祭り。結局、洋介の目論見は失敗に終わり、生け贄の子供が縛りつけられている。「あの人」がじりじりと生け贄の子供に近付く…恵介たちが見守っている。
ダーン!!
一発の銃声が響きわたる。銃声の方へ目をやる後藤家の人々。そこには、上下二連式のショットガンを持ったサブさんと娘の加奈子が立っていた。
「悪いが、その子を返してもらうぞ!!」
「気でも狂ったんか?どうなるかわかっとんやろ?」
「やかましい!加奈子!その子を、はよう!」
加奈子は怯えながらも生け贄の子供に駆け寄り、縄をほどくと抱き寄せる。加奈子の頬には涙が伝う。
「加奈子!その子を連れてはよ逃げえっ!」
「お父ちゃん!」
「はよせんかい!」
加奈子は子供を抱き締めたまま、サブさんとすれ違うように横を小走りで駆け抜ける。しかし、加奈子は父親であるサブさんのことが心配で振り向く。視線を感じたのか、サブさんが一瞬振り向く…微笑んでいた。
加奈子が闇の山中の小道を走って20秒ほど経ったとき。
ダーン! ズダーン! タターン!!
数発の銃声が立て続けに聞こえた。加奈子は振り返らず、必死に走った。突然、闇に中から突然出てきた手に捕まった。
「いやああ!離して!!」
「!加奈子さん!?」
月明かりで見えた相手の顔は、駐在の阿川大悟だった。