事件関係者達の手記をかなり忠実に再現している。 この漫画をきっかけに連合赤軍に興味を持った。主要人物や事件に至るまでの流れを一通り把握することができるので、連合赤軍入門書としてはかなり良いのではないだろうか。 「言葉の力に翻弄されていく普通の人達」という切り口で連合赤軍事件を描いた作品。 物語の主人公格は赤城(=永田洋子)という女性指導者と、岩木(=植垣康博)という男性メンバー。 一般的に、永田洋子は「優れたメンバーへの嫉妬心から大量殺戮を行った鬼婆」として語られる事が多い。だが、物語前半の赤城は、感情的な面はありつつも人並みの思いやりや理性は持っており、けして「鬼婆」ではない。 しかし、もう1人の指導者・北(=森恒夫)により、「革命家として問題があるメンバーを殴る事で、彼らの欠点を克服させる」という理論が提唱されると、彼女はささいな理由で(美人だとか頭が良いとか)メンバーを摘発し、彼らへの暴力を指示するようになる。 メンバーを殴る時に「頑張れ!頑張れ!」「あなたのためなのよ」という台詞がよく使われていることが印象的。 リンチのはほとんど、北(や赤城)がメンバーの些細な行動を「彼らの欠点は革命家として致命的であり、それを克服させるために殴る」ともっともらしい言葉で問題化することから始まっている。 もっともらしい言葉で理由付けがされることにより、言いがかりのような批判から始まるリンチに対しても「自分たちは仲間のために正しい事をしている」と思い込めるようになっていく。 元赤軍派メンバーの男性が言った「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉が印象的。 北(=森)や赤城(=永田)も、岩木(=植垣)も、英雄でも狂人でもないごく普通の人たちだった。そんな彼らを冷酷極まりないリンチに追い立てたのは、言いがかりのような批判を正当化する言葉と、「仲間のために正しい事をしている」という自己暗示だったのではないかと思う。 同じく連合赤軍を再現した作品に若松孝二監督の「実録・連合赤軍」があるが、見比べてみると永田の捉え方が随分違う。 実際の事件関係者の手記を読んでみても、森・永田に対する印象は人によってマチマチだったりする。連合赤軍事件は語る人によって全然違った「真実」が見えてくる事件なんだと思う。 この作品も若松映画とは違った角度からの「連合赤軍の真実」として、後世に読み継がれていったらいいなと思う。
※ネタバレを含むクチコミです。
BL@CK OUTだよね。10年以上前のケータイ小説の。エブリスタ系列の投稿サイトだったはず。 新撰組が三国志を倒したあと?、カリスマホストのヒカル 一派に襲撃されて新撰組が壊滅。沖田が実は…みたいなとこまでは覚えてる。すげー懐かしい。元気にしてたんだな、お前って感覚。桃太郎クエストは裏があるから、頑張れよ!ってキャラに言いたくなる。 同じ著者のsavanna game もBL@CK OUTもランキング上位だったのになんでこんなに時間かかったんだろう。不思議だ。 デスゲーム系というジャンルがある程度膾炙したから、まぁやりやすくはなったのかな。
カワイイと強いは普通は両立しない。 カワイイってのはカヨワイとかケナゲに近いし、 強い、とは対極ともいえる存在だと思う。 カワイイ、と思う感情は 守ってあげたい、と思う気持ちに通じるだろうし。 柔道という体力や体重が強さに大きく関わる競技では 強くなるには筋肉質にならざるを得ないし、 筋肉質になればなるほどカワイイとは遠ざかると思う。 そう考えるならYAWARA!も所詮は漫画ドリームだ。 漫画の中だからこそ、見た目が綺麗で可愛くて、 ナイスバディとまではいえなくてもスタイルも良い けれど強い、が成立する。 筋肉質のガッチリした体型でもない女の子。 それでいてメチャクチャ強い。 そんな猪熊柔(主人公)は漫画の中だからこそ存在出来ている。 猪熊柔はけして「柔道大好き」を前面に出していない。 本質的には好きだろうし誇りもあるのだろうが、 最初のうちは、人生の優先事項の第一位は柔道ではない。 むしろ普通の女の子として普通の生活、 普通な恋愛に憧れている。 そんな猪熊柔がストーリの進行と共に 自分が柔道を好きなこと、楽しみたいこと、 柔道をすることで自分が出来ることを考えていくようになる。 なので話の前半では一歩間違えたら 「才能があるのに贅沢言っている勘違い女」 と、カワイイとはまさに真逆な 反感買い捲りキャラになりかねなかったかもしれない。 実際、そのへんを勘違いしたスター誕生物語漫画も 他にはけっこうあると思う。 また、現実の世界でもよく 強くて才能があって見た目が綺麗な女子アスリートを 「柔道漫画のYAWARAちゃんみたいに」と形容するのを 見ることがある。 だが、それは違うと思う。 猪熊柔のカワイイし強い、とは 心が一途だからであって、 強い弱い抜きに、その一途さがカワイイし、 その一途さが、自身の強さと更なる努力で 自分も周囲も幸せにしていくから 「カワイイし強い、凄い!」 という漫画になっているのだと思う。 父母と普通に楽しく暮らしたい。 好きな人と普通の恋愛がしたい。 そして自分は柔道が好きだからしたい。 そういう一途さが実は一貫している。 だからカワイイし強いと読者は感じるのだと思う。 また、猪熊柔を勝手に?ライバル視する敵キャラ 「本阿弥さやか」も、一見、勘違いギャグキャラだが (実際、かなりの勘違いキャラではあるが) 一途さでは猪熊柔を超える面もあってカワイイ。 猪熊柔の親友「富士子」さんも、 やはり一途な部分があってカワイイ。 その上で柔道の試合のシーンとかも凄く良いし、 カワイイと強いが両立した良い面白柔道漫画だと思う。
