柄の大きな偉才

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かつて文庫で刊行され、数年前に復刊ドットコムで再刊された『わたしたちができるまで』という本がある。
岩館真理子岩館真理子大島弓子大島弓子小椋冬美小椋冬美という3人の女性漫画家へのインタビューをメインに構成された好著だ。ちなみに、それぞれのインタビュアーが実に豪華なのですが、それは実際に買ったかたたかたのお楽しみとしておきましょう。

要するに、小椋冬美は、かつてそういう存在だった。
大島や岩館と並ぶ、極めて大きな漫画家だったのだ。
今、この人の作品が語られることが少ないのは、あまりに惜しいと思うのです。

優れた女性漫画家は、詩的な言葉の操り手であることが多い。だが小椋冬美は、無言や間を描くことに長けていた。世界観が神経質ではなく、ゆったりと大きい。
これも少女マンガには珍しい独特のふくよかな描線と合わせ、今に至るまでなかなか比べる者のない、とても稀有な才能であると思う。

本書『天のテラス天のテラス』は、女性誌メインで活躍してきた著者が男性誌のモーニングモーニングで発表した連作集である。そのため、男性が主人公の作品が多く、小椋冬美の「間」の豊かさを少女マンガの読者以外も味わいやすい逸品だと、自信を持ってお薦めいたします。

こういう優れた作家の漫画を読むと、本当に、80年代というのは「漫画の黄金時代」だったのだなあ…と嘆息してしまいます。
(『天テラ』自体は90年代初頭の作品です。念為)

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