私はカレン、日本に恋したフランス人

カレンさんと西先生の2人だからこそ描けた奇跡の1冊  #1巻応援

私はカレン、日本に恋したフランス人 じゃんぽ~る西
nyae
nyae

連載で少し読んでいたけど、1冊通して読むとまたこの本の良さがより沁みますね。 カレンさんが日本に関心を持って、日本に住みたいと思って、日本人と結婚して、そして旦那さんの手によってこの本ができたという事がいかに奇跡的かと思ってホロリとしました。フランス人女性が、ではなく「カレンさんが」というところが大事です。 外国人の目線から日本人も気づかなかった日本の面白さや変なところに気づくと言うパターンはよくあるけど、カレンさんの場合はまず「音響の良さ」から入ったというのが非常に面白いです。 録音した山手線のアナウンスを聞いて、日本を思って泣いたというエピソードは笑いました。でもほとんど家にいる生活をしている今、電車のアナウンスを聞くと出かけている気分になってかいいかもしれない! 世界情勢や戦後日本の歴史など、シリアスな面も含めてフラットな目線で勉強になるし、自分の国なのにまだまだ知らないことだらけだな…と改めて思い知った次第です。たぶんカレンさんの方が日本を知ってます。笑 ちなみに、じゃんぽ〜る西先生はデフォルメした作画が特徴的ですが、この人相当画力が高いんだな…というのがわかり、新たな発見となりました。

お前はまだグンマを知らない

焼きまんじゅう食べて死にたい

お前はまだグンマを知らない 井田ヒロト
野愛
野愛

関東地方に住みついて長くなったものの、群馬を訪れたことはない。 高速道路で通過したことはある。下仁田を横目に「ネギのとこか」と思った記憶がある。花火大会に行ったら中止になって予定が潰れたと知人から聞かされたことがある。 それくらいの認識しかなかった。 こんな危険な場所なんて知らなかった!!!!焼きまんじゅう旨そうって思ってたけど県外なので食うと死ぬ!!!! 和算の大家関孝和!!!!誇る文豪田山花袋!!!!上毛かるたガチ勢と一戦交えたいなんて思ってごめんなさい。 でもね、故郷への誇りって素敵なものです。 わたしもど田舎出身なので自虐として出身地のお話をすることはあるけれど、やっぱりそこには愛と誇りがあるのです。 きっとグンマの人達もそう。だから栃木とバチバチしちゃうんだね。餃子もレモン牛乳も美味しいけど井森美幸も中山秀征も好きだからグンマ自信持ってねグンマ。焼きまんじゅう食べたいよ。グンマがなけりゃ静かなるドンの実写ドラマはなかったんだよ。 生まれ育った地に対してプラスでもマイナスでもどっち向きでもいいから、アイデンティティ抱えてる人って幸せだと思いますよ。帰る地があるということ、人に語るべきことがあるということ、幸せでしょ。 死んでもいいからわたしは焼きまんじゅう食うぞ。

娘の友達

悩めるリーマンに捧ぐ 全俺が泣いた

娘の友達 萩原あさ美
六文銭
六文銭

サラリーマンが娘の友達のJKと恋愛する話。 設定だけだと未成年との淫行問題で、やいのやいの言われそうだけど、この話は主人公のリーマンがいたって常識人だ。 それが悪いこととわかっているから、決して一線を越えようとしない。 まぁ、どっちがリアルなのかわからないけど(普通は、おっさんが女子高生に言い寄られたら、ノールックでいってしまうんでないの?) 主人公晃介はサラリーマンとしては優秀だが、仕事一筋で家庭を省みなかった結果、娘はひきこもりに。 その優秀な面も個人としての能力が優れているだけで、部下のコントロールがうまくない。いつも損な役回りを引き受けているという、典型的ないい人だ。 良き父として、良き上司として、理想の姿を無理してつくろっている。 仕事も家庭もいっぱいいっぱいな中、出会ったのが、娘の友達古都。 彼女といても、何一つ理想を押しつけてこない、自分が自分らしくいられることに安らぎを得て…という流れ。 全俺が泣いたのは、JKとの、この背徳な恋愛に純愛の姿を見つけたところではない。 3巻最後、添付画像にある晃介の慟哭だ。 誰かの期待に答え続けて、自分をすり減らして、すり減らして、すり減らして・・・ 絞り出した言葉 「父親でも、課長でもない俺は、いちゃいけないのか?」 もうこれね、泣きますよ。全俺が。 期待に応えられなきゃ存在しちゃダメなのかと。 エゴしかない社会で、要領悪く真面目でいい人が損をする社会。 そんな中で、安らぎを求めてはいけないのですかね? たとえそれが悪いことでも、ダメなんでしょうか? そうでなければ、誰が救ってくれるんでしょうか? 娘の友達とのイケナイ関係ばかりに焦点いきますが、本当は晃介のように疲れ切ったサラリーマンこそ共感できる作品だと思います。 今後、二人の関係が社内に暴露されてしまうような展開がおきそうで、晃介からますます目がはなせません。

ねことちよ

猫みたいな幼児に癒される日々 #1巻応援

ねことちよ せらみっく
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

OLの「ちよ」は幼児の「ねこ」と二人暮らし。髪型や行動がどことなく猫っぽい、人間(?)の幼児のねこに、ちよは毎日癒される。 ねこの「猫っぽい」様子が独特で愛らしい。動作や習性等、本当にねこが「猫」にしか見えない時があり、そんなねこを見ているのが楽しい。 漫画の中の幼児を、例えば『よつばと!』のよつばの様な表情豊かな子供と、例えば『学園ベビーシッターズ』の虎太郎の様な無表情な子とに分けるとしたら、ねこは後者。目の形が変化せず、口角も上がらない。 しかし無表情は、却って細かな感情を雄弁に語る。目の色の変化、顔の紅潮、口の結び方と開き方、そして動作。この子色々考えてるなぁ、と細かな機微を感じ取れることが楽しく、愛らしさを一層増す。 1巻では何故この二人が共に暮らしているのか明記されない(親……ではなさそうな)。それにねこの「猫っぽさ」や、その他にも結構謎の部分がある。しかし、謎に引っかかるものの、ねこの感情の機微と、溺愛しつつもねことちゃんと向き合うちよ、時折ちょっと悪いことをねこに教えるお姉さん・まきとの日々の様子は、ゆっくり見守りたいと思わせるものがある。 子供の日々の歩みに寄り添うような、優しい子育て漫画だ。