物語の舞台は今は昔平安時代。 橘家のお姫様光子は、こよなく 愛する弟君の花嫁を屋敷にて待ちかねていた。 地味で漢文に秀でている、さして美しいとも聞かぬ義妹。しかし屋敷に現れた弟嫁は、ふわっふわのロングウェーブに鮮やかな唐衣を纏った、あからさまに女子力の高い美女だった。 しかもその美女にはとんでもない秘密があって? のちに一世を風靡する清少納言のお話ですが、 歴女としてあさきゆめみし、イシュタルの娘うた恋、風光るをはじめとする新選組ものなどを読破してきた自分が、久しぶりに続きはまだかー!と叫びたくなった作品。 本当にBeLOVEが月二回刊行されてよかったと心から思う。 作者Peachpitといえば、ローゼンメイデンでお馴染み魅力的な美女やある種退廃的なストーリーを描かれることで有名。 その作者が、容姿心映え、ともに歴代最高峰の美女である皇后定子様をどう描くのか見物である。 また、当時の朝廷は、身分容姿ともに完璧すぎるイケメン男子で溢れていた。 光源氏のモデルの一人とも言われる超絶美男子藤原実方、身分高く容姿も抜群、声までよいときて時々清少納言にはすねる(しかもこどもっぽく)藤原斉信。 そして能吏であり、人が土下座してまでその書を所望する真面目系無愛想イケメン藤原行成。 朝廷の女官たちの憧れであり垂涎の的であったイケメン男子たちと、清少納言の機知溢れる優雅こそはこれよ、なやり取り。 それを作者がどう描かれるのか。 ぜひ今後とも正座待機して続きを心待にしたいものである。
インターホンで外の音を聞くのが趣味という変わり者の兄とクールな妹の身に起きた、少しゾクっとするけどかなり笑えるお盆マンガ。 絵もとても上手いので、もっと長めで本格的なホラーとか読んでみたい!!
『あにいもうと』『夜をとめないで』のハルミチヒロさんの最新刊。それらの作品からの続きも一部ありますが、こちら一冊単体でも十二分に楽しめる上質な短編集です。 純朴に愛し合う二人もいれば愛と呼ぶには少し屈折し過ぎた想いを持つ者もおり、恋愛マンガと言い切るとやや語弊が生じもののそれに近しい感情を主に扱った物語群となっています。 振り切れていたり歪んでいたりはしても、この世のどこかにはこうした想いを抱えている人もいるのだろうなとリアルさを感じさせてくれる心情表現の巧みさは流石。個人的には「蓮の花」で描かれている感情が特に好きです。 吸い込まれそうな美しい表紙を見れば解る通り絵も非常に良く、叙情性豊かな物語と合わさってとても高い満足度をもたらしてくれる一冊となっています。 ストレートな恋愛物より拗れた話や細かな感情の機微を描いた作品が好きな方にお薦めです。
甘〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!!!! グラブジャムンやティムタムすら裸足で逃げ出してしまいそうな、甘さが天元突破した社会人ラブコメです。 社内の人間に内緒で付き合いだした28歳の同期の男女が、社内で、社外で、人目を忍んでひたすらイチャイチャする様を見せつけられます。こっそり手を繋いだりとか、初めての名前呼びで盛り上がってしまったりとかもう……学生の恋愛か! けしからん、もっとやれ!! 好きすぎて態度に出るのを恐れるあまり、社内の人目のある所ではあえて険しい態度を取り繕いながら、二人になると甘えん坊の子猫のようになる三ツ谷がひたすらにかわいいです。その殺傷力は最早大量破壊兵器。 5話と6話の間の描き下ろしなど最高です。ご馳走さまでした。胸焼けで殺されそうですがまた食べに来ます。
黒丸さんといえばドラマ化・映画化もされた『クロサギ』が有名でありイメージも強いと思いますが、こちらの恋愛系のお話もちょっとびっくりする位に面白く引き出しの豊かさを感じました。 6編のセックスに至る様々な男女の物語を収めた短編集ですが、女性作家ならではの女性心理描写の的確さがあります。 1話目で、主人公の旦那が「最近の若いやつはこちらが指示しないと何もしてくれない」と愚痴るのに対し「そういうあなたも家では言わないと家事の一つもしてくれない」と言いたい想いを押し殺している様など共感を呼びそうなシーンが多数存在します。 “女はみんな自分だけの『ご褒美』を持っている” “恋したものには触れてはならない 触れることは汚すことだからだ” “本当に美しいものは触れてはならない――” など、各作品の冒頭のモノローグが示すように言葉選びにも情趣があります。特に、第5話「まぼろし夫婦」で紡がれる切なる美しい言の葉が大好きです。 主に女性向けではありますが、男性もこういった作品を読み女性の考え方を学ぶことで世界は少し平和に近付くと思います。
