幕末コメディ、面白い!
これはハマりました。 本作では日本警察の父、川路正之進を描かれており、ハコヅメも交番が舞台で、警察モノがお得意なのかと思ったら、元警察の方だとのことで納得です。なんとなく川路への敬意が全体から感じられ、読んでいて気持ちがいいです。 コメディ要素もしっかり笑えるし、歴史、政治の説明もポップでわかりやすくとにかく面白いです。 登場人物達が使う薩摩弁が愛らしく、声に出したくなります。大事な魅力の一つ。 とってもおすすめです。
恋をして、働いて、ため息もつくし、空想でも遊ぶ。さまざまな人生のささやかな幸せのひとこまを手のひらに集めた、そんな心あたたまる日だまりのようなお話たち。この町は、どこにでもあってどこにもない夢の町。この町に住む、心優しき人々の幸福の瞬間を描く、宝石のような13のお話。
かつて文庫で刊行され、数年前に復刊ドットコムで再刊された『わたしたちができるまで』という本がある。
岩館真理子、大島弓子、小椋冬美という3人の女性漫画家へのインタビューをメインに構成された好著だ。ちなみに、それぞれのインタビュアーが実に豪華なのですが、それは実際に買ったかたのお楽しみとしておきましょう。
要するに、小椋冬美は、かつてそういう存在だった。
大島や岩館と並ぶ、極めて大きな漫画家だったのだ。
今、この人の作品が語られることが少ないのは、あまりに惜しいと思うのです。
優れた女性漫画家は、詩的な言葉の操り手であることが多い。だが小椋冬美は、無言や間を描くことに長けていた。世界観が神経質ではなく、ゆったりと大きい。
これも少女マンガには珍しい独特のふくよかな描線と合わせ、今に至るまでなかなか比べる者のない、とても稀有な才能であると思う。
本書『天のテラス』は、女性誌メインで活躍してきた著者が男性誌のモーニングで発表した連作集である。そのため、男性が主人公の作品が多く、小椋冬美の「間」の豊かさを少女マンガの読者以外も味わいやすい逸品だと、自信を持ってお薦めいたします。
こういう優れた作家の漫画を読むと、本当に、80年代というのは「漫画の黄金時代」だったのだなあ…と嘆息してしまいます。
(『天テラ』自体は90年代初頭の作品です。念為)