香りで深まる生活
同棲生活3年目。裕福ではないが貧乏というほどでもない。 倹約生活をそこそこ楽しんだりしながら暮らしている ごく普通のカップル。 互いに美味しいものを食べたい食べさせたいと思って やってみた燻製料理で、二人の生活に彩りと深みが 加わっていく。 二人で作って、わかることがあったり、 燻しあがるのを待ちながら話をして気がつくことがあったり、 一緒に食べて、確認しあうことがあったり。 燻製を作って味わって、味や香りや自分や相手について 初めてわかったり改めて思ったことなどが ゆっくりと二人の生活に生まれて染み込んでいく。 同棲カップルが主人公なので、当然、 二人の会話やそれぞれのモノローグのシーンが多い。 燻製料理の説明やストーリーの説明的な展開とかにも。 そのあたりの描写が凄く良い。 自然な会話で説明くさくない。 燻製が出来上がるまでの30分とか1時間とかのシーンで、 同じ様なコマを背景に二人の会話だけが進んでいく、 みたいなコマが連続したりするのだけれど、 そういうシーンが、単調で些細な変化しかないけれど、 その些細な一言一言それぞれを愛おしく感じたりする、 そんな日常生活を味あわせてくれるような気持ちになる。 派手に賑やかに豪華に料理して味わうのもいいけれど、 静かに燻製料理を作って味わうのもいいな、 それが好きな人と一緒になら尚いいな、と思わせる漫画。