『緑の罪代』『妖怪村の三つ子たち』でその溢れる才気を見せてくれた梅サトさんの待望の新作です。 梅サトさんの作品は派手さはないものの、何気ない所作一つや言葉一つに胸の奥をきゅっと掴まれるような感覚になります。この『お兄ちゃんは今日も浮いてる』も例外ではありません。 主人公がクラスメイトにバカにされて学校に行きたくなくなった時、逆上がりができない悩み、単身赴任の親の不在に対する寂しさ、友達と共同で行う夏休みの宿題……。小学三年生の女の子の素朴な日常を通して、自分が子供だった時代の体験を想起し、重ね、感慨に耽ります。 そして、少し変わった所がある主人公の兄の存在。彼が妹を思い遣る気持ちの切実さは非常に強く、普遍的な家族愛の物語として受け止められ笑って泣ける作品です。
一筋縄では行かない人ばかりですが、一人一人の登場人物が魅力的です! ギャグのテンポも好きです。
ヒロインの子かわいい!最高!ファムファタル! 男もみんなイケメン!誰とくっつくのかな〜
ヒロインがツンデレですね! 最近25overで処女設定みたいな漫画多い気がします。そういう時代なのでしょうか
チャンピオンの新連載。はえ〜これメチャクチャ面白いぞ…!!?全く期待しないで読んだので良い意味で裏切られた! まず画の力が強いッ…!この絵のクオリティで週刊連載するのかよと想像して震えた。目に訴えかけてくるパワーのある絵だからこそ残酷さが引き立つ。 10戦勝ち抜きという設定(とこの絵の描き込み)から考えて、長期連載は考えていないのかも…? 赤嵐(せきらん)はなぜ荒野に住みアランと名乗っていたのか、鈴飾り少女との関係は何なのかメチャクチャ気になる! 【あらすじ】 黒曜(大御国)と翡翠(ディヴァ)の30年に渡る大戦は、炎龍大将軍率いる黒曜の勝利で幕を閉じた。戦勝国となった黒曜では炎龍が皇帝の座につき翡翠の人間を奴隷とし、老人は「歩く薪」として焚き、女は嬲って犯し、男は剣奴として殺し合わせた。 終戦から3年後、炎龍帝は優れた剣奴を集め「10戦勝ち抜いた『娑婆王』に天下を與える」という勅令を発する―― 【第1話】『娑婆王』暦 http://arc.akitashoten.co.jp/comics/syaba/1
「喪失」の出口。とても上手いことを言うなと思う。 大事な人を喪った時に、実感が訪れずに悲しめないというのは、度々、漫画の題材となっている。本作はそれをガラパゴス携帯を使って、上手く表現している。主人公は母から送られてきた過去のメールを見ることで、母のいた世界に取り残されていたのだろう。そうすることで母の死の実感を薄めていた。 だからこそ未送信のまま送られなかった下らないメールに初めて涙を流す。悲しめない人の抱える「喪失の出口」をうまく描いた。とてもいい作品だったと思う
一見、絵本みたいな絵で読む気をなくすけど、内容は本当に素晴らしいの一言。この漫画で書かれてるのは人の二面性。悪く見えるやつも、良い面をちゃんと持ってる。だからちゃんと認めて、ちゃんと自信を持って生きて欲しいって色んなキャラクターを通して読者を励ましてくれる。そんな優しい漫画です。
まずは、画力が本当に凄くて引き込まれます。 そして、物語の設定も面白い! アニメ化希望します。
容姿端麗頭脳明晰、クールで近寄りがたいヤマトと、そんなヤマトが本当は優しくていい奴だと知っている幼馴染のカケル。 カケルはもっとみんなにヤマトの良さを知ってもらって、友達が増えたり更には彼女が出来たりすればいい!と思って周囲にアピールするも ヤマトの想い人は他の誰でもない、目の前にいるカケルで… カケルに対する想いはなんとなくは伝えてるけど、 まさかそんなはずは、とカケル本人はすぐに受け入れられない。のも当然。そんなすんなり受け入れたら面白くないので! またカケルに嫌われたくなくて、想いが口に出そうになってもグッ…と堪えるヤマトの姿が切ないこと。 そしてヤマトの正式ライバルがなんと、妹だっていうのがまたざわざわする…。 もう全員幸せになってくれ頼むから…
この作品の一番大きなテーマは聴覚障害だ。描かれているのは、症状だけでない。周りの無遠慮な態度、障害を抱えたがゆえのコンプレックスや生き辛さ、そうした環境を丁寧に描いている。 だからこそ太一の純粋な明るさに航平は惹かれるのだろう。この作品を読むと、BLはなにも変わったものなんかでなく、しごくまっとうな恋愛なのだと再確認させてくれる。ぜひ、男性にも読んでほしい作品だ。
大学四年生就職活動に苦心する主人公と、その恋人の話。間の取り方や台詞のちょっとしたところで関係性の揺れ動きを伝えてくる。さすがの木尾士目と思わされる一作 かなりリアルなギクシャクもある反面、本編では綺麗ないい着地をしている。完成度の高い一作。続編の五年生がなければ、だけどね!!!! ……ああいうのもああいうので好きだけど、この作者はどうして完成した綺麗な作品を汚すのが好きなんだろうか。性癖?
すごくクセの強い新連載ですね。 貧乏で暮らす家も無くなりそうという女子高生が、簡単に稼げるといわれるLive配信アプリを始めたら、30万円を持った同級生に一緒に組むように誘われて…という話。 これそもそもLive配信とはなんぞやというところを知らないと面白くないのか?
