いきなり3人の女がファミレスで語り合う場面から始まるが、喪服を着ているので彼女達が葬式からの帰りであることがわかる。話が進むにつれ亡くなった1人も含めて学生時代からの友人であり、それぞれの名前に「東西南北」が付くこと、30歳になってお互いが自分の人生を生きるようになり抱える悩みも違ってきたことが語られる。シンプルな絵柄が複雑なストーリー構成や友人の死などの重い内容を受け入れやすくしてくれいる。また、線の太さが均一だからこそ何気ないような描き込みも人物や背景と同じくらい意味を持つものになっている。スマホの画面に映るLINEグループ名が「東西南北」であること、最後のシーンで主人公が前日に別れ話をした恋人の分も牛丼を買っていること、そうした気づきが作品の奥行きを増してくれる。残された3人のこれからの関係について物語る「友達でいよう これは 変えないでいよう」というセリフも心に残るが、そこに重ねるように主人公が自分自身の将来に対して肯定的に捉える様子が描かれるのが素晴らしいと思った。
道が違うから わからないから たまに会う。(ビッグコミックスペリオール2019年17号)