nyae
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2021/10/13
ネタバレ
殺し屋と恋人と、その父親。厄介過ぎる三角関係の行方は #1巻応援
移民の殺し屋・ローズと、恋人の女子校生・紅華、そして紅華の父は教会の神父で、日頃からローズが告解している相手である。 それぞれがそれぞれに、自分の正体を隠したり人には言えない事情があるので、実はとんでもない三角関係(というのか?)の中に自分が置かれているというのを誰も知らないという構図。 そんななか、ローズは自由と引き換えに教会の神父を全員殺すという任務が課されます。もちろんいつも話を聞いてもらっている神父が紅華の父親だとは知らないままですが、ローズは言われたとおりに使命を果たすことができるのか。そして、紅華との関係はどうなるのか。紅華は同性の恋人が居ることを父親に話すことはできるのか。 ローズの殺しのシーンが冷静で的確で面白い。暗殺組織の検死担当者?にも完璧な仕事ぶりで「100%ちゃん」と呼ばれるほど。 シリアスなストーリーではありますが、すこしわがままな紅華にローズや父親が振り回されている様子には笑ってしまうようなコミカルさがあります。1巻の最後には「ああ、ついに…」という展開もあり、誰も不幸にならないでくれ、という気持ちで2巻を待ちたいです。
nyae
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2021/09/28
ネタバレ
これを読んでも尚、精神科で働きたいと思うか。
精神科って、身体の怪我や病気でかかる一般的な病院とは違い、特殊な部分が多くあるなとこういう漫画を読むと思う。本作を読んで、精神科で働くということに興味を持つ人はいるかも知れないけど、最後まで読んだ上でも尚、心からやりたいと思う人はどれくらい居るだろうか。これはただの想像だけど、この漫画の作者のように自分自身が患者側になりそうになった、もしくはなった人が「あの心の状態って何だったんだろう」「他の人はどうなんだろう」という興味から心の病についてもっと知りたいと思った人がなるケースがあるのではと思った。 たぶん、患者に対してこの人は病気で自分は違うとはっきり境界線を引くような人にはできない仕事なんじゃないか。かといって、患者さんに影響されて自分を保てないならそれも難しい。誰もが探り探りの毎日。何年かけて世話をしても一瞬で裏切られることもある。辛抱強さが全てと言っても良いかもしれない。この漫画の主題である"ナース"はとくに。 印象的だったのは、自傷や加害行為をする人に対してただ「それはやってはいけないからやめろ」と言うのではなく「その行為に及ぶときの気持ちに注目する」ということ。自傷行為によって怪我をしても大したことがなければ自分で手当させるだけ、大事に至れば救急車を呼ぶだけ。そして落ち着いた時にどういう気持でやったのかを問うというのを繰り返したら、自傷行為が減ったという話。 身を削るほどの丁寧なケアは必要だけど、何があっても相手は自分とおなじ人間であるという当たり前のことを忘れないことが、この仕事には必要なんだと思う。
nyae
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2021/08/30
今いちばん好きなグルメ漫画 #1巻応援
移動式パン屋「ミムラパン」が巻き起こすハートフルな人情漫画ですが、あえて"グルメ漫画"として推したい。そのくらいパンが美味しそうに描かれています。そして単行本には登場するパンのレシピも掲載されています。ミムラパンのパンが家でも食べれるなんて!と思いますが、パン作りは難しいので慣れてない人にはハードルが高いかもしれないですね。でも読めばきっと挑戦したくなるはずです。 この漫画は、背景の描き込みが凄まじく、また漂う空気とか人の感情の移り変わり等の効果の表現が特徴的でどこかファンタジーな雰囲気があります。それでいて生きるうえで大切な「美味しいものを食べる喜び」もしっかり伝わるように描かれてます。 作中でも言われてますが、パン作りは本当に難しい。ましてや商売にしようとすれば挫折は当たり前。そんな中で、どうして諦めずにミムラさんがパン屋を続けているかという問いにたいして答えた言葉がものすごく響きました。つらいことばかりでも、何があっても忘れることのない「楽しい瞬間」。もしかすると1秒もないかもしれないその瞬間のために頑張れるって、誰にでもあると思います。 パンに限らず、なにか美味しいものを自分で選んで買って、気分ををあげようという気持ちにしてくれる漫画です。