おっとり系女子のトーコちゃん(おそらく作家かライター)は日本からドイツに移り住んでまだ間もない。 相棒は、人間と同じように2本足で歩きおしゃべりする猫、むぎくん。 日本との違いを楽しみながら、食事や遊びを工夫して暮らす様子がエッセイ風にほのぼの描かれてます。食いしん坊のむぎくんのためにドイツならではの食材を使っておやつやごはんを工夫して手作りしたり、おにぎりを握ってピクニックしたり、青空市へ行ってチーズや野菜、パンを買ったり、クリスマスマーケットへ行ったり、ほとんどの店が閉まる年末年始をゆっくり過ごしたり… こんな生き方ができたら死んでもいい(いや生きる)というほどに理想的な暮らしがそこにありました。 一人ぼっちだとたぶん心細い。人間のパートナーだとよほど気の合う相手じゃないと無理。 だからむぎくんの、動物なんだけどコミュニケーションがとれる、だけどお金を稼げないから自分が養ってあげないといけないという、パートナーとペットの間くらいの関係性がベスト。 はぁ、現実逃避………
シマウマは映画で知ってマンガを読むようになったんだけど、どっこいどっこいかな・・・ 映画はグロくすればいい感強くてストーリが疎ら。 漫画の方はストーリは面白いんだけれど、残酷シーンでは敢えてなのか描写が見えづらい・・・だから理解しづらいところがある。 ストーリ的にはフィクションだが、事実こういう組織(復習屋)がいるのも事実、それをモデルにしているのだろう。 少しオーバーだが内容と取引金額もリアルである。
「子どもの頃に爆笑しながら読んでて思い出したら懐かしくなって最近大人買いした」という人から借りて読んでいるのだが、令和になって初めてこの漫画を読む身とすれば素直に爆笑できなかった。もちろん笑ってはいるんだけど!今の時代にこのネタは描けないだろうな…と冷めている自分がニクい。ただ、やはりこの作者は普通ではないと感じさせる気配がずっとある。例えば、ふっ子が空を飛ぼうとして木から激しく落下すると場面が変わり「今年の正月につくった雪だるま」が現れてふっ子を死後の世界に連れて行こうとする。天使とか死神ではなく溶けて消えてしまった雪だるまなのがすごい。エロ・グロ・ナンセンスなネタの中にふいピュアな部分があったりする、その何を考えているか分からなさがオリジナリティーだし、この作者の頭の中を覗いてみたいって思わせるのは才能だと思う。
ガスマスクを描きたかっただけなのかな…というくらい内容はそんなにない。 マスクを取った時の印象が普通だったので、もっとパンチが欲しかった。
たぶん、カレカノの次の連載作品だったと思うけど、落差がすごくて大丈夫か…と思った記憶が。結果大丈夫でした。 主人公の七花は地味で平凡な女の子なんだけど、まわりのキャラクターがめちゃめちゃ濃い。 七花の幼馴染には、日仏ハーフの超絶美女(中身は美男子で女子に大モテ)ののばらと、学年一の秀才・蓮華(こちらも美女)。それぞれにまたキャラの濃い兄たち(通称・兄ーズ)がいる。高スペックの濃いキャラがわんさと出てくるところはカレカノぽくていいですね。 七花の恋の相手は、学校で女子に王子ともてはやされている葉月。 七花は葉月のナルシスト気質が受け入れられず、関わりを拒絶したことから恋が始まる…のですが、 一話目が1月の話、二話目が2月の話…といった感じである意味一定のペースで進むことでかなりじっくり恋が育つのですが、それがこの漫画の良さで、月刊連載なので雑誌の発売月と内容が連動していたらしく、読者と同じ時間の流れを漫画の中にも作ったような、画期的(?)な作品です。 葉月の気持ちが七花に向いたことで、王子・葉月を取り戻すために女子たちが七花をどうにかしないと…という流れで、そういう展開か、と思いきや「でもこれっていじめでは…?」といまいち悪者になれずに、尾行してても人気のない道を歩く七花を心配しちゃう女子たちがかわいい。 悪者キャラ殆ど出てこない。安心。
王道少年漫画が読みたい、サンデーっぽいの! と思って読むのですが何回最初っから読んでても面白い。 まずこの結界を作って攻撃、防御、封印までやるってのすごいですよね。 ただ四角を作って、というモーションで少年漫画の戦闘シーンとしては地味なのではと思ってしまうところを描写、表現力で補ってしまう。 妖もでてくるし、組織の陰謀みたいなものも見え隠れし始めるし少年の理想が詰まってて長編なのに飽きずに読み続けられます。 多分難しいところとか、読みやすいところとか両方詰まってるので大人でも子供でも読めるものではないかと。 烏森を守る、結界師という仕事、幼馴染、要素も設定もすごく練られているのに読み手が迷わず読みやすいように導いてくれる。 しかも主人公の良守に知らず知らずのうちに感情移入して好きになってしまう。 こういう安定した少年漫画読むとすごく幸福感覚えます。 家の本棚に1セット揃ってて欲しい漫画。
大作家・山田風太郎が、医大生だった23歳のときに書いた日記『戦中派不戦日記』がコミカライズ…! マリーマリーマリーや、イギリスの人気小説原作の「プリーズ、ジーヴス」で知られる勝田文の新連載『風太郎不戦日記』がモーニング36・37合併号よりスタート(月イチ掲載) https://morning.kodansha.co.jp/news/5160.html すでに扉絵の時点で魅力にあふれていて、ワクワクしながら読みました。 ガラスに貼られたテープ、尋ね人のチラシ、若者のいない銭湯、濁った湯船…。戦中の市民の暮らしぶりが一人称視点で描かれるため、非常に生々しく感じました。 作画に関して、勝田先生の白黒はっきりした塗り、独特の味わいの線、背景と小物の書き込みがとにかく素敵。 物語の内容自体は重たいのですが、「絵と内容のバランス」が取れていて読みやすかったです。 【第1話】「昭和20年の湯加減」 https://morning.kodansha.co.jp/c/futaroufusennikki.html
