『くらもちふさこ×いくえみ綾 二人展「“あたしの好きな人”へ」』へ失礼しました

少女マンガ界のトップランナーとして今もなお走り続ける、くらもちふさこさんといくえみ綾さん。

今回、デビューから現在に至るまでのすべての作品を対象とした初の原画展『くらもちふさこ×いくえみ綾 二人展「“あたしの好きな人”へ」』が2月9日(金)から2月25日(日)の17日間、池袋のパルコミュージアムで開催されています。先日内覧会にお邪魔したところ、その内容が凄まじくよかったので、ネタバレしすぎない程度にマンバ通信でもその様子をご紹介させていただきます!

ちなみに今回のレポートはマンバ通信の「アタシ」こと、ドッグナマコが担当いたします。

まず、入口にはお二人からの簡単なご挨拶ボードが。
この展示のために行った対談の一部抜粋かと思うのですが、この最後の「はい!」感じ、くらもちさん(1972年デビュー)といくえみさん(1979年デビュー)の「仲良しな先輩と後輩」といった様子が垣間見えて、ドあたまからほほえましい気持ちになりました。

いくえみさんといえば、くらもちさんの作品に登場するキャラクターの名前をとってペンネームにしたほどの大大大大のくらもちファン。デビュー当初の原画にも先輩の背中を追いかけているような画風がうかがえるのも胸アツポイントです。

アタシにとって2018年最高の「はい!」かもしれません。いくえみ先生ありがとうございます。

まず記念すべき1枚目としてドンと飾られていたのは、くらもちさんの『海の天辺』で描かれた「池袋パルコ」の原画でした。『海の天辺』は池袋周辺の地域が舞台だったため、パルコ周辺の街並みやサンシャイン池袋などが作品の中によく登場しています。今回、この原画展が池袋パルコで開催されているのも何かのご縁かもしれませんね。

せっかくなので原画展の後は『海の天辺』聖地巡りをしてもいいかもです。

今回、お二人のデビュー当時の作品から最新作まで約200点(!)の原画が展示されているのですが、白黒のマンガの原稿よりカラー原稿の展示数が多く、会場内は色とりどりの華やかさを感じました。

全体の展示構成は作家別にバッサリと分けるというより、年代ごとにそれぞれの原画が飾られている感じ。ところどころにお二人のコメント(これもまた掛け合い風!)が吹き出しで登場するので、まるで自分も会話に参加しているような気持ちで鑑賞できるのも楽しさのひとつです。

当時(70〜80年代)はデジタル処理なんてない時代なので、一発描きが当たり前。そんな失敗を許されない状況での色の濃淡やぼかしの仕上がりの美しさは、生で見る原画でしか味わえない驚きだと思います。どうやったらこんな色の出し方ができるのか……1枚ずつまじまじと凝視してしまうので、ちっとも先に進みません。

これはお二人ともの原画に言えることなのですが、どの時代の原画を見ても常に新しい表現方法を模索し、試作や実践を繰り返しつつ作品へとアウトプットしている様子が、ふだん絵やマンガを描かない人にも伝わる展示です。うまい言葉が見つからないけど、描いて塗るだけじゃない「その先」が見えるような感じがします。

たくさんの人たちがまんべんなく鑑賞できるようにと、壁掛け展示の他に原画をテーブルに平置きするなど工夫もされている。(やさしさ)
過去に作ったオリジナルグッズ紹介のコーナーには、先生直筆の解説メモが! あの独特な「くらもちふさこ書体」が生で拝めます。
いくえみ綾さんの人気作『POPS』1巻の表紙絵。プレイボーイの三島のネクタイを結ぶ、主人公 薬子の表情がカワイイ! 三島の顔の近くには小さく「首しめないでね。」のセリフが書かれている。
くらもちふさこさん『海の天辺』表紙絵。この絵はコミックの表紙として4等分にされ、右側から1〜4巻の順で発表された。当時としては珍しい使い方だったのではないでしょうか。

展示は原画だけでは終わりません。

最近、SNSでもよく目にする「神絵師のお絵描き配信」。
まさにそれに近いことをくらもちさんといくえみさんのお二人がやってくれていて、その映像が楽しめるブースがありました。
しかも、ご自身の作品のキャラクターを描くのではなく、くらもちさんは『潔く柔く』の小峰清正を、いくえみさんは『花に染む』の圓城陽大をそれぞれ描いていて、普通じゃ絶対「ありえない」ことづくしの嬉ション状態……!

ちなみに、この映像ブースにはテーブルと画面がそれぞれ二つ用意されており、テーブルの上にはお二人のネーム原稿と実際に使っている道具類が置かれています。また、奥の壁には仕事場風景の写真も展示されていて、見どころいっぱい。

こちらはいくえみ綾さんの描く「圓城陽大」。隣にはくらもちふさこさんのコーナーがある。

ふーっ……とりあえず、かけ足で紹介しました。
最後にグッズも少しだけご紹介します!

【公式図録】

デザインはブックデザイナーの名久井直子さん。名久井さんは『駅から5分』の文庫版のデザインも手がけていらっしゃるので、そちらもチェックしてみてください〜。

展示にいくなら絶っっっっっっっっっ対に買って欲しい「公式図録」!!!!
展示原画の収録はもちろん、イラストメイキング(細かい解説つき)、両氏の対談がこの1冊に収められています。対談ではお互いの絵に関するお話もしっかりされているので、なんならコレ読んでもう1回展示見に行くのが最高の鑑賞方法かと思います。

【合作イラストポストカード】

会場にはこちらの原画も展示されているのでぜひ見てください!

「ア────ッ!!!!! “尊い”と“尊い”が合体してマンガ国宝ができちゃった!!!」と叫びたくなるような最高合作イラストのポストカードです。男子キャラに定評があるお二人が今回の展示のために描き下ろされたイラストなので、これも絶っっっっっっ対にゲットしてほしいグッズです。

【マスキングテープ】

一番ひだりはいくえみ綾さんの愛猫“ブンさん”デザイン。お尻の穴を見せつけるポーズがかわいい。

お二人のこれまでの代表作コミックスの表紙がマスキングテープに! 1冊分ずつ切り離してステッカー風にして使ってもヨシ、繋げて使ってもヨシ。ありそうでなかったこの感じがグッときました。

【メモパッド】

もちろん、いくえみ綾さんのバージョンもあります!

お二人の代表作の1ページがそれぞれメモになったマンガらしいグッズのひとつ。友人とのやりとりに使ったり、好きなセリフを書き込んで新たなストーリーを創作してもいいかもですね。

レポートは以上です。

内覧会ではたくさん写真を撮りましたが、やっぱり実際に見て感動してほしい気持ちもあり、かなり枚数を絞りました……!

いろんな人とこの展示についての話がしたいので、みなさん! ぜひぜひ池袋パルコへ行ってくださ〜〜〜い!!!!!!

 

 

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