大雑把だけれど真剣という超異色プロレス漫画。明日が見えないのは被っている仮面のせいなのか?にコメントする
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アグネス仮面

真面目で暑苦しくて、それでいていい加減なプロレス馬鹿たちの物語

アグネス仮面 ヒラマツ・ミノル
名無し

なぜだか無性に覆面レスラーがかっこ良く思えてきて、勢いでルチャリブレの写真集なんぞを買ってしまいましたが、特にプロレスファンというわけではありません(僕のプロレス知識はスーパーファイヤープロレスリングで終わっている)。ただ、マスクマンのおどけながらも真剣な在り方になぜか惹かれてしますのです。  そんな気持ちにさせてくれたのが『アグネス仮面』という相当な熱血馬鹿漫画。真面目で暑苦しくて、それでいていい加減なプロレス馬鹿たちの物語です。登場人物は皆、少し抜けていますが、それだからこそまっすぐな熱いドラマを魅せてくれるのです。  主人公の山本仁吾は大和プロレスのプロレスラー。長い海外修行から帰国した仁吾は、大和プロレスの社長・ジャイアント安藤(ジャイアント馬場ぽい)が死に、さらに大和プロレスが帝日プロレスに潰されてしまったと知ります。旧大和プロレスのプロレスラーは散り散りになり、海外にいたため皆から忘れられていた仁吾が、最後の大和プロレスのレスラーなのです。ジャイアント安藤の奥さんにそそのかされ、帝日プロレスに道場破りに向かった仁吾は、そこで帝日プロレス社長のマーベラス・虎嶋(アントニオ猪木っぽい)に勝負を挑みます。引退して2年のブランクがある虎嶋に完膚なきまでに叩きのめされた仁吾は、強制的に日系ブラジル人の覆面レスラー・アグネス仮面に仕立てあげられ、なぜか帝日のリングに立つはめに…。こうして仁吾の覆面レスラー人生が開幕するのです。  才能あふれる若きレスラー・仁吾は周囲の様々な人に振り回されます。アントニオ猪木に似ているマーベラス虎嶋がまず酷い。とんでもない無茶は言う、約束は守らない、言ったことは全て忘れる。そもそもアグネス仮面という名前もアマゾン仮面と間違えてつけただけなのです。しかし、仁吾はそれらの指示になんだかんだで従い、がむしゃらに達成してしまう。自分でもなんだかわからないまま、仁吾はアグネス仮面として活躍してしまうのです。  周囲の人たちはみな、目標に向かって真っ直ぐで、熱くて、ただすこしばかりテキトー。ときに凄惨なシーンもありますし、ショックな場面も出てきますが、プロレスに対する疑問はかけらも出てきません。なぜ彼らがプロレスに夢中なのか?なんてかけらも出てきません。ただただ、プロレスが好きで、プロレスが最強だと信じていて、その気持ちを裏切らないように生きていく人たちの熱き物語。  ここで描かれているのはある種の楽園のようなものかもしれないと思います。

宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

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