世の中の女性全員が主人公の瞳のような考えではないだろうけど、AVでやってるから君もできる、好きならやれるでしょ、という認識は改めたい。 定期的にこうして世間に発信しないとつい忘れてしまいそうになるテーマだと思う。 娯楽としての漫画というより、啓蒙に近いものを感じた。 これを読んで、自らの行動を改める人もいれば、そんなことないだろと流してしまう人もいるかも知れないけど、個人的には瞳が出した結論を尊重できる人が増えればいいなと思いました。
ハデスがイケメンで、苦しみを抱え込んで、実は優しいってところからズルい。そういう一人で無理をするタイプである孤高の存在に、裏表のない真っ直ぐで優しい少女の組み合わせは見ていて、いいものがあるなぁと思う あと部下の骸骨(とくにカロン)がかわいいっていうのもポイント。かわいい髑髏とかみんな好きに決まってるじゃんとなる。
懐かしい…! と再読してしまった少女漫画。 男だけど乙女っぽいものが好き、今そんなに珍しい設定でもない気がしますが昔は斬新!と思ってました。 絵が美麗です。 料理もできて裁縫もできるイケメンって完璧ですけどね、コンプレックスになっちゃうんでしょうか
自分の見た目に自信がない女の子と彼女を好きになった男の子のラブコメ…だと思ってました1話までは。いや1話はもしかしたらそうだったのかもしれない。 でも読み進めると嫌でも気付く。「あ、これ完全にシュールコメディだわ、ラブやる気あんまねぇぞ」 なのでラブコメを期待したら若干肩透かしを食らいそうになるけど、途中から正直そんなの気にならなくなる。なぜなら純粋にコメディとしてめちゃくちゃ面白いから! 選択するワードのセンスがすごく高いし、各キャラがボケ役にもツッコミ役にもなれるからとにかく密度が濃い。 作品のベースは主人公の野宮さんの卑屈さ、自虐性なんだけど、自虐系のネタを面白さに変換するのって実はかなり難しくて、でもそれをさらっとやってしまってる辺りからもセンスの高さが窺い知れる。 1巻まで読了
主人公のソルがいきなり人攫いに遭い、人身売買のオークションにかけられるところから始まる今作。 この世界は人間と吸血鬼が共存、というよりは吸血鬼に統治されており、統治が行き届いている地域では上手く両種が共存しているが、そうでない地域では….ということらしい。 そんな中でソルを落札したのは、自ら牙を落とし血液を吸うことを禁じた吸血鬼のアウロラ。血液を吸わない代わりに人間の"体液"を食糧とするため、ソルを"食用人間奴隷"としてその手にしたのであった。 "体液"を食糧にするという辺りからも察せるように、序盤からかなり際どいシーンが続くが、不思議と下品さがなくて官能的という言葉が相応しく見える。そこから中盤にかけては日常的な場面が続くが、終盤に入った所から怒涛の展開が始まり、導入からは予想できないような美しい幕引きへと繋がっていく。 個人的にこの作品の核心となる部分は、主人公の1人、ソルが序盤から徹底して"少年"であることのような気がしている。官能的な雰囲気にはともすれば不釣り合いのようにも思うソルの少年性は(人によってはそれ自体が性癖にぶっ刺さるのかもしれないけど)、序盤こそアウロラに対する抵抗心として描かれるが、中盤の日常シーンで徐々に2人が心を通わす布石として、そして終盤に物語が大きく動くそのトリガーとして、非常に効果的に作用している。 ストーリー自体が妖艶な雰囲気な上にかなりクセのある絵柄なので人を選ぶ作品なのは間違いないと思うけど、1話を試し読んでみて何か引っかかった人なら最後まで読んできっと満足してもらえると思う。 全1巻読了
「世界を滅ぼす悪魔の子」という予言の元に生まれてきた妹・ユタと、ナユタをなんとかして守ろうとする兄・ケンジの物語。 予言通り人の心を持たず、残酷で、理解不能な言葉を操るナユタの姿が不気味で最高。そして暮らしぶりは日本っぽいのに魔法が存在している奇妙な世界観がたまらない。3ページめの裏路地に置かれたシルバーカーの生活感がすごく好き。 ファイアパンチと同じく厳しい立場で生きる兄妹の話だけど、こちらは救いがある終わり方でホッとした。 後半、人の言葉を話せないユタちゃんから最高のセリフが飛び出すので読んで確かめてください。 https://shonenjumpplus.com/episode/10834108156674241158
少年誌や青年誌でよくある「主人公は周りからは無能な奴だとまわりから思われているが、特定のことに関してはプロ中のプロ」設定の漫画 浦沢直樹「マスターキートン」、柳沢きみお「特命係長只野仁」、皆川亮二「D-LIVE!!」、新田たつお「静かなるドン」などは有名で面白いがそれと並ぶいやそれ以上に面白いと思っているのがこの殺人と営利誘拐以外は何でも引き受けるという裏稼業のプロ「代打屋トーゴー」 依頼内容も「時限爆弾の解除」や「太陽を西から昇らせる」など色々あるが基本1話完結(たまに前編・後編や過去に登場した人物がでる) 全25巻と長期連載で長いので面白い回とそうでもない回もあったりするが個人的には初期のハードボイルドを全面に出している方が好き。あと23巻の「ほほえみの育て方」は何回読んでもいい
