという小さな町で、内気で泣き虫小学生の凜太郎は美しく舞うリボンに魅了されたことで、厳しく当たる頑固な父と向き合う強さを手に入れ成長していく。 読んでいて予想外だったが、凜太郎が女子新体操を諦めなかったこと。 よく考えればタイトルが「夕凪に舞え、僕のリボン」なのですから、女子新体操から離れるわけがないんですけど、勝手に男子新体操に転向し、アスリートとして上を目指すのだろうと思っていました。 が、凜太郎は結局、試合に出れるわけでもない女子新体操をたった1人孤独に学び続け、最後は「新体操単独ツアー」を開催するという形で1つ大きな偉業を達成するのが、普通のスポーツものにはないエンディングで面白かったです。 凜太郎が進学のために電車で故郷を離れるシーンで、父が船から電車をじっと見つめているシーンは思わず目頭が熱くなりました。 ただこのシーンのあと、中高という重要な時期が描かれずに幕引きとなったのが残念でした。もっと読んでいたかった…。 男、女、年齢…。世の中には常識となっていて疑いもしない区分がたくさんありますが、それに問わられずたとえ前人未到でも挑戦をする凜太郎の姿に勇気が湧いてきます。 たくさんの人に届いてほしい作品です。 https://twitter.com/hartamanga/status/1329720750454935552?s=20
ぺそ
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2020/11/27
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誤植から生まれる植物の優しくて不思議なお話
ものすっごく良かった!! こういう優しくて可愛くて不思議なお話大好きです! 「誤植」が植物に見えるペディーさん。文字の砂漠でひっそり生えている「誤植」たちを寂しくないよう切り取って庭に植え替えてやります。ある日、レシピ本のなかに「にんげん1/2」という誤植を見つけそれを鉢植えに植えるとそこから青年が生まれ家事を手伝うように…! https://i.imgur.com/hXzUJhc.png 細い繊細な線で描かれる、和洋入り交じる不思議な世界が可愛い! 本から切り離され、誰にも読まれなくなったためにアイデンティティを失った誤植たちは枯れかけますが、それをペディーさんが機転で救う。 「誤植の弟」との穏やかな生活が続いていくハッピーエンドにホッと温かい気持ちになりました。 新國みなみ先生ってどこかで…と思ったら、AandDという海外グラフィックノベルっぽい天使と悪魔のお話を描いていらっしゃる方でした。世界観のオシャレな感じは共通するものがありますね。どちらも素敵です。 https://twitter.com/nikkuni373/status/1254632259371450372?s=20 38ページのお洒落で優しい「世にも奇妙な物語」という感じのお話なのでぜひたくさんの人に読んでほしいです!
ぺそ
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2020/11/19
もはや1人鉄腕DASH…! 1949年から始まる温泉旅館物語
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1949年の熊本県黒川温泉。温泉旅館・新明館の長男である主人公の哲也さん(19)は、暮らしを支えるため学校を辞め、家業の他に近所の農作業や土木作業をして働いている。ちなみに19歳というのは数え年なので今で言う17歳です。 道が舗装されていない、バスが通ってない、ズックが貴重だから普段はわらじ、家族10人暮らしで家にラジオがない、林間学校の生徒たちが米を持参してくる、家族で晴れ着で百貨店に出かける…というのが当時の暮らしぶり。 家でわらじを編んだり、道がまだアスファルトじゃなかったことは、父や祖父から聞いた昔の話と重なり、実感を持って読むことが出来ました。 温泉を引くための配管もまだ竹で、高熱に耐えられないので4・5カ月に一度新しいものに替えなくてはならず、山から竹を取ってきて節を抜いて設置するのも哲也さんの役目。 そのことについて「わしは長男じゃからあたりまえばい」というセリフがあり、山道を2俵(120kg)の米や石炭を「おいこ」で運ぶ姿とあいまって「リアル炭治郎だ…」と、なんだか感じ入ってしまいました。 https://togetter.com/li/1612718 常に自分たちの温泉を良くしようと考えている哲也さんは、両親に呆れられながらも、露天風呂から見える裏山の竹を切ってツヅジやサツキを植えたり、岩肌をノミで(!)彫って洞窟温泉を作ったり…。 向上心が強く勤勉な哲也さんの姿に頭が下がる思いがします。 新明館そして黒川温泉が今後どうなっていくのか続きが楽しみです。 【現在の新明館の公式サイト】 https://shinmeikan.jp/spa/
ぺそ
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2020/10/31
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タヌキに頼まれ!? 小学生の夏休み四国一周の旅!
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とにかく絵がゆるっとしてて可愛い…!のりちゃんとさんちゃんという、元気いっぱいな小学生男子2人が主人公。「さんちゃんのお母さんが元気になりますように」という願いを叶えるため、近所の神社で拾った印の付いた地図を頼りに、四国中の神社をお参りをします。 お母さんの具合がよくなくて徳島に越してきたというさんちゃんは、お母さんのことが心配で不安でいっぱい。これから赤ちゃんが生まれてお兄ちゃんになるのりちゃんは、それがなんだか面白くない。 だけど、お母さんたちに内緒で四国4県の神社をお参りしている間はそんなモヤモヤを忘れてとっても楽しそう! 道中、2人は優しい『人』だけでなく、不思議な存在にもたくさん助けてもらって、読んでいてほっとしました。 徳島・小松島市 金長神社 香川・直島町 八幡神社&草間彌生の赤カボチャ 愛媛 おばあちゃんちの近くの神社 高知・南国市 日吉神社&のいち動物公園 香川で肉うどん食べたり、おばあちゃんちで「タルト」を食べたり、ご当地グルメや観光をしっかり楽しんでいて2人ともとても旅上手!各地の背景にこっそりゆるキャラがいるのが可愛かったです。 四国の小学校の図書室にぜひ置いてほしい1冊です! とは言ったものの、電子だと途中にたくさんカラーページがあってこれが本当に素敵なので、電子おすすめです…! https://comic.pixiv.net/works/3537