道具に使われない人になりましょう
勧善懲悪でめでたしめでたしな物語はすっきりするけど、現実はそうもいかない。 そもそも善人と悪人と境目も曖昧で、ほんの少しのきっかけで人の心は揺らいでしまう。 瑠璃宮古物店の品物を手に取ってしまったら、自分もどうなってしまうかわからない。 人も道具も大切にする、強欲にならない、傲慢にならない……人として当たり前のことさえできれば悲劇は起こらないけれど、悪用しちゃう気持ちもわかるので恐ろしい。 もうちょっと丁寧に注意事項教えたらいいのでは…?と思うけど、私利私欲に負けて暴走しちゃう人はそんなの聞かないんだろうな。 ドアノブを買ったおじいちゃんとかゆいかちゃんのように人の心を無くさなければいいだけのこと。 ハッピーエンドばかりじゃないので教訓が胸に刺さります。
あまり普段読まないジャンルの漫画だったけど、アンリミで3巻まで無料で読めたので手を出してみた。購入した人間の境遇や感情によって様々な力が及ぼされる古物を売っている店が舞台。世にも奇妙な物語的なホラーやサスペンスっぽさもある、なかなか読みごたえのある話が多い。基本は1話完結だけど、キャラクターによっては再登場したり、その身近な人間が主役になったりするので、古物がもつ力以外のところでも物語として入り込める要素がたくさんあります。
なにより、古物店の店主・真央の正体がいちばん謎。見た目は若くてきれいな女性だけど、年齢不詳。経歴や生まれ、家族がいるのかも3巻の時点では何も明かされない。古物よりも妖しい存在です。