少年と少女のひと夏のヴァカンスを描いた作品です。映画を観たあとのような読後感が楽しめる。 ものがたりは二人の母親の流産の告白から始まる。姉がいたかもしれない13歳の少年アントワーヌと、弟ができたかもしれない16歳の少女エレーヌ。 アントワーヌは終始エレーヌに翻弄されているが、年上ぶっているエレーヌも年相応の初心さが垣間見られるように見えるのがたまらない
あなたは時給250円で働けますか? 多くの人が無理だと言うでしょう。僕だって嫌です。しかし、『GS美神 極楽大作戦!!』の横島忠夫は、雇い主がもう辛坊たまらんいい女だったからという邪な理由だけで、この薄給バイトに命をかけます。かける事ができる男です。 『GS美神 極楽大作戦!!』は、美人で優秀で傲慢で強欲でボディコン(時代をうかがえる単語です)なゴーストスイーパー・美神玲子が笑いながら悪霊をしばき倒す、一言でいえばそんなマンガです。主人公は美神玲子ですが、主な読者であった中高生男子が感情移入していたのは、アルバイト・横島忠夫の方でした。 前述のように、横島君は労働基準法に真っ向から違反した驚異の時給250円(美神さん自身は大金持ち。大金持ちこそケチなものです)で赤貧生活を送っています。何度か「このままでは生活できない」と考えますが、美神さんの色香に迷ってやめることができない。下半身に非常に忠実です。そんな野獣のような横島君は、(人間として)汚い、いやしい、根性無し(エロは除く)の3拍子そろったダメ人間。プライドなんてものはとうになくし、もはや失うもののない彼は、それはもう、すがすがしいまでの本音を吐きだします。(師匠のようなものに、自分の力を信じろと言われて)「この世に自分ほど信じられんものがほかにあるかあああ」。(完全に追い詰められた状態で)「死ぬ前に一度全裸美女で満員の日本武道館でもみくちゃにされながら「ジョニー・B・グッド」を歌ってみたかったーーー」。中高生の心の底を代弁してくれた横島忠夫も、ゆっくりと成長していきます。ダメな部分があるからこそ、物語のだれよりも立派に成長する横島忠夫の姿に、“共感”から“憧れ”を感じるように変わっていくのです。
いしいひさいち先生といえば、『となりの山田くん』や『ののちゃん』を描いた、押しも押されね四コマ漫画界の大看板。新聞4コマで見かけることが多いので、「ほんわかする作品ばかり描いているのだな」と思われていると思いますが、それは誤解です。時事問題から哲学者4コマまで、ハイブロウ向けな作品もたくさん発表しているのです。また、もう一つの特徴として、ごくたまに、難解というにはあまりに理解不能な作品を発表し、読者を混乱に陥れたりもします。未確認のネットの情報ですが、どうやらいしいひさいち先生自身も、「自分でも意味がわからない」ことが多々あるそうで。もう、ニントモカントモ。 『女には向かない職業』は、朝日新聞に連載されている『ののちゃん』(旧:となりのやまだ君)のスピンアウト作品。ののちゃんの担任の藤原先生が学校をやめ、推理小説作家になった後が描かれています。『女には向かない職業』では新聞4コマでは潜めていた毒がすべて藤原センセイに集約されている素敵な4コマとなっています。 この作品が素敵である一番の理由は、藤原先生が正しくダメ人間だからです。酒癖は悪く、出版社の飲み会では大暴れし、ペコちゃん・ケロヨンを持ち帰り、書評家からは作品についてではなく「酒量を減らせ」と書かれます。部屋は本当に足の置き場もなく、限界を越えたところで引越しをし、すべてをチャラにします。ただ、締め切りに関しては、担当者からの「まだか まだか まだか まだか ……」のクレイジーなFAXが届くぐらいなので、一般的な作家と変わらないレベルに収まっているようです。 4コマまんがの常として、なにかが起きていく話ではありません。ただ、小説家・藤原瞳の自堕落な日常が描かれているだけなのです。なのになぜ、私がこんなにもこの作品が好きなのか、それはいまだにわからないのです。
足尾銅山の鉱山跡を観光した時、とても印象的な写真がありました。鉱山夫が勢揃いしている写真なのですが、みな薄汚れた格好をして体中を真っ黒にしながらも、目だけはギラギラとした異様な迫力があるのです。当時の鉱山夫は平均寿命は40歳前後。苦しく、刹那的な生活を送っていたという彼らの目に宿るギラギラの正体はなんなのか。そういえば、あの目と同じものを漫画でみたことがあります。『砂ぼうず』に出てくる主人公・砂ぼうずもギラギラとした目をしていました。 『砂ぼうず』の舞台は、人類の文明が崩壊して数百年後、砂漠化した「関東大砂漠」が舞台です。人々は、厳しい環境にもめげず、しぶとく生き残っていました。主人公・水野灌太は、砂漠の妖怪・砂ぼうずとして恐れられる便利屋で、水をめぐる抗争から、人質救出まで切った張ったの世界でいきていきます。 とにかく関東大砂漠の環境は過酷です。徹底して弱肉強食で、「負けたものはバカであり、ゴミであり悪」が徹底しています。登場人物は誰もが生に対して執着し、現代の若者のように「いかに生きるべきか」を悩むようなのはいません。弱者でも弱者なりのしたたかさを持っています。 女を武器に、多くの組織を出しぬき渡り歩く朝霧純子、砂ぼうずのライバルで拷問を愛好する雨蜘蛛、遺跡から発掘した人生ゲームで大儲けし、さらに暗黒時代のテクノロジーを研究しようとする老人・貝塚薫…。 僕は谷川清士という男が好きですね。彼は元々研究者だったのが、朝霧純子の色香に迷い、技術を盗んでの駆け落ちを計画。しかし純子に「会社を辞めたブ男の技術者に 何の価値があるって言うの ただのせんずりボクちゃんじゃない」とこっぴどくふられてしまい凶悪なストーカーになります。強力な装備を背負い、純子と砂ぼうずを追い詰めます…(このエピソードは何度もどんでん返しがあり読んでいて非常に盛り上がります)。 そんな個性的なキャラクターの中にあっても、砂ぼうずは特にしぶとい男です。生き残ることを第一に考え、その方法を躊躇したりはしません。勝つためにはウンコまみれにもなり、泥仕合にもちこみ、生を勝ち取る。追い詰められれば追い詰められるほど目をギラギラさせて、生へのか細い道筋を間違えることなく突き進むのです。 この疑問を持つことのない、確信ともいえる生への渇望が、ギラギラなのではないか、死んだ魚の目をした僕は、そう考えるのです。
