「私、プロレスの味方です」
「私、プロレスの味方です」という、直木賞作家の著書を知っている世代なら、この作品にも絶対ハマれるはず。舞台は昭和、格闘技ブームが到来する前のプロレスがおおらかだった時代。海外武者修行から帰国するも所属団体はすでに潰れており、成り行きでライバル団体のマスクマンとしてデビューすることになった男のアクションコメディです。とはいえ決してプロレスを茶化しているのではありません。血が滴り、肉が裂け、骨が軋むハードな試合場面や、興行の裏側にある大人の事情、アウトローの切なさなどを描くのが本筋。それに行き当たりばったり、意味不明なハッタリ、過剰すぎる演出などが挟み込まれる構成。娯楽要素が満載ってわけです。ドタバタもシリアスもひっくるめてこれがプロレスの醍醐味、と料理して出してくれるところが、私のような昭和からのファンにはたまりませんよ、ホント。しかしアグネスの名前の由来にはあきれましたね。ブラジルからの刺客だから…、ってそこで間違えるか! しかも実は何で間違えたかというとトホホな理由が。ま、それもプロレスですな。
21世紀になってから昭和50年代のプロレス界を
舞台にして連載開始した「アグネス仮面」。
昭和プロレス世代にはよくわかるが、明らかに
大和プロレス=馬場全日本
帝日プロレス=猪木新日本
だよね。
現在の多団体時代、レスラーが総・細マッチョの
プロレス界とは隔世の感があるが、かつては
日本のプロレスは
馬場の全日か猪木の新日かの2つしかなく、
レスラーは総じて太マッチョ、ゴリマッチョばかりだった。
かつてそういう時代があったことを強烈に
思い返させてくれる名作プロレス漫画だ、これは。