ウルトラセブン

昭和40年代前半ならではオリジナルコミカライズ!!

ウルトラセブン 円谷プロダクション 桑田次郎
名無し

ウルトラセブンの実放送期間である1967年にコミカライズされた作品は一峰大二氏と桑田二郎氏の兄弟弟子によるものがそれぞれ刊行されています。 しかしテレビ放送の各話のタイトルは同一ながらも内容はかなりオリジナルなのがこの時期“ぼくら”等に連載されていたウルトラシリーズの特徴です。 この桑田次郎氏版も登場する宇宙人も劇中に忠実なものがあれば、完全オリジナルなものもあるので、最初から念頭に置いておかないと違和感を感じます。 実際に少年時代に読んだ時でも独特の絵のタッチとキャラクターデザインの違いに違和感を覚えたものですが、これはこれでありと割りきって読むのがベストでしょう。 最終回も「K団地の怪」で完全オリジナル作品でパンドンはでてきません。(特撮版のウルトラセブン最終回タイトルは史上最大の作戦・前後編) 物語は第3巻の13話まで残る3話は読み切り回が収録されています。 読み切りにアイアンロックス(戦艦モチーフ)の怪獣が起用されたのも1960年代ならでは。 近未来と1960年代の世相が混在しており、文化社会背景的観点でも楽しめる作品です。

将軍足利義昭 信長を一番殺したかった男

将軍orDIE! 敗北を生き抜いた男 #1巻応援

将軍足利義昭 信長を一番殺したかった男 しまたけひと
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

足利義昭……室町十五代将軍として無理矢理担がれ、織田信長に翻弄され、姑息に諸大名を動かそうとしながら尽く裏切られた将軍として、織田信長や明智光秀の物語では情けなく描かれる人物。 その基本路線は、この作品でも踏襲されている。ただ他と違うのは、この物語が足利義昭の立場に立っているという点。たったそれだけのことで、義昭にあっさりと感情移入できてしまうのは、描かれた彼の心情に「勝者ではない」私達に響く普遍性があるからだろう。 一握りの勝利からこぼれ落ちた私達に必要なのは、敗者の物語……敗戦後を充実して生きるための指針なのだ、と作者は宣言し、どこまでも英雄とはかけ離れた義昭の、出立から敗走後の人生までを、現在と過去を行き来しながら辿る。 何しろ義昭は、状況に翻弄されすぎる。将軍にならなければ死ぬ他ないという、究極の選択。その中で必死に立ち回るうち、したたかに、しかし次第に狂気を伴って、小物ながらそれなりの人物になっていく物語は、同様に小物である私達に消えない爪痕を残してゆく。その敗北に塗れて歪んだ人生も、覚悟を決めて駆け抜けた義昭には上々だったのだろうかと、考えさせられる。 義昭の最期と作者の旅の終点には、お仕着せの感動の代わりに、淡々とした感傷がある。

親友いないの誰?

その関係は親友なのか?

親友いないの誰? 山田可南
名無し

ひっそりだれかに相談したかった出来事、読んでいると引き摺っているもやもやが晴れていく感じがしました。 親友同士、お互いどう思っているのか、見えたり隠れたりする感情描写が面白いと感じました。 人間関係における、悪い面やネガティブな部分もストーリーに盛り込まれているのが、両側面を描かれていて良いです。 この3人のように、親友や友人関係、それだけでなく人間関係自体に悩みを持っている人や、持っていた人におすすめしたいです。 理由は、登場人物一人だけの視点で突っ走るだけでなく、色々な周りの視点とか、環境、時系列が小さい時から大人(社会人になり働いている)まで、リアルに描写されているので、客観視で読めると思います。読むと心が痛んだり辛い面もあるのですが、得るものが沢山ありました。 大人になって社会に出てからの、新たな人間関係の悩み等によって、私には友達すらいないのかもと思ったり、高校時代から続いている3人の親友の関係に一体何なのだろうかと、疑問に思っているヒロイン。 友達や親友などの曖昧な基準を、広げて考察していくような漫画だと思いました。 思春期感が少しだけ残る(尾を引いている)少し青々とした雰囲気の、さっぱり読める女性漫画だと思います。 結局、3人は親友なのか友達なのか話の結論が気になります。 小さい頃のヒロインが親友だと思っていた子との少し痛い思い出。 親友関係にある3人の女性を一人一人ピックアップしてストーリーが展開する話がいくつかあります。 思い出や記憶を思い出しながら、3人の親友の関係や、思いの描写が交錯している。 3人は何かしら引きずっています…。 大人向けの内容の漫画です。

びんちょうタン

大切に描かれ、大切に育てられた作品

びんちょうタン 江草天仁
なかやま
なかやま

自分はアニメからこの作品に入ったのですが、4コマと言うジャンルの枠を超えている素晴らしい作品で、主人公のびんちょうタンの生活を美しく描いていると思っています。 内容は主人公のびんちょうタンの貧しくも清らかに慎ましい生活を中心に描かれたもので、彼女の友人の話や学校へ行きたいなど、本人の世界が徐々に広がっているところが見ていて、心があたたかくなります。 特に、おばあちゃんの話は10年以上たっても、自分の心に刺さっています。 1巻前半の雰囲気とは後半から大きく変わっていくので、試し読み出来る部分と話の軸がちょっと変わります。(ちょっと注意ですが、読んでほしい) wikipediaをみると、即興で考えたキャラクターがひっそりと雑誌の片隅で始まり、徐々に人気が出てアニメ化とのことでした。 自分がこの作品を大きく評価しているのは、その即興で生まれたキャラクター達に命を吹き込んで且つ育て上げた作者の 江草天仁 さんの存在です。 例えば、 びんちょうタンが頭につけている「炭」ですが、コレは単純に備長炭のキャラクタだからつけている、というよりも村には「炭をつける」という風習があり、伝統を重んじる家庭の子供は炭を付けている と言う感じです。 そして、全4巻の作品ですが これ・・・同人誌版で『学校編』が存在します。 連載が終わった 2008年から同人活動として連載を続けて、2013年にまとめた本が発表されています。 これは、きっと作者さんがびんちょうタンを学校に行かせてあげたい、という優しい思いがあったのだと考えます。 大切に描かれ、大切に育てられた作品です、是非