大リーグボール養成ギブスやちゃぶ台返し、車を運転する小学生など、自分が生まれる随分前の作品だというのに『巨人の星』について知っている自分に驚きます。 昨年には野球からクリケットに換骨奪胎した『スーラジ ザ・ライジングスター』の放送がインドで開始され、『巨人の星』という作品の遺伝子は世界にも広がり続けています。この『巨人の星』ももちろん面白いのですが、それよりも私が好きなのは、星飛雄馬のその後を描いた『新巨人の星』です。 『巨人の星』で描かれていたのは、星一徹の執念によって生まれた星飛雄馬という野球マシーンの誕生と崩壊です。自分の果たせなかった夢を、息子・飛雄馬に叶えさせようとする一徹は、はっきり言って異常です。こどもらしい遊びもできず、ただ野球のために生きる飛雄馬のクライマックスが、父・一徹との対決です。そこで自分の野球人生を犠牲に、ようやく父と野球の呪縛から解き放たれ、関係者の前から姿を消す飛雄馬…というのが『巨人の星』のエピローグ。 星飛雄馬が消えた数年後から『新巨人の星』ははじまります。結論からいえば、飛雄馬は野球以外のものを見つけることができませんでした。盟友・伴宙太と花形満は、星飛雄馬のいなくなったプロ野球に興味を失い、それぞれ親の会社を継ぎ普通の生活に戻りました。あの星一徹でさえも、花形満と娘・明子の結婚を見守った後は、完全な隠居として野球からは離れています。しかし、左腕が破壊された飛雄馬だけが、まだ“巨人の星”になるという妄執から離れられずにいるのです。いまだ、燃える目の星飛雄馬を目撃した星一徹はひとりごちます。「時代は移り いや終わり わしは老い果てた… もはや戦ってやれんついていけぬ!な なぜやつは…!?」。造物主である一徹の手を離れ、暴走をはじめた飛雄馬の行動は、普通の生活に戻ったはずの伴宙太、花形満、そして星一徹の心にも火を付けてしまいます。 一度失ったはずの夢を追い始めた漢たちの、頼もしくもどこか物悲しい姿を是非読んで欲しいですね。
こちらの青い表紙はFinal Phaseの『出版社ビーグリー版』です。Final Phaseはこの他に赤黒いダークな表紙の『PHP研究所版』もあるのですが、**作品の内容は全く一緒**です。 ▼ビーグリー版のPHP版との違い ・表紙が違う ・標題紙がない ・絵のコントラストが強い **・扉絵と目次・人物紹介がない** **・「特別収録 羽貫ファイル」がない** 自分は断然PHP版の方が好きですね。 コントラストが丁度いい感じで、色がきれいで見やすいです。ビーグリー版は、妙に色が濃くて主線が浮いている感じがしました。 そしてなんと言っても扉絵(目次)と巻末の特別収録…!! 羽貫が過去に発生した疫病についてまとめた(という体の)資料は、現実で発生した感染症で読み応えがありますし、これを**『本編を読み終わった余韻に浸りながら読むところまで作品の一部』**と言って過言ではないと思います。 そして読後に気づいたのですが、巻頭の扉絵と目次も非常に素晴らしいんです…!**『目次の扉絵から、実は物語は始まっている』という演出がニクい。**巻末の特別収録がないため目次も削除したのでしょうが…だったらせめて扉絵だけでも残してほしかったです。 あえてビーグリー版の良いところを探すとしたら、ページ数が少ない分200円ほど値段が安いところでしょうか…。作品を120%楽しむならPHP版(赤い表紙の方)をオススメします。 ▼PHP版(赤い方)の配信元 ・Kindle ・honto ・BookLive ・BOOKWALKER ・紀伊國屋書店 ・ブックパス ▼ビーグリー版(青い方)の配信元 ・ebookjapan ・まんが王国 ・シーモア (画像はビーグリー版とPHP版の比較画像)
読んで驚いたのが、他の藤本作品に比べて超ハッピーエンドの優しいお話だなということ。 主人公の少女・シカクの生い立ちが不幸だったり、グロいシーンがあったりするところは、やはり藤本タツキだなという感じだけど、注目すべきは吸血鬼・ユゲルの笑顔。 こんなにかわいらしい笑顔で、無邪気に笑うキャラクターって、モブを合わせても他の作品には居ない気がする。さすが熱で意識が朦朧としているときに作った作品だけあって異色。 藤本作品が苦手という人がもしいたら(そんな人いるのか?)、この読切から読むのをオススメします。 https://shonenjumpplus.com/episode/10834108156674185205
FEEL YOUNG 2018年3月号より連載している、じゃんぽ~る西先生の奥様でジャーナリストのカレンさん視点で描かれるエッセイ漫画。 ▼西先生のTwitter https://twitter.com/JP_NISHI/status/963802145672724480?s=20 第1話は、1996年、当時26歳だったカレンさんがどうして「リュウイチ・サカモトの国」日本に来ることになったのか。どんな少女時代を過ごしていたのかが語られるのですが、これが最高に面白い…! **「フランスのど田舎の生まれで自然に囲まれて育ち、中学生の頃からラジオ局でバイト。高校生のときには友達とイギリスに1カ月留学しパンクファッションを楽しみまくり、大学時代はボロアパート暮らし」と、エッセイ漫画なのに生い立ちがまるで漫画!!** このように育ったことで「全身真っ黒な服に黒いアイライン、真空パックのご飯を食べて、自分でオーディオを組んだり、スマートウォッチなど最新のガジェットを愛好する(モンプチ1話より)」女性ができあがったんだなと納得。 日本の田舎に生まれた自分にとって、「高層ビルがバンバン建っている大都市へバカンスへ行きたい」というカレンさんの気持ちはすごく共感できました! 毎月楽しみにしている連載もついに2019年8月号で18話目。モンプチは1巻15話ほど収録されているので、そろそろ単行本が出るのではと期待しています。 どっから読んでも面白いので、気になった方はぜひ…!! ▼KarynさんのTwitter https://twitter.com/karyn_nishi
月刊少年シリウスで始まった遠藤浩輝の新連載。姉、民族、復讐、能力、SF…みんなが大好きな要素を詰め込んだ超王道でワクワクする1話だった!2話以降どんなふうに展開するのか楽しみ! 【あらすじ】 舞台はスラースと呼ばれる惑星。 地球人(アーシアン)の母を持つスラース人の少年・シンタは、地球人に差別を受けて育ち、現在は叔父と従姉に引き取られ辺境の街で暮らしている。 スラース人は腕にヒビのような模様や、顔に黒いマークを持つだけでなく、独自の言語や小刀を受け継ぐ文化を持っているが、人工の7割を占める地球人から差別を受けている。 ある日従姉が襲われたことで、シンタの小刀が真の力を発揮する。 【1話】 https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156674231979
海街diaryの完結から一年、新連載待ってました。嬉しい… 主人公は山形の温泉街にある旅館「あづまや」で働く青年、和樹。 海街diaryのすずの義弟ですね。 その他「あづまや」大女将の孫娘の妙、幼馴染の類と剛、和樹の弟(父違い)の守。それぞれの親族や温泉街の人々の新しい物語が読める喜び! ヒロインの妙が、どこか影があるけど麗しく頭の良いイマドキ女子高生。すべてを持っていないか…? もしかしたらどこかで海街diaryのキャラも見れるかもと期待しています。
医師・鈴鳴、疫学者・羽貫、感染症で父をなくした少年・樽見が、協力して感染症の原因究明、感染拡大を食い止めようと奮闘する物語。 **ものすごい情報量と巧みな構成で、読み終わったあと全1巻とは思えないくらい満足感がありました。** 死亡した患者の家族に聞き取りを行い原因を割り出していく作業や、ウイルスの構造、災害ユートピアなど、実際の知識による肉付けは読み応えがあります。 事態が悪化していく中で、この作品のタイトルが「Final Phase」だと思い出したときは、この先の展開を想像してゾッとしました。 感情移入しやすいリアルな街並み、実写ドラマを観ているような生々しさがたまらない1冊です。 (画像はFinal Phase 4話より)
事件関係者達の手記をかなり忠実に再現している。 この漫画をきっかけに連合赤軍に興味を持った。主要人物や事件に至るまでの流れを一通り把握することができるので、連合赤軍入門書としてはかなり良いのではないだろうか。 「言葉の力に翻弄されていく普通の人達」という切り口で連合赤軍事件を描いた作品。 物語の主人公格は赤城(=永田洋子)という女性指導者と、岩木(=植垣康博)という男性メンバー。 一般的に、永田洋子は「優れたメンバーへの嫉妬心から大量殺戮を行った鬼婆」として語られる事が多い。だが、物語前半の赤城は、感情的な面はありつつも人並みの思いやりや理性は持っており、けして「鬼婆」ではない。 しかし、もう1人の指導者・北(=森恒夫)により、「革命家として問題があるメンバーを殴る事で、彼らの欠点を克服させる」という理論が提唱されると、彼女はささいな理由で(美人だとか頭が良いとか)メンバーを摘発し、彼らへの暴力を指示するようになる。 メンバーを殴る時に「頑張れ!頑張れ!」「あなたのためなのよ」という台詞がよく使われていることが印象的。 リンチのはほとんど、北(や赤城)がメンバーの些細な行動を「彼らの欠点は革命家として致命的であり、それを克服させるために殴る」ともっともらしい言葉で問題化することから始まっている。 もっともらしい言葉で理由付けがされることにより、言いがかりのような批判から始まるリンチに対しても「自分たちは仲間のために正しい事をしている」と思い込めるようになっていく。 元赤軍派メンバーの男性が言った「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉が印象的。 北(=森)や赤城(=永田)も、岩木(=植垣)も、英雄でも狂人でもないごく普通の人たちだった。そんな彼らを冷酷極まりないリンチに追い立てたのは、言いがかりのような批判を正当化する言葉と、「仲間のために正しい事をしている」という自己暗示だったのではないかと思う。 同じく連合赤軍を再現した作品に若松孝二監督の「実録・連合赤軍」があるが、見比べてみると永田の捉え方が随分違う。 実際の事件関係者の手記を読んでみても、森・永田に対する印象は人によってマチマチだったりする。連合赤軍事件は語る人によって全然違った「真実」が見えてくる事件なんだと思う。 この作品も若松映画とは違った角度からの「連合赤軍の真実」として、後世に読み継がれていったらいいなと思う。